Google検索からニュースサイトへのトラフィックが激減し「AIによる概要」の導入でさらなる危機が訪れるとの指摘
調査会社Similarwebの分析で、Google検索から大手のニュースサイトへアクセスする人の数が2025年までの3年間で激減していることがわかりました。The Washington Postなどはほぼ半減しており、Google検索に頼らないビジネスモデルの構築も模索されています。
Google’s New AI Tools Are Crushing News Sites - WSJ
https://www.wsj.com/tech/ai/google-ai-news-publishers-7e687141Google AI cuts publishers from search — and it might backfire
https://qz.com/goog-googl-ai-mode-threat-to-publishers-traffic-1851784169Google’s AI search features are killing traffic to publishers | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/06/10/googles-ai-overviews-are-killing-traffic-for-publishers/ Similarwebによると、2025年までの3年間で、HuffPostへのオーガニック検索からのトラフィックは半分強減少し、The Washington Postでもほぼ同程度減少したとのこと。Business Insiderは55%減少しており、同紙は2025年5月に従業員の約21%を解雇しました。こうした減少は、Googleの「AIによる概要」で拍車がかかると見られています。
「AIによる概要」はウェブサイトの中身を要約してGoogleの検索結果に表示するものですが、ソースとなるウェブサイトへのアクセス数増加に直接寄与するわけではないと考えられており、ウェブサイトの広告収入に影響すると懸念されています。「AIによる概要」は2024年5月にアメリカで導入されて以来、世界各地に拡大されており、2025年5月のGoogle I/O 2025では「AIによる概要が検索トラフィックを大幅に増加させている」などと発表されていますが、導入以来ウェブサイトへのトラフィックが減少したという報告も多数上がりました。
Google検索に「AIによる概要」が表示されるようになったせいでウェブサイトのトラフィックが急減したとの報道 - GIGAZINE
「AIによる概要」とトラフィックの減少について、Googleは無関係だとしており、「トラフィックの減少理由は個々の事例によって異なり、原因を一般化することは誤解を招く」「AIによる概要を見た後にソースのリンクをクリックしたユーザーは、そのサイトでより長い時間を過ごす傾向がある。Googleはニュースサイトへのリンクを優先的に表示しており、ユーザーがトレンドニュースを検索した際には必ずしもAIによる概要を表示するわけではない」と述べています。 しかし、Atlanticなど大手紙はGoogleのように考えてはおらず、Google検索結果に依存しないビジネスモデルの構築を模索しています。Atlanticのニコラス・トンプソンCEOは「Googleからのアクセスがゼロに近づくことを想定し、ビジネスモデルを進化させる必要がある。Googleは検索エンジンから答えを提供するエンジンへと転換しつつあるため、新たな戦略を立てなければならない」と述べました。 AtlanticやDotdash Meredithは、検索トラフィックが減少する中、読者との「つながり」に重点を置いた戦略をスタートさせています。例えば、ライブカンファレンスなどのイベントや、アプリの改良、紙面発行部数の拡大などを実施して読者との関係構築に取り組んでいるとのことです。
中にはAI企業を提訴するニュースメディアもあり、AI企業とニュースメディアの存続をかけた戦いは激しさを増していますが、一方でニュースメディアがAI企業にニュースを配信する契約を結ぶなど新しいビジネスモデルが展開されつつもあります。
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