ダイアン・キートンさん死去、79歳 「アニー・ホール」「ゴッドファーザー」

俳優のダイアン・キートンさんが死去した。79歳だった/Jerod Harris/Getty Images North America

(CNN) 独特のユーモアと唯一無二のスタイルで知られた俳優のダイアン・キートンさんが米カリフォルニア州で死去した。79歳だった。プロデューサーのドリ・ラス氏が11日、CNNに確認した。

死因は現時点で明らかにされていない。

ロサンゼルス消防局の報道担当者によると、消防は11日、キートンさんの自宅から医療支援の要請を受け、救急隊が病院に搬送したという。

キートンさんは長年にわたり第一線で活躍した多作な俳優で、1977年の映画「アニー・ホール」でアカデミー賞主演女優賞を受賞した。同作では、コメディーの才能だけでなく、繊細で真実味あふれる演技でも観客を魅了した。

アカデミー賞授賞式で主演女優賞を受賞し、受賞スピーチを行うキートンさん=1978年、ロサンゼルス/Getty Images

「アニー・ホール」は、男性用のスラックスやベスト、帽子を巧みに取り入れるキートンさんのジェンダーにとらわれないセンスを広く知らしめた。時代を先取りしたその装いは晩年まで一貫していた。

97年に「ユーモアの世界で快適に生きる方が向いている」と語っていたキートンさんはコメディーの才能の持ち主だったが、同時に数々のドラマ作品でも存在感を放った。フランシス・フォード・コッポラ監督の名作「ゴッドファーザー」シリーズでは、アル・パチーノ演じるマイケル・コルレオーネの妻ケイを演じた。

「ゴッドファーザー」のアル・パチーノとダイアン・キートンさん/Courtesy Everett Collection/
「アニー・ホール」のダイアン・キートンさんとウディ・アレン/FilmPublicityArchive/United Archives/Getty Images

キートンさんは46年にロサンゼルスで「ダイアン・ホール」として生まれた。2004年のポッドキャスト番組では、主婦でアマチュア写真家だった母親がのちにコンテストで優勝し、ミセス・ロサンゼルスに選ばれたことが、自身の表現欲を刺激したと語っている。

1960年代後半、ブロードウェーの舞台で俳優としての足場を築いた。その後、72年公開の「ゴッドファーザー」で映画界で知られるようになり、ウディ・アレン監督と恋人関係にあった時期に、同氏の作品に多数出演した。

その後も、77年の「ミスター・グッドバーを探して」や81年の「レッズ」(ウォーレン・ベイティ共演)など、主演作が相次ぐ。「レッズ」では再び主演女優賞にノミネートされた。

「ファースト・ワイフ・クラブ」の一コマ/Paramount/Courtesy Everett Collection

90年代には、ベット・ミドラー、ゴールディ・ホーンと共演したコメディー映画「ファースト・ワイフ・クラブ」で注目を集めた。若い女性と再婚した元夫たちに見事な復讐を果たす3人の女性を描いたこの作品で、爆発シーンや宇宙人が登場しなくても、50代の女性3人が主演する映画が大ヒットすることを証明した。

2000年代に入ってもキートンさんの活躍は続いた。03年のラブコメ「恋愛適齢期」では4度目のアカデミー主演女優賞候補となり、05年の「幸せのポートレート」では家族をまとめる母親役を演じ、現代のクリスマス映画の定番となった。

「幸せのポートレート」の一コマ/20th Century Fox/ Everett Collection

昨年にはキャシー・ベイツやアルフレ・ウッダードと共演したコメディー「50年後のサマーキャンプ」に出演していた。

キートンさんは生涯結婚しなかった。そうした選択についてたびたび率直に語り、その考え方の原点は母親にあると話していた。

キートンさんは12年のインタビューで、「母は4人の子どもを産んで、私は長女だった。母がどれだけのことをあきらめてきたのかをみてきた。母は夢よりも家族を選んだように感じる。本当に最高の母親だった。でも、私が結婚しなかったのは母が理由だと思う。自分の自立をあきらめたくなかった」と語っていた。

キートンさんには、娘のデクスターさんと息子のデュークさんの2人の子どもがいる。いずれもキートンさんが50代のときに養子に迎えた。

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