“限界情シス”を疑似体験する「情シスすごろく」に新版 ルール刷新で“非情シス”も巻き込める
「弊社は情シス部門の人員を削減し、営業力を強化します!」「プロジェクト管理ツールなんていらない、Excelで十分!」──東京都内のとあるホテルで、情報インシデントやトラブルにつながりそうな“死亡フラグ”発言が男女4人から飛び交った。
──2022年10月、こんな書き出しの記事を掲載した。見出しは「“限界情シス”をゲームで体験 HENNGEの『情シスすごろく』遊んでみた インシデントまみれの1カ月、無事に乗り切れるか」。内容は、セキュリティ企業のHENNGEがユーザーコミュニティー向けに作ったボードゲームを遊んだ体験記事だ。
24年にはルールや小物を一部変更した「2」もリリース。そこからさらに2年たった26年3月2日、HENNGEは追加のアップデートを重ねた「新版」を発表した。発表に先行して遊んできたが、新バージョンには大きな変化が起きていた……。
情シスすごろくは、情シス間の“あるある”をテーマにしたボードゲーム。情報漏えいの懸念から、なかなかコミュニケーションが活発にならない情シス間の会話を盛り上げるために作ったものだ。
細かい点は過去記事に譲るが、基本的にはすごろくを進め、なるべく体力を残しつつゴールを目指すルール。ただし、止まるマスによっては「ファイルサーバがダウンし、テープバックアップも失敗」「社員がシャドーITをしていた」などさまざまなトラブルが起こる。それらを「SaaSアカウント管理ツール」「多要素認証の実施」「プロジェクト管理ツール」といったアイテムカードのようなもので回避するのが大まかな流れだ。
一方で、アイテムカードを手札から捨てることでサイコロの出目を大きくできる(1枚につき1マス)。ただし捨てるときには「自社からそのソリューションをなくす理由」を説明しなくてはいけない。そのため記事序盤のような大喜利が発生するわけだ。
過去作はそのニッチさがSNSでも話題になったが、今回の新版ではコンセプトが大きく変わる。
HENNGEによれば、これまでの情シスすごろくは情シス間のコミュニケーションを目的にしてきたが、過去作が話題になった結果、他の部門で働く人が情シスの仕事を理解したり、ITソリューションの役割を把握したりする形で遊ぶことも増えたという。ただしその場合、プレイヤーが「SASE」などカードに記載の固有名詞を知らず、ゲームが盛り上がりにくいことがあった。
そこで、情シスでない人でも遊べるよう「カードを捨てるとき、自社からそのソリューションをなくす理由を説明する」というルールを撤廃。代わりに、新たにカードに記載したトークテーマについて話す、というルールに改めた。
トークテーマは「導入してよかったクラウドサービス」「アウトソースしたい業務」「神対応と思ったベンダー・SIer」など業務に関することもあれば「行ってみたい場所」「魔法が1つ使えるとしたらなど一般的なものも。こういった話題で会話を重ね、情シス同士でも、そうでない場合でもコミュニケーションできるようにした。
発生するトラブルやカードに記載のソリューションも、時流に合わせたものに改めた。例えばアイテムカードでは「AIエージェント」など生成AI関連の話題を取り上げた他、「SOC(Security Operation Center、サイバー攻撃の検知や分析を行う組織や機関のこと)アウトソーシング」を追加した。
小物の素材も一部変更。これまで厚紙だったものを薄い紙製などに変更した。より多くの人が遊ぶことを想定し、持ち運びやすくしたという。
新版の制作は、セキュリティの啓発活動が集中する「サイバーセキュリティ月間2026」に合わせた。これまでの情シスすごろくと同様、販売はせず同社のユーザーコミュニティーを中心に展開する方針だ。
記者も実際に遊んでみたが、これまでの情シスすごろくと違い、ニッチな会話が飛び交うゲームではなくなっており、そこは正直なところ残念に感じた。ルール通り遊ぶ場合、記事冒頭のような会話は生まれない。
一方で、記者もセキュリティや情シスの業務に関する目線をそろえるため、社内の非IT系職種とこのゲームを遊んだことがあり、その際なかなかトークが盛り上がらず困った経験がある。同様の場合は新版で遊んだほうが明らかに盛り上がるだろう。
正式なルールではないが、新版を使って過去作と同じルールで遊ぶことも可能ではあるので、シチュエーションに応じて使い分けられるといいかもしれない。
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