【分析】トランプ氏を強く支持する割合、最低水準に 米国民の約20%
最近の一連の世論調査では、トランプ氏を「強く支持」する割合が米国人のおよそ5人に1人まで落ち込んでいることが示されている/Scott Olson/Getty Images/File
(CNN) トランプ米大統領は1年前、国民が自身に歴史的な圧勝をもたらしたかのように語っていた。
「米国は前例のない強力な信任を我々に与えた」。11月の大統領選直後にトランプ氏はそう述べた。1月の就任演説では、自身の勝利は「国全体が我々の政策を支持し、急速に結束している」ことを示しているとも語った。
トランプ氏の主張は当時、大きく誇張されていた。しかし1年後の現在、それらはトランプ氏の現実とほとんど一致しない。
実際、トランプ氏の現在の支持は変わらず薄っぺらいものに見える。
全体的な支持率の低下に注目する向きは多いが、トランプ氏の政治的影響力を測るより適切な指標は、トランプ氏を「強く支持」している人々だろう。というのも、トランプ氏の政治的威信の大部分は共和党支持基盤を支配していることに基づいており、それが党を従わせてきたからだ。
最近の一連の世論調査では、この「強く支持」する割合が米国民のおよそ5人に1人まで落ち込んでいることが示されている。これはほぼすべての調査で2期目としての最低水準で、1期目の最低水準に並ぶレベルだと示す調査も多い。
週末に実施されたNBCニュースとサーベイモンキーの世論調査では、この割合が4月の26%から21%に低下したことが示された。同時に、トランプ氏を強く支持するMAGA(米国を偉大に)派の共和党員の割合も78%から70%に下落した。
しかし、この数値が低水準を記録したことを示した調査はこれだけではない。最近の調査での数値は次の通りだ。
・AP通信とシカゴ大学の調査団体NORCが今月実施した調査では18%。長年続く同調査でこの数値を下回ったのは2017年のみだった(17年12月の15%と17年6月の16%)。
・ロイター通信とイプソスが今月実施した調査では19%。これも今年最低の水準で、1月の29%から低下している。
・FOXニュースの先月の調査では22%。トランプ氏の両任期におけるこれまでの最低水準は25%だった。
・マーケット大学ロースクールの先月の調査では21%で、2期目としての最低水準だった。
やや異なる結果を示した最近の調査が一つある。マリスト大学が先月実施した、公共ラジオ局NPRと公共放送局PBS向けの調査だ。調査では、トランプ氏を強く支持する割合は26%とやや高かった。同大学の調査によれば、これは1期目の大半よりも高い水準だった。
それでも、2期目としては最低となる水準だった。そして実際には、支持が最低水準に落ち込んだ21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件後と似た数値でもある。
これは今後注視すべき重要な数値の一つだ。
トランプ氏は世論調査での苦戦に慣れている人物だ。それでもこれまで政治的強さを保ってきたのは、支持基盤の規模と忠誠心があったからだ。それが共和党員に、同氏の行動に異議を唱えたり批判したりすることを思いとどまらせてきた。
トランプ氏にとって今何が危険かといえば、共和党員が同氏をレームダック(死に体)と見なし始め、決別による政治的な代償をそれほど恐れなくなっていることだ。
その兆候はすでに見え始めている。性犯罪で起訴され勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン元被告に関連する文書の公開を求めてトランプ氏に反した下院共和党員や、インディアナ州の州議会上院で、同氏が求める選挙区割りの引き直し案に共和党員の過半数が反対票を投じた最近の採決などがその例だ。
強く支持しているのが米国民の5人に1人のみだからといって、共和党員が突然雪崩を打ってトランプ氏と決別するわけではない。しかし、調査結果は真に熱心な支持基盤が小さくなりつつあることを示唆している。
トランプ氏に対する信任も同様だ。
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本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。