「年収1000万円と2000万円」実際の手取り額は「2倍」にならない?高年収でも「貯金ゼロ」はいる。年収1000万~1200万円の人の貯蓄状況をのぞいてみる!(LIMO)

3/24 13:25 配信

春の足音が聞こえ、新年度の足音が近づく3月。昇給や転職で「年収1000万円」の大台を目標に掲げる方もいるのではないでしょうか。しかし、物価高が家計を直撃する昨今、額面通りのゆとりを感じるのは難しくなっています。今回は最新の調査結果をもとに、選ばれし高年収層の「実際の手取り額」や、意外にも「貯蓄が100万円に満たない」世帯が一定数存在するリアルな台所事情を、J-FLECの最新データから解説します。

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高年収層はどの業種に多い?「平均給与500万円超」の主な顔ぶれ

具体的にどのような業種で平均給与が高い傾向にあるのでしょうか。「令和6年分 民間給与実態統計調査(2025年公表)」の業種別データ(令和6年分)から、平均給与が500万円を超えている主な業種を抽出しました。 【平均給与が500万円を超える主な業種】 ・電気・ガス・熱供給・水道業:約832万円 ・金融業・保険業:約695万円 ・情報通信業:約680万円 ・製造業:約568万円 ・建設業:約565万円 ・学術研究・専門・技術サービス業・教育・学習支援業:約549万円最も平均給与が高いのは、インフラを支える「電気・ガス・熱供給・水道業」です。次いで「金融業・保険業」「情報通信業」が続いています。これらの業種では、給与階級別の分布を見ても「年収800万円超」が占める割合が他業種より高く(例:電気・ガス業では44.2%)、給与体系そのものが高めに設定されていることが推察されます。自身のスキルをどのフィールドで活かすかという視点において、こうした業種ごとの構造を知っておくことは有益と言えるでしょう。※統計データ利用上の注意

「令和6年分 民間給与実態統計調査(2025年公表)」は「事業所が支払った給与」を元に集計されています。複数の事業所から給与を得ている個人は「複数の給与所得者」として重複カウントされる場合があるほか、株式配当や不動産所得といった「給与以外の所得」は含まれていません。あくまで「民間企業から支払われた給与」の実態を示す数値である点にご留意ください。

「年収1000万円と2000万円」実際の手取り額は「2倍」にならない?

民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者5137 万人のうち、年収1000万円を超える人の割合は全体の約6.2%、年収2000万円を超える層は、全体のわずか0.6%台と極めて希少な存在です。年収が増えれば、それに伴い差し引かれる税金や社会保険料も増えていきます。ここでは、所得控除の少ない「独身(扶養なし)」という同一条件で、年収1000万円と2000万円の手取り額を比較してみましょう。●年収1000万円(独身・扶養なし)の場合手取り額の目安は、年間で約720万~740万円です。月額換算では約60万~62万円となります。額面から所得税・住民税・社会保険料として、年間で合計260万~280万円ほどが差し引かれる計算です。●年収2000万円(独身・扶養なし)の場合手取り額の目安は、年間で約1300万円前後、月額換算では約108万円ほどになります。年収2000万円に達すると、累進課税制度によって所得税率が跳ね上がるため、額面から約700万円もの金額が税金や社会保険料として差し引かれます。このように、額面上の年収が2倍になっても、手取り額は1.7~1.8倍程度に留まります。これは、収入が上がるほど税率が高くなる日本の税制の仕組みによるものです。 【補足】家族構成による違い

配偶者や子どもがいる「扶養あり」のケースでは、配偶者控除や扶養控除が適用されるため、独身の場合よりも税負担が軽減されます。例えば年収1000万円で配偶者と子ども2人を扶養している場合、手取り額は年間で約740万~770万円ほどに増加する傾向があります。

高年収でも「貯金ゼロ」はいる。年収1000万~1200万円の人の貯蓄状況をのぞいてみる!

高い収入を得ていれば資産形成も容易であると推測されがちですが、統計上は必ずしもそうとは言い切れない側面があります。J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、年収1000万~1200万円未満の世帯の貯蓄状況(金融資産の保有状況)を確認します。※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。●【単身世帯】この年収帯の単身世帯では、将来に向けた備えや運用資産を持っていない世帯が一定数存在します。調査結果(年収1000万~1200万円未満)の金融資産保有額の内訳は以下の通りです。 ・金融資産非保有:約22.2% ・100万円未満:約11.1% ・100万~1000万円未満:約11.2% ・1000万~2000万円未満:約27.8% ・2000万~3000万円未満:約5.6% ・3000万円以上:約22.2% ・無回答:0%  ・金融資産保有額の平均額:2261万円/中央値1100万円単身世帯では「非保有」と「100万円未満」を合わせると約3割に達しており、高所得であっても流動資産が極めて少ない層が存在することが数字から見て取れます。●【二人以上世帯】二人以上世帯においても、依然として一定数が貯蓄ゼロ、あるいは低水準の状態にあります。同調査(年収1000万~1200万円未満)の内訳は以下の通りです。 ・金融資産非保有:約6.8% ・100万円未満:約2.2% ・100万~1000万円未満:約23.6% ・1000万~2000万円未満:約23.5% ・2000万~3000万円未満:約12.4% ・3000万円以上:約29.4% ・無回答:約2.2%  ・金融資産保有額の平均額:2725万円/中央値1520万円

二人以上世帯では、3000万円以上の資産を持つ層が約2割存在する一方で、100万円に満たない世帯も約9%存在します。

「いくら稼ぐか」以上に「手元にいくら資産を築けるか」が問われる時代へ

今回は最新の調査結果をもとに、年収1000万円・2000万円層のリアルな収支と貯蓄の実態を解説しました。年収1000万円という響きには華やかなイメージがありますが、手取り額や資産状況を直視すると、決して「無計画に贅沢ができる」わけではない現実が見えてきます。「年収が上がったから」と生活水準を安易に上げてしまうと、たとえ高年収でも貯蓄が100万円を割り込み、急な出費に対応できなくなるリスクがあるのは意外な事実だったかもしれません。新年度を迎え、昇給や転勤などライフスタイルが変化する今だからこそ、改めて自分の家計の「真の実力」を確認しておきたいところです。

結局のところ、大切なのは単なる額面の数字以上に、「将来のためにどれだけ手元にお金を貯め、増やしていけるか」という視点です。この機会にご自身の「実質的な手取り」と「資産形成」のバランスをじっくり見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料

 ・国税庁長官官房企画課「平成30年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」 ・国税庁長官官房企画課「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」 ・国税庁「No.2260 所得税の税率」 ・日本年金機構「令和7年度厚生年金保険料率」 ・協会けんぽ「都道府県毎の保険料額表 東京令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」 ・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」 ・マネイロメディア「年収1000万円の手取りは月いくら? 税金・保険料の内訳と手取りを増やす方法」

 ・マネイロメディア「年収2000万円の生活レベルは? 手取り1300万円の実態と余裕がない理由」

神田 翔平

最終更新:3/24(火) 13:25

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