学士・修士の5年一貫教育、文科省が制度化へ 「質の低下」懸念も
大学院の修士課程を修了するのにかかる年数は、原則的に大学の学部と合わせて最短で6年。これを5年に短縮する制度が2026年度から始まる。
国際競争力の強化に向け高度な教育を受けた人材を育成する狙いがあるが、効果を疑問視する声もある。
在学期間の1年短縮は社会に変化をもたらすのだろうか。
伸び悩む大学院進学者数
文部科学省によると、修士課程入学者は近年7万人台で推移していたが、25年度に8万452人となり、ピークの10年度(8万2310人)に近づくまで回復した。
ただし、学部卒業後の進路は約8割(24年度)が就職を選んでおり、大学院進学者は少ない。
分野別では理工農系の進学率が20~40%と増加傾向にある一方で、人文科学や社会科学系は2~4%と低調だ。
通常、修士まで修了する場合は学部の4年に修士の2年を加えた計6年を要する。
現行制度でも成績優秀者など一定の条件を満たした学生に限り在学期間を5年に短縮でき、実際に国際基督教、慶応、一橋、九州大など一部が導入している。
ただ、現状は優秀な学生個人に対する特例という側面が強く、体系的な教育課程の編成を制度的に促進する仕組みになっていないため、制度を改正することになった。
5年で修了できる新制度は、導入を希望する大学が文科相の特例認定を受ける必要がある。
特例は2種類あり①学部で通常通り4年学び、修士を1年で修了②学部段階で取得した大学院の単位数を勘案し修士を1年で修了――のいずれかを大学側は選択する。いずれの場合も修士の修了要件(30単位以上)に変更はない。
文科省は制度開始に合わせ大学院設置基準を改正し、26年度から運用を始める。
中教審答申「スタンダードに」
導入の背景には、中央教育審議会(文科相の諮問機関)が25年2月に答申した高等教育の将来像がある。
答申は国際的な競争環境が年々高まる一方、18歳人口が減少する中で「大学院で高度な教育を受けた多くの修士・博士人材が多様なフィールドで活躍する社会の実現が欠かせない」と指摘。「大学院修了をスタンダード」にすることを求めた。
文科省の有識者会議では「欧州では1年制大学院が社会的に定着しており、日本でも待ち望んでいた大学も多いのでは」という声があった一方、安易な修業年限の短縮による「教育研究の質の低下」や、就職活動の前倒しと併せて学業が圧迫されることを不安視する意見もあった。
これらを踏まえ、認定にあたっては教育課程が学部と大学院で円滑かつ効果的につながっているか、社会との連携を意識して企業のインターンシップを組み込んでいるかなどの観点で審査する。
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