長寿の秘訣、探る手がかりは遺伝にあり?
新たな研究から、遺伝子が人々の寿命により大きな役割を果たしていることが示された/MJimages/E+/Getty Images via CNN Newsource
(CNN) 人の寿命はライフスタイルの選択によって決まるというのが長年の定説だった。しかし寿命の長さを決める上で、遺伝がこれまでの想定以上に大きな役割を果たしているという研究結果がこのほど発表された。
1月29日の科学誌サイエンスに発表された研究によると、遺伝は寿命の差の半分以上を左右する。これは従来の推定の2倍以上だが、自分の家系を見れば思い当たることもあるかもしれない。
過去の研究で遺伝子の影響が過小評価されていたのは、19世紀以前に生まれた人のデータに基づいていたためだった。この時代の一般的な死因は感染症や事故で、ワクチンや医薬品も、現代のような衛生対策も安全規制も行きわたっていなかった。
過去の研究ではそうした要因の陰に隠れて、年齢に与える遺伝的影響が見えにくかった。論文をまとめたイスラエルのワイツマン科学研究所のウリ・アロン氏は「私たちには、遺伝子によってあらかじめ決められた一種の遺伝的寿命がある」と解説する。
ただし、遺伝で全てが決まるわけではない。
それでも寿命はある程度コントロール可能
寿命は約55%が遺伝で決まっている一方で、残る45%は決まっていない。「運もあれば、自分で決めるものもある」とアロン氏は言う。
運動や食生活、社会的関係といったライフスタイルの選択は、遺伝子に影響される人の寿命を5年ほど変化させ得る。「遺伝ですべてが決まりではない」(アロン氏)
例えば遺伝的寿命が80歳だった場合、健康習慣によって85歳まで生きる場合もあれば、不健康なライフスタイルを選んで75歳に縮むこともある。
「それでも遺伝的寿命が80歳であれば、健康的な生活を送ったとしても80歳から100歳へ延びることはない」(アロン氏)
疾病対策センターがこのほど発表した統計によると、米国人の平均余命は2024年、過去最高の79歳に達した。
スタンフォード長寿センターのデボラ・カド所長によれば、老化に関しては防御的な遺伝子や有害な遺伝子もいくつか発見されているものの、長寿のような特性には少数の遺伝的要因よりもはるかに複雑な要因が絡む。そうした要因はあまりに複雑で、まだ解明されていないという。
それでも生物学的年齢の構造に関する理解が深まれば、寿命を縮める要因に照準を絞る助けにはなるかもしれない。
「遺伝子が分かれば仕組みが分かる」「仕組みが分かれば介入が可能だ。医薬品が作れる」とアロン氏は言い、これは一度に一つの疾患のみに対応する方法の代替になり得ると指摘する。
ただしそれは、まだ何十年も先の話だ。遺伝子検査で双極性障害や腎臓病といった疾患の遺伝的リスクを判定することはできても、遺伝的年齢を確実に予測できる検査は存在しない。そうした手段の開発が、遺伝的寿命の向上に向けた第一歩になるだろうとアロン氏は言い添えた。