「ディール」迫るトランプ氏、ゼレンスキー氏は領土割譲拒否 米ロ首脳会談受け

 トランプ米大統領(写真右)は16日、ロシアのプーチン大統領(同左)がさらなるウクライナ領土を要求したとされる首脳会談を受け、ウクライナはロシアとの戦争を終わらせるためのディール(取引)を行うべきだと表明した。米アラスカ州アンカレジで15日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン/モスクワ/キーウ 16日 ロイター] - トランプ米大統領は16日、ロシアのプーチン大統領がさらなるウクライナ領土を要求したとされる首脳会談を受け、ウクライナはロシアとの戦争を終わらせるためのディール(取引)を行うべきだと表明した。

会談後にFOXニュースのインタビューに応じたトランプ氏は、プーチン氏との間で領土交換の可能性とウクライナへの安全保証について話し合ったことを示唆。「われわれが交渉した点であり、大筋で合意に達した点だと思う」と述べた。 もっと見る

トランプ氏はインタビュー中にウクライナのゼレンスキー大統領への助言を求められ、「取引をしなくてはならない」と答えた。「ロシアは非常に大きな力を持っているが、ウクライナはそうではない」と話した。

関係筋によると、米アラスカ州で15日に行われた米ロ首脳会談後、トランプ氏はゼレンスキー氏に対し、ロシアの主要な標的の一つである工業地帯ドネツク州全体をウクライナが割譲すればほとんどの前線を凍結するとプーチン氏が申し出たことを伝えた。

ゼレンスキー氏はこの要求を拒否したという。

トランプ氏はまた、事前の停戦なしに和平協定を目指すべきとするプーチン氏の意見に同意すると表明。停戦が合意されない限り満足しないと言っていた首脳会談前の立場から転換した。

自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「ロシアとウクライナの恐ろしい戦争を終わらせる最善の方法は、単なる停戦協定ではなく、戦争を終わらせる和平協定に直接進むことだ」と投稿した。 もっと見る

ゼレンスキー氏は、ロシアが停戦しようとしないことは恒久的な和平を築く取り組みを複雑にするだろうと指摘。Xで「殺戮(さつりく)を止めることは戦争を止めるための重要な要素だ」と述べた。ただ、ワシントンで18日にトランプ氏と会談するとした。

トランプ氏は、米・ウクライナ・ロシアの3カ国会談が続く可能性があると述べた。

プーチン氏はゼレンスキー氏との会談について公の場で言及することはなかった。ロシアのウシャコフ大統領補佐官によると、3カ国首脳会談については議論されなかった。

<欧州もホワイトハウス会談参加か>

欧州はトランプ氏の取り組みを歓迎しつつ、ウクライナを支援し、ロシアへの制裁を強化すると表明。ドイツのワデフル外相によると、欧州の指導者らも18日のホワイトハウスでの会談に参加する可能性がある。

欧州首脳の共同声明は、ロシアの侵略戦争の終結、公正かつ永続的な平和の実現に向けたトランプ氏の取り組みを歓迎するとした上で、次のステップはゼレンスキー氏が参加した協議であるべきとし、米・ロ・ウクライナ3カ国の協議に向け、トランプ、ゼレンスキー両氏と協力する用意があるとした。 もっと見る

スターマー英首相は、トランプ氏のおかげで戦争の終結はこれまで以上に近づいているとしながらも、戦争が続けばロシアにさらなる制裁を科すと述べた。

Graphic: Map of Ukraine shows the eastern oblasts and the areas under Russian control

<ウクライナへの安全保証協議>

イタリアのメローニ首相は16日、15日の米ロ首脳会談で、ウクライナへの安全の保証について話し合われたと述べた。

同首相は「重要なのはロシアの新たな侵略を防ぐための安全の保証だ。(米アラスカ州)アンカレッジで最も興味深い進展があったのはこの点だ」と声明で述べた。 もっと見る

カナダのカーニー首相は、トランプ氏が和平協定の下でウクライナに安全保証を提供することに前向きであることを歓迎。安全の保証は「公正で永続的な和平に不可欠だ」と述べた。

プーチン氏は、外国の地上軍の関与に反対しているが、ウクライナの安全が「確保」されなければならないという点ではトランプ氏に同意すると述べた。

欧州の専門家からは今回の米ロ首脳会談を酷評する声も出ている。

元駐米ドイツ大使のボルフガング・イッシンガー氏は「プーチンはトランプと共にレッドカーペットの待遇を受けたが、トランプは何も得られなかった」とXに投稿した。

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As Russia Chief Political Correspondent, and former Moscow bureau chief, Andrew helps lead coverage of the world's largest country, whose political, economic and social transformation under President Vladimir Putin he has reported on for much of the last two decades, along with its growing confrontation with the West and wars in Georgia and Ukraine. Andrew was part of a Wall Street Journal reporting team short-listed for a Pulitzer Prize for international reporting. He has also reported from Moscow for two British newspapers, The Telegraph and The Independent.

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