マスク氏に政界復帰の可能性、スペースXが投資家に「リスク」開示

Dana Hull、Loren Grush、Edward Ludlow

  • DOGEと似た役割に大量の時間と熱量を費やす可能性も

宇宙開発大手スペースXは株主や社員から自社株を買い付けるにあたり、新たなリスクを警告した。創業者のイーロン・マスク氏がまだ、政治の世界と決別できていないというリスクだ。

  ブルームバーグと複数の関係者が確認した文書には、かつてトランプ政権で政府効率化省(DOGE)の上級顧問を務めたマスク氏が「将来、同様の役割を担い、それに多くの時間とエネルギーを費やす可能性がある」と記されている。

  この「リスク要因」への言及は、スペースXの株式買い付けに伴う手続き文書に加えられた。買い付けはスペースXの企業価値を約4000億ドル(約58兆6400億円)と評価するもので、民間企業の価値としては前例のない巨額となる。マスク氏とスペースXにコメントを求めたが、返信は得られていない。

  マスク氏は5月にトランプ政権を離れ、電気自動車(EV)大手のテスラと人工知能(AI)スタートアップのxAIなどのビジネスに集中し、政治活動から軸足を移すと約束していた。しかしトランプ氏との対立が公になり、マスク氏は共和党の巨額減税・歳出法案を非難。新党を旗揚げして同法案を支持した議員を落選させると宣言していた。

関連記事:マスク氏が新党結成、「ばかげている」とトランプ氏-テスラ株下落

  それから数週間後、マスク氏はビジネスへの関心が戻ったと主張。「子どもたちがいない時は休みなしで働き、会社で寝泊まりしている」と20日、X(旧ツイッター)に投稿した。

  しかし今回のスペースXによる文書は、マスク氏の場合、特にトランプ政権に関しては何事も最終決定ではないことを、改めて投資家に認識させるものだ。

  スペースXは米航空宇宙局(NASA)や米軍の両方にとって重要な契約先であり、火星探査を目指す「スターシップ」の開発や、約8000基の「スターリンク」衛星を運用している。

  スペースXの計画では、社員や一部投資家から最大12億5000万ドル相当の株式を買い付ける。このやり方は株式を上場せずに初期投資家の利益確定を図る手法として、最近のスタートアップ企業によく採用されている。

原題:SpaceX Warns Investors Elon Musk Could Return to US Politics(抜粋)

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