メキシコでのニアミス事件、原因はローソンにアリ? 現地統括団体が声明発表「安全を脅かしかねない行為だった」

 F1メキシコシティGPの決勝レース序盤、レーシングブルズのリアム・ローソンがマーシャルを危うく轢きかけてしまうという事件が起きたが、北米・カリブ地域のFIA代表機関であるOMDAIは、ローソンがダブルイエローを無視したことが大きな原因だとする声明を発表した。

 レーススタート直後、ターン1でトップ4が横並びとなるなど、激しいポジション争いが繰り広げられたメキシコシティGP。15番手スタートのローソンは、ウイリアムズのカルロス・サインツJr.と接触し、フロントウイング交換のため、2周目終わりに緊急ピットインを強いられた。 

 そのため、他のマシンとは離れたところを走っていたローソンはレース3周目、デブリを回収するためにコースに出たマーシャルとニアミスしてしまった。

 当該箇所のマーシャルにはマシンが当該地点を通過した後にコース上に立ち入るよう、指示が出されていたが、ローソンのピットインもあって回収の指示は撤回されていた。

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 だがレース後に行なわれた分析によると、ローソンはコース清掃のためマーシャルが作業していたターン1区間に掲示されたダブルイエローフラッグを遵守していなかったと認定されたという。

 OMDAIが発表した報告書では次のように説明されている。

「ウイリアムズ(カルロス・サインツJr.)とレーシングブルズ(リアム・ローソン)がターン1への進入で接触した結果、複数のデブリが車体から飛び散り、コース上に散乱した。これにより、他のドライバーの安全を確保するため、マーシャルがコース上に入り除去作業を行なう必要が生じた」

「この作業中、ローソンはダメージを修復するためピットに戻った。その後コースへ再合流した際に『パネル3に“ダブルイエロー”の表示が出ていた』とされている」

「チームは無線でドライバーに注意を促し、同時に現場のマーシャルポストでも実際に2本の黄旗が振られ、作業員がコース上で作業している危険を示していた」

 FIA国際競技規則の付則H・第2.5.5条によれば、「ダブルイエローフラッグ」の掲示は次の義務を意味する。

「ドライバーは大幅に速度を落とし、進路変更または停止する準備をしなければならない。なぜなら、コースの一部または全体が障害物で塞がれている、あるいはマーシャルが作業を行なっている可能性があるためである」

 実際チームもローソンに対して、「コース上にデブリがあり、この区間はダブルイエローの状態であるため、最大限の注意を払うように」と指示していた。

 しかし、オンボードカメラの映像解析によると、ローソンはターン1進入時にハンドル操作を変えず通常ラインでコーナーに進入しており、マーシャルがコースを横断して持ち場に戻る最中でも減速や回避行動を取らなかったことが判明した。

 報告書はこの行為について次のように指摘している。

「ドライバーは、明らかにコース上にマーシャルが存在していたにもかかわらず、走行ラインを変更しなかった。これは現行の安全手順に違反している」

「ターン2にある次のライトパネルにはすでにグリーンフラッグ(コースクリア)が表示されていたものの、ローソンがその地点を通過するまでの区間は依然としてリスクゾーンと見なされていた」

 これらの事実から、OMDAIは次のように結論づけている。

「ローソンはダブルイエローで義務付けられている減速を実行せず、安全上の問題を引き起こした可能性がある。マーシャルの安全を脅かしかねない行為だった」

 FIA自体もこのインシデントについて正式な調査を開始すると発表したが、現時点では追加の処分や公式通知は出されていない。

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