ペルシャ湾で通信信号に妨害行為、イスラエル・イランの戦闘が影響
- ホルムズ海峡とペルシャ湾、900隻を超える船舶の通信信号が異常
- イランの港からの「深刻な妨害」を確認-合同海洋情報センター
イランとイスラエルの戦闘が激化する中、海上交通の要衝であるホルムズ海峡とペルシャ湾で900隻を超える船舶の通信信号が異常をきたし、混乱が生じた。
スターボード・マリタイム・インテリジェンスとブルームバーグのデータによると、同地域を航行する船舶が不可能な直線コースを航行したり、水面をジグザグに横切ったり、陸上に表示されるなど異常な動きを示した。これらの障害は13日に発生して以来、石油タンカーや貨物船、引き船、漁船など多様な船舶に影響を及ぼしており、レーダーやコンパス、目視への依存度を高め、衝突のリスクを増加させている。
同地域を監視する国際的な海上タスクフォース、合同海洋情報センター(JMIC)は、15日にイランのバンダル・アッバース港から通信信号への「深刻な妨害」が確認されたと警告した。ただ、世界の石油貿易の4分の1余りが通過するホルムズ海峡の封鎖の可能性を示す兆候は確認されていないという。英海上貿易業務機関も16日に同様の懸念を表明し、妨害行為がペルシャ湾全域で強まっており、船舶が自動システムで位置を報告する際に影響を及ぼしていると明らかにした。
ホルムズ海峡はペルシャ湾の玄関口であり、サウジアラビアやカタール、クウェート、イランなど主要な産油国が原油をタンカーに積み込み、ホルムズ海峡経由で最終目的地へ輸送している。イスラエルが先週、イランに対し空爆を実施した後、イランがこの海峡の要衝を封鎖するとの懸念が生じた。
海峡封鎖の可能性について、イランが特に中国への原油輸出収入に依存している点を踏まえ、アナリストは慎重な見方だ。他の産油国の輸出を遮断する措置は、米国とその同盟国の反発を招く可能性もある。
オイル・ブローカレッジのグローバル海運調査責任者、アヌープ・シン氏はリポートで、ホルムズ海峡封鎖は「イランにとって最後の交渉カードだ。最悪のシナリオが現実化しない限り、そのようなカードは手元にとどめるだろう」と指摘した。
原題:Ships Signals Jammed as Israel-Iran Strikes Affect Persian Gulf(抜粋)