新米ピンチ 天敵イネカメムシ暑さで急増「空っぽの稲穂に」 コメ3週連続値下がりも…
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スーパーのコメの平均価格は税込み4176円となり、3週連続の値下がりです。17日は各地で猛暑日が予想されていますが、暑さに強い害虫が急増していてコメ作りに影響が出ています。
■セブン備蓄米 無洗米で2kg販売
セブン−イレブンでは、17日午前7時から10袋の備蓄米の販売が開始。販売開始10分で4袋という速さで売れていきました。
セブン−イレブンでは、無洗米にして2キロ税込み775円。東京・大阪・四国で販売を開始し、順次全国展開していくといいます。
■梅雨と猛暑…新米作りに危機
備蓄米の販売が全国に広がるなか、コメの生産現場は梅雨の大雨に翻弄(ほんろう)されていました。
福岡県久留米市では、先週一週間、毎日雨に見舞われました。
久留米市と大刀洗町で福岡のブランド米「夢つくし」などを作る、ファームクリエイトの佐藤弘也さんはこう話します。
本来は田んぼを耕し、雑草を取り除いたうえで田植えをしますが、水がたまっているため、耕せないまま田植え作業に。雑草が栄養を奪うこともあり、収穫量に影響が出そうだといいます。
2年前には大規模な浸水被害に遭った佐藤さん。今後も心配の種が残ります。
先週の雨とは打って変わり、今週は暑さの心配があります。全国的に35℃以上の猛暑日が多くなると予想されています。
去年は暑さの影響により収穫量が減り、およそ200万円の損害になりました。
暑さの影響は他にも出ています。埼玉県のコメ農家・あらい農産の新井健一さんはこう話します。
体長およそ1センチのイネカメムシ。イネの養分を吸ってコメを実らせなくしたり、品質を下げたりする害虫です。
新井さんによると、去年周辺の農家では猛暑やイネカメムシの影響で、コメの収穫量が10分の1に落ち込んだところもあったといいます。
被害は茨城県でも起こっています。古河市のコメ農家はこう悔やみます。
栃木県では…。害虫の調査などをする研究センターが田んぼに設置しているのは、夜、光に集まる虫の習性を利用した捕獲機です。栃木県農業総合研究センター防除課の小林誠さんはこう話します。
去年大きな被害を出したイネカメムシ。さらに今年になって新たに判明したことがあったといいます。
栃木県は今年初めて越冬状況を調査。30地点のうち22地点で落ち葉の下で冬を越すイネカメムシが確認されました。
イネカメムシが増加する原因は何なのでしょうか?
温暖化はイネカメムシの生育に有利な環境となり、今後も増えていく可能性があるといいます。
イネカメムシの生息地域は近年増えていて、去年37都府県で確認されました。
「消毒しても、いったんは逃げるんですよ、羽が生えてるから。だけどまた羽が生えてるから戻ってくる」
■ミントでイネカメムシ対策
イネカメムシの対策に乗り出している農家がいます。群馬県沼田市でコメ農家を営む金井農園の金井繁行さんです。
コメのおいしさを競う国際大会で、最高位の金賞や特別優秀賞を受賞するブランド米のコシヒカリを作っています。
田んぼがあるのは、標高500メートルの中山間地域です。
去年、収穫したコメを見せてもらいました。
おととしまでは被害はなかったといいますが、去年イネカメムシが大量発生し、収穫量は3割減になりました。
今年初めて試すのが、ミントを使ったイネカメムシ対策です。
特有の香りで防虫効果があるとされるミントを田んぼの周りに植えることで、被害を抑えることが期待できるといいます。
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■小泉農水大臣「作況指数」公表廃止発表16日に発表されたスーパーのコメ平均価格は、4176円で3週連続の値下がりになりました。
小泉進次郎農林水産大臣は、今月から本格的に始まった随意契約による備蓄米の放出が影響したとしています。
埼玉県越谷市のスーパーでは、随意契約による備蓄米の販売で、銘柄米の売れ行きが落ち込んでいるといいます。
週3回程度だった銘柄米の発注頻度を現在は週1回ほどに。さらに、精米から1カ月経つ銘柄米は約1割の値引きをし、5キロ税込み4418円で販売するものもあります。
小泉農水大臣は16日、コメの出来具合を示す「作況指数」の公表を廃止すると発表しました。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年6月17日放送分より)