「卒業即失業」、中国版「就職氷河期世代」誕生?若年層の失業率が高止まり…専門家「日本経済と同じ道かも」|Infoseekニュース

5月に北京市で開かれた合同就職説明会に参加した企業のブース=照沼亮介撮影

 中国で16~24歳の若年層の失業率が高止まりしている。不動産不況の長期化による内需の低迷で民間企業が採用を絞り込むなか、就職先が決まらない大学卒業・大学院修了者が増えているためだ。中国政府も雇用拡大策を打ち出したが、決定打となるかは不透明で、中国版の「就職氷河期世代」を生むとの懸念も出ている。(中国総局 照沼亮介)

失業率18・9%

 中国国家統計局が9月17日に公表した8月の16~24歳(学生を除く)の失業率は18・9%で、現在の集計方法を始めた2023年12月以降では25年8月と同じで最も高い水準となった。

 原則9月に新学期が始まる中国で6、7月は大学の卒業時期にあたり、16~24歳の失業率は毎年、就職先が決まっていない大学卒業者が反映される7、8月に高まる傾向にある。全世代の8月の失業率の5・3%に対し、その高さは際立っている状況だ。

 失業率の高さを受け、学生の間では「卒業即失業」という言葉が定着する。卒業しても就職先がない状況という意味だ。実際に就職活動の厳しさを訴える声は少なくなく、5月に北京で開かれた合同就職説明会の会場で取材に応じた24歳の男子大学生は、「数え切れないほどの企業に応募したが、ほとんどが即、不採用だった」と話す。

AIで業務効率化

 中国政府は1999年、産業の高度化に貢献できる人材を増やすために大学定員の増加政策を開始。99年に1071校だった大学数は2025年には2919校に増えた。経済成長による所得の増加で進学希望者が増えたこともあり、大学卒業・大学院修了者数は毎年、過去最高を更新し、26年は06年の約3倍となる1270万人となった。

 高学歴の就職希望者が増える一方、就職先として人気のある金融業や小売業などの企業の採用は景気低迷の長期化の影響で縮小傾向にある。さらに最近ではAI(人工知能)による業務効率化が採用縮小に拍車をかけている模様だ。また、国が支援し、就職先として人気のAIや人型ロボットなどを手がけるハイテク産業も、必要となる雇用は限定的で受け皿にはなっていない。

ゆっくり就職

 公務員も狭き門で、北京市共産党委員会の機関紙・北京日報によると、26年の国家公務員試験の倍率は74倍だった。

 中国の求人サイト「前程無憂」の調査で、26年の大学卒業予定者の進路希望は、「企業への就職」(36・2%)、「公務員試験の受験」(25・1%)、「国内での進学」(24・4%)に続いて「具体的な計画なし」が10・3%で4番目に多かった。

 実際、裕福な家庭の増加を背景に、厳しい競争が続く新卒採用を諦めて就職を先延ばしする若者は増えている。中国のSNS「小紅書(RED)」では最近、ゆっくりとした就職を意味する「慢就業」という言葉も流行している。

 若年層の失業率の高止まりが長期化すれば、バブル崩壊後の不況期に就職活動が重なり、非正規雇用者が増えた日本の就職氷河期世代の中国版が生まれる可能性がある。第一ライフ資産運用経済研究所の西浜徹・主席エコノミストも、「若者世代が節約志向を強めて内需が落ち込む状態が続けば、中国経済もデフレにはまった日本経済と同じ道を歩むことになるかもしれない」と指摘する。

 中国政府も危機感を強めており、今年6月には雇用拡大に特化した5か年計画を公表した。雇用を生みやすい産業の支援やサービス業の雇用拡大を進める方針だが、景気が低迷するなかで効果は不透明との見方も多い。

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