「山菜採りはやめられない」クマ被害続出 それでも山に入る理由

毎日新聞 2026/6/8 10:00(最終更新 6/8 12:12) 有料記事 1776文字
山菜採りに行く人に向けて注意を呼びかける環境省の広告。凶暴そうなクマが印象的で、5月下旬に新聞各紙の朝刊に掲載された=仙台市青葉区で2026年5月28日、山中宏之撮影

 山菜採りに出かけてクマに襲われたとみられる人的被害が東北地方で相次ぎ、自治体が対応に苦慮している。

 クマによる被害が続発してもなぜ、山に入るのか。山菜採りを愛好する男性2人組が取材に応じ、胸の内を語った。

 <主な内容> ・愛好家の思いとクマ対策 ・今年4月以降、犠牲者は4人に

 ・自治体が規制に慎重な理由

採取は「秘密の場所」で

 2人は登山で知り合った70代と40代。最近では5月下旬、山形県鶴岡市の山林へ出かけた。目的は、春の山菜「ワラビ」だ。

 2人は山岳信仰の聖地・出羽三山の一つ、月山(がっさん)のふもとで生まれた。10代、20代の頃から山菜を採っている。

 4月中旬ごろ、タラの芽やコシアブラの芽が出る時期になると毎年、「そわそわ、わくわくする」。「月山筍(だけ)」と呼ばれる細竹(根曲がり竹)が採れる6月末まで、山菜の旬を追うように山々に分け入る。

 2人は、一度にたくさん採れる「秘密の場所」を訪れる。70代男性が所有者から管理を任され、先祖代々引き継がれてきた敷地にある。他の住民にもそれぞれ、秘密の採取場所があるという。

かご満杯の「山の恵み」

 夢中で採取してかごに入れると、1時間足らずでいっぱいになる。重さは約10キロ。「山に恵んでもらった」と感じるという。

 長い冬が終わり、最初に自分の手で採るタラの芽はほろ苦い風味が魅力。ワラビは独特のぬめりが特徴だ。あく抜きをして調理し、食卓に並べる。塩漬けにして保存すれば、冬にも食べられる。

 40代男性は、経営する飲食店で客をもてなす一品にする。親類や近所の人に配ることもある。2人は「山菜採りは暮らしの一部」「地域の文化そのもの」と語る。

「自分は大丈夫」と過信も

 相次ぐクマ被害が、気にならないわけではない。

 2人は昨年から1人では山に入らず、山菜採りには複数人で出かけることにした。クマを追い払うため…

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