安い動画用デバイスや“通信帯域を共有して収益”サービスなどで機器を乗っ取る「レジデンシャルプロキシ」問題を、警察庁・総務省が警告
警察庁、総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の3者は7月21日、家庭用のIoT機器を踏み台として悪用することで発信元を一般家庭に偽装させ、所在や身元を隠しながら行われるサイバー攻撃が発生しているとして、「レジデンシャルプロキシ」に関する情報を公開するとともに、3者らによる対策のための組織「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」を設立すると発表した。
レジデンシャルプロキシ(Residential Proxy)とは、直訳すれば「住宅用代理サーバー」。悪用の文脈でいえば、一般住宅のIoT機器を乗っ取るなどして本来その機器が想定している用途でない動きをさせ、「サイバー攻撃が一般家庭から行われているように見せかける」ものを指す。一例を挙げると、海外からのアクセスを受け付けないように設定している日本企業のサーバーにも、日本の家庭にあるレジデンシャルプロキシを介すことでアクセスでき、サイバー攻撃を容易に行えるようになってしまう可能性がある。
3者は今回の発表と同時に、「家庭用IoT機器を悪用するレジデンシャルプロキシの現状」というレポートを公開した。同レポートでは、「レジデンシャルプロキシに係るIoT機器は『テレビに接続して無料で国内外の動画を視聴できます』などとうたって販売されている動画ストリーミングデバイス等の形で存在」と、安価で便利であることをうたい、日常的な用途向けの製品として売られている製品であり、特に分かりやすい例としては、動画ストリーミングデバイス(セットトップボックスなど)であるとしている。
レジデンシャルプロキシを悪用した通信を行うことで、サイバー攻撃の実行者の追跡が困難になる。警察庁では、不正アクセスや詐欺などのサイバー事案において攻撃者の追跡や攻撃の検知を困難にする手口として悪用されている実態を把握しているといい、2024年度に発生したインターネットバンキングの不正送金においては、犯行時にレジデンシャルプロキシが用いられた事例が少なくとも1918件、被害額約28.9億円に及び、被害件数全体の約44%、被害額では約33%を占めると分析しているという。
レジデンシャルプロキシ化のリスクの対策例として、同レポートでは、次の3点を挙げている。
提供元不明のアプリを安易にダウンロードしたり、使用したりしないこと。これは、スマートフォンがレジデンシャルプロキシ化されてしまうことを意味している。例として挙げられているものには、無料VPNアプリのほか、「『使用していない通信帯域(データ通信量)を共有することで収益を得られる』などとうたうサービス」が挙げられている。
アプリなどは信頼できる提供元から入手するようにして、インストールの際には開発元や利用規約などを確認することを、日頃から行うようにしたい。
動画ストリーミングデバイスに関しては先にも述べたが、本来有料であるはずのサービスを無料で利用できるとうたう製品や、価格が相場と比較して安価であるなど不審な製品の購入、使用はしないように、としている。
PCやスマートフォンのOS、IoT機器のファームウェアを最新に保ち、脆弱性を対策する。また、サポートが終了したIoT機器は買い替えるなどする。
法人においても、組織で承認していない機器や端末の業務ネットワークへの接続を防止する、 業務用ネットワークとIoT機器などが使うネットワークを適切に分離する、 ファイアウォールやアクセス制御の設定を適切に運用するなどして、レジデンシャルプロキシとして悪用されないための対策を講じることが重要だとしている。
あわせて、レジデンシャルプロキシに関する周知広報方策や、関係者が連携した対処の方針、必要な環境整備について協議することを目的とした「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」の設立も発表された。警察庁サイバー警察局サイバー企画課および、総務省サイバーセキュリティ統括官付参事官室が事務局を務める。
Page 2
2020年(令和2年)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行し、人々の生活スタイルが大きく変化する1年となった。3月には2020年夏に開催が予定されていた東京オリンピックの延期が決定し、4月には「緊急事態宣言」が発出され、感染拡大を防ぐために外出自粛が呼びかけられた。
外出自粛が呼びかけられる中、日々の業務を自宅で行うテレワークへ移行した企業も多く見られ、本誌でもテレワーク環境に関する連載を開始したほか、便利に仕事を進めるための製品やソフトウェアに関するニュースを取り上げることが多くなった。
小池百合子東京都知事が感染拡大防止のために呼びかけていた「3密」がこの年の新語・流行語大賞となり、このほかにも「アベノマスク」や「オンライン○○」など、感染症対策に関わる言葉が多くノミネートされた。このほかにも、外出自粛が呼びかけられたことにより、自宅でさまざまなコンテンツを楽しむ“巣ごもり需要”が発生し、韓国ドラマ「愛の不時着」や、ゲーム「あつまれ どうぶつの森」など、“おうち時間”を充実させるコンテンツも話題になった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2020年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶Wi-Fiに6GHz帯が追加、新規格「Wi-Fi 6E」をWi-Fi Allianceが発表
Wi-Fi Allianceは1月、「Wi-Fi 6」(IEEE 802.11ax)に6GHzの周波数帯を新たに拡張する新規格「Wi-Fi 6E」を発表した。
同年4月には、米連邦通信委員会(FCC)がライセンス不要での6GHz帯の使用を認めた。日本国内では、2022年9月に総務省が電波法を改正し、6GHz帯が利用できるようになった。
▶最大10Gbpsの「フレッツ 光クロス」が4月1日提供、月額6300円、NTT東西
NTT東西が、上下最大10Gbps対応のインターネット接続サービス「フレッツ 光クロス」の提供を4月1日に開始した。
10Gbpsサービス提供の背景として、Wi-Fi 6や5Gの普及で、通信の高速化の要望がますます高まる状況となることに加え、高精細な4K・8K映像といった映像コンテンツの高品質化、オンラインゲームやVR/AR/MR技術を用いた新たな体験の広がりなどにより、大容量データ通信が必要とされるサービスの利用機会増加を挙げている。
サービス開始当初は、東京都の足立区、杉並区、江戸川区、練馬区、世田谷区、葛飾区、大田区、板橋区の一部および大阪府の大阪市と、限られた地域での提供にとどまっていた。現在もサービス提供エリアの拡大が進んでおり、NTT東西は2026年中のエリア拡大により、エリアカバー率が80%を突破すると発表している。
▶Windows 7はついにサポート終了OSへ……結局どうなる? どうすればいい?
2020年1月14日をもって、Windows 7のサポートが終了した。
Windows 7は2009年10月22日に一般販売を開始したOSで、2015年にはメインストリームサポートが終了していた。
ウェブサイトへのアクセスデータをもとにWindowsのシェアを分析し、公開している「Statcounter」のデータによると、サポート終了を迎えた2020年1月においても24.9%のシェアがあったことや、後継にあたるWindows 8/8.1よりも高いシェアを誇っていたことから、根強い人気があったことがうかがえる。
ちなみに、現行のWindows 11も古いバージョンの一部では、すでにサポートが終了しているので注意が必要だ。21H2、22H2、23H2はすでに終了済みで、24H2は2026年10月13日にサポート終了が控えている。使用しているPCのバージョンを確認し、必要に応じてWindows Updateを適用してほしい。
▶「Flash終了」までおよそ100日、米Microsoftでもサポートを終了
2020年12月31日をもって、Adobe Flash Playerのサポートが終了した。これは、2017年7月に予告されていたもので、提供元のAdobeは、利用者の減少や、HTML5、WebGL、WebAssemblyへの切り替えをサポート終了の理由としている。
アニメーション、ゲーム、動画、音声など、さまざまなコンテンツの配信に利用されていた。動画のストリーミング配信にも使われており、HTML5のプレーヤーに置き換えられるまで、YouTubeやニコニコ動画ではFlashで作られた動画プレーヤーが使用されていた。
Flashは、1996年に米FutureWave Softwareが「FutureSplash」として開発し、同社を買収した米Macromediaが「Flash」に改称し、現在の名称となった。2005年にMacromediaをAdobeが買収し、その後「Adobe Flash」としての提供が始まった。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府などが外出の自粛を呼びかけ、自宅で勤務する「テレワーク」を導入する企業が大幅に増加した。厚生労働省や自治体では、助成金を付与するなど、テレワークを推進するための施策が数多く行われた。
セキュリティ面では、警視庁サイバーセキュリティ対策本部など、さまざまな組織が注意喚起を実施していた。
本誌では、2020年に「急遽テレワーク導入!の顛末記」「みんなの在宅ワーク」、2021年に「テレワークグッズ・ミニレビュー」の連載を開始したほか、テレワーク環境を便利にする製品やソフトウェアを紹介する記事を数多く公開していた。
▶「接触確認アプリ」を6割が導入すればロックダウンも回避可能? 首相が6月のアプリ投入を明言
安倍晋三首相(当時)は、2020年5月25日の会見で「接触確認アプリ」を導入することを明言し、同年6月19日に配信を開始した。アプリの正式名称は「新型コロナウイルス接触確認アプリ」で、略称および愛称は「COCOA」(COVID-19 Contact-Confirming Application)。
デジタル庁が「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の取組に関する総括報告書」で公開しているデータでは、最終バージョンがリリースされる前日(2022年11月16日)までに、4128万7054件のダウンロード、369万4068件の陽性登録が行われたとしている。
2022年11月をもって新型コロナ感染処理番号の発行と、接触確認の表示が停止された。
新型コロナウイルスの感染拡大による経済的影響に対する施策として、政府は全国民に10万円の「特別定額給付金」を給付した。これに便乗し、2回目の給付金を装ったフィッシングメールが確認された。
このほかにも、保健所をかたる不審なメールや、不審なマスクの販売に関する広告メールなど、新型コロナウイルスに便乗したさまざまな詐欺が確認され、本誌でも注意喚起をしていた。
▶CEATECが挑戦する「Withコロナ時代の展示会」はどんな展示会なのか? 秋のオンライン開催で目指すものとは?
本誌でも例年イベントレポートを掲載している「CEATEC」や「Internet Week」など、数多くのイベントがオンライン形式での開催に変更された。
リアルな会場で参加者同士が直接顔を合わせ、コミュニケーションを行えないという点は大きなデメリットとなった。しかしその一方で、オンライン開催には、会場の収容人数に縛られないことや、物理的な移動時間や場所の制約を受けずに、どこからでも気軽にアクセスできるといった、オンラインならではのメリットも存在した。
こうした利便性の高さもあり、現在にいたるまで、リアル会場とオンラインの強みを組み合わせたハイブリッド開催を選択するイベントも多く、コロナ禍がオンライン形式のイベントが定着するきっかけになったといえる。
▶「ドコモ口座」被害額は1200万円に、全35行で新規登録停止 ▶「ドコモ口座」問題の甘かった本人確認、悪用された非ドコモ回線向けdアカウント――被害額は1800万円に、全額補償する方針を表明
「ドコモ口座」などの電子決済サービスにおいて、銀行の預金が不正に引き出される被害が判明した。
当時、NTTドコモの回線を持っていない人向けの「dアカウント」は、メールアドレスの二段階認証のみで作成できた。そのため、銀行口座の情報を何らかの手段で取得した犯人が、被害者になりすまして登録することができ、ドコモ口座を経由して銀行の預金を引き出せてしまったことが原因だった。
なお、ドコモ口座はd払いに機能を統合させる形で、2021年10月25日にサービスを終了した。
PlayStation 5が11月12日に発売された。ゲーム機としての性能の進化はもちろんのこと、ネットワーク面でも進化した。2020年当時の最新規格であるWi-Fi 6に対応し、最大1201Mbpsでの通信が可能となった。
Page 3
Page 4
2019年(平成31年/令和元年)、5月1日、新天皇が即位され、元号は「平成」から「令和」へ。
この新元号が決定・公表されるまでは、ネットで「新元号が必ず含まれる常用漢字のリスト」が“流出”したり、テレビでは「AIによる新元号予測番組」が放映されたりと注目を集め、4月1日に菅義偉官房長官によって発表されると、令和に関連するドメイン名の争奪戦が勃発したという。携帯電話キャリアをかたって「新元号に伴う料金プラン変更」を求めてくるなどの便乗詐欺メールも出回った。
改元はコンピュータープログラムの改修にも関わってくる。文字コード上に「令」にそっくりな文字がもう1つ存在することや、日本マイクロソフトの対応の混乱なども指摘されたが、大きな社会的問題は生じなかったと伝えられている。
7月、海賊版サイト「漫画村」の元運営者らがついに逮捕される。この年の10月には、広告業界団体などによる合同会議が設置され、海賊版サイトへの広告出稿を抑止するための取り組みを拡大していくことが示された。電通の取りまとめた「日本の総広告費」によれば、2019年はインターネット広告費がテレビを抜いた転換点でもあった。
10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられ、食料品については8%に据え置く「軽減税率」を導入。これに合わせて、キャッシュレス決済時に2%・5%のポイントを還元する「キャッシュレス・消費者還元事業」がスタート。この年はスマートフォンのコード決済サービスとして、KDDIの「au PAY」や、コンビニ大手のセブン&アイ、ファミリーマートも「7pay」「ファミペイ」でそれぞれ参入。先行していた「楽天ペイ」や「PayPay」など含めた総称「〇〇ペイ」が、2019年の新語・流行語大賞のトップテンに入った。
なお、新語・流行語大賞の年間大賞は、ラグビー日本代表の掲げたスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」。この年の秋、アジア初開催となるラグビーのワールドカップが日本で開催され、日本代表は予選リーグを全勝で突破、初の8強入りでブームを巻き起こした。11月、ヤフーとLINEが経営統合を協議中であることが報じられ、数日後に行われた記者会見で経営統合を正式発表。ヤフーの親会社であるZホールディングスの川邊健太郎社長が「最強のONE TEAMを目指す」などとコメントした。
12月、全国53の自治体でシステム障害が発生。教育ネットワークシステム、後期高齢者医療関連手続き、学校系ファイルサーバーが利用できなくなるなど、業務に大きな影響を与えた。自治体専用IaaSサービス「Jip-Base」におけるストレージ障害に起因するもので、復旧までに時間を要する事態に。
12月31日、中国・武漢市で原因不明の肺炎の発症例が複数確認されていたことを市が公表、中国当局がWHOに報告。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2019年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶国内800万件のアカウント情報流出が判明、ダークウェブに出現した約27億件の巨大漏えいファイル群「Collection#1」事件
「Have I Been Pwned」の創設者であるセキュリティ研究者のトロイ・ハント氏が2019年1月、過去に流出したアカウント情報をまとめた巨大ファイル群「Collection#1」をダークウェブ上で発見した。データ容量87GB超・約27億レコードという史上最大規模のデータで、ユニークなメールアドレスが7億7300万件、パスワードが2100万件以上含まれており、日本国内のアカウント情報も約800万件含まれていたという。後に#2~#5の存在も確認されている。
単なるパスワード認証ではなく二要素認証を提供・利用することの重要性や、パスワードを使い回す危険性をあらためて強く認識させることになった事件と言える。
この事件の直後、2月にGoogleが危険なユーザー名・パスワードを警告してくれるChrome拡張機能「Password Checkup」を公開している(その後、拡張機能としては提供を終了し、Chrome本体およびGoogleアカウントの標準機能として統合)。
▶「7pay」9月30日にサービス廃止、サービス継続は困難と判断 株式会社セブン・ペイは存続、新たなキャッシュレスサービス再参入の意向示す ▶「7iDは十分なセキュリティ」、7payの二段階認証導入も「モニタリングで守れる」と判断し見送り――セブン&アイHDの開発体制
コード決済サービス「7pay」が7月1日に提供開始された直後から、身に覚えのない取引が確認されたというユーザーからの問い合わせが寄せられたことで、不正利用被害が発生していることが発覚。7月4日にはチャージや新規登録を停止する措置がとられた。
7月末までに被害者数は808人、被害額は3861万5473円に上り、こうした大量の不正利用を許してしまったことでセキュリティ対策の甘さが露呈。抜本的な対応を完了するには相応の期間が必要となることなどから、サービスを継続することは困難と判断され、開始からわずか3カ月、9月30日で7payはサービス廃止となった。
7payについては、ログイン時の二段階認証/二要素認証を実装していなかった点や、第三者でも比較的容易に入手できるユーザー情報のみでパスワードの再設定を行ってアカウントを乗っ取れてしまう仕様だった点なども指摘された。INTERNET Watchでは当時、『意外と知らない? ネットセキュリティの基礎知識』という連載を掲載中であり、ちょうど7月4日朝に掲載した回が『2段階認証」とは? アカウント乗っ取りの防止に有効』と題した記事だった。かねてより準備していたものを予定していた日に掲載したものであり、このタイミングは全くの偶然だったが、まさに7payの件が話題となっていたときだけに大きな注目を集めることになった。
▶国によるIoT機器へのセキュリティ調査、2月20日よりポートスキャン実施 あなたの家や会社のルーター、ウェブカメラのID・パスワードは大丈夫?
不適切なIDやパスワードが設定され、サイバー攻撃に悪用されるリスクのあるIoT機器を調査・特定し、注意喚起を行うプロジェクト「NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)」を、総務省と情報通信研究機構(NICT)が開始することを伝えた記事。「Mirai」などのマルウェアによるボットネットの形成やDDoS攻撃の脅威が増加していたことが背景にある。
国の主導で大規模なポートスキャンを実施するということで、具体的に何が行われるのか気になるところであり、実際に調査を受けた際の挙動についてレポートしたユーザーもいた。
NOTICEに加え、同年6月には、マルウェアに感染しているIoT機器をNICTが特定してISPへ通知し、ISPがその機器の利用者へ注意喚起を行う取り組みも始まった。
翌2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた時期でもあり、脆弱な機器を踏み台にした大規模DDoS攻撃の深刻な被害が発生する前に対策を打つ必要性が高まっていたことが伺える。
▶「Yahoo! BB ADSL」も新規受付を終了、2月末で 最大8Mbps・月額2280円のインパクトで、日本のブロードバンド“加速”させた立役者
ソフトバンクとヤフーがADSLサービスへの参入を発表したのは2001年6月。他社ADSLサービスの通信速度が下り最大1.5Mbpsだったのに対してYahoo! BBは下り最大8Mbps、さらに他社が月額5000円~6000円程度だったのに対して月額2280円を打ち出してきたのが衝撃的だった。一気に加入者を集め、2007年3月末のピーク時には516.7万回線を有するサービスに拡大。しかし、世の中はその後、光回線サービスにシフトしていき、2019年は最大10Gbpsのサービスも登場していた時代。同年2月での新規加入の受付終了を発表するに至った。
この記事では、Yahoo! BBに至る日本国内のADSLサービスの歴史やブロードバンド事情についても振り返っている。Yahoo! BBの“パラソル隊”による街頭でのモデム配りなどを懐かしむ声も上がり、「1つの時代が終わった」とかつてのユーザーたちの間でも話題になった。
その後ほどなくしてソフトバンクは2019年5月、ADSLサービスの提供を2024年3月末で終了することも発表した(すでにNTT東西の「フレッツ・ADSL」については、一部地域を除いて2016年6月末で新規受付を終了、2023年1月末でサービスの提供も終了することが発表されていた)。
一方で光回線(FTTH)サービスは、最大10Gbpsのサービスとしては「NURO 光」「auひかり」が提供を拡大していたほか、中部テレコミュニケーションの「コミュファ光」で2018年12月に開始、ケイ・オプティコムの「eo光ネット」も2019年4月に開始するなど、電力系通信事業者からの提供も増えていった。
また、こうした全国規模あるいは電力系の大手通信事業者だけでなく、じつは10Gbpsサービスを各地域のCATV事業者によって先行して提供している事例があることも特集記事『地方都市では「10Gbps」がCATVで広がる! あなたの街でも“裏メニュー”で提供中かも!?』で伝えている。
実際、10Gbpsどころか1Gbpsの「フレッツ 光ネクスト」さえも未提供であり、「NURO 光」もエリア外となっている岐阜県加茂郡白川町において、CATV事業者の「CCNet」から10Gbpsのサービスが提供されていたという体験談が、最近になって連載『奥川浩彦の「岐阜の山奥に移住しました」』で紹介されている。
▶バッファロー初のWi-Fi 6ルーターは「こだわりの凝縮」、「フツー、そこまでやらない……」とまで感じた「真打」開発秘話
「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」対応のルーターやアダプター、ゲーミングノートPCなどの新製品が一気に市場に登場した。前年末から海外系メーカーのハイエンドWi-Fiルーターなどがちらほらお目見えしていたが、2019年に入って引き続き海外系メーカーのNETGEARやASUS、TP-Linkの新製品が続々登場。国内メーカーでは9月にエレコムから発売。10月にバッファローが自ら「真打」とアピールするハイエンドモデル「WXR-5950AX12」を投入。12月にはNECプラットフォームズ「Aterm」シリーズでも新製品での対応を予告している(発売は翌2020年1月)。
9月には、Wi-Fi AllianceがWi-Fi 6対応製品を認証する制度「Wi-Fi CERTIFIED 6」を開始。同アライアンスでは、Wi-Fi 6のメリットは「低遅延と確実な性能」だとし、対応デバイスが2020年末までに16億台出荷される見込みだとアピールした。なお、Wi-Fi CERTIFIED 6の認証を取得した最初のスマートフォンはSamsungの「Galaxy Note 10」、家庭用Wi-Fiルーターとして初はバッファロー「WXR-5950AX12」だという。
この年のiPhone新モデルである「iPhone 11」シリーズでもWi-Fi 6対応となった。
INTERNET Watchでは、当時「たぶん国内初」だったという『「11ax対応のスマホ」と「11axルータ」で速度と電波の飛びを検証してみた』レポートや、iPhone 11をWi-Fi 6環境で接続して検証した『清水理史の「イニシャルB」』の連載記事を掲載している。
▶改正電波法が参議院本会議で可決・成立、1年以内に施行 届出を行えば技適未取得の機器を国内で試験利用可能に ▶総務省、技適未取得機器を180日テストできる申請受付を開始 「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」、当面は書面で受付
技術基準適合証明等(技適)を取得していない機器でも、一定の条件の下で届け出を行うことで、国内での試験利用が可能になる制度を含む「電波法の一部を改正する法律(改正電波法)」が5月に成立。総務省が11月、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」のウェブページを開設し、書面での届け出の受付を開始した。
届け出を行うことで、海外製の最新のWi-Fi 6対応ルーターやスマートフォンなどを最大180日間、合法的に試用することが可能になるということで、連載『清水理史の「イニシャルB」』では、改正法の審議を控えた自民党の小林史明衆議院議員(元総務大臣政務官)に行ったインタビューを行ったほか、制度開始後は早速、技適未取得の中華Wi-Fi 6ルーターについて実際に総務省に届け出を行い、DMM.make AKIBAのシールドルームで電源を入れてチェックした様子をレポートしている。
▶「AbemaTV」のユーザー、すでに3分の1がIPv6接続、より快適な視聴が可能に
前年2018年の時点で「フレッツ 光ネクスト」網のIPv6普及率(同サービス契約者のうち実際にIPv6ネットワークを使える契約者の割合)が50%を超えていたほか、携帯キャリアもIPv6接続のデフォルト提供を進めるなど、日本ではネットワークサービスのIPv6化は進んでいた。一方で国内事業者のウェブサービスにおけるIPv6化がなかなか進展しないとされていた中、日本の動画サービスである「AbemaTV」がIPv6接続を開始したということで注目された。AbemaTVの中の人による寄稿で、いち早くIPv6対応に踏み切った理由や、視聴品質はどの程度改善されたのかといった計測データも明らかにされている。
この年の11月に開催されたイベント「IPv6 Summit in TOKYO 2019」では、当時のIPv6対応状況や課題について語られている。GoogleなどハイパージャイアントのサービスはすでにIPv6を前提としたものへと移行していることなどが指摘され、かつて言われていた「アクセスのIPv6化とコンテンツのIPv6のどちらが先か」といった“ニワトリ・タマゴ問題”はすでになくなったとしている。
▶テレワーク難民の受け入れに“ひとりシェアオフィス”、駅・ビルに設置へ。さらには社内にも!?
1人用個室ブース「テレキューブ」の導入事例や事業展開について、同製品を手掛けるブイキューブの間下直晃社長にインタビュー取材した記事。今でこそ鉄道駅などあちこちで設置・提供されているのを見かけるが、この記事を掲載した2019年4月時点ではまだ実験的に提供されていた段階。前年秋、JR東日本が東京・新宿・品川の3駅で実験提供を開始した際は大きな注目を集めたが、駅ナカに1人で籠って仕事できる“キューブ型シェアオフィス”ということで物珍しさが先行していた。その後、2019年夏から商用サービスがスタート。また、企業などが社内に導入するオフィス家具のジャンルの1つとしても認知されていく。INTERNET Watchでも“テレワーク(リモートワーク)”や“働き方”に関する話題として積極的に取り上げていくようになった。
このほか、ワーケーションや移住に関する話題も、長野県の「ときどきナガノ」や「信州リゾートテレワーク」といった取り組みを紹介した記事が人気を集めたほか、その長野県をはじめとした自治体が中心となって設立された「ワーケーション自治体協議会」、北鎌倉のお寺でテレワークを行う「寺ワーク」や、出張時に休暇を付けられるJALの「ブリージャー(ビジネス+レジャーの造語)」制度など、自治体や企業の興味深い事例を紹介。2019年12月からは「ワーケーション百景」なる不定期連載もスタートしている。
WeWorkや、オフィスのフリーアドレス化など、ワークスペース関連の話題もカバー。2019年12月からは、シェアオフィスやコワーキングスペースについての不定期連載「テレワーク百景」もスタートした。
とはいえ、パーソルプロセス&テクノロジーの調査によると、会社がテレワークを導入していても7割の人はほとんど利用していないというのが当時の実態。テレワークはIT企業など一部の企業の働き方であり、かろうじて、政府主導で「テレワーク・デイズ2019」といった取り組みが推進されていたが、あくまでも翌2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の首都圏の交通混雑緩和を見据えた“予行演習”。都心への通勤・通過を抑制するためのTDM(Transportation Demand Management:交通需要マネジメント)を目的とした取り組み「TDMテレワーク」も、東京のIT企業などによって展開されていた。
1年後、その東京オリンピック・パラリンピックは延期となり、柔軟な働き方や業務の効率化とは別の理由で多くの企業・組織がテレワークを強いられ、Web会議が一般化し、菅義偉官房長官が言及したことで「ワーケーション」が世間の話題になるとは想像もできなかった。
▶マルウェア「Emotet」の感染被害が10月以降に急増、JPCERT/CCがFAQページを公開
「Emotet」は、2014年ごろに登場していたとされるマルウェアだが、2019年9月ごろから活発化。日本国内への本格的な流入が10月~11月に始まり、翌2020年1~2月にかけて爆発的に感染が広がった。もともとは金融情報を窃取する“バンキングマルウェア”だったが、その後、アドレス帳やメールの情報を窃取する機能や他のマルウェアをダウンロードする機能などを追加。感染したPCから大量の不審なメールをばらまくことで感染を拡大した。国内の組織をターゲットにした日本語の件名のメールも確認された。実在する組織や人物になりすましたメールに添付されたWordファイルのマクロを実行することで感染する。
菅義偉官房長官も11月28日の記者会見で言及。翌年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていた時期だったこともあり、「行政機関や2020年東京大会に関わる事業者等に対して注意喚起を行っているところ。引き続き状況の把握に努めるとともに、被害拡大防止のために必要な注意喚起を行っていきたい」として、このコンピューターウイルスの感染拡大に対する政府のスタンスを示した。
2020年に入ってもEmotetの感染事例が減少する傾向が見られず、JPCERT/CCが2月、感染の有無を確認できるWindows用のツール「EmoCheck」を公開。また、延べ約3200組織の感染を確認していることも明らかにした(JPCERT/CCへの情報提供ベース。そのうち約2000組織が2020年1月以降の感染だったという)。
その後しばらくは大きな動きが見られなかったが、Emotetの感染につながるメールが7月ごろから再び観測され、以降も2021年11月、2022年11月、2023年3月というように、活動再開がたびたび確認されている。
▶“平成の終わりに”画像で振り返るサイバー攻撃とマルウェアの今昔、「Hybris」「CodeRed」「WannaCry」などなど ▶定義ファイルはフロッピーで郵送、過去30年間の“平成マルウェア”とノートンの戦いを振り返る
平成最後の日となった2019年4月30日に掲載した2本の特集記事。平成の約30年間に発見されたマルウェアやサイバー攻撃などについて、トレンドマイクロとシマンテック(ノートン)による解説をそれぞれ紹介している。
なお、INTERNET Watchではこの日、平成年間を通じて最もアクセス数(ページビュー)を集めたニュース記事は何だったのかを通算して集計したトップ31のランキングを発表している。平成に最も読まれたニュース(といっても、INTERNET Watchは平成8年/1996年創刊のため、それより前は含まれていないが……)は、平成14年/2002年3月5日に掲載した『DVD画質でファイルサイズが41%減~「DivX 5.0」発表』という記事だったとのこと。
Page 5
2018年(平成30年)、1月に「コインチェック事件」。国内最大規模の仮想通貨(暗号資産)取引サービスを提供していたコインチェックがサイバー攻撃を受け、仮想通貨「NEM」580億円相当が不正流出。9月には、仮想通貨取引所の「Zaif」でも不正アクセスによって約70億円相当の仮想通貨が流出する事件が発生した。3月29日、前年に予告されていたとおり、Yahoo! JAPANのディレクトリ型検索サービスが終了。5月、EUの「GDPR(一般データ保護規則)」が施行された。
2018年は気象・自然災害の脅威を痛感した年だった。6月18日、最大震度6弱の大阪北部地震が発生。7月の西日本豪雨では死者200人以上となる事態に。9月に関西を直撃した台風21号では、関西国際空港の滑走路などが高潮で冠水、連絡橋にタンカーが衝突し、空港が一時孤立した。9月6日に発生した北海道胆振東部地震では最大震度7を記録し、土砂崩れが広い範囲で発生。北海道全域で電力が止まる大規模停電「ブラックアウト」も起こった(IIJが後日、インターネット事業者のそのときの災害対応について現場の体験談を報告している)。
記録的な猛暑に対して、気象庁は「災害級の暑さ」として注意を呼び掛け。こうした気象・自然災害はもとより、仮想通貨流出や、「日大アメフト反則タックル」などスポーツ界でのパワハラ問題、財務省の決裁文書改ざん問題が発覚したことなども反映し、2018年の「今年の漢字」には「災」が選ばれた。
歌手の安室奈美恵さんが9月に引退。DA PUMPが「U.S.A.」のダンス動画で再ブレイク。前年に日本上陸したショート動画アプリ「TikTok」もこの年、若年層を中心に大きく利用を拡大した(2018年末で国内のMAUは950万人以上に上っていたとのこと)。映画「カメラを止めるな!」が口コミなどから人気に火が付き、低予算で制作されたタイトルとして異例の大ヒットに。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2018年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶怪盗キッドも「漫画村」「Anitube」は許さない!? 「海賊版サイト見ないで!」コナンらが若者へ呼び掛け
「漫画村」などの海賊版サイトに危機感を募らせていたコンテンツ権利者団体が、アニメの人気キャラクターを起用した異例の啓発活動を展開するに至った背景について伝えたインタビュー記事。甚大な権利侵害被害を受け、手の打ちようがなくなっている窮状も語られている。
こうしたコンテンツ業界側からの働き掛けもあって、政府も、海賊版サイト対策としてのブロッキングの導入が適当だとする方針を提示。しかし、ブロッキングは通信の秘密との兼ね合いもあり、著作権侵害サイトに適用しようとする動きに対して、通信業界団体などから反対する声も上がり、議論となった(一方で、NTTグループは実施することを早々に表明した)。
本誌では、「海賊版サイトのブロッキングはなぜ無理筋なのか?」を訴えるシンポジウムのレポートや、ブロッキングの技術的な仕組みおよび問題点についての解説記事なども掲載している。
なお、こうした議論が進行していたさなか、問題となっていた「漫画村」は閉鎖(翌2019年には運営者が摘発された)。同じくブロッキング対象として名指しされていた「Anitube」「MioMio」もアクセスできない状況になった。
2026年の現在、今度は違法オンラインカジノ対策として、ブロッキングも含めたアクセス抑止策についての議論が行われている。
▶コインマイナーをサイトに設置して犯罪になる条件とは? 警察庁と神奈川県警に問い合わせてみた
サイト閲覧者のPCの計算処理能力を利用して仮想通貨(暗号資産)をマイニングするツール「Coinhive」を設置したサイトの運営者が、不正指令電磁的記録(ウイルス)供用などの容疑で相次いで摘発された。しかし、法解釈が十分に定まっていないとして、摘発を疑問視する声も上がっていたことから、「コインマイナーをサイトに設置して犯罪になる条件」について、INTERNET Watchで警察庁と神奈川県警に問い合わせた結果を伝えた記事。
このほか、神奈川県警に情報開示請求を行った人が受け取った回答結果ついての記事もやじうまWatchで掲載している。
この「Coinhive事件」については翌2019年、日本ハッカー協会による裁判費用の寄付を募る動きや、不正指令電磁的記録罪について考えるセミナーの開催といった展開も。そして2022年1月、最高裁が二審の有罪判決を破棄し、逆転無罪判決が言い渡された。
▶旧Symantec系SSL/TLS証明書、3月15日以降順次、Google Chromeで失効
旧Symantec傘下の認証局が発行したSSL/TLS証明書において、適切な確認プロセスを経ていないものが含まれていたことが発覚。Google Chromeにおいて段階的に旧Symantecの証明書の信頼を停止する措置に踏み切る事態となった。旧Symantecの証明書といえば、旧VeriSignの流れをくむ大手であり、導入サイトも多い。サイト運営者は自身のサイトの証明書の確認や更新・差し替えの対応を迫られたほか、「Symantecの証明書はなくなる」といった誤解もあって混乱した。
なお、旧SymantecのSSL/TLS証明書事業は2017年にDigiCertに買収され、同年12月1日以降はSymantecブランドの証明書もDigiCertのインフラから発行される方式に移行していた。DigiCertによると、Google Chrome 70において全ての旧Symantec証明書の信頼が停止された2018年11月までに、500万以上の証明書がDigiCertの証明書へ移行を完了したという。
▶荷物の不在通知を装ったSMSに注意! 端末の情報を盗み、遠隔操作も可能な偽の佐川急便アプリ「sagawa.apk」ダウンロード促す
荷物の不在通知を装ったSMS(ショートメッセージサービス)で送られてくる短縮URLをクリックすることで、佐川急便の偽サイトに誘導され、スマートフォンの情報を窃取したり遠隔操作したりする不正Androidアプリのインストールを促される手口について、2018年1月に報じた記事。1年を通じて注目を集め、INTERNET Watchで2018年に最も読まれたニュース記事となった。
同様の手口はその後も継続的に確認され、12月には“ヤマト運輸版”まで登場した。
▶“ビットバレー”復活の狼煙を上げるカンファレンス「BIT VALLEY 2018」開催
「ビットバレー」とは、インターネット関連企業の集積地として注目されていた1999年ごろの渋谷を、米国のハイテク企業の集積地である「シリコンバレー」風に言ったもの。「渋い(苦い)谷」を英単語にした「bitter valley」と、デジタルデータの単位である「bit」が語源となっている。それから20年近く経った2018年、カンファレンスイベントの名称に冠されて復活したかたちだ。
企画したのは、渋谷に拠点のあったサイバーエージェント、GMOインターネット、ディー・エヌ・エー、ミクシィが立ち上げたプロジェクト「SHIBUYA BIT VALLEY」。IT業界のエンジニアを目指す学生や若手エンジニアに向けて「ITエンジニアとして働くことの面白さを伝えたいとして」として同イベントの立ち上げに至った経緯なども、同プロジェクトのメンバーに取材している。
同イベントは規模・対象者を拡大して翌2019年にも開催。その後、コロナ禍により2020年・2021年はオンラインイベントとして開催されている。
なお、同じく2018年には、JR山手線で渋谷から3駅先の五反田のエリアに拠点があったfreeeなど6社によって「一般社団法人五反田バレー」も設立されている。五反田には当時、スタートアップ企業が増加しており、ビットバレーに代わるIT企業の新たな聖地になるべく活動を開始した。
▶802.11axの呼称が「Wi-Fi 6」に、11acは「Wi-Fi 5」、11nは「Wi-Fi 4」
次期Wi-Fi規格の「IEEE 802.11ax」について、Wi-Fi Allianceが対応製品の認証プログラムの名称を「Wi-Fi CERTIFIED 6」とし、2019年より開始すると発表したことを伝えた記事。エンドユーザーにとってIEEEの規格名では新旧などが分かりにくいことを考慮し、シンプルなナンバリングによる呼称が取り入れられ、さかのぼって「IEEE 802.11ac」は「~5」、「IEEE 802.11n」「~4」とされた。その後、「Wi-Fi 6E」や「Wi-Fi 7」「Wi-Fi 8」など、現在ではこちらの呼称が一般に用いられているのは周知のとおり。
2018年当時、Wi-Fi製品としてはIEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)対応製品が主流を占めていた時期で、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)についてはまだ標準化作業でドラフト版の策定などが進められていた段階。本誌ではIntelやQualcomm、Broadcomの対応チップのニュースなどを報じていたほか、連載『期待のネット新技術』でも『「IEEE 802.11ax」対応チップベンダーとクライアントの製品動向』として解説している。
一方で、KDDIがこの年の3月に発表した「auひかり ホーム10ギガ」の加入者宅用にIEEE 802.11axのドラフト版に対応したゲートウェイ機器を提供することが明らかに。また、12月には、国内で発売される製品として初だというIEEE 802.11ax対応ルーターがASUSから登場し、その「圧巻のスピード」について連載『清水理史の「イニシャルB」』のレビュー記事が伝えている。
▶Wi-Fiは将来的に「WPA3」必須に、Wi-Fi Allianceが新たな認定制度をスタート
Wi-Fi Allianceからはこの年、もう1つ重要な動きがあった。1月にWi-Fiの暗号化通信規格「WPA2」を拡張するWi-Fiセキュリティ機能として「WPA3(Wi-Fi Protected Access 3)」を発表。6月より「Wi-Fi CERTIFIED WPA3」などの認定プログラムを開始した。WPA3には、個人向けに提供される「WPA3-Personal」と、企業向けに提供される「WPA3-Enterprise」がある。
WPA2については2017年、暗号鍵交換手順の「4-way Handshake」に起因する脆弱性が問題となっていた。事前鍵共有(PSK:Pre-shared Key)方式だったWPA2-Personalに対し、WPA3-Personalでは“Dragonfly”鍵交換とも呼ばれるハンドシェイク方式「SAE(Simultaneous Authentication of Equals)」を採用。鍵を推測する攻撃が難しくなっているという。このあたりの詳細は、『期待のネット新技術』の連載記事で解説している。
▶KDDI、最大10GbpsのFTTHサービス「auひかり ホーム10ギガ」、3月1日受付開始 ▶PCから回線までフル10Gbpsの接続はやっぱり速かった! 自宅インターネット環境を「auひかり ホーム10ギガ」に変更
KDDIが2月、個人向けFTTHサービスとして、最大通信速度が上り/下り10Gbpsの「auひかり ホーム10ギガ」と、上り/下り5Gbpsの「auひかり ホーム5ギガ」を発表。受付を2018年3月1日より開始した。10ギガの回線には10G-EPON(IEEE 802.3av)規格を採用、また、加入者宅に設置するゲートウェイには、有線LANに10GBASE-T、Wi-Fiは当時の最新規格であるIEEE 802.11ax(ドラフト版)に対応する機器が提供されることになった点も注目のポイントだった。
最大10GbpsのFTTHサービスとしては、「NURO 光」がすでに2015年から提供しているが、最大10Gbpsは下りのみで、上りは最大2.5Gbpsだった。しかし、「auひかり ホーム10ギガ」が発表されると、その翌月の2018年3月、NURO 光も上り/下りともに最大10Gbpsの新プランを発表。あわせて、上り/下り最大6Gbpsという新プランもラインアップして対抗した。
NTT東西による最大10Gbpsのサービス「フレッツ 光クロス」が提供開始されるのは、それから2年後の2020年4月のことだ。
▶既存の電話回線で最大1Gbpsのモデムシステム、NECが「G.fast」対応のVDSL装置を発売
電話回線用の既設メタルケーブルを利用して、上り/下り合計で最大1Gbpsの通信が可能になる「G.fast(G.9701)」規格のVDSL装置をNECマグナスコミュニケーションズが発売することを伝えた記事。集合住宅では、光回線のサービス自体は最大1Gbpsの「フレッツ 光ネクスト」を契約していても、建物内では100Mbps以下の低速なVDSL接続となっている加入者も多いことから、地味な話題ながら読者からの注目は大きかったようだ。
KDDIも、前述の「auひかり ホーム10ギガ」のような10Gbpsサービスを提供開始する一方で、G.fast規格のVDSL接続により下り664Mbps/上り166Mbpsを実現する集合住宅向けサービス「auひかりマンション タイプG」も投入もしている。
現在、フレッツ光を提供するNTT東西では、集合住宅を対象として、旧来の100Mbps以下のVDSL配線やLAN配線を光配線に移行してもらうためのサポート策も展開している。とはいえ、既存の集合住宅にとって光ファイバー敷設の経路を新たに設けるということはハードルが高い。既存の電話回線を利用して高速化できる装置についての記事は、近年でも「G.hn」規格の製品など、関心が高い話題の1つとなっている。
▶「Aterm」がついにIPv6 IPoEに対応! さらにNEC独自の謎技術「IPv6 High Speed」によりIPv6の通信速度を2~3倍高速化へ
フレッツ 光ネクスト回線において通信速度の向上が期待できるとして注目されるようになった「IPv6 IPoE」方式の接続。同方式に対応するWi-Fiルーターはすでにバッファローやアイ・オー・データ機器から発売されていたが、2018年6月、NECプラットフォームズの「Aterm」シリーズでもついに対応製品が発売された。IPv6の通信速度を高速化する独自技術「IPv6 High Speed」も実装するということで話題となった(同様の機能としてはアイ・オー・データ機器も翌2019年、IPv6 IPoEを4.19倍高速化するという「IPv6ブースト」を発表している)。
この年、一般向けに発売されるWi-Fiルーター新製品では軒並み「IPv6 IPoE」対応を掲げるようになった。エレコムも6月、同社初のIPv6 IPoE対応Wi-Fiルーターを発売。これら国内メーカーのほか、Synology製のWi-FiルーターでもファームウェアのアップデートでIPv6 IPoEに対応した。
ISP各社も、IPv6 IPoE方式をアピールするインターネット接続サービスが続々投入。IPv6 IPoE接続のネットワークを運用・提供するVNE事業者5社によって、IPv6 IPoEの利用を推進する任意団体「NGN IPoE協議会」も3月に設立されている(同協議会はその後、2020年に「一般社団法人IPoE協議会」となった)。
Page 6
2017年(平成29年)、1月にドナルド・トランプ氏が米大統領に就任。日本では2月、「プレミアムフライデー」がスタートした。3月に任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」発売。長期にわたって品薄状態が続く人気を集めた。この年は「ハンドスピナー」も大流行した。
4月、改正資金決済法が施行され、仮想通貨(暗号資産)が決済通貨の1つとして認定される。仮想通貨取引所には金融庁への登録も義務付けられた。ビットコインの価格高騰などもあり、仮想通貨は一気に世間で注目されるように。Windows Vistaは4月の月例アップデートをもってサポートが終了した。
2017年は初代iPhoneから10周年の節目にあたる。この年秋発売の新製品は、スタンダードモデルのiPhone 8/8 Plusに加え、プレミアムモデルのiPhone Xもラインアップ。iPhone Xでは、iPhoneの特徴でもあったホームボタンを廃止した全面ディスプレイとなり、顔認証機能のFace IDが初めて搭載された。10月に「Google Home」、11月に「Amazon Echo」がそれぞれ日本市場に投入され、日本の“スマートスピーカー元年”に。
新語・流行語大賞は、「インスタ映え」と、“モリカケ問題”を象徴する言葉「忖度」の2つが年間大賞。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2017年の話題を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶「マストドン」なぜ人気? 流行の理由から知っておきたい裏側とビジネス利用の可能性 ▶マストドンが照らす21世紀型インターネットのありかた ▶全文公開第2弾、アスキー総研の遠藤諭氏「マストドンと分散型サービスへの回帰」
「マストドン(Mastodon)」は、Twitter(現X)に似た形式のSNSだが、Twitterが一企業によって運営・管理される“中央集権型”なのに対し、“分散型”である点が大きく異なる。オープンソースソフトウェアとして公開されており、さまざまな事業者あるいは個人が「インスタンス」と呼ばれるマストドンサーバーをそれぞれ立ち上げて運用する。ユーザーは自分の好みに合うポリシーのインスタンスに登録しつつ、別のインスタンスにいるユーザーともつながることができる仕組みになっている。
2017年4月、マストドンのムーブメントが急速に広がった。日本でも、大学院生が自宅サーバーで立ち上げたという「mstdn.jp」が登場し、瞬く間に世界最大規模のインスタンスに成長。ドワンゴの「friends.nico」、ピクシブの「Pawoo」などのインスタンスが開設されたほか、アプリや専用検索サービスなどもリリース。単にエンドユーザーにとってのTwitterの代替サービスというのではなく、開発者コミュニティも活発化し、“分散型サービス”の可能性に対する期待の高まりが感じられた。
5月には、mstdn.jpやfriends.nicoの開発者らが集結した「マストドン会議」も急きょ開催。6月の「Interop Tokyo 2017」では、基調講演にマストドン生みの親であるオイゲン・ロッコ氏がリモートで登場したほか、IT系メディアの編集者による座談会も行われ、『イラストのエロ基準を判断するのがTwitterでいいのか? “場”の細分化による超巨大SNSからのパラダイムシフト』としてレポートしている。
▶25日(金)のネット障害、原因は経路情報の誤り、世界に影響 海外事業者のオペレーションミス?
8月25日、正午ごろから国内のインターネット接続回線に大規模な障害が発生した。原因は、インターネットの通信パケットを正しい宛先(IPアドレス)へ転送するためにネットワーク事業者の通信機器間で共有している経路制御(BGP:Border Gateway Protocol)の情報に、Googleが誤った情報を流してしまったことによるもの。こうした誤経路情報トラブルはインターネットでは時々発生しているようだが、このときは影響範囲が過去に例のないほど大きかったこと、また、その範囲に日本国内の経路も多く含まれていたこと、OCNやKDDIなど日本有数のインターネットサービス、さらにはオンライン証券取引サービスなどにも影響が出たことなどから、当初は日本に対するサイバー攻撃も疑われる事態となった。
じつは障害発生からほどなくして、ネットワーク運用・技術者の間では、Googleが“やらかしてしまった”のが大規模障害の原因であることはほぼ特定されていた。しかし、こうした誤経路情報トラブルでは通常、その原因について公式な発表元というものが存在しない。実際に障害が発生しているOCNなどのネットワーク事業者も含め、その原因をユーザーに対して明確な説明を行わなかったために、マスコミも含め、サイバー攻撃の可能性を考えてしまうことになったようだ。
この件については後日、総務省が報告書をとりまとめており、OCNへのヒアリング結果として「本事象の発生原因は、ネットワーク技術者レベルでの非公式な情報交換を通じて、グーグルによる経路情報の誤設定によるものと推定はできたが、判断がつかなかったため、利用者への情報提供に苦慮したとのことであった」と記されている。
▶ネット史上初めての「KSKロールオーバー」が始まる、名前解決できなくなる前にDNSサーバーなど設定確認を! 今年9月は特に注意
「KSKロールオーバー」というのは、DNSSECの電子署名の正当性検証に使われる最上位の暗号鍵であるルートゾーンKSK(Key Signing Key:鍵署名鍵)を更新する一連のプロセスのことだ。ルートゾーンにおけるDNSSECの運用が2010年に開始されてから初めて実施されるということで、総務省やJPNIC、ICANNなどからDNSサーバーの運用者らに対し、対応手順やこれに伴うDNS応答サイズの増大などの注意点について情報提供が行われた。
ところが、新しいKSKによる署名開始予定の10月11日を目前にして、急きょ延期に。さらに再延期を経て、最終的には翌2018年10月11日に行われた。
そのとき以来となる2回目のルートゾーンKSKロールオーバーが今年、2026年10月11日に予定されている。
▶ネットが遅い!を解決、実質2倍以上に速くなる@nifty「v6プラス」を試してみた PINGも倍近く高速に、ただし技術的な制約も
「IPv6 IPoE」は、フレッツ 光ネクスト回線でのインターネット接続サービスにおいてIPv6接続を行うための方式の1つで、2011年7月に提供が開始された。この方式を利用したISPのIPv6接続サービスも当初はオプション的な位置付けであり、一般のエンドユーザーにとってわざわざIPv6でインターネットに接続するインセンティブは当時なかった。
一方でIPv6 IPoEは、IPv4接続で従来から用いられているPPPoE方式でボトルネックとなる「網終端装置」を介さずにインターネットへつながるネットワーク構成になっている。そのボトルネックを回避できるため、上に挙げた本誌連載『清水理史の「イニシャルB」』の記事のほか、PC Watchでも『移行費用ゼロ。v6プラス乗り換えで自宅のネットが数十倍速くなった~100Mbpsの契約でも1Gbpsでの通信が可能』という記事で紹介されるなど、フレッツ回線での通信速度をアップする手段として注目されるようになる。IPv6接続だけでなく、IPv6ネットワーク上でIPv4通信を行うIPv4 over IPv6の各種方式に対応したWi-Fiルーターがバッファローやアイ・オー・データ機器からも提供され、IPv6 IPoEは一般化していった(ただし、「イニシャルB」の記事で言及しているように、割り当てられるポートなど、IPv4 over IPv6の方式によって制約も発生する)。
なお、PC Watchの記事タイトルにもあるが、IPv6 IPoEでは、フレッツ光の契約プランの通信速度を超える通信速度で接続できるという、不思議な仕組みになっていた。じつはすでに5年前の2012年の時点で、「Yahoo! BB 光 with フレッツ」がこのメリットをアピールしており、本誌でも『フレッツ光、200Mbpsコースなのに1Gbpsになる方法が!? IPv6で意外なメリット』という記事で詳しく報じていた。しかし、当時はまだ最大1Gbpsという帯域がまだ必要とされていなかったためか、あるいは網終端装置のボトルネックが問題化されるほどトラフィックが増大していなかったのか、残念ながらほとんど話題にならなかったようだ。
▶Apple、10GBASE-T標準搭載の「iMac Pro」発売、55万8800円~146万800円
10ギガビットイーサネット(10GbE)対応のLANカードが、個人ユーザーでも手を出しやすい価格まで下がってきた年だった。7月にアイ・オー・データ機器が3万1000円の製品を発売すると、バッファローが8月に2万7700円の製品を発売。これに対抗してか、アイ・オー・データ機器は9月、発売したばかりの製品を2万7700円に値下げした。さらに12月には、ASUSTeKから1万5000円を切る製品も登場している。
そして同じく12月、10GbEポートを標準装備した「iMac Pro」が発売になる。プロ向けのハイエンドデスクトップ機とはいえ、Appleが採用したということで普及が期待された。
連載『清水理史の「イニシャルB」』では、1万5000円台で購入したというStarTech.comの製品をレビュー。また、ネットワーク技術・規格の歴史や標準化動向を追いかけている連載『期待のネット新技術』では、「10GBASE-T、ついに普及?」と題したシリーズを集中掲載。年末には「2018年はさらなる低価格化に期待!」として、10GbE対応のLANカードやハブ、ケーブルの記事を関連記事インデックスとしてまとめている。
▶家で電波が届かない? じゃあメッシュを試してみれば? 3台の端末で通信エリアをカバーするTP-Link「Deco M5」
「いよいよ日本にもメッシュの波が到来しようとしている」として、TP-LinkのメッシュWi-Fi製品「Deco M5」についてレビューした『清水理史の「イニシャルB」』の連載記事。
日本では6月に「Deco M5」が発売されたほか、ネットギアの「Orbi」が12月にファームウェアのアップデートでメッシュ機能を追加した。Synologyも10月、メッシュ対応Wi-Fiルーターの開発を表明している。
Wi-Fiルーターの親機と複数のサテライト機を網目のように接続してネットワークを構成することで、カバーエリアを拡大するメッシュWi-Fi。海外ではWi-Fi市場の1つのトレンドともなっていたようだが、果たして日本の住宅事情にも適しているのかどうか……評価としてはなかなか判断が難しいところだったようで、上記連載記事では「今後、特にバッファローやNECプラットフォームズなどの国内メーカーが、これに追従するのか、それともメッシュよりも日本の住宅環境に合った提案をしてくるのか、他社の動向にも注目していきたいところだ」と締めくくっている。
バッファローは翌2018年、メッシュWi-Fi製品に参入する。
▶WPA2の脆弱性「KRACKs」、Wi-Fi通信での盗聴や内容の改ざんが可能 各社がセキュリティ修正パッチを順次提供開始
「KRACKs(Key Reinstallation Attacks)」は、Wi-Fiの暗号化通信規格「WPA2」「WPA」で用いられている暗号鍵交換手順(4-way Handshake)に起因する脆弱性。悪用されると、暗号化されているはずのWi-Fi通信の内容が盗聴されたり、データが改ざんされたりする危険性があった。WPA2またはWPAでアクセスポイントに接続するWi-Fiクライアントが影響を受けるため、Wi-Fi子機だけでなく、PCやスマートフォンなど広範な機器が対象になる。Wi-Fi機器ベンダーはもとより、携帯電話キャリアや端末メーカーなども、対象機種の調査やセキュリティアップデートの提供で対応に追われた。
影響する機器が広範囲に及ぶことから、全ての対策が完了するまでは時間がかかることも想定された。対象機種で対応が行われるまでの間は、影響を受けないHTTPS通信や、VPN、有線LANの利用のほか、Wi-Fiの電波出力を最小限に抑えるといった対策も推奨されるほどだった。
このKRACKsの教訓を受けて翌2018年、新規格の「WPA3」の提供が開始されることになる。
▶Mirai亜種が国内の最大2万4000ホストに感染、ロジテック製Wi-Fiルーターの脆弱性を悪用
「Mirai」は、ウェブカメラやWi-FiルーターといったIoT機器に感染するマルウェアだ。感染した機器が踏み台にされ、DDoS攻撃などのサイバー攻撃に悪用される。登場したのは2016年とされており、DNSサービスを提供する米Dynに対して大規模なDDoS攻撃が仕掛けられ、Amazon.comやTwitter、Netflixなどのサイトで大規模な障害が発生していた。2017年に入って、Miraiの拡散を目的としてWindowsで動作するマルウェアも見つかっている。
日本では、Miraiの亜種に感染したIoT機器からのアクセスが2月から急増したとして、警察庁が注意を喚起。IIJの技術イベントでは、ある企業の車載機器にMiraiが感染したケースを紹介。数万台の機器がクルマで街中を移動しながらインターネットにDDoS攻撃を仕掛けている状況だったという。
このほか2017年には、IoT機器へのマルウェア感染はTelnetが“元凶”と注意を呼び掛ける記事、IoT機器のマルウェア感染を国内で1日8000台観測したことを報告する記事、総務省などがIoT機器の脆弱性を探索し、所有者へ注意喚起を行うことを発表した記事、ウェブカメラが乗っ取られる脆弱性を検証した記事など、IoTマルウェアに関する記事を多数掲載している。
▶被害拡大のランサムウェア「WannaCryptor」は「SMB v1」の脆弱性を悪用、サポート終了のWindows XP向けにも緊急パッチ提供 ▶「サイバーセキュリティ最悪の日になり得た」WannaCryが悪用する脆弱性情報の流出 感染台数は17日時点で、少なくとも33万8765台に ▶ランサムウェア「WannaCry」は複数経路で侵入、グローバルIPアドレスの445番ポート直接スキャンも?
5月中旬、ランサムウェア「WannaCry(ワナクライ、WannaCryptorなどの別名も)」の被害が全世界で拡大した。主にWindowsのSMB v1の脆弱性を悪用する攻撃「EternalBlue」によってネットワーク経由で感染する。Microsoftは3月の時点でこの脆弱性に対するセキュリティ修正パッチを提供していたが、これを適用していないPCを探索して感染を広げていった。WannaCryの被害拡大を受けてMicrosoftは、すでにサポートを終了していたWindows XPなどに対しても緊急で修正パッチを提供するに至った。
セキュリティ各社からは感染経路の分析など連日のように情報が発信された。本誌でもWannaCryに関連するニュースを多数配信し、関連インデックスとしてもまとめている。
なお、後に発表された調査結果によると、このときの大規模感染から10カ月経った2018年3月の時点でもまだ、全世界のWindows PCの29%にEternalBlueの脆弱性が引き続き存在しており、日本でも約11%のPCで未修正のままだったという。EternalBlueの悪用を試みる攻撃も増加し続け、2019年5月の時点で、WannaCryの大規模感染時を上回る数の攻撃が検出されたことも報告されている。
2017年11月、ビジネスチャットツール「Slack」の日本語版が登場した。UIの日本語化や国内カスタマーサポートの提供、日本円建てでの請求書発行への対応などに加え、「メッセージ送信ボタン」を追加するといった、日本人ユーザーの習慣に合わせたローカライズが行われたという。
2017年当時、「チャットワーク」や「LINE WORKS」をはじめとした複数のビジネスチャットツールがすでに提供されていた。Slackも海外で大きくユーザー数を増やしていたほか、日本でもエンジニアやIT業界、あるいは「働き方改革」や業務効率化に積極的な組織などで活用されており、じつはSlackの日本法人ができる前の段階で、日本市場は同社にとって世界第3位の規模に成長していたという。
日本語版の提供開始を機にSlackは国内でも着実に利用を広げていったが、3年後、世界を襲った新型コロナウイルスのパンデミックによって、こうしたビジネスチャットツールの普及が劇的に加速することになる。
Page 7
2016年(平成28年)2月、待機児童問題を訴えた「保育園落ちた日本死ね!!!」と題する記事がはてな匿名ダイアリーに公開され、国会でも取り上げられるなど話題に。4月、熊本地震が発生。震度7を観測し、大きな被害をもたらした。5月にG7伊勢志摩サミット開催。閉幕後、米オバマ大統領が現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪問した。
7月の東京都知事選では小池百合子氏が当選し、初の女性都知事に。8月にリオデジャネイロ五輪開催。閉会式では、次回2020年の開催地である東京の小池知事に五輪旗が引き継がれるとともに、マリオに扮した安倍晋三首相も登場した。米国では11月、大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利。
この年、映画「シン・ゴジラ」「君の名は。」が大ヒット。ピコ太郎の楽曲「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」の動画が8月にYouTubeで公開されると、ジャスティン・ビーバーに紹介されたことによって拡散、世界的な大ヒットとなる。7月にリリースされたスマートフォンの位置情報ゲーム「ポケモンGO」も大ヒットし、社会現象・社会問題にもなった。
なお、2016年は「INTERNET Watch」が20周年だったタイミングだ。同じく20周年を迎えた企業やサービスなどを集めたリンク集の記事を掲載している。インターネット業界では、Yahoo! JAPAN、OCN、さくらインターネット、Internet Weekなどが“同期”。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2016年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶Googleのディープラーニングシステムによって、人工知能が初めて囲碁のプロ棋士に勝利
2016年当時、AIの話題は「機械学習(マシンラーニング)」や「深層学習(ディープラーニング)」がメインであり、とりわけこの年に注目を集めていたのが「囲碁」のAIだ。それまでのAIでは人間に通用しないとされていたのが、深層学習技術などを活用してGoogleが開発した「AlphaGo」によって、AIが初めて囲碁のプロ棋士に勝利したことを報じている。
日本では、ドワンゴが日本発の囲碁AIを開発する「DeepZenGoプロジェクト」を3月に発表。その日本発の囲碁AI「DeepZenGo」の進捗状況が11月に発表され、「プロ棋士と互先で対局できるレベル」まで到達したことなどを伝えている。
▶米国政府がルートDNSや、IPアドレス管理などの“IANA機能”監督権限を手放す
IANA(Internet Assigned Numbers Authority)とは、ドメイン名やIPアドレス、AS番号、プロトコル番号といった、インターネット資源を大元で管理・配分をする機能のこと(もともとは南カリフォルニア大学のジョン・ポステル氏を中心としたプロジェクトグループの名称だ)。その役割が2000年2月、米国商務省電気通信情報局(NTIA)との委託契約のもとで非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)へと引き継がれたが、その後もNTIAがIANA機能の監督権限を保持するかたちになっていた。インターネットは米国防総省高等研究計画局(ARPA)の資金提供を受けたネットワークとして誕生し、米国の研究者らを中心として成長してきた経緯があるためだ。
しかし、インターネットがグローバルな社会基盤へと成長していく中で、その重要な資源の管理機能が1つの国の政府の影響下にあることに批判も上がるようになった。
2016年10月1日、NTIAはICANNとの委託契約を延長せずに失効。IANA機能の監督権限を米国政府が手放すこととなった。これによりIANA機能は、特定の国の政府や企業などではなく、世界中の技術者や企業、政府、一般ユーザーなど、多様な関係者からなるコミュニティの合意形成のもとで運用される、マルチステークホルダー体制に移行することになった。
これを受けて日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は「完全に民間主導のグローバルコミュニティによって重要資源の監督がされることになったことは、象徴的で歴史的な第一歩」とのコメントを発表。一般紙でも「米政府が監督権、手放す ネットの自主管理、始動」(朝日新聞、2016年11月8日)といった見出しで報じられた。
▶あの「阿部寛のホームページ」が移転、デザインはそのままでネットユーザーは一安心
2016年秋にニフティのホームページサービス「@homepage」が終了するのに伴い、同サービス上で開設されていた「阿部寛のホームページ」はどうなってしまうのか――。ネットユーザーの心配をよそに、シンプルなデザインもそのままに、後継のホームぺージサービス上に移転したことを伝えた「やじうまWatch」コーナーの記事。
それから9年。ホーページサービスを提供していた各社が相次いで撤退していった一方で、ニフティは2025年8月、個人ホームぺージの文化を守り続けるとして、ホーページサービス継続のスタンスを表明。これに伴い、それまで同社ホームページサービスの課題だったSSL/TLS対応(HTTPS化)も行われた。現在、「阿部寛のホームページ」もHTTPS化されている。
やじうまWatchではその後も、爆速ホームページ対決の結果やIPv6対応、マインクラフト内での閲覧チャレンジ動画、ホームぺージに対する阿部さんご本人のコメントと、「阿部寛のホームページ」の話題を取り上げている。
▶熊本県内で無料Wi-Fi「00000JAPAN」、携帯3キャリアがアクセスポイント無料開放
大規模災害の被災地において、誰でも無料で利用できる公衆Wi-Fiを提供するための取り組みが「00000JAPAN(ファイブセロジャパン)」だ。普段は携帯キャリア各社がそれぞれ加入者向けに運用しているWi-Fiスポットにおいて、災害時用の統一SSID「00000JAPAN」を設定し、加入者以外にも広く解放する。無線LANビジネス推進連絡会が2014年5月に発表していたが、平成28年熊本地震のときに初めての運用となった。
避難所にも臨時の無料Wi-Fiアクセスポイントが整備され、その設置場所のマップも公開。ヤフーが提供するスマートフォンの地図アプリでは、無料充電スポットなどの情報の検索・表示に対応した。
2011年の東日本大震災から5年。被災地における情報取得手段としてのインターネットの重要性が認識されるようになり、災害発生時の通信インフラ確保が迅速に行える体制が整備されていった結果とも言える。
▶電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」、月額980円で国内提供開始
Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」は、海外で2014年にスタート。日本では2016年8月にサービスが提供開始となり、読み放題の対象となる書籍は、和書12万冊以上、雑誌240タイトル以上、洋書120万冊以上とされていた(ちなみに現在、同サービスのページでは「500万冊の電子書籍が読み放題」とアピールしている)。
一方、電子雑誌の定額読み放題サービスとしては、2014年提供開始の「dマガジン」などがあったが、2016年には「楽天マガジン」や「マガジン☆WALKER」も参入。変わったところでは“生き物図鑑”が読み放題の「図鑑.jp」というサービスも12月に発表された(実際のサービス開始は翌2017年1月から)。
INTERNET Watchではこの年、大きく注目されるようになった電子雑誌・書籍の定額制サービスについてリンク集としてまとめたほか、「電子書籍ビジネス調査報告書2016」からの抜粋記事として電子雑誌の動向や定額制読み放題と今後の展望についての解説記事、『書籍読み放題「Kindle Unlimited」で作家の稼ぎ方はどう変わるのか? 鈴木みそ氏らが日本独立作家同盟のイベントで討論』と題したイベントレポート記事を掲載している。
▶DeNA、キュレーションサイトのデタラメ/パクリ記事問題で経緯説明・謝罪会見
肩こりの原因が「幽霊が原因のことも?」――ディー・エヌ・エー(DeNA)が展開していたキュレーションメディアの1つ、ヘルスケア情報を扱うサイト「WELQ(ウェルク)」において、医療関連情報として問題のある記事の存在が指摘されたことに端を発し、専門家の監修やチェックを経ない不適切な内容の記事や、コンテンツの盗用が疑われる記事が掲載されていたことが判明。同社が謝罪するとともに、キュレーションメディア10サイトの全記事を非公開にし、第三者委員会による原因究明などの調査が行われた。その報告は翌2017年3月に発表され、DeNAはガバナンス強化やキュレーションメディア事業の見直しなどを余儀なくされた。
背景にあったのは、行き過ぎたSEO重視の考えだ。検索結果で上位に表示されることを目的に、キーワードを詰め込んだ記事を量産していたとされ、情報の正確性・信頼性がないがしろにされていたかたちだ。
同時にこれは、DeNAの不祥事というだけでなく、そうした低品質な記事を検索結果の上位に表示してしまっていた検索アルゴリズム側の課題も浮き彫りにした。「WELQ騒動」は、Googleが検索アルゴリズムを大きく見直す契機になったと言われている。
まずGoogleは2017年2月、日本語検索を対象に、検索結果上位の獲得だけを目的にしたような低品質コンテンツの順位を下げ、利用者にとって有用で信頼できる情報が上位に表示されるようアルゴリズムをアップデート。さらに同年12月には、医療・健康に関連する検索結果について、医療従事者や専門家、医療機関などが提供する「信頼性が高く有益な情報」を上位に表示されやすくするようアップデートした。現在の、信頼性や専門性をより重視するアルゴリズムへとつながっていくことになる。
▶家電見本市であることをやめた「CEATEC JAPAN 2016」10月4日~7日開催、これからは“CPS/IoT”の総合展
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)というワードは2015年になって大きく注目されるようになったが、そうした流れの中で2016年に特に印象的だったのが、先進技術の展示会イベント「CEATEC JAPAN」の大きな方向転換だ。
それまで“家電見本市”のイメージが強かった同イベントが、この年の「CEATEC JAPAN 2016」では「CPS/IoT(Cyber Physical System/Internet of Things)」をテーマに据え、「IoTの全てが一堂にそろう展示会となる」というスタンスが示された。CEATEC JAPANを主催する電子情報技術産業協会(JEITA)が翌2017年に発表した調査結果によると、CPS/IoTの市場規模は、2016年に世界で194.0兆円・日本で11.1兆円で、これが2030年には世界で404.4兆円・日本で19.7兆円に成長すると予想している。各種機器のIoT化率が8割を超える見込みであることが、市場拡大の背景にあるのだという。
2016年の国内のIoT事情がリンク集の記事としてまとめられている。また、INTERNET Watchではこの年、IoTを“ゆるく”考えていく「俺たちのIoT」なる新連載をスタートしている。
なお、IoTマルウェアの「Mirai」が登場したとされるのも2016年だった。セキュリティの不十分なIoT機器に感染するマルウェアによる攻撃が2015年から急増していたが、MiraiによってDNSサービス「Dyn」をダウンさせる規模のDDoS攻撃が行われるなど、世界的に猛威を振るった。翌2017年、日本でも猛威を振るうことになる。
▶東京・渋谷で「ジオ展」初開催、地図/位置情報関連のソリューションを提供する6社が集結
地図・位置情報関連のプロダクトを手掛ける企業の共同展示会イベント「ジオ展」が2016年11月、初めて開催された。その開催趣旨や展示内容を伝えた、連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」の記事。出展企業はゴーガ、インクリメントP、NTT空間情報、ESRIジャパン、ナイトレイ、ヴァル研究所の6社。会場もゴーガのオフィス内という、小規模なものだった。
それが2026年4月に開催された「ジオ展2026」では、72の企業・団体が出展するまでに拡大。当初はビジネス向け展示会の色合いが強かったが、それに加えて現在は業界団体、大学の研究室や学会、NPO、大学・社会人のサークルなども集うイベントに発展した。
▶2016年新作スマートフォンアプリの上位は「Pokémon GO」「AbemaTV」「スノー SNOW」
ニールセンがとりまとめた、スマートフォンアプリの利用状況についての調査結果を報じたニュース。これによると、2016年の新作スマートフォンアプリの平均月間利用者数は、1位が「ポケモンGO」で1630万人、2位が「AbemaTV」で358万人、3位が「スノー SNOW」で182万人となっている。
「ポケモンGO」は、その人気に便乗するアプリも出回り、サービス開始の翌日にはマルウェアを仕込んだ偽アプリが発見されていたという。正規版を不正改造した“リパック版”や、アドウェアや迷惑アプリなどの“便乗アプリ”についても注意が呼び掛けられた。
「スノー SNOW」は、顔認識や写真加工、スタンプ機能を備えたカメラアプリだ。翌2017年3月にニールセンデジタルが発表した調査結果では、利用者における18~34歳の女性が54%を占めているという。このユーザー層の構成は、同じく18~34歳の女性の割合が高く、後に大きく成長した「Instagram」の2年前の時点(2015年1月)の状況と類似しているとの興味深い指摘もなされている。
▶Twitterユーザーの“バルス離れ”か? 秒間バルスツイート数の記録更新ならず、前回から半減
Twitter上での「バルス祭り」が本格化したのは2009年の放映時あたりからと言われており、回を重ねるごとに企業の公式Twitterアカウントなども参戦するなど加熱していった。
2016年1月15日夜の「天空のラピュタ」テレビ放送時は、バルスツイート全量を計測していたNTTデータによると、秒間ツイート数のピークは23時23分14秒の約5万5000件。前回2013年8月2日の放送時、23時21分50秒に記録した秒間10万6338件から半減したという。過熱気味だったこの祭りに対して、逆にネットユーザーが醒めてしまった可能性も考えられる(ただし、23時23分の1分間では34万5397件ものツイートがあったとしており、わずかに前後にタイミングがずれてしまった人が多かった可能性も考えられる)。
Twitter社も以前はバルス祭りにおける秒間ツイート数の記録を公式発表したり、自社カンファレンスの講演で言及するなどしていたが、「瞬間風速を計るということがあまりTwitter本来の趣旨と合わないのでは」とのことで、この年のバルス祭は計測しなかったという。
Page 8
2015年(平成27年)、5年後に迫る東京五輪の準備で、大きな騒動が。新国立競技場は2012年に決定していたいわゆるザハ案が、当初見積もりの倍に総工費が膨れ上がったことなどからこの年7月に見直しになった。また、同じく7月にエンブレムのデザインが発表されたが、海外で盗作として訴訟が起こされたことなどにより撤回となった。
8月に、鹿児島県の川内原発1号機が再稼働。2011年の福島第一原発事故を受けて定められた新規制基準により、2013年9月以来国内の原発は全て停止していたが、これが新規制基準に基づいた稼働第1号となった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2015年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶TPP協定が大筋合意、著作権侵害の非親告罪化、原著作物の収益性を大きく損なわない場合は適用せず
長く議論が続けられてきたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について、この年10月に大筋の合意が成り、翌2016年2月に署名されることになる。本誌においては主に著作権の保護期間延長と、著作権侵害の非親告罪化について動向を取り上げている。
福井健策弁護士による連載記事で全体的な解説を行っているほか、thinkTPPIP(TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム)による声明、コミックマーケット準備会とthinkTPPIPによるイベント、大筋合意後の文化庁の審議会などを報じている。
また、やじうまWatchでは、保護期間延長と「青空文庫」の問題を取り上げている。
2018年末の著作権法改正により、著作権の保護期間はそれまでの死後50年から70年に延長された。また、一部のケースで著作権侵害が非親告罪化されている。
▶NTT東西、フレッツ光の「サービス卸」を総務省に届け出、開始日は2月1日以降
NTT東西が2月から「サービス卸」として、フレッツ光回線をほかの通信事業者に卸売りするサービス「光コラボレーションモデル」(光コラボ)を開始した。
これにより、ISP各社が2月以降に、ISPサービスと光回線をセットにしたインターネット接続サービスの提供を開始した。2026年現在では、光回線(フレッツ光)とISPを別々に契約する方がめずらしい状況になっている。
▶LINE、マイクロソフトの女子高校生AI「りんな」を活用した公式アカウントを企業向けに提供 ▶女子高校生AI「りんな」がTwitterを始める……LINEグループにりんなを召喚する新機能など、日本MSがりんなの秘密を紹介
日本マイクロソフトが、「Bing」で培ったディープラーニング技術と機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせ、「おしゃべり好きな女子高生」という設定のAI「りんな」を開発。LINEやTwitter上で提供した。
2022年に「ChatGPT」が登場して以降はAIが完全にIT業界の主役であり牽引役となっているが、2015年当時は、2000年代から続く、機械学習の発展が注目された「第3次AIブーム」と呼ばれる時期だった。この年には「りんな」のほかにも各種AIサービスが登場し、「AI実用化元年」と呼ぶ向きもあった。マイクロソフトは、翌年の開発者向けイベントで「りんな」について詳細な技術解説を行うなどしている。
この年の7月にはソフトバンクのイベントで孫社長が成長分野の1つに「AI」を挙げ、翌年にはジョルダン「乗換案内」の遅延予測にAI採用、Q&Aサービス「教えて!goo」で人間のユーザーに混じってAIが回答、といった導入例を報じている。
▶「NURO 光」に個人向け10Gbpsサービス登場、月額9800円、「XG-PON」採用
6月、「NURO 光」が下り10Gbps/上り2.5Gbpsとなるプランの提供を、東京・神奈川の一部で開始した。アクセス回線の規格として、2Gbpsプラン(下り2Gbps/上り1Gbps)の「G-PON」の後継にあたる「XG-PON」を採用している。
▶ペヤング・マクドナルド問題受け、2015年は“ネット告発”対策強化の動き
2014年末から2015年初頭にかけて、ペヤング・マクドナルド両ブランドの食品への異物混入がSNSに投稿される事件があり、迅速に対応したペヤングと、遅れたマクドナルドで明暗が分かれる受け止めとなった。
ソーシャルメディアでユーザーの声を収集する「ソーシャルリスニング」はこの年よりも前からあった言葉だが、上記記事は宣伝会議が行った調査の結果から、企業のソーシャルリスニングの取り組みや対応状況を紹介している。
▶グーグル、HTTPSページを優先して登録するよう検索のインデックスシステムを調整
2014年8月に、Googleがウェブ検索結果の順位を算出する基準として、従来のHTTPよりも安全性が高いプロトコルであるHTTPSへの対応状況を加えたと発表。これに対応するように、無料でHTTPS導入のためのサーバー証明書を発行する「Let's Encrypt」の2015年夏開始が発表され、多くのレンタルサーバーが対応するようになっていく。
上記記事では、同じコンテンツであればHTTPよりもHTTPSのページを優先的にインデックスに登録するよう、インデックスシステムを調整したことを報じたもの。この年4月には、取り扱う多くの広告をHTTPS対応にしている。
▶フリマアプリ「メルカリ」とヤマト運輸が連携、全国一律料金で配送可能に、「ネコポス」にも対応
メルカリは2013年7月にサービスを開始。2014年からテレビCMを展開し、ユーザーを増やしていく。2015年3月の上記記事は、本誌が初めてメルカリを大きく取り上げた記事。ヤマト運輸との連携により出品者の商品発送が簡単になり、全国一律の配送料も実現して利用しやすくなった。
▶Google、容量無制限のフォトストレージサービス「Googleフォト」
Googleはこの年5月にフォトストレージサービス「Googleフォト」の提供を開始した。この時点では、1600万画素までの写真と1080pまでの動画であれば、無制限にオンラインストレージに保存できるとしている(現在は画質等にかかわらず最大15GB)。これに伴い、それまで提供していたPicasaは2016年2月に終了となった。
2016年にはAmazonが「プライム・フォト」を発表。Amazonプライム会員であれば容量無制限で利用できる。
▶“フリック入力”利用率最低は意外にも30代、ちょうどガラケー時代に育った世代だから?
iPhone以降広がったフリック入力の利用などについて、ジャストシステムが調査。上記記事で結果を紹介しているが、10代~60代の年代別にフリック率の利用率を調査したところ、30代の利用率が最低だったという。
この結果について、ジャストシステムは「意外」であるとしながら、フリック入力に興味なしとの回答が最も多かったことも踏まえ、「学生時代に従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)が普及した影響がありそうだ」と分析している。
Page 9
2014年(平成26年)、7月に、安倍内閣が憲法解釈を変更して「集団的自衛権」の行使を容認する閣議決定を行い、大きな波紋を呼んだ。翌2015年9月には平和安全法制等(安全保障関連法)の整備が行われ、自衛隊が海外で武力を行使することも可能な体制となる。
2月にソチ冬季五輪が開催され、フィギュアスケートの羽生結弦選手が金メダルを獲得するなどで話題に。3月には映画「アナと雪の女王」が公開され、大ヒットとなった。前年にニンテンドー3DS向けゲームとして登場した「妖怪ウォッチ」のアニメがこの年から放送を開始し、メディアミックスによりヒット。グッズ類の販売には大行列が作られ、続編ゲームや映画もこの年に公開された。
また、この年の1月には「STAP細胞」騒動が発生。10月には青色LEDの発明により、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3名がノーベル物理学賞を受賞している。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2014年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶「Windows XPはインターネットから切断して」継続利用者にMSがお願い
2001年に発売された「Windows XP」は、安定していて使いやすいOSとして、インターネットの普及期に長く使われ、2007年1月に後継OSである「Windows Vista」が発売されても支持され続けた。が、2009年4月にサポート(メインストリームサポート)を終了し、「Windows 7」が登場。そして、この年4月に延長サポートも終了となった。
Windows XPの延長サポートが終了するにあたり、最後のセキュリティ更新プログラムが配信された時の記者会見を報じたのが上記記事。事情があってWindows XPを使用し続けなければならない場合は、リスクをできるだけ軽減するために、コンピューターウイルスが感染する経路を遮断するなどの対策をしてほしいとの、マイクロソフトのコメントを紹介している。
Windows XP以前には、コンシューマー向けOSが多くのユーザーにサポート切れまで使われる例がなく「OSのサポート切れ」にどのように対応するかについて、以降注目されるようになる。この年、Windows Vistaも2017年にサポート終了が迫っており、INTERNET Watchでは、Windows 7も2020年にサポート終了、との記事も公開している。当時の最新のWindowsは、2013年10月に提供が開始された「Windows 8.1」だった。
▶ベネッセ顧客情報漏えい問題、お詫びの品として500円分の金券を提供
7月に、ベネッセコーポレーションで「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」などの顧客情報漏えいが発覚。その後、同社の通販サイトや口コミサイトからの漏えいも明らかになった。
9月に入って補償対応を含めた発表が行われた際に報じたのが、上記記事。本件はグループ会社元社員が情報を持ち出し、名簿事業者に売却したもので、名簿事業者3社に合計約3504万件の名簿を売却したが、被害を受けた顧客数としては約2895万件と推計されている。
大規模漏えい事件としてもまれにみるものだが、本件に関連し、ジャストシステムが漏えいした名簿を購入し、ダイレクトメール送信に使用していたことも判明し。ジャストシステムでは、これの判明してすぐに購入した名簿を削除している。また、本件に便乗して「あなたの情報が流出していないか確認している」との電話がかかってくるなどの便乗犯も発生し、国民生活センターが注意を呼び掛けている。
▶NTT東の「フレッツ 光ネクスト」に最大1Gbpsのプラン、11ac標準対応
7月、NTT東日本は、同社が提供する光回線サービス「フレッツ 光ネクスト」において初の上り下りとも1Gbpsのプラン「フレッツ 光ネクスト ギガファミリー・スマートタイプ」の提供を開始した。
なお、NTT西日本では、2010年5月に上り下りとも1Gbpsの「フレッツ 光ネクスト エクスプレスタイプ」の提供を開始している。
▶スマホアプリで恥ずかしい姿を見せ合うのは危険、“性的脅迫”被害多発か
セクストーションは「Sex」(性的な)と「Extortion」(脅迫)を組み合わせた造語で、脅迫対象の性的な写真や動画を入手し、公開されたくなければ金銭を支払うように、などと脅迫するもの。後年には、実際には何もなくても「PCのウェブカメラで性的な写真を撮影した」と脅迫する「セクストーション詐欺」も登場している。
INTERNET Watchでは、上記記事で初めてこの言葉を取り上げている。SNSで知り合った女性を名乗るアカウントが、性的な写真や動画を見せあおうと持ちかけ、公式アプリマーケットではないURLからアプリのインストールを促す、といった手口を紹介し、「国内では最近、SNSと不正アプリを用いたセクストーションが多発しているとみられる」と説明している。
セクストーションは2026年においても被害事例がしばしば話題になり、その性質から被害相談がしにくく、悩んだ若者が自殺してしまう事例も報告されている危険なサイバー犯罪である。
この年には、「リベンジポルノ」というキーワードも初めて報じている。
▶災害時に無料で使える公衆無線LAN「00000JAPAN」を統一SSIDとして提供 東京オリンピックに向けた取り組みも
5月、無線LANビジネス推進連絡会が、災害時用に各地のWi-Fiアクセスポイントを解放する統一SSID「00000JAPAN」を発表した。
当時、急速に普及するスマートフォンの通信回線への負担をオフロードする目的で公衆Wi-Fiの整備が急速に進んでいたこと、2011年の東日本大震災時に各社が独自の公衆Wi-Fiを無料開放した事例があったこと、2020年に開催が決定した東京五輪に備えた通信環境整備のためにも公衆Wi-Fiの整備が進んでいたこと、といった背景から整備された。
2016年に発生した熊本地震において、初めて実際に提供された。
▶新gTLDはカオスか? 「.moe」「.ninja」から「.みんな」なるドメインまで
インターネットの名前空間(ドメイン名など)を管理する団体であるICANNが、2012年に新gTLD(グローバルトップレベルドメイン)の受付を実施。1930件の申請があった。これにより、2013年頃から新gTLD取り扱いのニュースが増え、本誌ではこの年7月に「やじうまドメインWatch」という連載を開始した。その第1回が上記記事だ。
新gTLDの例としては「.tokyo」や「.osaka」など地域にちなんだもののほか、「戦隊の皆様は要チェック」とされた「.red」「.blue」「.pink」といったものも。2014年1月の時点で、このような新gTLDは100を超えていたようだ。
▶ネットギア、11ac対応のWi-Fi中継機「EX6100」発売
Wi-Fiの電波が届く範囲を広げる中継機。コンセントに直挿しすることで手軽、かつ場所を取らずに使えるモデルはこれまでにも登場していた(2010年 バッファロー「WLAE-AG300N/V」、2013年 ロジテック「LAN-RPT01BK」)が、この年には上記記事のネットギア「EX6100」のほか、エレコム「WTC-733HWH」「WTC-300HWH」、バッファロー「WEX-733D」、アイ・オー・データ機器「WN-G300EXP」と、多くの製品が登場した。
この年に公開したバッファロー「WEX-733D」のレビューでは、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)デュアルバンドの片方の周波数帯をバックホールとして高速な中継が可能で、自宅内の電波状況を改善できることを評価している。
▶グーグル、Chromebookを日本でも発売、企業・教育機関向けに
欧米では2011年から販売されていた「Chromebook」が、この年、日本でも販売開始となった。上記記事は7月に、企業と教育機関向けに販売するとのニュース。同年11月からは個人向けにも販売を開始している。
▶Bitcoin取引所のMt.Goxが民事再生手続きを申請、コールセンターを開設
仮想通貨「ビットコイン」は、2008年にサトシ・ナカモトと名乗る人物が発表した論文をもとに、2009年に取引が開始された。本誌が初めて取り上げたのは2012年にフランスの通貨当局から一定の信任を得たことを紹介した記事。
この年3月に、日本に拠点を持つ大手取引所だったMt.Goxが民事再生手続きを開始、その後破産したことで大きな話題となり、ビットコインが広く知られるきっかけにもなった。
この年2月に行われた東京都知事選に、レンタルサーバー「ロリポップ!」などを提供するpaperboy&co.(現:GMOペパボ)の創業者である家入一真氏が立候補した。
このときの都知事選は、舛添要一氏が当選した。落選した家入氏は、投票日の翌日である2月10日に「インターネッ党」のウェブサイトを公開した。
Page 10
2013年(平成25年)、6月に富士山が世界文化遺産に決定、9月に2020年夏季五輪の東京開催決定(コロナ禍により2021年開催となる)といったニュースがあり、前年末より始動した「アベノミクス」と相まって、景気回復・デフレ脱却のきざしが感じられるようになった。
一方で、消費税がそれまでの5%から2014年に8%へとなることが決定するなど、厳しい話題も少なくない。この年成立した特定秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)は、秘匿性が高い安全保障に関する情報の漏えいを防止し、漏えいに対し刑事罰を適用するもので、国民の「知る権利」が損なわれるおそれが指摘されるなど、多くの反対・疑問の声もある中での成立となった。
海外では、元CIA・NSA(米国中央情報局・国家安全保障局)職員のエドワード・スノーデン氏が内部告発サイトWikileaks(ウィキリークス)にて多くの情報を暴露した、いわゆるスノーデン事件が大きな話題となった。INTERNET Watchではこの件についてニュースなどにはしていないが、当時の連載で関連の動向を取り上げるなどしている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2013年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶若者にとってネットは“スマホ+アプリ”、モラル教育追い付かず炎上の構造
SNSやブログでの不用意な投稿による「炎上」はこの年までにも多くあったが、この年はTwitter(現X)を中心にテレビでも報道されるほどの炎上事件が続発。「バイトテロ」や「バカッター」といった言葉が生まれ、後者はこの年の新語・流行語大賞候補にもなった。
上記記事は、デジタルアーツがこうした状況を受けて実施した記者説明会のレポート。一時期落ち着いていた犯罪告白・炎上系投稿が、この年に入って再び増加し、8月には17件を記録。従来はテキスト中心であったのが写真中心になったという。
その原因としては、オープンなSNSの中で「内輪感覚」での投稿が行われている(LINEのトークなら本当に内輪にしか共有されないが、LINEとSNSとの使い分けができていない)こと、保護者・教育者と若者との間で「インターネット」の認識が異なり(保護者PCとウェブブラウザーで使うものだが、若者にとってはスマートフォンとアプリで使うものになっている)、モラル教育が追いつかないことの2点が指摘されている。
こうした状況を受け、ガイアックスはアルバイト従業員向けのリテラシー講座を提供、NTT-ITはソーシャルメディア分析ツールにバイトテロやネットいじめ発見機能を追加するなどした。やじうまWatchでは、典型的な「バイトテロ」のパターンとして広く知られることとなった、“バイト先の冷蔵庫に入った”風の写真を撮れるアプリを紹介したりもしている。
▶Twitter、最長6秒のループ動画を作成できるiOSアプリ「Vine」
1月、Twitterが最長6秒のループビデオを共有できるiOSアプリ「Vine」を公開。今でいう「ショート動画」の元祖と言えるもので、順調に機能強化を続け、この年の11月にはiOS/Androidアプリの日本語版を公開した。
2014年には性的コンテンツ禁止を明示、2015年には子ども向け「Vine Kids」提供、といった動きもあった。同じく2015年にはVineチームが来日した様子をレポートしているが、Vineの人気ユーザーが生まれていること、クリエイターが活躍できる環境作りを模索していることなどが紹介されている。
人気だったVineだが、2017年にサービスを終了。理由はTwitter社内での改編によるものとされる。Vineは、Twitterに買収される前の創業者によって「byte」として復活したが、短期間で終了した。
現在も利用されているショート動画サービスとしては、TikTokが2017年に世界で展開を開始している。なお、TikTokの前身といえるサービスとして、2014年提供開始の「Musical.ly」がある。Instagramは「リール」を2020年8月、YouTubeは「Shorts」を9月に開始している。
▶So-net、“世界最速”最大2GbpsのFTTHサービス「NURO 光」~月額4980円から
4月、ソネットエンタテインメントが、下り2Gbps/上り1Gbpsの光回線サービス「NURO 光」の提供を開始。アクセス回線の規格として「フレッツ 光ネクスト」などで使われる「GE-PON」ではなく、下りの帯域幅が広い「G-PON」を採用していることが特徴で、当時、個人宅向けの商用FTTHサービスとして世界最速をうたっていた。
▶日本の省庁などへ“水飲み場型攻撃”、IEのゼロデイを突き、8月に起きていた ▶IEへのゼロデイ攻撃で用いられた“水飲み場型”攻撃
以前から知られていたサイバー攻撃手法「水飲み場型攻撃」が、この年話題になった。昨今は目にしないがインパクトのある名前が付けられたこの攻撃手法は、特定の組織の職員など、標的を定めて行われる標的型攻撃の一種。標的が利用する可能性が高いウェブサイトに、ほかのユーザーがアクセスしても動作せず、標的がアクセスしたときだけ動作する悪意あるコードを仕掛けておき、マルウェアをダウンロードさせる。
猛獣が、標的がやってくる水飲み場で待ち伏せして狩りを行うイメージから「水飲み場型攻撃」と命名されている。標的以外には何もしないことから第三者に発見されにくく、標的に対してもメールより気づかれにくい攻撃方法だとして、注意が呼び掛けられた。
▶Officeをクラウドサービスで利用できる、新しい「Office 365」提供開始 ▶「Photoshop CC」などアドビ製品の新バージョン6月18日提供開始、月額制のみ
2月、日本で「Office 365」の提供が法人向けに開始された。従来の「Microsoft Office」のサブスクリプション/クラウドサービスであり、「Word」「Excel」「PowerPoint」といったOfficeアプリのほか、「Exchange Online」「SharePoint Online」「Lync Online」が含まれる。家庭向けの「Office 365 Home Premium」に関しては、日本ではOfficeプリインストールPCが買われることが多いとの理由から、同じタイミングでは提供を開始していない。
6月には、Adobeが「Adobe Creative Cloud」の提供を開始。同時にそれまでのCreative Suiteについて新機能開発中止を発表し、「Photoshop」「Illustrator」「Premiere Pro」など、プロ向けのクリエイティブツールがサブスクリプション/クラウドサービスに切り替えられた。
▶ネット選挙運動&落選運動、日本でも解禁へ、改正公職選挙法が可決・成立
4月に、インターネットを使った選挙運動を解禁する改正公職選挙法が成立。候補者や政党、一般の有権者が、ウェブサイトやSNSで投票を呼び掛けたりできるようになった。なお、メールの利用や有料広告は禁止であり、これは2026年現在も改正されていない。
選挙期間中にウェブやSNSに表示される選挙関係のように見える広告は、特定候補への投票の呼び掛けではなく、多くは政党の広告である。
▶SNSで恋人・元恋人・恋人の元恋人を追跡した男性46%、女性37%
SNSが広く普及し始めた2012年末から2013年にかけて、SNSがユーザーの行動や心理に与える影響を調査した、さまざまなレポートが発表された。上記記事では、恋人や元恋人をSNSで追跡した経験のほか、「性的またはロマンチックな写真」を送った経験などをたずねている。
夫婦間のLINE利用に関する調査では、約4割がコミュニケーション頻度が上がって、約3割の夫婦仲が良くなったとの結果が。新成人のソーシャルメディア実態調査では、「LINEを利用する女性は結婚願望が強い」などと分析されており、スマホ派がPC派のおよそ倍の時間SNSを使うとの調査もあった。
そのほか、SNSの利用と自制心低下の関連性の調査も。シマンテックの調査では、日本のユーザーは知らない人とつながりすぎでリスキーだと指摘されている。
▶年末年始はパスワードの見直し&棚卸しを、“使い回し”狙われた2013年
この年には通信サービス、ECサイト、オンラインゲームなど、さまざまなサービスで大量不正ログインのニュースがあり、IPAが「すべてのネットサービスで異なるパスワードを」と呼び掛けるなどしていた。
パスワードを使いまわすことの危険性は、2026年現在でも変わらない。上記記事は、年末にパスワード使いまわしの問題と、注意喚起および攻撃事例をまとめたもので、大量不正ログインを伝えたニュースは32本あったとしている。「この年末年始には、ID・パスワードを見直すとともに、入会したまま最近は使わずに放置してあるようなサービスのアカウントは登録を削除するなど、ID・パスワードの“棚卸し”を行ってみてはどうだろうか」と、パスワード管理の見直しを呼び掛けている。
▶軍艦島の「ストリートビュー」公開、住戸内部を含む立入禁止エリアも撮影 ▶富士山・山頂まで「ストリートビュー」で登山可能に、吉田ルート撮影・公開
Googleマップのストリートビューが、日本国内の特殊なエリアに対応。一般には入れないエリアを含めた軍艦島や、富士山吉田ルートが公開され、気軽に見て回ることが可能になった。
この年2月には、徒歩でストリートビューを撮影するための機材「トレッカー」で屋久島を撮影すると発表し、4月に公開している。海外の徒歩撮影事例では、グランドキャニオンのストリートビューが公開されるなどもしている。
▶「今年も赤字の予感」ニコニコ超会議2に有名漫画家や在日米陸軍、小林幸子も降臨
「ニコニコ超会議」は、ニコニコ動画が2012年から開催しているオフラインイベント。この年に開催された「ニコニコ超会議2」に、歌手の小林幸子さんが出演した。
小林さんは、NHKの紅白歌合戦で美川憲一さんと豪華な衣装で張り合う様子などでも知られていたが、2012年にマスコミからバッシングを受け、その年の紅白歌合戦にも出演していなかった。しかし、ニコニコからのオファーを受けてイベントに出演したことをきっかけに(極端に豪華な衣装から)「ラスボス」として親しまれ、ボカロ曲を歌ったりもするようになる。
2014年には50周年記念ライブをニコニコ生放送で配信。しかもヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」に対応し、360°映像として配信された。
Page 11
2012年(平成24年)12月の衆議院選挙でそれまでの民主党政権が倒れ、自公連立による第二次安倍内閣が発足した。安倍首相は就任後すぐに経済政策「アベノミクス」を打ち出すなどし、改革をアピール。2020年まで、日本で最も長い期間総理大臣を務めることとなる。
そのほかでは、ロンドン五輪にて女子レスリングの吉田沙保里選手、内村航平選手らが金メダルを獲得。iPS細胞(人工多能性幹細胞)の開発により京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞した。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2012年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶“遠隔操作ウイルス”事件、専門家らは実行ファイルの扱いでギャップ痛感?
この年、マルウェア(ウイルス)に感染したPCが遠隔操作を受け、掲示板サービスに犯行予告が書き込まれるという事件が複数件発生。警察はマルウェアの被害者である感染PCのユーザーを逮捕したが、遠隔操作されたユーザーは身に覚えがなく捜査は難航。「誤認逮捕」事件として世間で話題となり、遠隔操作の想定がない捜査機関への批判もあった。
上記は日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)による同事件に関する説明会のレポートで、同年10月時点で明らかになっている事件の概要が紹介され、検知の難しさや、遠隔操作された痕跡がないと無実の立証が難しいこと、個人ユーザーの危機感のなさなどが語られている。
後日、遠隔操作ウイルス対策として、通信内容などの記録を残すソフトウェアが公開されたりもした。
▶10月1日からDVDリッピング違法化&違法DL刑罰化、改正著作権法が可決・成立
著作権法改正により、違法にアップロードされたものであることを知ってダウンロードする、いわゆる「ダウンロード違法化」が2010年に行われていたが、この年に、この違法ダウンロードに刑事罰が設けられることになった。この刑罰化は衆議院での可決時点で自公から提出された修正案によるもの。
当時の記事では、これまでにも権利者側から要請があったものの刑罰化の問題が指摘され、法案の段階では盛り込まれていなかったことを踏まえ、「政府案の修正というかたちで、いつの間にか同様の規定が著作権法にねじ込まれようとしている流れ」と述べている。
DVDリッピング(データの取り込み)違法化は、DVDビデオで使われる暗号化技術が、著作権法で回避することが違法とされる「技術的保護手段」に追加されたもの(こちらは国会提出の法案の段階で盛り込まれている)。これにより、私的使用を目的とした複製であっても違法となることになった。
▶サイバーエージェント、ペニオクを宣伝する芸能人ブログへの関与を否定
前年から問題になっていたペニオク(ペニーオークション)は、一般的なネットオークションと異なって入札するたびに手数料がかかり、落札価格は一般的なネットオークションよりも安くなりがちだが、参加者は手数料により高額の支払いを求められることが特徴。この年12月に、ペニオク事業者が詐欺容疑で逮捕された。
当時、ペニオク事業者は主な宣伝媒体として芸能人ブログを利用しており、複数の芸能人が、ブログなどで「ペニーオークションで欲しいものが安く落札できた」のような書き込みをしていた。これは典型的な「ステマ」(ステルスマーケティング。企業から金銭を受け取っての宣伝であることを開示せず、商品やサービスの紹介を行うこと)である。
上記記事は、当時の芸能人ブログ大手であるサイバーエージェント(Amebaブログ)が、会社としてのペニーオークション宣伝への関与を否定したことを報じたもの。この後同社では、Ameba著名人ブログのガイドラインを改定した。
この年、年初には「食べログ」で金銭を受け取って好意的なレビューを書くステマ問題が表面化し、5月にはステマ対応のため景品表示法のガイドラインが一部改定されるなどしていた。
3月には、ステマに関する意識調査で、一般ユーザーの約4割が「想像通りのことが明るみに出ただけ」と、ドライな回答だったとの記事もある。2023年10月から、ステマは景品表示法違反として違法化されている。
▶米Netgear、「業界初」802.11acルーターを5月発売、最大1.3Gbpsを実現
次世代無線LAN規格「IEEE 802.11ac」の標準化作業や導入に向けた動向がある中、この年4月に、Netgearから業界初をうたうIEEE 802.11ac対応ルーターが発表された。国内メーカーではバッファローが早いタイミングで製品を発表しているのを報じている。
IEEE 802.11acは2014年1月に正式規格として承認(標準化)。2018年に、Wi-Fi Allianceにより「Wi-Fi 5」と呼ばれるようになった。
▶ソフトバンクがイー・アクセスを買収、LTEを強化、契約数はauを抜き業界2位に
10月、ソフトバンクがイー・アクセスを買収し、完全子会社化すると発表した。2000年という早い時期にブロードバンド(ADSL)サービスを開始した通信ベンチャー東京めたりっく通信、イー・アクセス、アッカ・ネットワークスが、全てソフトバンクに合流したことになる。
上記記事では、当時のイー・アクセス買収の大きな理由は、「イー・アクセスが展開する『1.7GHz帯のLTE』にある」としており、ソフトバンクでは当時提供していなかったiPhoneでのテザリングサービス提供開始について言及している。
▶バッテリー節約と称して連絡先を盗むAndroidアプリ、シマンテックが注意喚起
スマートフォンの普及が進む中で、さまざまな不正アプリが登場した。特にAndroidに多く、上記記事で取り上げているのは、バッテリー使用量を抑えると称して、インストールされたスマートフォンの連絡先情報を盗むアプリ。「ワンクリ詐欺」アプリと呼ばれたアプリは、当時「ワンクリック詐欺」と呼ばれていた架空請求詐欺(ウェブサイト上に表示される偽のボタンやリンクを1回クリックするだけで、架空請求画面に誘導され、アダルトサイト利用料などとして金銭の振込を要求される詐欺)のアプリ版。
Googleはこのような状況の対策として、アプリマーケットへのマルウェアスキャン機能導入を発表するなどしている。AppleのApp Storeでは件数は少ないものの、マルウェアが報告された事例がある。
▶消費者庁、「コンプガチャ」は景表法違反と正式見解、7月1日以降は行政処分も
主にスマートフォン/携帯電話向けに提供されるソーシャルゲーム。その多くで実装されている「ガチャ」でこの頃大きな問題になったのが「コンプガチャ」(コンプリートガチャ)。ガチャで複数種のアイテムやキャラを全部そろえる(コンプリートする)ことによりレアアイテムを入手できるシステムのことで、例えば、あるゲームのガチャにおいて、特定のキャラ5体をそろえることで進化した強力なキャラが手に入るとした場合、強力なキャラが欲しいプライヤーは対象となる5体のキャラを入手するため、特定の1体を入手するよりもかなり多くの「課金」が必要になる。
この年5月に、消費者庁が、コンプガチャは景品表示法に基づく告示で禁止されている「カード合わせ」に該当するとの見解を示したことを報じたのが上記記事。これに合わせて、各社がそろってコンプガチャ終了を発表した。
▶Amazon「Kindle」を日本でも11月発売、「Kindleストア」は10月25日オープン
米国では2007年に発売されていたAmazonの電子書籍リーダー「Kindle」が、この年11月に発売。10月末にはAmazon.co.jpに「Kindleストア」がオープンした。当初発売されたモデルは、「Kindle Paperwhite」「Kindle Fire HD(7インチモデル)」「Kindle Fire」の3種類。初期のストアのラインアップには、合計1万5000を超える漫画タイトルと、日本の名作などの無料の日本語書籍1万タイトル以上が含まれるとしている。
▶米Google、ARメガネ計画「Project Glass」のプロトタイプを発表
4月に、Googleは今でいうARグラス/スマートグラスのはしりと言える「Project Glass」のプロトタイプを発表した。AR技術に対応し、音声操作も可能だとしている。
同製品は「Google Glass」として開発者向けに提供されたほか、2014年に米国で販売されるなどしたが、2015年には一旦販売を終了した。
▶これもひとつの聖地巡礼?「パチンコガンダム駅」に実際に行ってみる人々(やじうまWatch)
ほとんどのプロダクトがポジティブな話題になるAppleだが、この年に登場したiPhone用OS「iOS6」では、新しいマップ機能が変な方向で話題に。ベータ版では情報がスカスカだとして物議を醸し、正式公開後もスカスカぶりや、実在しない地名が表示されることが話題になった。上記のやじうまWatchの記事では、実在しない地名の中でも抜群のインパクトがあった「パチンコガンダム駅」に行ってみた人たちのエピソードを紹介している。
また、年末には、ジャーナリストの西田宗千佳氏と、地図のスペシャリストである河合太郎氏による、本件に関する特別対談記事も掲載している。
Page 12
2011年(平成23年)3月11日に東日本大震災、および福島第一原発事故が発生。発生直後からの連絡や情報共有の手段として、その後の情報インフラとして、インターネットが大いに存在感を示した。
海外では、チュニジア、エジプトなどアラブ世界各国で「アラブの春」と呼ばれた反政府デモや民主化活動が連鎖的に発生。この動きにも、インターネットが大きな役割を果たした。
そのほか、テレビ放送の電波が現在の地デジ(地上デジタル放送)に完全移行し、アナログ放送が終了したのがこの年の7月。同じく7月にはサッカー女子W杯で「なでしこジャパン」が優勝。「なでしこジャパン」はこの年の新語・流行語大賞になった。新語・流行語トップテンには、震災関連の言葉複数のほか、「スマホ」も入っている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2011年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
3月11日(金)午後発生した東日本大震災の後、翌12日は更新を行わなかったが、13日にはスタッフが自宅から更新を行い、Googleマップが被災後の衛星写真公開、mixiの関連コミュニティ紹介、震災に便乗した偽・誤情報チェーンメールへの注意喚起などの記事を公開している。
緊急のニュースなどにも対応できるようリモートで更新できる体制を持っていたが、複数のスタッフが手分けしてリモートで更新するのは珍しいことだった。震災でインプレスのオフィスも大きな被害を受け、週明け14日には、皆で片付けから始める必要があった。
上記記事は、原発の稼働停止や震災の影響をうけたほかの発電所の停止などにより電力不足になったことを受け、東京電力が3月14日から開始した計画停電に関する情報を紹介したもの(14日は多くの計画停電が見送られた)。3月25日に掲載した計画停電の対象地域グループ化に関する記事は、この年で2番目に読まれた記事となっている。
震災発生直後は、携帯電話各社で輻輳(通話やSMSの利用が集中しすぎて渋滞したような状態になること)が発生したため、インターネットを利用し、TwitterなどのSNSで情報を共有した人も多かった。現在国内で広く利用されている「LINE」は、この年6月のサービス開始で、震災発生時にはまだない。
交通関係の情報の共有にもインターネットが大いに活躍。Googleマップが、ホンダらの協力を受けて公開した通行実績情報マップを15日に紹介している。通行実績情報マップは、この年のグッドデザイン大賞に選出されており、これ以降の災害発生時にも作られるようになる。
当時の出来事については、震災時の各社・団体のエンジニアの活動についてレポートした連載「東日本大震災、そのとき技術者は」もご覧いただきたい。やじうまWatchでは、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の「ヤシマ作戦」(日本中の電力を集めて敵を討伐した作戦の名称)にちなんだ節電呼び掛けの動きや、避難所がAmazonの「ほしい物リスト」を使って救援物資を募集したエピソードなどを紹介している。
▶米Adobe、モバイル版「Flash Player」の開発を中止、今後はHTML5に注力
インターネット普及初期からアニメやインタラクティブコンテンツの開発・再生プラットフォームとして浸透していた「Flash」だが、2010年4月にiPhone版の開発打ち切りを発表していた。続いて、この年11月にモバイル版プレイヤーの開発中止と、HTML5への注力を発表したのが、上記の記事。
これまでの深刻な脆弱性が多発していたこと、HTMLだけで高度な表現が可能になっていたことからの方針転換で、2017年に7月にはPC版プレイヤーについても2020年末での終了が発表された。
▶ソニー、7700万件の個人情報漏えいに対して謝罪 5月中にPlayStation Networkのサービス再開を目指す
4月、ソニーのPlayStation Networkで不正アクセスが確認され、サービスを停止。調査の結果、個人情報約7700万件が流出する、極めて大規模な個人情報流出事例となった。サービスは4月21日頃から接続障害が発生した状態になっており、27日に不正アクセスや情報流出の可能性が公表された。5月に入って緊急記者会見が設定され、説明が行われたのが上記の記事。日本でのサービスが全面再開したのは7月6日のこととなり、3カ月近くサービスが停止したことになった。
▶グルーポン、「バードカフェ謹製おせち」問題を受け今後の対応発表 ▶ペニーオークションで撤退相次ぐ、返金に応じない事業者も
グルーポンは米国発のサービスで、2010年に日本に進出していた。クーポンを多くのメンバーが共同購入することで、欲しい物を安価に購入できる(多数の注文が確定した状態になるため、安価な提供が可能になる)ことが特徴だが、この年の正月用にバードカフェがサービス上で提供した「謹製おせち」は、テレビのニュースなどで「スカスカおせち」と言われたほどサンプル写真とは大きく異なる内容だったうえに配達の遅延も発生し、大問題となった。
ペニーオークションは、一般的なネットオークションと異なり、入札するたびに手数料がかかることが特徴。これにより、落札価格は一般的なネットオークションよりも安くなりがちだが、参加者は手数料により高額の支払いを求められることがある。上記記事では、トラブルの多発と事業者の相次ぐ撤退を報じている。この年の3月には、消費者庁が事業者3社に不当表示に対する措置命令を行っている。
ペニーオークションに関しては、翌2012年に詐欺および複数の芸能人が関係したステマ(ステルスマーケティング)事件が発覚する。
▶パーソナルクラウドを実現する「Pogoplug」、2月4日発売
2月に「Pogoplug」(ポゴプラグ)の国内販売が発表された。自宅内のLANに接続した本体のUSBポートにHDDを接続することで、自宅外からもインターネット経由でアクセス可能にするデバイス。非エンジニアでも簡単に設定でき、自分専用のクラウドストレージ感覚で利用できる、という意味での「パーソナルクラウド」デバイスのはしりと言える製品だ。
なお、メーカーのCloud Enginesは、同年6月にデバイス不要でPogoplugの機能を実現できるソフトウェアを公開している。
▶Google+で「AKB48紅白対抗歌合戦」を生中継、20日18時から
国内のSNSではTwitter、mixiが人気で、年始からFacebookも話題になり、Instagramはまだ渋い写真共有サービスといったポジションにあったこの年の6月、Googleが新しいSNS(Googleのサービス全体にソーシャルな要素を取り入れるものと位置付けられている)である「Google+」を発表、9月に一般公開した。
12月に、AKB48がGoogle+を利用することが発表され、上記記事で、AKB48のライブイベントをGoogle+でライブ中継することを告知している。翌2012年に入っては、Google+上での「ぐぐたす選抜」企画、選抜総選挙のライブ配信なども行っている。
検索サービスなどでは強力なGoogleだが、SNS・ソーシャルメディア的なサービスでは成功できておらず、サービスの設計が先進的すぎるなどとの指摘もある。前年の2010年には、2009年に発表したコラボレーションサービス「Google Wave」を終了。終了発表のタイミングで解説書を執筆していた著者が「追悼イベント」を開催するという珍事もあった。Google+は2019年までサービスを継続した。
▶月額1480円で海外ドラマや映画が見放題、米国で人気「Hulu」が日本でも開始
この年の9月、動画配信サービスのはしりとして「Hulu」が日本でサービスを開始した。当時「Netflix」「Amazon Prime Video」といった動画配信大手も米国で展開していたが、日本上陸はHuluが初。Huluにとって、日本が初の米国外でのサービス提供だった。
Huluの日本上陸は当時「黒船」とも言われた。当時、一部の対応テレビ向けに配信サービスを提供していたU-NEXTは2012年5月にPC向けサービスを発表、YouTubeは12月に映画などの有料配信開始など、対抗と見られる動きもあった。その後、2014年2月に、Huluの日本事業は日本テレビに売却される。
▶「PC事業で一発逆転はない、スマホ事業で頂点を」~新生NHN Japan ライブドア出澤社長、ネイバー舛田室長が語る経営統合の狙い
この年の6月に「LINE」が公開された。本誌ではアプリ公開の自体は取り上げておらず、上記の記事は当時の開発元であるNHN Japanがネイバージャパン、ライブドアの2社との経営統合を発表した際のインタビューで、当時、公開から約4カ月で世界累計300万ダウンロードを達成しており、「スマホは国境がないに等しい。LINEに関しては、良いものをリリースすれば世界中で使ってもらえるという経験ができました」とのコメントがされている。
▶AndroidとiOS、プライバシーを丸裸にするソフトが仕込まれていたことが発覚 提供元は「携帯事業者とメーカーの品質管理のため」と主張
12月、米国のセキュリティ研究者が、多くのスマートフォンに「端末中で起こるほぼすべての動作を記録し、携帯キャリアや端末メーカーに送信」するソフトウェアがユーザーへの説明なくインストールされていることを発見し、「スマホ覗き見」ソフトとして問題に。これが、この年最も読まれた記事だった。国内で販売されている製品に関して、当時本誌でも調査を行っていた。各社の詳しい見解はケータイWatchが紹介している。
本誌ではこのほか、Carrier IQの機能自体はサービス向上につながり得るもので、ユーザーへの事前の説明なくインストールしていたメーカーと通信事業者に問題がある、との研究者の見解を紹介している。
▶「バルス」の瞬間のツイート数は秒間2万5088件、Twitterが「新記録」公式発表
当時の素朴なTwitterの盛り上がりを象徴するニュース。12月9日に「天空の城ラピュタ」がテレビ放送された際、「バルス」のツイートが2万5088件に達し、それまで同サービスでの秒間ツイート数記録8868件(ビヨンセの妊娠発表時)を大きく上回った。上記記事では、この数字が米Twitterでは「にわかに理解しがたいところもあったようだ」とのことで、セキュリティの確認などが行われたエピソードを紹介している。
なお、2013年には、11月11日に「ポッキー」を含んだツイート数が24時間で371万44件となりギネス世界記録になったと、江崎グリコが発表している。
Page 13
2010年(平成22年)9月、沖縄県の尖閣諸島付近で、違法操業する中国の漁船を取り締まろうとした海上保安庁の巡視船に対し、漁船が衝突する事件があった。衝突時の動画が流出してYouTubeに公開されたことも大きな騒動となり、本誌では当時の連載「山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿」で言及している。
前年発足した鳩山由紀夫内閣は、普天間基地移設問題やいわゆる「政治とカネ」の問題により急速に支持を失い、この年6月に菅直人内閣が誕生。党内の有力者であった小沢一郎氏から距離を置いた組閣や政権運営から「脱小沢」が流行語となった。が、民主党の支持は回復せず、7月の参院選で民主党は敗北し、過半数を割る。
流行語としてはこの年、かつてTwitterでよく使われた「~なう」が新語・流行語大賞トップテン入りしている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2010年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
「光の道」とは、前年から総務省主導で議論が進められてきた、「2015年頃を目途に、日本のすべての世帯にブロードバンド回線を普及させる」という構想。ソフトバンクはこれを全面的に支持し、5月に孫社長がUstreamで5時間ライブ配信を行うなどして、国費ゼロで実現する方法があると主張した。また、11月には片山善博総務大臣に要望書を提出している。
NTTは、9月に総務省のタスクフォースに提出した資料を公開。強制的な移行計画の策定は困難だと主張した。そのほか、5月にはCATV連盟が意見表明、6月には電力会社系の通信事業者6社が合同記者会見を行い、国民を巻き込んで議論を深める必要性を訴えている。4月に開催されたブロードバンド推進協議会のシンポジウムのレポートでは、楽天の三木谷浩史会長がNGNの閉鎖性について批判したことを紹介している。
12月に総務省がとりまとめた同構想に関する基本方針を取り上げたのが、上記の記事。NTT東西が保有する家庭へのアクセス回線などのボトルネック設備を他社も同等に利用できることが必要だとの指摘を受け、具体的内容を早急に確定し、関係法律の改正案を次期通常国会に提出するとした。また、接続料の低廉化についても検討する方針を示した。ソフトバンクが提案していた、NTT東西のアクセス回線部門分社化は退けている。
▶Appleがタブレット型端末「iPad」発表、電子書籍市場にも参入
この年4月に初代「iPad」が米国で発売、あまりの人気に米国外での販売開始が延期となり、日本では5月発売となった。「iBooks」アプリを搭載し、電子書籍用端末としても期待された。
なお、日本向けiBooks Storeがオープンするのは2013年。大手電子書籍サービスの動向では、日本のKindle Storeオープンは2012年のこととなる。が、この年多くの電子書籍端末やサービスが国内でリリースされており、本誌では2010年を「電子書籍元年」として、年末に関連記事をまとめている。
▶1月1日からダウンロード違法化、Winny/Shareノード数に変化は? ▶警察庁が「P2P観測システム」を正式運用
この年1月1日に、いわゆる「ダウンロード違法化」を盛り込んだ改正著作権法が施行された。従来、著作物をダウンロードする行為は「私的使用のための複製」として、法的には問題ないとされていたが、違法にアップロードされた著作物を、違法にアップロードされたものを知りながらダウンロードする行為は違法とされた(この時点では音楽と映像コンテンツが対象。2021年からはすべての著作物が対象となっている)。
これは、当時まだ利用者が多かったP2Pファイル共有ソフトによる違法な著作物のやり取りが想定されたもの。Winnyのほか、「Share」(シャレ)というソフトウェアの利用者もこの頃多かったが、上記記事ではノード数の大幅減少を報じている。
同じく1月1日、警察庁がP2Pファイル共有ネットワーク観測システムの正式運用を開始した。
▶「radiko.jp」が本格配信開始、栃木・和歌山など5県が新たにエリアに
この年3月から実証実験としてサービスを開始していたIPサイマルラジオ(地上波ラジオ放送と同じ内容のインターネット配信)「radiko」が、12月に運営会社を設立し、本格配信を開始した。当初は全国をカバーしておらず、実証実験段階では東京と大阪のラジオ局と周辺都府県を対象としており、その後、北海道、名古屋、福岡、さらに関東・関西の周辺エリアへとサービス範囲を広げていった。
▶オンラインストレージ「Dropbox」のクライアントソフトが正式版に ▶話題の“パーソナルクラウド”サービス「Evernote日本語版」開始
高速通信環境や可搬性が高いデバイスの普及を背景として、デバイス内だけ(ローカル)で完結するのでなく、ネットワーク上のサービスを利用して作業する「クラウドコンピューティング」が、2008年頃から話題になっていた。2026年の今ではごく当たり前だが、あるデバイスで保存したデータがほかのデバイスから取り出せたり、ユーザー間での共有が簡単にできたりといった利便性を魅力とする個人向けのクラウドサービスがこの年あたりから流行りだした。
クラウドストレージの「Dropbox」は2008年にスタート。上記ニュースではWindowsとMacのクライアントソフトが正式バージョンになったことを紹介している。日本語版の提供は2011年になるが、通常は特に操作を必要とせずクラウド同期が行われるので、英語が苦手でも問題なく利用できた。
「Evernote」も2008年にスタートし、2010年に日本語版の提供を開始したことで、国内での普及に弾みがついた。上記記事では「パーソナルクラウド」と紹介しているが、OneNoteやNotionの原型とも言えるオンラインノートアプリ。スキャナーやカメラなどのさまざまなデバイスから、さまざまなデバイスのデータを取り込んでまとめられることが、当時では斬新であり便利だった。
▶角川グループとドワンゴが業務提携、ニコ動で電子書籍や公式チャンネル展開
10月、角川グループホールディングスとドワンゴは、角川グループのコンテンツをニコニコ動画で展開するなどの業務提携を発表した。
両社は2014年に経営統合を発表、10月に株式会社KADOKAWA・DWANGOを設立する。現在のKADOKAWAグループのかたちになったは2019年7月。
▶都の青少年健全育成条例改正案、条文が明らかに、ネット・携帯関連も修正 「非実在青少年」の文言は削除
東京都青少年の健全な育成に関する条例(青少年健全育成条例)は、18歳未満の青少年の健全育成を目的とし、不健全図書の指定などを定めたもので、2005年の改正において、フィルタリングの利用が加えられていた。この年に改正案が提出されたが、3月の段階では、フィルタリング解除手続きの厳格化のほか、不健全図書関連で「非実在青少年」(アニメ、マンガ、ゲームなどフィクションの作品の青少年)の性的描写のまん延防止などが盛り込まれていて物議を醸した。
その後、6月の都議会本会議でこの改正案は否決。12月の本会議に向けてあらためて作成された改正案について取り上げたのが上記記事で、フィルタリングに関しては「性能及び利便性の向上に努める」のような文言となり、「非実在青少年」の文言は削除されている。この改正案は「慎重に運用すること」との付帯決議付きで可決された。
▶Googleが中国からの撤退示唆、「検閲をこれ以上容認できない」
Googleは2006年に中国でサービスの提供を開始しており、その際に、中国政府による検閲を受け入れたことも発表していた。2010年1月の上記記事では、中国向けサービス「Google.cn」における検閲をこれ以上容認する意思はないと表明し、中国を発信源とする“高度に洗練された”攻撃や、中国の人権活動家のGmailアカウントへのアクセスにも言及している。なお、中国政府はこれについて反論している。
この後3月に、Googleは中国からの撤退を発表した。当時の中国メディアやソーシャルメディアでの受け止めが山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿」で紹介されている。
▶「NAVER」月間訪問者が134万人に、「NAVER まとめ」効果で
CGM(Consumer Generated Media)の流行でウェブ上のコンテンツが爆発的に増える中、特定のテーマに沿って情報を収集・整理した「まとめサイト」「まとめページ」が重宝がられ、検索サービスでも結果の上位に表示されやすかった。そのような状況下で、2009年7月に登場したのが「NAVERまとめ」。ユーザーがまとめページを作成できる「キュレーション・プラットフォーム」をうたっていた。
上記記事は、検索サービスなども備えた「NAVER」のウェブサイトの月間訪問者数が順調に伸びており、NAVERまとめが牽引しているというニュース。運営元であるネイバージャパンの親会社NHN Corporationは2011年に「LINE」の提供を開始し、2013年にLINEに商号を変更、2019年には11月にヤフーとの経営統合を発表した。その後、2020年9月にNAVERまとめは終了している。
▶やじうまWatch 「Instagram」に投稿した写真は権利放棄とみなされるらしいと話題に ほか
Instagramはこの年の10月にiPhoneアプリとして公開。上記の「やじうまWatch」の記事は本誌が初めてInstagramを取り上げたもので、「今年後半から大流行」として、「さまざまなフィルターで加工した写真を投稿して共有するアプリで、写真版Twitterと呼ばれることもしばしば」と紹介しつつ、利用規約に、投稿した写真がフリーで使えるとする内容があることを指摘している。
2012年に、InstagramはFacebook(現Meta)に買収された。
Page 14
2009年(平成21年)、8月に行われた衆議院選挙で民主党が圧勝、鳩山由紀夫首相が誕生した。この年の新語・流行語大賞は「政権交代」だった。
民主政権での看板政策として行われたのが、「事業仕分け」。蓮舫議員がスパコン開発事業に対して「2位じゃだめなんでしょうか」との質問をしたことで有名だが、その際の対象となったスパコン「京」に関するクラウドWatchの記事では、当時のエピソードも紹介されている。
国内ではGDPが大幅減、米国では自動車大手のGM、クライスラーが相次いで経営破綻し、前年のリーマンショックの影響を感じさせた。そうした中で新型インフルエンザが世界的に流行。厚生省の資料によれば、日本では約200人が死亡した。
Impress Watchシリーズでも動きがあり、2001年に創刊した「BB Watch」(BroadBand Watch)が、この年の12月末で休刊。INTERNET Watchに統合となった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2009年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶「Winny」開発者・金子勇氏、逆転無罪、大阪高裁で控訴審判決
10月、2004年に逮捕されたP2Pファイル共有ソフト「Winny」開発者の金子勇氏に、大阪高裁で逆転無罪の判決が言い渡された。上記記事において、一審では「金子氏はWinnyが違法に使われていることを知った上で開発・公開を行っていた」として、有罪となったが、控訴審では「ソフト提供者が著作権侵害の幇助と認められるためには、利用状況を認識しているだけでは条件として足りず、ソフトを違法行為の用途のみ、または主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供している必要がある」と説明し、金子氏はこの条件に該当しない、と判決のポイントを説明している。
Winny事件に関しては、2023年に映画「Winny」が公開された際のまとめ記事も参照のこと。
▶Appleが「iPhone3G S」発表、最新OS搭載でコピペも可能に
iPhone 3GSが6月29日に発売に。iPhone 3Gからハードウェアのスペックアップ、OSの「iPhone OS 3.0」へのアップデートによるさまざまな新機能・新アプリ追加もある中、本誌が記事タイトルでも注目していたのは、メールやSNS、モブログ(モバイル端末からのブログ投稿)用端末としての使い勝手が大幅に向上する「コピペ可能」。
初期のiPhoneでは発売日の大行列も話題だったが、当時のレポートはケータイWatchの記事を参照されたい(ソフトバンク表参道、Apple Store銀座、ビックカメラ有楽町店、発売前日に行われた前夜祭)。
記事訂正
本記事の初出時、iPhone 3GSをNTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアで発売と記述しておりましたが、誤りでした。お詫びして訂正いたします。NTTドコモではiPhone 5s/5c(2013年)、auではiPhone 4S(2011年)が初めての取り扱いでした。
▶IEEE、無線LAN規格「IEEE 802.11n」を正式承認
2002年から標準化作業が進められていた無線LAN規格「IEEE 802.11n」が、9月にIEEE正式承認された。2006年からドラフト規格(1.0、2.0がある)に対応した製品が発売されていたが、ドラフト2.0の相互接続認定プログラムに合格した製品は、正式対応製品として取り扱うとされた。
2018年に、Wi-Fi AllianceはWi-Fi認証プログラムを分かりやすくナンバリングすると発表し、当時策定中だった最新規格であるIEEE 802.11axを「Wi-Fi 6」とした。あわせて、1つ前のIEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」、さらに1つ前となるIEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」と呼ばれることになった。
▶「UQ WiMAX」提供開始、「真のモバイルブロードバンドを目指す」
2月、UQコミュニケーションズが、モバイルWiMAXによる通信サービス「UQ WiMAX」の試験サービスを開始。7月から正式サービスを開始した。開始当初の通信速度は下り最大40Mbps、上り最大10Mbps。当時の携帯電話(3G)の通信速度は、NTTドコモの「FOMAハイスピード」で下り14Mbps、上り5.7Mbps。
この年には、ほかにもXGPの「WILLCOM CORE XGP」、イー・モバイルのHSPA+サービスも始まっている。
▶Googleが謎の携帯端末を社員に配布、ブログに思わせぶりな投稿も
Googleは12月、Google Mobile公式ブログに「これまでに公開されていない携帯端末を社員に配布し、テストを開始した」との投稿を行った。同時に、同社社員のTwitterでは「Google Phoneをテストしている」とのツイートがされたという。
これは、翌2010年1月に発表されたAndroidスマートフォン「Nexus One」だと見られる。Androidの情報は2007年から公開されていて、オープンプラットフォームであることが1つの特徴とされていた。
なお、初のAndroidスマートフォンは、2008年9月にT-Mobileから発売されている。日本で初めて発売されたAndroidスマートフォンは2009年7月にNTTドコモが発売した「HT-03A」。
▶勝間和代氏など、Twitterを利用する著名人がスペシャルゲスト
iPhoneの普及もあってか(Twitter公式のiPhoneアプリは2010年の公開だが、サードパーティのアプリやウェブブラウザーから利用できた)、この年Twitterの流行が加速した。上記記事は、この年の10月に開催された公式イベント「Tweetup Tokyo 09 Fall」のレポート。勝間和代氏、広瀬香美氏ら、当時Twitterに増えだした有名人を紹介している。
「やじうまWatch」でもTwitterネタが多い。広瀬香美氏が当時の「Twitter」ロゴがカタカナのbnや、ホリエモンこと堀江貴文氏がiPhoneをゲットしたとツイートした件など、さまざまな動向を取り上げている。孫正義氏が利用を開始したのも、この年。
携帯電話版βがオープンなど新機能や、BIGLOBEがポータルトップにTwitter枠設置のような連携のニュースもあった。
▶「Google Chrome OS」プロジェクトが公開、製品登場は2010年後半
11月、Googleは、独自に開発したOS「Google Chrome OS」を、オープンソースプロジェクト「Chromium OS」として公開した。ウェブアプリケーションの利用に特化し、電源を入れて7秒で起動するという軽快さが売り。今の「Chromebook」が初めて発売されたのは2011年のこと
▶2月に障害発生の「Doblog」。5月30日をもってサービスを終了
2003年頃からブログが注目され、各社がサービスを開始。2005年頃からはウェブ上における個人ユーザーの発信力・影響力が強まっていく「Web 2.0」のムーブメントが話題になるなどする中、ユーザー投稿型のCGM(Consumer Generated Media)サービスが続々と始まっていたが、ユーザーが集まらないサービスや商業的に成功できなかったサービスの閉鎖が、この年あたりから目立ち始める。
上記記事で取り上げているNTTデータの「Doblog」は、2月にサーバーのHDDに障害が発生。4月になってすべての情報の復旧はできなかったものの99%以上は復旧できた、といったアナウンスを行った後、開設時の目的であった技術的知見やノウハウの蓄積は達成できたとして、サービスの終了を発表した(同サービスはもともと実験サービスとして開始されていた)。
この年にはこのほか、2月にライブドアの初心者向けブログと位置づけられていた「nowa」が終了を発表、10月に「ドリコムブログ」がライブドアへの譲渡を発表している。ブログ以外では、アバターを使ったコミュニケーションが楽しめるサービスとして人気だった「Cafesta」が5月にサービス終了。米国では老舗ホームページ作成サービス「Yahoo! GeoCities」が10月に終了した(日本の「Yahoo!ジオシティーズ」は2019年まで提供された)。
SNSなどのCGMサービスは、ユーザーが多ければ多いほど、コンテンツの発信者も受信者も増えるためユーザーにとっての価値が上がる。人気サービスはますます人気になり、一方でユーザーの少ないサービスは盛り上げが難しく、二極化が進んでいく。
▶「10年間ネットで中傷被害」スマイリーキクチがブログで事件経緯
ネットの誹謗中傷問題で、しばしば代表的な事例として語られるのが、スマイリーキクチ氏に対する誹謗中傷。上記の記事では、同氏が自身のブログで約10年間続いてきた誹謗中傷について説明したことを紹介している。この記事が公開される前に、警視庁は誹謗中傷容疑で18人を摘発したと発表している。
▶Windows Mobile 6.5搭載の「Windows Phone」は10月6日発売
iPhoneが大人気となり、GoogleもAndroidの提供を準備しつつあったこの年、Microsoftは「Windows Phone」を発表した。ただし、日本で端末が登場するのは2011年のこと。2026年現在では、iPhoneとAndroidの二強に割って入ることはできていない状況となっている。
Page 15
2008年(平成20年)6月、「秋葉原通り魔事件」が発生し、17人が死傷。PC・IT業界にとって関係の深い街で起きた事件は、SNSなどでも特に重く受け止められ、影響も大きかった。
政局では、9月に福田首相が辞任して麻生内閣が発足した。その麻生内閣も翌2009年には民主党に政権交代して鳩山内閣が発足と、国内ではしばらく短命政権が続くようになる。
米国で、9月にリーマン・ブラザーズが経営破綻して「リーマン・ショック」が発生。世界的な金融危機となった。そして、この年に行われた大統領選により、バラク・オバマ氏が当選。2009年に大統領に就任する。初の白人以外の大統領であり、ネットにおいては選挙期間中のイメージ戦略にSNSを活用した事例としても注目を集めた。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2008年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶Googleマップの「ストリートビュー」機能、日本でも開始
Googleマップのストリートビューは、2007年5月に米国でサービスを開始。日本では、この年の8月に5都市を対象にサービスを開始した。
ところが、撮影したカメラの位置が高く、日本の多くの住宅では塀などを超えて庭の中の様子が見えてしまう点や、人の顔や自動車のナンバープレートなどが写って点など、多くのプライバシーの問題が指摘された。
Googleは当初、こうした指摘に対して「公道から撮影したものであれば、基本的には公開して構わないと考えている」「処理が完全ではない場合もあるため、問題のある画像については報告してほしい」といった説明を行っていたが、2009年5月に、カメラの位置を低くしての再撮影などを発表。見直しが行われて現在に至る。
▶Googleが独自ブラウザ「Google Chrome」を9月2日にリリース 世界100カ国以上でベータ版同時公開
9月に「Google Chrome」ベータ版が公開された。この際のコメントについて、上記記事では「ブラウザを、アプリケーションを実行するためのプラットフォームに仕上げようとする意図を感じさせる。それだけに、巨大なプラットフォームであるWindowsを持つMicrosoftとのこれまでにない本格的な対決を予感させる」として、Microsoft Office代替環境としてのGoogleドライブ(Googleドキュメント)に言及している。
また、発表された9月1日が米国では休日であり、ほかのニュースが少なくなる中で、同社が主要なブログに対して事前に情報を提供していたことなどに言及している。同年12月にChromeは正式版となった。
2008年当時、スマートフォンはまだ普及しておらず、携帯電話のインターネット機能は限定的であり、インターネットを利用するアプリケーションとして、PC向けウェブブラウザーの役割は非常に大きく、シェア争いの重要度も高かった。この年、Microsoftは3月にIE 8ベータ版を、Appleは同じく3月にSafari 3.1を公開している。MozillaはFirefox 3の公開時、24時間で合計800万2530ダウンロードのギネス記録達成で話題作りをしている。
▶NTT東西、NGNサービスを個人に提供開始、3月31日から
NTT東西が、NTTグループの次世代IP通信網である「NGN」(New Generation Network)を利用した商用の光回線サービスとして、2026年現在も続く「フレッツ 光ネクスト」の提供を3月に開始した。
それまでの光回線サービスである「Bフレッツ」については、この後、契約者を「フレッツ 光ネクスト」に移行するなどの施策が行われ、2021年にサービスを終了した
6月8日に発生した秋葉原通り魔事件で、犯人は犯行前にインターネット掲示板に犯行予告を行っていた。上記記事は、この年の6月8日~28日の期間に、インターネット上で犯行予告を行ったことによる逮捕・補導が30件あったと警察庁が発表したというもの。
この年、2月頃から特定化学物質を利用しての自殺事件が相次いでおり、その製造方法を紹介するなどする書き込みについて、4月に警察庁が削除要請を行っていた。
このような、自殺の誘因となりうる情報や犯行予告を含むネットの「有害情報」は社会問題となっており、前年より開催されていた総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」においても議題に。違法・有害情報対策を(法律で規制するのでなく)「国民運動」にする、との検討も行われた。
▶“青少年ネット規制法”が成立、携帯事業者にフィルタリング義務付けなど
「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」、通称「青少年ネット規制法」が6月に成立した。インターネットに有害情報が多く流通する中、青少年が安心してインターネットを利用できるようにするため、インターネット接続サービスを提供する携帯事業者に、ユーザーが18歳未満の青少年である場合にフィルタリングサービスの適用を義務付け(保護者からの申し出がある場合を除く)ている。また、保護者に対しても、使用者が青少年であることを事業者に申し出ることを義務付けた。
INTERNET Watchでは当時「10代のネット利用を追う」という連載を実施。この中で、当時自民党青少年特別委員会の委員長であり、法案作成の中心的な役割を果たした人物として、高市早苗衆議院議員にインタビューを行っている。
▶Appleが「iPhone 3G」を発表、日本を含む22カ国で7月11日に発売
Appleが6月に「iPhone 3G」を発表した。前年に発表された初代iPhoneは日本国内で発売されず、iPhone 3Gはソフトバンクだけが販売した。より広い普及は、翌2009年に「iPhone 3GS」がNTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアで販売されるのを待つことになる。
▶「WEPは10秒で解読可能」、神戸大と広島大のグループが発表
無線LANの最初期の暗号化方式である「WEP」については、この年以前にも複数の脆弱性が判明しており、より強度の高い「WPA2」などの方式の利用が呼びかけられてきた。そして、この年の10月にわずか10秒で解読可能との実験結果が報告されたのが、上記のニュース。
これを受け、総務省も注意喚起するなどした。
▶宣伝効果はCM46億円相当、オバマ大統領のYouTube政治戦略とは
2008年の米大統領選挙において、民主党のバラク・オバマ氏が、共和党のジョン・マケイン氏に勝利した。この選挙において、オバマ陣営はTwitterやYouTubeを活用したイメージ戦略を展開して話題となった。上記記事は2009年1月の記事だが、YouTubeのシニアプロダクトマネジャーが、オバマ陣営のYouTube活用事例を紹介し「米国のテレビ広告費に換算すると46億円相当」だと評価している。
投稿量の多さに加え、キャッチフレーズ「Yes, We Can」のコラボレーションやマッシュアップの動き、テレビとの相乗効果、多言語字幕への対応などが言及されている。また、反オバマ陣営がインタビューの失言部分のみを編集した、今でいう「切り抜き」映像をアップロードしたが、支持者がインタビューの全編をアップロードし、失言の真意が伝わるようにするなどしてオバマ氏を擁護する動きを見せた、といった事例もあったという。
オバマ氏の大統領就任に関連し、2008年末にはオバマ氏が経済再生計画の柱として打ち出していたブロードバンド基盤整備に関する記事を公開している。また、再選を狙った2012年の大統領選挙では、Twitterで勝利宣言が記録的なリツイート数となったことを紹介している。
▶ニコニコ動画でJASRAC楽曲の利用が可能に、ニワンゴがJASRACと契約締結 ▶YouTubeとJASRACが利用許諾契約、演奏動画の投稿が可能に
JASRACは、この年の4月にニコニコ動画と、10月にYouTubeと包括的な利用許諾契約を締結。大手動画共有サイトで、JASRACの管理楽曲を演奏・歌唱した動画をユーザーが投稿できるようになった。
この年には、ほかの音楽著作権管理団体と動画共有サイトの間でも包括利用許諾契約が結ばれた。Googleとジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)との契約のニュースでは、「アーティストのオリジナル楽曲と、ユーザーのカバー楽曲が同じサービス上に並ぶことになり、ユーザーにとってはより深い音楽体験ができる。JRCは今後も時代に敏感な著作権管理事業者でありたい」というJRC側のコメントが紹介されている。
▶Facebookが日本語サイト公開、実名ユーザー登録で差別化図る
2004年に米国で一部の大学生向けのSNSとしてスタートしていたFacebookは、徐々に対象を拡大し、2006年に一般向けにサービスを提供。2008年から英語以外の言語圏向けにも展開し、この年の5月に日本語サービスの提供を開始した。ハンドルネームなどでの利用が多かった当時のSNSで、「実名で登録すること」を特徴としている。
マーク・ザッカーバーグ氏とFacebookの評伝を原作とした映画「ソーシャル・ネットワーク」が日本で公開されたのは2011年1月で、これと前後して2010年頃から、「ビジネス向けSNS」として日本でもFacebookが盛り上がるようになる。
Page 16
2007年(平成19年)7月の参院選で、前年発足した安倍政権の自民党が大敗。9月には安倍晋三首相が突然辞任(健康問題が原因だったと言われる)して、福田康夫氏が首相となる。参院選大敗の原因には、年金記録問題への批判、北朝鮮問題への対応に消極的と見られたこと、閣僚の汚職問題などが重なっての大幅な支持率低下があった。
米国では、翌年のリーマン・ショックにつながる、サブプライムローン問題が7月頃から浮上。11月頃からは原油価格の高騰が起こり、経済不安が広がった。
この年の新語・流行語大賞およびトップテンには、「消えた年金」「食品偽装」「ネットカフェ難民」といった社会問題のキーワードが多く挙がっている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2007年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶動画上にコメントが載せられる「ニコニコ動画」、ニワンゴがベータテスト
ドワンゴは2005年11月にニワンゴを設立。「2ちゃんねる」管理人のひろゆきこと西村博之氏を取締役に迎え、話題となった。同社は当初携帯電話向けサービスを提供していたが、2006年12月に実験サービスとして「ニコニコ動画」を開始、2007年1月にベータとして提供を開始した。
当初のニコニコ動画は、YouTubeなど他の動画共有サイトの動画に重ねて、サービスのインターフェースによりコメントを投稿できるサービスだった。が、翌2月にYouTubeからアクセスを遮断され、いったんサービスを終了。3月に、動画投稿サイト「SMILEVIDEO」と共にサービスを再開した。
その後、ニコニコ静画など多くの関連サービスも展開。2012年にはサービスの総称を「niconico」に変更(2020年に「ニコニコ」に変更)、2015年にはドワンゴがニワンゴを吸収合併、といった動きがあった。近年では2024年のランサムウェア攻撃による被害が大きな話題となった。
▶「文化庁の独走を許すな」池田信夫氏らがダウンロード違法化に反対
私的録音録画補償金制度(私的録音・録画に使われる機器、特にデジタル録音・録画用の媒体に補償金を設定する制度)の抜本的な見直しについて議論していた文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会が8月に、それまでの議論をまとめた資料を提出。この中で、「権利者に著しい経済的不利益を生じさせ、著作物の通常の利用を妨げる利用形態との指摘があった形態」として、著作権法第30条で認められる私的使用のための複製の対象から除外すべきという危険が大勢であったとして、「違法サイトと承知の上で録音録画する場合」や「明らかな違法録音録画物からの録音録画」を例示した。
同年1月には、文化庁文化審議会著作権分科会で「著作者の許諾を得ずに複製・交換される著作物をファイル交換ソフトでダウンロードする行為について、私的複製の範囲から明文化して除外する規定を設ける必要性」が指摘されている。
従来、私的使用のための複製は、著作権者に無許可で行うことができ、違法ではなかった。しかし、違法にアップロードされたものと知ってダウンロードする行為を、いわば権利侵害の歯止めとして違法化する、との意見がここで示される(アップロードは従来から違法である)。これが「ダウンロード違法化」と呼ばれた。
これについて反対意見が多く上がり、上記記事では、12月に行われた、インターネット先進ユーザーの会(MIAU)らによるイベントの様子を紹介している。文化庁では、その後の議論においても「ダウンロード違法化はやむを得ない」との見解を示していた。
結局、この「ダウンロード違法化」は決定され、2010年1月に施行された。この時点では音楽と映像のみが対象だったが、2021年1月からは、すべての著作物が対象となっている。
▶“big business”化するスパム、ボットの役割分担は「アルカーイダ並」
昨今のランサムウェア攻撃は、攻撃ソフトの提供者、攻撃の実行者、身代金供給の実行者などによる一種のエコシステムが形成され、ビジネスとして行われている実態がある。また、サイバー攻撃のビジネス化は、ランサムウェア攻撃に限ったことではない(DDoS攻撃の例)。これに似た指摘が、この年行われた「Email Security Conference 2007」で行われている。
上記記事では、スパムメールが「big business」になっており、PCを乗っ取ってボットネット化し、そこから特定の株価を釣り上げるスパムメールを大量に配信したり、不正侵入のための踏み台にされたりしており、「もはや趣味の領域ではない」と指摘されている。
総務省が12月に発表した2007年度第2四半期のFTTH(光回線)のシェア調査結果において、NTT東西が70.5%となり、前期の69.9%から微増し、70%を超えた。
同じく12月に実施された、総務省と通信3社(NTTコミュニケーションズ、KDDI、ソフトバンク)が参加したシンポジウムにおいて、ソフトバンクは、FTTH市場ではNTT東西が圧倒的なシェアを持ち、競争による料金低減・サービス向上が見込めないと指摘。光アクセス回線の開放ルールをソフトバンクやKDDIが求めているように1分岐単位での開放に改めるか、アクセス回線網機能の分離により同等性を確保することで、他事業者の参入を容易にして競争を促進すべきだと訴えた。
2011年11月にソフトバンクは1分岐単位での開放などを求めてNTT東西を提訴したが、2014年6月に棄却されている。一方でNTTはフレッツ光回線の卸売りサービス「光コラボレーションモデル」を発表。2015年2月に開始した。
Winnyを介したウイルスによる情報流出事件はこの年も続いている。防衛庁では、自衛隊員の私有PCから秘匿性の高い情報が流出したことを受け、2006年4月にWinnyが動作しないPCを5万6000台支給し、私有PCの持ち込みを全面禁止とする対策を行っていたが、2007年2月の上記記事で明るみに出たのは2006年8月頃の陸上自衛隊での情報流出。2008年10月にも、陸上自衛隊での情報流出が明らかになっている。
▶年会費3,900円で配送料完全無料、Amazon.co.jpが会員制プログラム 最速で注文当日に商品が届く「お急ぎ便」も使い放題
6月にAmazon.co.jpが有料会員制プログラム「Amazonプライム」を開始した。「お急ぎ便」が無料になり、配送料が常に無料になることが特徴とされた。
バーチャルシンガー「初音ミク」は、クリプトン・フューチャー・メディアから2007年8月に発売され、直後から「ニコニコ動画」などで人気となった。INTERNET Watchで初めて紹介しているのが、上記の「やじうまWatch」の記事。10月には画像検索で初音ミクが表示されないとのトラブルを紹介するなどもしている。
▶「Second Life」日本語版公開、登録から運用まで日本語表示に
3Dバーチャルワールド「Second Life」は、2003年にLinden Labが公開。多くの企業とコラボレーションするなど話題作りが行われ、INTERNET Watchでは2007年末に関連記事のまとめを作って振り返っている。
この年の新語・流行語トップテンにも入った「ネットカフェ難民」。2000年代に入り都市部に増えていたインターネットカフェを、経済的に困窮し、住居を持たない人が利用していた。上記記事は、8月に日本複合カフェ協会(JCCA)が「ネットカフェ難民」との呼称の使用やセンセーショナルな報道により利用者が減少しているため、使用をやめてほしいとの声明を出したとのニュース。
同じく8月に厚生労働省はネットカフェやマンガ喫茶への調査による「住居喪失不安定就労者」の実態調査を行い、ネットカフェ難民は全国で約5400人との推計を発表した。INTERNET Watchでは、JCCA会長のインタビューも行っている。
ネットカフェは身元を隠してインターネットを利用できる場にもなっており、同年3月には、警察庁が事業者に対して利用者の本人確認の徹底などを求める報告書を公開している。
Twitter(現X)は2006年7月にサービスを開始。2007年に入って日本でも注目を集めるようになる。上記の「やじうまWatch」の記事では、話題になりだしたTwitterについて「日本では9日頃から『Twitter』なるWebサービスが急速に普及中だ。今何をしているのかを1行で書くと、友人に知れ渡る、という簡単なものだ。日本でも類似のサービスがもういくつか立ち上がっているらしいので、今はなんだかわからなくても、とりあえず注目しておいたほうがよさそうだ」と、いささか投げやりな雰囲気もある紹介がされている。
当時、SNSやブログ、その他のCGM(Consumer Generated Media)サービスが次々と公開され、ヘビーユーザーはとりあえず(継続利用しなくても)登録して自分の好みのユーザー名を押さえる、という動きがあり、そうした風潮からのものかもしれない。
Twitterは2008年4月に日本語版サービスの提供を開始。「米国内が40%で他国が60%。この他国のトラフィックでは39%を日本が占める」と、世界の中でも特に日本で人気になっていることを紹介している。
Page 17
2006年(平成18年)は、1月に起きたライブドア強制捜査および堀江貴文氏の逮捕が社会全体でもIT業界でも大きなニュースとなった。強制家宅捜査を受けて株式市場でもライブドア株の取引停止などの混乱が起こり、「ライブドアショック」と呼ばれる。
政治では、小泉純一郎首相が自民党総裁としての任期満了に伴い退任し、安倍晋三氏が首相に。海外では、北朝鮮が初の核実験(地下核実験)を実施。当時、北朝鮮のほか日米中露韓による6カ国協議(六者会合)が行われていたが、北朝鮮の核開発に関して、特に前向きな結論を出すことはできなかった。
2月にはトリノ五輪が開催された。フィギュアスケートの荒川静香選手が金メダルを獲得し、「イナバウァー」が流行語となった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2006年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
この年の1月16日に、東京地検特捜部がライブドアを家宅捜査。23日に社長の堀江氏らが証券取引法違反の疑いで逮捕された。同氏は25日にライブドア社長を辞任。2月13日には起訴されている。
INTERNET Watchでは、起訴時にそれまでの経緯をまとめているほか、2011年の「ライブドア」消滅(NHN Japanに吸収)時には、2007年の堀江氏への実刑判決なども含めたまとめ記事を公開している。
NTTおよびNTT東西は、かねてより発表していた次世代ネットワーク「NGN」(Next Generation Network)のフィールドトライアルを2007年1月に開始するにあたり、この年の12月にISP各社とともに会見を実施して概要を説明した。
NTTグループのNGNは、「地域IP網」などの既存IP通信網を大容量通信に対応できるよう高度化したもので、2004年11月に発表されたNTTグループ中期経営戦略で言及されていたもの。トライアルを経て「フレッツ 光ネクスト」としての商用提供が2008年3月より開始され、2026年現在も同社の基幹ネットワークとして運用されている。
▶GoogleがYouTubeを16億5,000万ドルで買収
動画共有サービス「YouTube」は2005年12月に正式サービスを開始。すぐに世界中から大量のアクセスを集めたが、データ通信量が多いことから運営コストも非常に高いであろうことと、著作権侵害コンテンツの問題などが指摘され、運営体制が注目されていた。
そのような中、この年の10月にGoogleが巨額でYouTubeを買収。YouTubeでは広告チャンネルの開始や、以降行われる各国の権利者との交渉などにより、運営基盤を固め、現在も動画共有サービスの大定番として利用されている。INTERNET Watchでは、Googleによる買収を報じた10月10日までの関連記事まとめも公開している。
▶「Winny」開発者の金子勇氏に罰金150万円の有罪判決 幇助として問われるかどうかは「現実の利用状況や本人の認識による」
2004年に著作権法違反ほう助の疑いで逮捕・起訴されていた、P2Pファイル共有ソフト「Winny」開発者の金子勇氏に、12月13日に罰金150万円の支払いを命じる有罪判決が言い渡された。判決では、「それ(Winny)自体はP2P技術としてさまざまな分野に応用可能な有意義なものであり、技術としては価値中立的なもの」としたうえで、金子氏は当時Winnyにより著作権侵害となるファイルが広くやりとりされていることを認識し、こうしたソフトの提供が公然と行えることではないことも知りながら、Winnyの開発・公開を続けているとした。
金子氏は「私だけでなく、日本のソフトウェア技術者が曖昧な『幇助』の可能性に萎縮して、有用な技術開発を止めてしまう結果になることが何よりも残念です」として、その日のうちに控訴した。
▶東京電力がFTTH事業を分割、1月にKDDIへ統合。両社が正式合意
東京電力とKDDIは、東京電力の光ネットワーク・カンパニーを2007年1月に分割し、KDDIに統合すると発表した。東京電力の光回線サービス「TEPCOひかり」および、2社が共同で提供していた「ひかりOne」がKDDIからの提供となる。
2026年現在、TEPCOひかり、ひかりOneは「auひかり」に統合されている。また、東京電力グループの株式会社PinTは、2018年から「フレッツ光」回線を利用したISP「TEPCOひかり」の提供を開始している。
▶HDDの全内容を公開する「山田オルタナティブ」、Winny利用者以外も注意
2006年もWinnyネットワークを通じて感染する暴露ウイルス(ファイルを流出させるウイルス)と情報漏えいが相次いだが、この「山田オルタナティブ」は、メールの添付ファイルやウェブサイトからのダウンロードでも感染する可能性があるとされ、上記記事では「Winnyユーザーでなくとも信頼できないファイルはダウンロードを控えたり、開かないことが感染を防ぐことになる」と説明している。
▶ボット対策や人材面の脆弱性の克服を~次世代IPインフラ研究会が報告書案
マルウェアにより乗っ取られ、攻撃者の指示によりサイバー攻撃を行う機器のネットワークが「ボットネット」。近年では、特定のサーバー・サービスへのDDoSを行うIoT機器を指してボットネットと呼ぶことが多いが、この頃は主にPCがボットネット化し、DDoS攻撃のほかスパムメールの送信などウイルス(マルウェア)の拡散を狙った攻撃を行うことが問題視されていた。
上記のニュースは、総務省がセキュリティの課題などをまとめた「次世代IPインフラ研究会 報告書(案)」の中で、ボットネット対策が集中的に取り組むべき3つの課題の1つとされたというニュース。JPCERT/CCも、2006年の事業方針の中で、「ボットネット対策の推進」を重要な取り組みの1つとして挙げている。
▶米Google、表計算Webアプリケーション「Google Spreadsheets」ベータ版 スプレッドシートの共有と同時編集が可能
6月に「Google Spreadsheets」ベータ版の提供が開始されたというニュース。この後、同年10月には「Google Docs & Spreadsheets」となり、2007年9月にはプレゼンテーション機能(後のスライド)も追加して「Googleドキュメント」となった。そして、2012年4月に「Googleドライブ」が公開された際、Googleドライブに統合された。
▶著作権関連16団体、著作権の保護期間を「死後70年」に延長を求める共同声明
インターネット放送など著作物の利用機会が拡大する中で、権利者保護の観点から保護期間の延長を求める声もあるとして、9月に総務省が著作物の保護期間延長を提案。これを背景として、著作権関連16団体からなる「著作権問題を考える創作者団体協議会」は、当時死後50年とされていた保護期間を、欧米と同様の死後70年にそろえる必要性があるとの声明を発表した。
この後、2018年末に「TPP11」(米国を除いた環太平洋連携協定)が発効することにより、著作権の保護期間が死後70年となった。これを受けてINTERNET Watchでは、例えば著作権の保護期間が切れた小説などを公開する「青空文庫」への影響を懸念する記事を公開するなどしている。
▶世界のインターネット利用者が10億人を突破~UNCTAD調査
国連貿易開発会議(UNCTAD)が、2005年における世界のインターネットユーザー数が10億2061万人に達したと発表した、とのニュース。国別では、米国が1億8593万人(2004年時点)、中国が1億1100万人、次いで日本が8529万人。
Page 18
2005年(平成17年)は、9月に行われた衆院選で自民党が大勝。この選挙は郵政民営化の是非を問い、郵政解散・郵政選挙とも言われたもので、小泉純一郎首相が掲げ続けていた郵政民営化が実現する運びとなる。
2月にはライブドアによるニッポン放送買収騒動が勃発。ライブドア社長の堀江貴文氏は、ニッポン放送の騒動に関連して、しばしば「想定内」と発言。騒動終結後は9月の衆院選に立候補するなど、この年、大いにメディアを賑わせた。
この年の新語・流行語大賞は「小泉劇場」と「想定内」の2つとなっている。このほか、2003年から話題になっていた「ブログ」がトップテン入り。翌2006年には「mixi」がトップテン入りし、インターネットそのものから、サービスに世間の関心が移っていくことを伺わせる。
このほか、3月から愛知万博(愛・地球博)が開催。4月にはJR福知山線脱線事故が発生している。海外ではロンドン、バリ島などでテロが相次いだほか、鳥インフルエンザの流行に注目が集まった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2005年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶「恋のマイアヒ」の“のまネコ”はモナーにインスパイア~エイベックス
この年、「恋のマイアヒ」という曲が発売され、ヒットした。もともとはモルドバ出身の男性音楽グループ「O-Zone」による「Dragostea Din Tei」という曲だが、歌詞が日本人には「飲ま飲まイェイ」など奇妙な日本語に聞こえることから、「空耳」の歌詞を付けた動画(当初はFlash動画)が流行り、エイベックスから「恋のマイアヒ」というタイトルで発売された。今でいう「ネットミーム」的な、初期の流行の1つと言える。
この際、エイベックスでは、2ちゃんねるで流行していたアスキーアートのキャラクター「モナー」に似たキャラクターを作成して「のまネコ」と命名し、グッズの販売なども行った。これがネットユーザーの反発を招き、エイベックスと権利管理会社であるゼンが「インターネット掲示板において親しまれてきた『モナー』などのアスキーアートにインスパイアされて映像化され、エイベックスネットワークとゼンが今回の商品化にあたって新たなオリジナリティを加えてキャラクター化したものだ」との見解を発表したのが、上記のニュース。
技術動向や製品レビューは「BroadBand Watch」が注力し、INTERNET Watchでは業界動向的なニュースを主に扱っていたこともあり、このニュースが2005年に最も読まれたニュースとなった。
当時、2ちゃんねるのほか、ブログやSNSといったソーシャルメディア(当時はCGM:Consumer Generated Mediaなどとも呼ばれた)が流行した中で、ユーザー発のコンテンツがヒットする現象が話題になりやすかったことと、企業がユーザーの流行に分かりやすく「ただ乗り」したように見えることが批判を集め、いわゆる「炎上」につながったことから、注目度が高まったと考えられる。
▶“Web 2.0”の導入、従来メディアは「恐る恐る」 ▶Web 2.0とYahoo!検索APIの関係~井上俊一・検索企画室長が語る 「APIでYahoo! JAPANをどんどんハッキングして」
海外で2004年頃から「Web 2.0」というキーワードが注目されだして、この年には国内でも話題に上がることが多くなった。
Web 2.0とは何か? というと、当時でも論点を整理するのが難しく、後年に「Web 3.0」が提唱されるようになってからはさらに話が複雑になっているが、2005年当時におけるウェブの大きな変化は、それ以前はプロ(企業)によるウェルメイドなコンテンツの影響力が大きかったのに対し、ブログやSNSなどにより、個人ユーザーが発信力・影響力を持つようになったことだと言える。
上記の2つの記事でも、個人の開発者やユーザーとどのように連携するか、個人の力をどのように取り入れるか、といったことが語られている。
▶どうなる「私的録音補償金制度」~iPodは補償金の対象になるのか
私的録音録画補償金制度(上記記事では音声のみの話題であることから「私的録音補償金制度」としている)とは、デジタル技術による録音・録画用媒体に補償金を設定し、権利者に還元する制度。対象に指定された媒体は、補償金分が価格に上乗せされることになる。
当時、CD-RやDAT、MDなどが私的録音補償金制度の対象となっていたが、これにiPodのようなデジタルオーディオプレイヤーを対象として加えるか? という「iPod課金」議論がこの年起こった。問題はHDDやメモリカードのような、録音のみに使われるわけではない汎用の機器に補償金を上乗せしてよいのか(ユーザーにしてみれば、録音に使わないのに補償金を取られる、ということにもなり得る)という点。権利者側であるJASRACは、iPodは主たる利用目的が録音である、と主張。メーカー団体のJEITAは、汎用機器を指定すべきでなく、制度を見直すべきとの主張。この後、2006年1月に文化庁はiPod課金見送りの報告書を決定している。
2月8日、ライブドアがニッポン放送株35%を取得。「ニッポン放送に命を懸ける」とし、ラジオ放送に、インターネット業界で培ったライブドアのノウハウを組み合わせてサービスを強化すると意欲を語った。
当時ニッポン放送は、自社よりも規模が大きなフジテレビの親会社という関係にあり、この関係の解消のため、フジテレビがニッポン放送株の公開買い付けを発表していた。
この後、4月18日にフジテレビがライブドアが持つニッポン放送株を(株を保有するライブドア子会社を買収することにより)買収し、ニッポン放送を子会社化。さらに、フジテレビがライブドアに資本参加し、協業する運びとなった。これを受けての堀江氏のコメントが「想定内の中でも良い方で決着できた」。この結果には、買収劇にフジテレビ側のホワイトナイト(友好的買収者)として参戦したSBI証券の北尾吉孝氏も、歓迎のコメントを寄せている。
この年には、堀江氏もしばしば口にした「放送と通信の連携」がキーワードとなり、10月には楽天がTBS株を取得、11月に提携合意、というニュースもあった。
▶「顧客情報を紛失しました」個人情報保護法の完全施行を前に公表相次ぐ
4月1日に個人情報保護法が完全施行された。個人情報を扱う事業者に取得・利用・管理に関する義務が課され、ウェブサイトにおけるプライバシーポリシーの公開や個人情報保護に対する問い合わせ窓口の設置、漏えい時の個人情報保護委員会への届け出など、さまざまな対応が必要になった。
上記記事は完全施行の前日となる3月31日に公開されたもので、みずほ銀行、みずほ信託銀行、アフラックが直前に顧客情報の紛失を発表したというもの。
▶「ファイルは暗号化した。デコードしたければ金を振り込め」攻撃の新手口
現在猛威を振るうランサムウェア攻撃の典型的な手口「ファイルを勝手に暗号化して、身代金を要求する」が、新手の攻撃として報告された記事。記事によれば、「トロイの木馬型ウイルス『Trojan.Pgpcoder』(シマンテックによる呼称)」は、暗号化したファイルのデコードツールを200ドルで売りつけようとしたという。
▶Winnyでウイルス発生、個人情報流出の可能性も~セキュリティベンダーも混乱
前年に開発者が逮捕されたP2Pファイル共有ソフト「Winny」ネットワーク上に、複数種のウイルスが蔓延しているというニュース。いずれもPCのファイルを流出させるもので、「欄検眼段」「仁義なきキンタマ」という通称だとしている。
Winnyからの情報流出はこの年に始まったことではないが、驚くような流出元のニュースが続発している。主なものを見ていくだけでも大学病院の検査結果、携帯電話基地局データ、小学校の児童の名簿、原子力発電所の内部情報、警察の捜査情報などがある。
▶はてな内のサービスと連携したオンラインRSSリーダー「はてなRSS」 ▶米Google、RSSリーダー「Google Reader」のベータ版を公開
「RSS」(Really Simple Syndication)とは、ウェブサイトの更新情報をXML形式で記述したデータ。「RSSリーダー」(あるいは「フィードリーダー」)と呼ばれるアプリ・サービスを用いて、自分が更新をチェックしたいウェブサイトを登録しておくと、RSSリーダーが巡回して更新チェックが行える。ブログの標準機能として搭載されたほか、ニュースサイトなどでも採用が増え、まだプッシュ通知が一般的でなかった時代の、効率的な更新チェック手段として普及した。
しかし、プッシュ通知やSNSによる更新告知などが広く使われるようになっていく中で、RSSリーダーはニッチサービスに留まることとなる。上記のはてなRSSは2010年6月にサービス終了、Google Readerは2013年3月にサービス終了となった。
インターネット以前に利用されていた「パソコン通信」。その国内最大手だったニフティ(NIFTY-Serve)が、サービスを終了するというニュース。同社は現在ISPとしてサービスを提供し、最近では個人ホームページサービスへの注力をアピールしている。
「現代用語の基礎知識2006」に、「はてなダイアリーキーワード」から105種のキーワードが収録されることになった、というニュース。「はてなダイアリー」は2003年に提供が開始された日記サービスで、キーワードの解説コンテンツ(Wikipediaのようなもの)を作成でき、キーワードを介してほかのユーザーの日記とつながる機能を持っていた(なお、2019年に「はてなダイアリー」はサービスを終了している。提供元の「はてな」は、「はてなブログ」を提供中)。
Web 2.0のムーブメントにより、ネットユーザーの言及するキーワードの世間的な認知が高まりやすくなったことによる現象と言える。上記記事では「現代用語の基礎知識」編集長のコメントとして、従来は「オタク系やWeb系の語句」は掲載しようがなかったが、前年からの「電車男」のヒットなどもあり、一般に浸透した、といった経緯を紹介するとともに、「はてなダイアリーキーワードには、言葉そのものの意味というより、その言葉が利用されているコミュニティで醸成されている雰囲気や関連性が記載されている」との見解を紹介している。
Page 19
2004年(平成16年)の大きな話題といえばアテネ五輪の開催。水泳の北島康介選手、レスリングの吉田沙保里選手、ハンマー投げの室伏広治選手、柔道の野村忠宏選手、谷亮子選手らが活躍したほか、レスリングの浜口京子選手の父であるアニマル浜口氏の「気合だ! 気合だ!」もメディアを沸かせた。
スポーツ関係では、プロ野球パ・リーグの再編があったのもこの年。近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが合併して「オリックス・バファローズ」となったほか、詳しくは後述するが、ソフトバンクがホークスを買収して「福岡ソフトバンクホークス」になり、新球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」設立と、IT企業が親会社となる2球団が誕生している。
そのほかでは、10月に最大震度7を記録した新潟県中越地震が発生。前年より米英を中心としたイラクへの軍事攻撃が続く中、イラクで武装勢力により拘束された事件が複数回あり、拘束された人質が殺害されたこともあった。戦闘が続くイラクに行くのは「自己責任」との発言がテレビなどで繰り返され、新語・流行語大賞トップテンにも「自己責任」はランクインしている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2004年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶京都府警、Winny開発者逮捕~事情聴取では47氏が違法性を認める発言も
前年より流行し、著作権侵害やトラフィック圧迫で大きな問題となっていたP2Pファイル共有ソフト「Winny」の開発者である、47氏こと金子勇氏が著作権侵害ほう助の疑いで5月10日、京都府警により逮捕された。
同氏はこの後5月に起訴、前後して金子氏の支援団体が活動を始めるなどして、2009年の無罪判決まで続く裁判が始まる。
他方でこの後、Winnyを媒介とする数々のウイルスが登場したほか、情報流出事件も続発し、個人や企業に限らず、自治体や自衛隊なども流出元となった。詳細は2023年の映画「Winny」公開記念まとめ記事を参照のこと。
▶米Google、無料Webメールサービス「Gmail」のベータ版~容量は1GB
4月にGoogleが「Gmail」ベータ版を発表した。
これまで、シンプルな検索サービスのみを提供し、日本語サービスを開始した2000年の本誌では、何で儲けるのか? との疑問を呈したこともあったGoogleだが、実は2000年10月には検索連動型広告「Google AdWords」、2003年にはコンテンツ連動型広告「Google AdSense」を開始していた(現在は「Google広告」に統合)。
そして、Gmailを皮切りとしたかたちで、次々と新サービスを展開するようになる。上記記事でも言及している「Orkut」はSNSで、2014年にサービスを終了した。この年には、ほかにもGoogleニュースや、Google Desktop Search(2011年終了)を公開。翌2005年にはGoogle Maps、Google Analyticsを開始し、2006年にはYouTubeを買収するなど、今のGoogleのサービス群がそろっていく。
▶国内関係者が議論「これからのソーシャルネットワーキングとは」
2004年2月に田中良和氏が「GREE」、3月にイー・マーキュリーが「mixi」を立ち上げ、SNSが流行した。上記記事は、12月に開催された「Internet Week 2004」で実施されたSNS関係者らのセッションのレポート。個人の趣味としてGREEを立ち上げたという田中氏、イー・マーキュリー代表の笠原健治氏らがSNSに関心を持ったきっかけや、SNSによるコミュニケーションについて語り、“SNSは、友人や知人など信頼の置ける仲間を招待するサービスで、「人と人が信頼関係でつながるもの」だ。「SNSは、インターネット上で行なわれている悪い行為を防ぐ効果があるのではないか」”といった分析もされている。
前年に流行しだしたブログとあわせ、今でいうソーシャルメディアの活用が盛んになり、そこで活動する個人に注目が集まるようになる。BroadBand Watchでは当時、「みんなでつなげよう! ブログの輪」、SNSの入門連載「ソーシャルネットワークってなんだ?」を掲載したりもしている。
▶ソフトバンクBB、450万件超えるYahoo! BBの個人情報漏洩を認め謝罪
1月にソフトバンクBBはYahoo!BB顧客の個人情報242件が流出したと発表。しかし、2月に入って「Yahoo!BB加入者470万人分の個人情報」を入手したとして同社を恐喝しようとした人物が逮捕されたことから、より大量の漏えいが疑われ、2月末に同社は450万件超の漏えいを認めて謝罪した。これは、当時としては史上最大規模の個人情報漏えい事件。
原因は内部不正によるもので、ソフトバンクの元従業員や業務板城先の関係者がデータを盗み出したもので、業務委託の終了後も関係者が外部から顧客データベースなどにアクセス可能になっていたなど、ずさんな管理体制が明らかになった。
詳細な経緯などは、関連記事をまとめた特集も参照いただきたい。
▶楽天イーグルスがプロ野球へ新規参入。楽天では記念セールなどを実施 ▶ソフトバンク、球団名は「福岡ソフトバンクホークス」。企業ロゴも一新
近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併により1球団減ることになったプロ野球パ・リーグで、11月に「東北楽天イーグルス」の参入が決まった。また、12月にはソフトバンクがダイエーホークスを買収、「福岡ソフトバンクホークス」となった。
こうした動きの中で、ライブドアは6月に近鉄バファローズ買収の意思を表明している。その後新球団設立の動きもみせたが、楽天の新規参入で、どちらも実現しなかった。
▶ソフトバンクBB、1Gbpsの光ファイバサービス「Yahoo! BB 光」 ▶NTT東西、1GbpsのBフレッツ新プラン。戸建て向けに0AB~J対応IP電話も
ソフトバンクBBが10月に最大1Gbpsの光回線による「Yahoo!BB 光」の提供を開始した(ただし最大32ユーザーで共有)。11月にはNTT東西が1Gbps対応の「Bフレッツ」新プランを提供する方針を発表。2005年に提供を開始した。
▶軽量Webブラウザ「Firefox」の正式版v1.0が公開
Internet Explorer(IE)とNetscape Navigator(NN)の「ブラウザー戦争」は1999年頃にIEが大幅なシェアを獲得して終結の気配となったが、Netscapeは1998年に「Mozilla.org」で「Netscape communicator 5.0」のソースコードを公開(NPL:Netscape Public Licenseというライセンス条項による)するなど、オープンソースプロジェクトに活路を見出そうとした。
その後、2003年にNetscapeがAOLに買収されたのに伴い、7月にMozillaのプロジェクトを引き継ぐ「Mozilla Foundation」が設立され、2004年11月にウェブブラウザー「Firefox」の公開に至る。
公開の翌月には1000万ダウンロード突破が報告されるなど、Firefoxは確かな存在感を示した。
▶ドコモ、「iモード FeliCa」を7月上旬開始~携帯電話を“お財布”に
7月に、「FeliCa」チップ搭載の携帯電話をNTTドコモが発表。「おサイフケータイ」と命名された。FeliCaは交通系ICカードなどでも用いられる技術で、今では当たり前になったスマホ電子決済の元祖となる。
「1994年3月5日、Usenetの複数のグループに投稿された“U.S. Green Card Lottery - New Immigration Opportunity”という、アメリカのグリーン・カード抽選に関する広告が、インターネットで最初に問題になったスパム」だというニュース。ただし、最初のスパムが何であるかには諸説あるともしている。
5月25日のやじうまWatchで「独身男のよくある妄想を現実に体験した2ちゃんねらーの物語」として、2ちゃんねるまとめサイトが紹介されている。このハンドルネーム「電車男」の物語は後に書籍化され、2005年にはドラマ化・映画化までされて、大きな話題となった。インターネット発のコンテンツがメディアミックス展開するはしりであり、大きな事例と言える。
Page 20
2003年(平成15年)3月、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っているとして米英が軍事攻撃を開始し、日本も自衛隊を派遣した。侵攻の直前頃から起きた新型肺炎「SARS」(重症急性呼吸器症候群)の世界的流行も、この年の大きな話題だ。
日本国内では、阪神タイガースの18年ぶりのセ・リーグ優勝が大いに盛り上がり、星野仙一監督の「勝ちたいんや!」が流行語に。小泉純一郎首相の人気で自民党が大勝した衆院選など、この年に行われた選挙から候補者・政党がマニフェスト(政権公約)を発表するようになり、「マニフェスト」は新語・流行語大賞となっている。
このほか、同年の新語・流行語大賞およびトップテンには、当時のテレビ番組の影響力を感じさせる「ビフォー アフター」「へぇ~」「なんでだろう~」などが並んでいる。養老孟司氏の著書から「バカ本」ブームを起こしたとして「バカの壁」も入った。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2003年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶ぷらら、「Winny」や「Win-MX」のトラフィック制御を11月より開始~上りトラフィックの60~80%をWinnyなどが占めているのが現状
P2Pファイル共有ソフト「Winny」は2002年12月に正式版を公開、INTERNET Watchでは、翌2003年1月に公式サイト閉鎖を報じたのが、初めてのWinnyに関するニュースとなる。
2004年に開発者の金子勇氏が逮捕され、いわゆる「Winny事件」となるが、2003年時点では、著作権侵害の問題、Winnyを介して感染するウイルスと、WinnyをはじめとするP2Pファイル共有ソフトによるトラフィック増加の問題が話題になっていた。
上記は、ISP「ぷらら」がWinnyなどのアプリケーションのトラフィックを制御するとのニュースで、「ごく一部のぷららユーザーが起動しているWinnyやWin-MXに対する外部からのダウンロード要求が、ぷらら全体の上りトラフィックの約50~70%」を占め、看過できない状況であるとしている。
P2Pファイル共有ソフトによるトラフィック圧迫問題は、その後の総務省統計の取り組みにもつながっている。
Winny関連では、11月の京都府警が著作侵害により2人のユーザーを逮捕したニュースも、大きな話題となった。
2006年になると、ぷららがWinnyの完全規制を発表。これに関し、総務省は、Winnyによる通信かどうかを判断するため、ISPが通信の内容の一部を監視するのであれば、違法性が認められるとの指摘を行っている。ぷららでは、通信のパターンから判定していて通信内容の監視は行っていないと説明しており、6月に通信遮断機能の提供を開始した。
▶米Tripod、有料加入者に対してBlog作成サービスを開始
1月に、米国で話題になっている「Blog」サービスを大手のTripodが開始した、というニュース。この後、11月からNTTデータの「Doblog」、オン・ザ・エッヂの「livedoor Blog」、シーサーの「Seesaa BLOG」、ニフティの「ココログ」と国内でブログサービスの提供が相次いで始まり、日本でもブログが盛り上がり始める。
▶gooとGoogle、インターネット検索の技術・マーケティング分野で提携~「日本語検索において最高のものを提供する」NTT-X中嶋社長
1997年に登場した「goo」は高性能な日本語検索サービスとして当時話題となり、1999年にはYahoo! JAPANと提携し、Yahoo! JAPANの持つデータベースに該当するウェブサイトが見つからなかった場合はgooの検索結果を表示するかたちで、サービスを提供していた。
1998年に登場し1999年に正式サービスを開始したGoogleは、画期的なアルゴリズムによる検索結果で世界中から高い支持を集め、2000年には米Yahoo!のデフォルト検索エンジンとして採用。さらに2001年には、gooとの提携を終了したYahoo! JAPANがGoogleを採用した。
gooは2003年にGoogleと提携、それまではInktomiの技術をベースにした検索エンジンだったが、Google検索のデータベースからの検索の前後に独自処理を行う検索サービスとなった。2000年代前半は検索サービス間の競争が激しかったのに加え、ユーザーのインターネット利用の起点となるポータルサイト(多数のサービスを提供する総合サイト)としての競争も激しく、Yahoo! JAPANとgooは、どちらもポータルサイトとしてサービスを展開しており、競合の関係になっていた。
米Yahoo!およびYahoo! JAPANはこの後、2004年に独自の検索エンジン「YST」(Yahoo! Search Technology)に移行したが、2010年に再びGoogleを採用している。
▶Yahoo!とMSN、「迷惑メール対策連絡会」設立~増加する迷惑メール対策で提携
ウイルス感染を広げるために送信されるメール、詐欺などの犯罪メールなどの迷惑メール撲滅を目指した団体が、「Yahoo!メール」を提供するヤフー、「MSN Hotmail」を提供するマイクロソフトという、当時のフリーメール大手2社により設立されたというニュース。
「マイクロソフトが対策すれば、ヤフーへと流れるというように、メール送信者の標的は巧みに移り変わる。ISP同士で取り組まなければならない問題になった」と、共同で取り組むことの重要性が語られている。なお、現在のもう1つの大手フリーメール「Gmail」は、2004年に提供が開始される。
2003年の最終更新日となる12月26日に、総務省調査でFTTH(光回線)が80万加入を突破したとのニュース。この年12月時点でのDSL加入数は1000万を突破しており、ブロードバンド回線の普及が進んでいる。
ADSLサービスはこの年、下り40Mbps以上にまで高速化が進んでおり、12月にはNTT東西が下り最大40Mbpsの「フレッツ・ADSL モアII」を発表、Yahoo!BBは下り最大45Mbpsとなる「Yahoo! BB 45M」を翌年1月から提供すると発表している。
▶Windowsの重大な脆弱性を攻撃するウイルスを危険度を上げて警告~感染するとDoS攻撃を仕掛け、外部からも操作可能に
ウイルス(マルウェア)で、この年最も大きな話題となったのが「Blaster」。Windows XP/Windows 2000の脆弱性を突いて感染し、感染したPCでは、ほかのPCへの感染行動やDoS攻撃が行われるというもので、「インターネットに接続しているだけで(ユーザーが何も操作をしなくても)感染の可能性がある」点が特徴。
▶米AppleのiTunes Music Store、楽曲販売数が1,000万を突破
2003年4月に、Appleの「iTunes Music Store」がサービスを開始した(日本での開始は2005年)。当時はMac用ソフト「iTunes 4」から利用し、Windowsには未対応。iPhoneは当然まだなく、2001年に発売された携帯音楽プレイヤー「iPod」がヒットし、第3世代モデルがこの年に発売される。
上記のニュースは、サービス開始から約4カ月で楽曲販売数が1000万を突破したというもので、毎週の平均ダウンロード数は50万曲だとしている。また、スティーブ・ジョブズCEOの「4カ月で1000万曲をオンラインで合法的に販売したということは、音楽業界、ミュージシャン、世界中の音楽愛好家にとって歴史的な出来事だ。iTunesとiPodによって、Appleはデジタル音楽のための唯一にして完璧なソリューションを提供していく」とのコメントを紹介している。
▶法務省他、長崎男児誘拐殺人事件の書き込みに対し2ちゃんねるに削除要請
7月に、長崎市で男子中学生による男児誘拐殺人事件が発生。その後「2ちゃんねる」に個人情報を含む書き込みが行われたとして、法務省などが削除要請を行ったというニュース。
逮捕された生徒を特定しようという動きが起こり、書き込みが行われたことで、法務省人権擁護局に対して対応を求める情報提供が複数寄せられた。これを受け、法務局が削除依頼を行ったが、発表時点では削除が行われていないとしている。
このような問題に対し、2005年にはネットの人権侵害情報に対し、法務省が1年間で18件の削除依頼を行ったことを紹介している。
プロバイダ責任制限法を改定し、2025年に施行された情報流通プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者として指定する事業者に対し、侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化、実施状況の透明化などの義務を定めた。
10月1日、メルコが持株会社制に移行し、ネットワーク機器やPC周辺機器メーカーとして知られるバッファローが誕生した。バッファロー(BUFFALO)はもともとメルコのブランド名として使用されていたもので、「BUFFALOブランドは、同社の製品『プリントバッファ』の愛称『バッファ郎』に由来しているという」と紹介されている。
バッファローの誕生などについては、元メルコ社員である奥川浩彦氏のレポート「大塚家具元社長の大塚久美子氏が、バッファローの親会社メルコHDの社外取締役に~株主&元社員として株主総会に参加してきました~」にも詳しい。
「出会い系サイト」に関し、児童買春の禁止など児童の保護を目的として、出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)がこの年の6月に可決。9月に施行された。
この後、2008年末に同法は改正が行われ、事業者の届け出義務付け、18歳未満利用禁止の明文表示などが定められた。現在のマッチングアプリ事業者も、同法の規制を受けている。
Page 21
2002年(平成14年)には日韓共催によるサッカーW杯が行われた。また、小柴昌俊氏と田中耕一氏がノーベル賞をダブル受賞したことにも、日本中が湧いた。
そのような華やかなニュースの一方、国内ではデフレや「貸し剥がし」が深刻な問題となり、相次いだ「食品偽装」問題も話題になった。
国際的には、1月にジョージ・W・ブッシュ米大統領が一般教書演説にて北朝鮮・イラン・イラクの3国を「悪の枢軸」と呼び、翌2003年には米国を中心としたイラクへの軍事侵攻に至る。そうした中、この年9月に小泉純一郎首相と金正日国防委員長との日朝首脳会談が実現。日本人拉致被害者5名が帰国した。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2002年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶ヤフー、下り最大12MbpsのADSLサービスの詳細を発表~「イー・アクセスの小畑氏の言動は営業妨害に該当する」孫社長 ▶NTT、最大12MbpsのADSLサービス「フレッツ・ADSL モア」を発表
2001年6月に下り最大8Mbps/上り最大900kbpsの「Yahoo!BB」を立ち上げたソフトバンクグループのビー・ビー・テクノロジー(BBT)が、8月に下り最大12Mbpsの「Yahoo!BB 12M」を発表した。
NTT東西は2000年12月に上り最大512kbps、下り最大1.5Mbpsの「フレッツ・ADSL」を開始していたが、2001年10月には下り最大8Mbpsのメニューを追加。この年の9月には下り最大12Mbpsとなる「フレッツ・ADSLモア」を発表した。
そのほかでも次々と高速なADSLサービスを打ち出しており、7月には「第二次ADSL戦争勃発!?」という記事を公開し、8Mbps超のADSLサービスを特集している。
▶「2002年最悪のウィルスはKlez」、英Sophosが調査結果を発表
前年から目立ち始めたウイルス(マルウェア)の話題は、2002年に入って大幅に増えた。一例としては、URLに間違えやすいファイルを添付してくる「W32/MyParty@mm」、JPEGファイルを媒介として(実行ファイルとJPEGファイルの組み合わせにより)感染を広げる「W32/Perrun」など。「Gigger」はメールのほか「IRCを利用して自身のコピーを頒布するワーム活動」を行うという点に時代を感じさせる。
そうした中で「Klez」は、2002年終わりの各社が、この年最悪のウイルスとして名前を挙げており、感染報告数が最も多かった。Klezはさまざまな亜種を持つウイルスで、Microsoft Outlookなどでメールをプレビューするだけで感染し、PC内のファイルを破壊したり、ユーザーの個人情報を収集したりした上、メールを自動送信して感染を広げる。
▶今秋にもIP電話に「050」を割り当て~総務省がIP電話サービスに関する改正案を公表
IP網(インターネット)を利用して電話をかけるIP電話に対し、公衆電話網から発信できるようにするため、「050」で始まる電話番号を割り当てることを総務省が発表した。
この頃、通信サービスや通信デバイスを積極的に取り上げる「BroadBand Watch」(BB Watch)や携帯電話に関する話題を取り上げる「ケータイWatch」もある中で、INTERNET Watchは固定回線を中心とした業界動向的なニュースや、セキュリティなどのサービスやデバイスと直接関係しないニュースが多くなっていく。IP電話に関しても、各社のサービスが始まってからはBroadBand Watchで取り上げることが多くなっていて、2003年3月にはIP電話サービスの比較特集がBroadBand Watchに載っている。
これまで自治体ごとにバラバラだった住民基本台帳の情報を標準化・ネットワーク化し、全国どこででも本人確認できるようにした住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が、2002年8月5日に稼働を開始した。現在のマイナンバーカードの基盤ともなっているシステムだが、稼働前~稼働開始当時の評判は悪く、上記やじうまWatchの記事では郵送された住民票コードに関するトラブルが紹介されている。
INTERNET Watchでは、稼働開始前に実施されたシンポジウムのレポートや、翌2003年に発表された侵入テストの結果レポートも紹介している。
▶総務省、Yahoo!BBとNTT東西に対し業務改善指導文書を発出~Yahoo!BBには“回線にぎり”、NTTには工事期間の遵守について
総務省がYahoo!BBを提供するビー・ビー・テクノロジー(BBT)とNTT東西に、それぞれ回線指導を行ったというニュース。「回線にぎり問題」とは、利用者が解約の申し込みを行っても放置し、実際の契約解除を行わない(他社サービスに移転できないよう、回線をずっとYahoo!BBと契約した状態にしてしまう)問題のことで、2001年11月に掲載している「Yahoo!BBのエピソード募集」の記事では「総務省を通して再度YBBに解約を申し込んだ」などのエピソードも。
NTT東西に対しては、他の事業者の申し込み工事よりも自社サービスの工事を優先していないか調査すること、本人確認の仕組みを改善することを指導している。
無料ISP事業を展開していたライブドアが10月に民事再生法を申請した。このとき、「ホリエモン」こと堀江貴文氏のオン・ザ・エッヂがライブドアの営業権を譲り受けた。
オン・ザ・エッヂは2003年に「ライブドア」に社名を変更する。
▶BluetoothがIEEE標準規格「802.15.1」として採択される
マウスやヘッドホンなどの周辺機器の接続で使われる、近距離・低消費電力を特徴とする無線通信規格「Bluetooth」が、この年「IEEE 802.15.1」としてIEEE標準規格に採択された。Bluetoothはエリクソンが立ち上げ、1998年にインテル、モトローラ、ノキアなどが参加してBluetooth SIGが設立されて、多くの機器で採用が進んだ。
当時リクルートが提供していたコミュニケーションサービス「ボトルメール」が1月サービス終了とのニュース。どこかの海岸にたどり着くことを期待して、ボトルに手紙を入れて海に流す、というボトルメールに見立てたもので、誰かの手紙が誰かのもとに届くという、非常にのどかなサービスだった。
2002年のINTERNET Watchでは、このサービスの動向を頻繁に追いかけており、同年4月には最初の開発者らのボランティアによる復活、9月には情報建築がサービスを正式再開したことを紹介している。
現在、ボトルメールはサービスを終了しているが、2006年にはブログパーツ化したこともあった。
▶JEITA、ホームネットワークと情報家電を備えたモデルハウスを公開
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が「情報家電モデルハウス」、今でいう「スマートホーム」を公開したというニュース。ソニーのロボット犬「AIBO」の、丸っこいデザインの2001年モデルや、今では見る機会のなくなった「IEEE1394(i-Link)」など、懐かしい要素も紹介されている。
2002年9月20日は、IBMの研究者であるScott E. Fahlman氏が顔文字「:-)」を発明してから20周年、という記事。当時、カーネギーメロン大学でコンピュータ科学の研究に従事していたFahlman氏は、「ある人が掲示板に投稿した冗談や皮肉が、別の人にまじめに受け取られるという場合があり、誤解を防ぐための手段として思いついた」としている。
Page 22
2001年(平成13年)は、21世紀の最初の年でもある。4月に小泉純一郎氏が総理大臣に就任し、「聖域なき改革」「自民党をぶっ壊す」などのキャッチーなフレーズが連日テレビや新聞をにぎわせた。「ワイドショー内閣」との批判もあったが、その人気で同年7月の衆院選にも圧勝している。
海外では、9.11米国同時多発テロが発生。翌10月より、米英軍がアフガニスタンに侵攻した。
無線LAN(Wi-Fi)の話題が出てくるのもこの年。ネットワーク機器関係の情報は当時運営していた「BroadBand Watch」(BB Watch)に掲載しているが、最古の無線LAN親機としての機能を持つ(持てる)ルーターの記事として確認できたのは、8月23日掲載のメルコ(現バッファロー)の、無線LANカードを内蔵できるルーター「BLR2-TX4」の記事。
この年の流行語大賞は小泉語録が受賞。トップテンには「e-ポリティックス」(インターネットを活用した政治)や「ブロードバンド」が入っている。「ブロードバンド」においては、この年に「Yahoo! BB」の提供を開始し、街頭でADSLモデムを無料配布するなどして大きな話題になったソフトバンクの孫正義氏が受賞している。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2001年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶NTT東西、地域IP網をDSL他社にも開放へ ダークファイバー使用料も値下げ
NTT東西は電話サービスのために全国規模の電話回線網を保有しているが、「フレッツ・ISDN」などのため、新たにIP(インターネットプロトコル)による都道府県ごとの基幹ネットワークを運用していた。これが「地域IP網」と呼ばれるもので、やがて、ほかのADSLなどによる常時接続サービス事業者に解放され、各社のサービスが相互接続できるようになる。
このニュースは、2001年5月にNTT東西が、地域IP網の解放と、ほかの通信事業者に提供するダークファイバーの使用料値下げについて、総務大臣に認可申請を行ったというもの。この後、2003年に地域IP網の県間接続が認可され、2006年には、次世代ネットワークとして「NGN」(Next Generation Network)が発表に。2008年3月からはNGNを使用した「フレッツ 光ネクスト」の提供が開始され、現在、かつての地域IP網の役割は「NGN」あるいは「フレッツ網」と呼ばれるネットワークが担っている。
▶Yahoo! JAPANがADSLサービスに参入 最大8Mbpsで月額2,280円から
ヤフー株式会社が8月にADSLによる常時接続サービス「Yahoo! BB」の提供を開始。低料金かつ高速なサービス設計で注目を集めた。同年9月には、予約申込数が100万件を突破したが接続完了ユーザーは約4万件とのニュースもあり、「お問い合わせの7~8割ぐらいは『ウチはいつつながるの?』というご質問」といった状況が紹介されている。
2026年現在、ソフトバンクグループのインターネット接続サービスとしては「SoftBank 光」「SoftBank Air」が提供されている。
日本のインターネットにおける番号資源の管理を行う日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が、JPドメインを管理する民間会社として、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)を2000年末に設立。汎用JPドメイン(.jp)の移管を行うと発表した。
当時のJPNICは社団法人(2026年現在は一般社団法人)であり、公益法人としてドメインの登録・管理業務を行っていたが、ドメイン名に商業的価値が高まってきたこと、公益法人の体制では増大する業務に対応した設備投資が困難なことなどから民間法人への移管を計画。汎用JPドメインの運用開始とあわせて実施した結果、設立されたのがJPRSとなる。
汎用JPドメインの登録申請受付は2001年2月から開始され、1か月で約7万件の申請が行われた。
▶NTT東西、最大10Mbpsの光アクセスを月額6,100円で提供 8月より「Bフレッツ」として本格提供へ
NTT東西は、2000年12月から試験提供していた「光・IP通信網サービス」を8月から「Bフレッツ」として本格提供。上記の記事タイトルでは最大10Mbpsが月額6100円としているが、同時に最大100Mbpsで月額1万100円のプランも用意され、当初のサービスエリアは東京と大阪の一部で、早いタイミングでのエリア拡大予定も発表されていた。
Bフレッツは、現在の「フレッツ 光ネクスト」を後継サービスとして、2018年にサービスを終了している。
▶内閣メールマガジン、創刊号は78万部 ~登録は91万件を突破
小泉総理は5月の所信表明演説で内閣メールマガジンの発刊を発表。6月より登録受付が開始された。人気を反映して創刊号は78万部となり、「創刊号は14日の午前7時から配信を開始し、配信トラブルを避けるため何回かに分けて配信」された。
その後の内閣にもメールマガジンは引き継がれ、2009年の民主党政権誕生時にも鳩山内閣メールマガジンが配信されている。また、菅内閣ではブログ「KAN-FULL BLOG」の内容が配信されるようになった。
本誌では2021年の「やじうまWatch」で、内閣メールマガジンの流れを汲む首相官邸メールマガジンが人知れず終了していたことを紹介している。
11月、P2Pファイル交換(ファイル共有)ソフト「WinMX」で、「Adobe Photoshop」などを交換した2人の日本人男性が、京都府警ハイテク犯罪対策室・山科署・五条署の家宅捜索を受け、逮捕された。これを、ファイル交換ソフトによる著作権侵害で世界初の刑事摘発として報じている。
2000年には音声ファイルに特化したP2Pファイル共有ソフト「Napster」に米連邦地裁からサービス停止命令が出るなどしていたが、WinMXではユーザーから逮捕者が出たことになる。当時説明を行った社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)によれば、10人程度の被疑者の中から「付加価値の高い、ビジネス向けアプリケーションソフトを扱っている」「公開しているソフトの本数が多い」「常時的に継続して公開を行っている」といった、特に悪質および故意であったユーザーとして2人の逮捕に至ったという。
P2Pファイル交換ソフトに関してはこの後、2004年に「Winny事件」と呼ばれる大きな事件が起こる。
▶“プロバイダー責任法”が成立 権利侵害トラブルにおけるISPなどの損害賠償責任を制限
11月に「プロバイダー責任法」(プロ責法)が成立。これは、ISPや各種サービス提供者に対し、インターネット上に公開されている情報によりプライバシーや著作権などの侵害があった場合に負うべき賠償責任の範囲を規定するもので、サービスのユーザーが著作権侵害やプライバシー侵害などのトラブルを起こした際、提供者側の賠償責任を制限し、「被害者は正当な理由がある場合には情報発信者の氏名や住所などの情報開示をプロバイダーに対して求めることができる」と、いわゆる発信者情報開示請求についても規定している。
同法は2025年4月より情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)として改定された。誹謗中傷や違法・有害情報の投稿といったトラブル対処の迅速化と、措置の実施状況の透明化のために、「大規模プラットフォーム事業者」を指定して、対応の義務を定めている。
インターネットを介してPCやスマートフォンなどのデバイスの時計を正確に合わせるために使われる「NTP」(Network Time Protocol)サーバーの実験が、通信総合研究所(CRL)とNTT、IIJ、インターネットマルチフィードの共同で行われた。
この後、2005年に独立行政法人情報通信研究機構(NICT)やインターネットマルチフィードが、NTPサーバーのサービスを正式に開始している。
▶音声ファイルになりすますメール送信ウィルス「Nimda」に注意
大量のメールを送信するワーム(ウイルス/マルウェア)「Nimda」が9月に確認された。Internet Explorerで感染したウェブページを表示する、Outlookでメールを閲覧するなど、複数のルートから感染し、強力に感染を広げる機能を持っており、同年末に公開された9月の振り返り記事では「史上最強のウイルス」と呼ばれている。
▶日本科学未来館に「インターネット物理モデル」の巨大オブジェ
7月10日、日本科学未来館が、東京都江東区青海(お台場)にオープン。この記事では、展示のひとつ「インターネット物理モデル」を紹介している。「IPパケットが配達される仕組みを“物理的に”表現したもの」であり、ゴルフボール大の球の動きで、インターネットにおける情報通信のイメージを具体的に見られるもの。同モデルは、2025年2月まで展示されていた。
Page 23
2000年(平成12年)5月に「西鉄バスジャック事件」が発生。17歳の少年による犯行で、犯人逮捕の場面などがテレビ中継され、大きな注目を集めた。
この犯人による犯行予告の書き込みが、1999年に開設された匿名掲示板サービス「2ちゃんねる」に残されていたことが判明し、2ちゃんねるが広く注目されるようになる。この年にはほかにも17歳による大きな事件が相次いだことで、「17歳」が新語・流行語大賞のトップテンに入っている。
シドニーオリンピックが開催された年でもあり、柔道の田村亮子選手、マラソンの高橋尚子選手らの金メダル獲得が話題になるなどして盛り上がった。社会では、ITを業界内だけに限らず仕事や生活において広く活用し、さまざまな変革を起こそうとする「IT革命」がキーワードとして注目され、新語・流行語トップテンにも。森喜朗首相がIT戦略会議にて「イット」と読んだとのエピソードが、当時のネットミームとして流行した。
なお、これらのキーワードを押さえてこの年の新語・流行語大賞となったのは、「おっはー」。香取慎吾さんがテレビ番組で扮していた「慎吾ママ」が受賞している。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2000年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶「今年は2ch.netの年だった」~JARのネット視聴率レポート~
「2ちゃんねる」(2ch.net)は、1999年5月に「ひろゆき」こと西村博之氏が開設した匿名掲示板サービス。2017年には「5ちゃんねる」となっている。
先述した西鉄バスジャック事件などでも話題になっており、INTERNET Watchで初めて名前が挙がるのが、2000年12月のこの記事。2000年4月以降に大幅躍進し、「掲示板のサイトとしては、今年は2ch.netの年だった」としている。また、レポートの「政治家や経営者や投資家が血眼になって掲示板の発言を読み『便所の落書き』が社会を動かす時代がもう目の前に来ているのかもしれない」とのコメントも残されている。
これまで、インターネットにおける活動は、実名あるいは活動名(ハンドルネーム、ペンネームなど)を名乗って行うのが一般的で、そうした顕名ユーザーの発言が注目を集めやすかった。しかし、匿名が基本となる「2ちゃんねる」が存在感を増し、その中の書き込みが注目を集めることで、「インターネットは匿名の場」との印象が強まり、広がるようになる。こうした匿名の書き込みを批判的な意味で指したのが「便所の落書き」という言葉で、当時しばしば使われた。
▶NTTの「IP接続サービス」、7月より全国の主な都市へエリア拡大
7月15日、NTT東西が試験提供中だった定額制の「IP接続サービス」を、「フレッツ・アイ」(FLET'S・Isdn)と改称し、本(商用)サービスとして提供開始。後日「フレッツ・ISDN」と改称された。現在の「フレッツ光」に続く、常時接続サービスの始まり。なお、フレッツ・ISDNは2026年1月にサービス終了となった。
7月のフレッツ・ISDNに続いて、12月に「フレッツ・ADSL」が提供開始。これまでのISDNが最大64kbps(上り/下りとも)であるのに対し、「フレッツ・ADSL」は上り512kbps、下り1.5Mbpsと大幅に高速化され、「ブロードバンド」という言葉が広まる。Watchシリーズでは「BB Watch」(BroadBand Watch)を2001年7月に創刊している(2009年12月に休刊し、バックナンバーはINTERNET Watchに統合された)。
フレッツ・ADSLは2023年1月にサービス終了している。ISDN、ADSL、光と短期間に次々と回線サービスが登場することになった背景としては、IIJの視点でのコメントも合わせてお読みいただきたい。
なお、この年の12月には、後の「フレッツ光」となる光回線サービスの試験提供も始まっている。
第二電電株式会社(DDI)、KDD株式会社、日本移動通信株式会社(IDO)の3社が10月1日に合併。株式会社ディーディーアイ(通称:KDDI)となった。2001年4月にはKDDI株式会社に正式社名を変更している。
▶米連邦地裁、音楽交換ソフトのNapsterにサービス停止命令
Napsterは、MP3ファイル(音声ファイル)に特化したP2Pファイル共有ソフト。1999年に公開され、2000年にはMetallicaに訴えられるなどしていた。後年の「Winny」事件などに先駆けて、著作権侵害で問題視されたP2Pファイル共有ソフトだといえる。
Napsterは2002年に倒産したが、その後に同名の音楽配信サービスが立ち上がるなどしている。こうした経緯は槻ノ木隆の「BBっとWORDS」 その74「Napsterの歴史」も参照のこと。
1998年に創立したGoogleが、この年の8月に日本語サービスを開始した。なお、同年末のニュース振り返りでは「トップページに表示されるのはロゴと検索窓だけという異常なシンプルさが余計に新鮮にうつった(中略)しかし『何で儲けんの?』という疑問はあるところ」とコメントされている。
同社の広告サービスなどはまだ生まれておらず、検索サービスだけでほかの収益化が見込めそうな展開も見えないことから、そのような素朴な疑問が当時はあった。
▶通信ベンチャーのイー・アクセスがADSLサービス ▶アッカ・ネットワークスがADSLの無料モニター募集
1999年末に、NTT東西の電話回線網を利用した初のADSLサービスとして東京めたりっく通信がサービスを開始した後、2000年にはイー・アクセスがADSLサービスを開始し、同年末にはアッカ・ネットワークスがモニター募集と、初期のADSLサービスが続けて立ち上がった。
後に、東京めたりっく通信はソフトバンクBBと合併、イー・アクセスとアッカ・ネットワークスは合併した後、さらにイー・モバイルに合併され、現在は3社ともソフトバンク(ワイモバイル)に合流している。
▶メールで広まる「I Love You」マクロウィルスに注意
現在では「マルウェア」(悪意のあるソフトウェアの総称)と呼ばれるのが一般的だが、当時はウイルス(ウィルス)と呼ばれた。これまでにもウイルスのニュースはあったが、数が増えてくるのは2000年頃からだ。
5月のこのニュースでは、Outlookユーザーをターゲットとしており、知人などのアドレスから「ILOVEYOU」というタイトルのメールが送られてきて、添付ファイルを開くと悪意のあるスクリプトが実行されるマクロウイルスへの注意を呼びかけている。現在の「ロマンス詐欺」のはしり、とも言えるもので、これを受け、Outlookに添付ファイルの実行を警告機能が実装された。
同年には、2月に米司法省がサイバー犯罪対策予算を3700万ドル計上したというニュースや、6月に郵政省(当時)が「サイバーテロ対策検討会」の中間報告を発表というニュースなども公開している。
▶W3C、XMLベースの次世代HTML仕様「XHTML 1.0」を勧告として発表
ウェブページの構造を記述するマークアップ言語(HTML)として、従来のHTML 4.0の後継にあたる「XHTML 1.0」の勧告(Recommendation)が発表された。HTMLを汎用性が高いマークアップ言語であるXMLとして再定義したことが特徴で、より厳密な文法となり、機械での処理しやすさなどが特徴とされた。当時はMacの標準機能としてもホームページ作成機能が提供されるなどしていた。
この後、XHTMLの継続的な開発は行われず、2014年には「HTML5」が勧告される。
▶ICANN、「.info」など7つの新gTLDを決定 登録開始は2001年春ごろの予定
それまでの「.com」「.net」「.org」といったgTLD(グローバルトップレベルドメイン)に、新たに「.info」「.name」「.biz」「.pro」「.museum」「.aero」「.coop」が加わることになった。運用開始は2001年の春頃とされている。
Page 24
1999年(平成11年)は「1999年7の月に人類が滅亡する」とする「ノストラダムスの大予言」の年だった。またIT業界の話題としては、2000年以降の運用を想定せず、年を西暦の下2桁の数字だけで計算していたソフトウェアが、「99」から「00」になることで問題を起こす可能性を指摘する「西暦2000年問題」(2000年問題/Y2K問題)も大きな話題になった。
インターネットが大きく成長する中、NTTドコモが携帯電話向けインターネットサービス「iモード」を開始。また、2000年以降に普及するブロードバンド(高速・広帯域)回線「ADSL」もこの年から立ち上がり、現在も広く使われている高速・常時接続の回線サービスが始まっていく。
新語・流行語大賞となったのは「雑草魂」(読売ジャイアンツ・上原浩治選手)、トップテンには「リベンジ」(西武ライオンズ・松坂大輔選手)と、プロ野球の話題も盛り上がった1年だった。「ブッチホン」「カリスマ」(店員、美容師など)や「ミッチー・サッチー」「だんご三兄弟」なども、この年のトップテン。話題の支配力はまだまだマスメディアが強く、テレビで繰り返されたキーワードが、新語・流行語に強く反映されている。「西暦2000問題」と「iモード」もトップテンに入っている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1999年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶NTTドコモが「iモード」の詳細発表、発表会にはヒロスエも登場
NTTドコモ(当時の正式社名はエヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社)が、同社の携帯電話向けインターネットサービス「iモード」を1月に発表。2月に提供を開始した。発表会にはCMキャラクターに選ばれた広末涼子さんも登壇しており、「携帯からインターネットを使えることに感激しました」「飛行機の空席だけじゃなく、映画館の空席情報もわかるようになればいいですね」といったコメントをしたと記されている。
この後、携帯電話の盛り上がりを受け、Watchシリーズでは1999年10月に「Mobile Central」というサイトを立ち上げ、2000年4月に「ケータイWatch」を創刊する。なお、iモードは2026年3月31日に終了する。
▶長野県で国内初の商用ADSLインターネット接続サービス開始
長野県の川中島町有線放送(KUHK)と、同県内のISP「JANISネット」が、9月1日から商用ADSL高速インターネット接続サービスを開始すると発表。これが、ADSL技術を利用した商用の接続サービスとしては国内初となる。ブロードバンド立ち上げ期の歴史は、こちらの特集記事にまとめられている。
▶NTTの定額制「IP接続サービス」、月額料金は8,000円 プロバイダー47社順次対応を開始
11月1日、試験サービスとしてISDNによる定額制の「IP接続サービス」を開始した。同サービスは本サービス開始後に「フレッツ・ISDN」と改称し、現在の「フレッツ光」に続く、常時接続サービスの始まりとなる。当初の月額料金は8000円だが、同年6月には普及拡大のため、一般家庭が支払い可能な水準として月額5000~6000円程度での導入を求める報告書が郵政省(当時)により取りまとめられたりしている。
なお、NTTグループは同年7月1日に持株会社制に移行し、NTT東日本、NTT西日本は、このときに誕生している。
▶MP3音楽配信を開始した「P-MODEL」の平沢進氏に聞く
テクノポップバンド・P-MODELが7月6日に、MP3ファイルの販売を開始した。同バンドはこの年に結成20周年を迎えており、この年にレコード会社との契約を打ち切り、インターネット上での音楽配信を始めたかたちだ。INTERNET Watchでは、平沢進氏にインタビューを実施し、MP3形式での配信ならインターネット上の音楽配信が現時点で可能だろうと思ったが、(当時は)メジャーレーベルとの契約があると無理なため、ネットワーク配信を選択した、などのコメントを掲載している。
違法MP3ファイルや音楽データ流通の問題については1999年よりも前からたびたび報じており、この年には坂本龍一氏へのインタビューも行っているほか、海外イベントにおけるパネルディスカッションのレポートなども掲載している。
Microsoft「Internet Explorer」(IE)とNetscapeの「Netscape Navigator」(NN)が中心となったシェア争い「ブラウザー戦争」に終了ムードが漂った。11月のこの記事では、IEが64%、NNは36%のシェアとなり、調査開始時点では2%対71%だった両者のシェア比が逆転。その要因は、企業の決めたブラウザーを社員が使わなくてはならないとする「ブラウザーポリシー」にあったとしている。この後、現在トップシェアのウェブブラウザーである「Google Chrome」が登場するのは2008年9月のこととなる。
インターネット広告市場の成長を受け、3月に「インターネット広告推進協議会」発起人会が発足、5月に正式発足した。同協議会は、2015年に改称し、現在、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)となっている。
▶「Internet Explorer 5日本語版」公開――ストリーミングメディア対応を強化
3月18日、Microsoftのウェブブラウザーの最新版「Internet Explorer 5」(IE5)の日本語版がリリース。新バージョンの最大のポイントはストリーミングコンテンツ対応とされ、各社の音声コンテンツが「ラジオツールバー」を利用して再生できた。
1998年に創設されたAkamaiがVCなどから出資を受け、順調な滑り出しであることを報じている。同社は2月に商用サービスを開始しており、INTERNET Watchでは、1999年中は同社のサービスを「コンテンツ配信技術」と呼んでいる。本誌では初めて「CDN」(Content Delivery Network)というキーワードが登場するのは、2000年8月にCiscoがCDNを発表し、普及団体を設立したというニュースとなる。
▶ネット上の違法情報を24時間態勢で監視 警視庁、“サイバーパトロール”開始
5月に、警視庁は「ハイテク犯罪対策センター」を開設し、インターネット上で「サイバーパトロール」を開始した。当時の監視対象は、「インターネット上のわいせつ画像や薬物売買などの違法情報」であるとしている。なお、同じく5月には愛知県警が違法MP3に関して全国初の摘発を行っている。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が、商用インターネットサービスとしては日本初だとする実験サービスを開始した。現在INTERNET Watchのバックナンバーで確認できるIPv6関連記事は、1997年6月のNetWorld+Interop 97 Tokyoで行われたIPv6デモの記事が最も古い。その後、1999年7月には、IPv6フォーラム設立を報じている。
Page 25
1998年(平成10年)2月に、長野オリンピックが開催された。日本選手の活躍では、原田雅彦選手、船木和喜選手らのスキージャンプ、里谷多英選手のフリースタイルスキー(モーグル)などの活躍が大々的に報道されたが、オリンピックは、大会運営や情報発信などにおいて、最新の通信技術が活躍する場にもなっており、INTERNET Watchでも関連ニュースを報じている。
FIFAワールドカップに、日本が初出場したのもこの年(フランス大会)。野球も国内外で盛り上がり、プロ野球セ・リーグでは横浜ベイスターズが38年ぶりのリーグ優勝を成し遂げ、日本一に。高校野球では、松坂大輔投手を擁する横浜高校が春夏の大会を連覇した。そして、大リーグでは、マーク・マグワイア選手とサミー・ソーサ選手のホームラン王争いが話題となった。流行語大賞は、横浜ベイスターズの佐々木主浩投手のニックネームである「ハマの大魔神」。
「平成」の元号を発表した人としても知られる小渕恵三氏が、自民党総裁・総理大臣となった年でもある。この年の新語・流行語大賞トップテンには政治・経済関連の言葉が多く、総裁選に立候補した小渕氏と梶山静六氏、小泉純一郎氏の3氏を田中真紀子氏が評した「凡人・軍人・変人」、前年からの金融機関の破綻などに象徴される不況下での「貸し渋り」「モラル・ハザード」「日本列島総不況」、小渕氏を評した「冷めたピザ」「ボキャ貧」が入っている。
この年の9月には、Googleが設立されている。INTERNET Watchで現在確認できる最も古いGoogleに言及したニュースは、1999年6月のNetscapeがGoogleと提携した新しい検索サービスを公開したというもの。1999年9月にはGoogleの正式サービス開始を報じている。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1998年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
長野オリンピックの公式サイト「1998 Nagano Olympic Winter Games」のヒット数が、当時の世界記録としてギネスブックに認定された。2月7日~22日の期間中の総ヒット数は約6億3500万。インターネット白書1998では、「技術もまた、長野で金メダルを獲得した」とのIOC事務総長のコメントを記録している。
長野オリンピック冬季競技大会組織委員会(NAOC)が公開したオリンピックの情報システムの記事なども、当時のINTERNET Watchで公開している。
3月に、不正アクセスによって他人になりすましたり、詐欺や破壊行為を行ったりする悪質巧妙な事例が増えているとの報告書を警視庁情報システム安全対策研究会がまとめた。現在の不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)につながるもので、11月には郵政省が素案を発表、1999年4月に法律案がまとまり、8月に公布、2000年2月に施行された。
12月、日本音楽著作権協会(JASRAC)らで構成される「デジタル問題対策会議」が、「違法MP3ファイル撲滅プロジェクト」を発足。独自に開発した検索エンジンを利用した、違法サイトの情報収集を開始した。音声ファイルは、高速通信ができない時代でも高音質のデータを小さなサイズに圧縮して送受信可能だったため、インターネット普及初期から違法なデータの流通が問題化していた。
同年8月には日本レコード協会が違法MP3コンテンツの排除を要請、海外では10月に米国レコード産業協会が携帯用MP3プレイヤーの販売会社にクレーム、といった動きもあった。
インターネット黎明期のメッセンジャーアプリとして知られる「ICQ」Windows版を日本語化できるソフトウェアが公開されたというニュース。ICQは1996年に公開され、友達の一覧から選んでメッセージをやり取りでき、一覧にはステータス(離籍中、作業中、など)が表示されるなど、今のメッセンジャーアプリに通じる機能を備える。
ICQは同年6月にAOLに買収された。2016年にはICQの20周年を報じている。2024年、ICQはサービスを終了した。
個人情報の保護について一定の基準を満たしていることを認定するプライバシーマーク(Pマーク)制度の運用が4月に開始。申請受付が開始された。
▶オリンピック選手村のある長野市川中島町でxDSL公開利用実験開始
長野オリンピック期間中に、選手村がある長野県川中島町でxDSL(x Digital Subscriber Line:電話線など銅線を利用した高速通信技術の総称)の公開利用実験が行われた。使われた回線網は地域の有線放送電話施設のもので、「有線放送電話網とは、昭和30年代から主に農山村地域での通信媒体として利用されているもの」と説明されている。
翌年、川中島町有線放送は同県内のISP「JANIXネット」と国内初の商用ADSLサービスを開始する。
7月に、ソフトバンクと米ONSALEがオンセール株式会社を設立。当時注目を集めていたオークション事業に参入した。本件は、ソフトバンクにとってECへの初参入でもあり、孫社長は「エレクトロニックコマースでも、確固たる地位を築いていきたい」とコメントしている。
この後、ソフトバンクグループでは「Yahoo!オークション」を1999年9月に開始。オンセールは2002年8月にガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社に商号変更している。
2月に「56kbpsモデム」の標準仕様「V.90」が決定したというニュース。モデムとはデジタル信号とアナログ信号を相互に変換する通信機器で、アナログ電話回線を通じてインターネットにダイヤルアップ接続する時代に使われた製品。56kbpsモデムの標準仕様は、上り33.6kbpsのV.90のあと、上り48kbpsの「V.92」が2000年7月に策定されたのが最終。
近年ではなかなか見かけなくなったモデムだが、2025年には56kbpsモデム12台でブロードバンド接続を実現するという動画が話題になるなどもしている。
▶「オンラインショッピング経験者が増加」日経BP社がユーザー調査の結果を発表
1月に発表されたインターネットユーザーを対象とした調査結果で、回答者の40.7%がインターネットショッピングに対して「すでに買い物したことがあり、今後も利用したい」と回答しており、初めて40%を超えたという。
2026年現在における主要なECサイトでは、「楽天市場」が1997年5月にサービスを開始している。「Yahoo!ショッピング」は1999年9月、Amazon.co.jpは2000年11月と、この調査以降の開始となる。
▶アクトンテクノロジィが宮村優子の声でしゃべるイーサネットハブを発売
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で惣流・アスカ・ラングレー役を務めた声優の宮村優子さんの声で「冷却ファン異常停止」「1番ポート、リンク不能!」などとトラブル発生を知らせる、100BASE-TX×8ポートのハブが1月に発売された。
当時の「新世紀エヴァンゲリオン」は1996年にテレビシリーズが終了した後、1997年に劇場版「シト新生」「Air/まごころを、君に」が公開されている。さらに、1998年3月には、これらの総集編的な内容となる劇場版「DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に」が公開された。
Page 26
1997年(平成9年)4月に消費税が5%になり、11月には山一證券が自主廃業を発表し、北海道拓殖銀行が経営破綻。1990年代初頭に起きたバブル崩壊の影響が広がり、景気が悪化する中で、インターネットとIT業界は盛り上がっていく。
総務省の「平成11年版 通信白書」によれば、1997年のインターネット利用人口は1155万人で、世帯普及率は約6.4%とされている。
この年の新語・流行語大賞は「失楽園」。「たまごっち」や「マイブーム」「もののけ(姫)」などがトップテンに入っている。世間を騒がせた事件としては、神戸児童連続殺傷事件が2月に発生。海外では7月に香港が中国に返還され、8月にはフランスでダイアナ英国元皇太子妃が死亡する事故があった。
2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から1997年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。(1996年からの振り返り一覧)
▶NTTアドが日本語検索エンジンサービス「goo」を3月27日より開始
検索サービスといえば「Google」が代名詞とも言える存在になっているが、1997年にはまだ登場していない。1996年までには「ODIN」「AltaVista」などが存在していたが、この年新たに登場した「goo」は、国産の高性能な日本語検索エンジンとしてまたたく間に人気を獲得、この年に編集部が選んだ10大ニュースでも1位となっている。
なお、2025年11月にgooはサービスを終了した。
▶米司法省がMicrosoftを反トラスト法違反で提訴 違反を続ければ1日100万ドルの罰金
Netscape対Microsoftによる「ブラウザー戦争」と呼ばれたウェブブラウザーのシェア争いもあった中、MicrosoftがWindows 95に「Internet Explorer」をバンドルしたことが反トラスト法違反であるとして、米司法省が同社を提訴した。この訴訟は、2001年の和解、2011年の訴訟終結まで続く。
ドメイン名とIPアドレスを対応させ、ウェブサイトなどへのアクセスのために欠かせないDNS。その大元である「ルートサーバー」の1つ、アルファベットで13番目のMルートサーバーが日本に置かれることになった。現在もルートサーバーはA~Mの13個であり、日本のMルートサーバーはWIDEプロジェクトとJPRSが共同管理している。
▶ヤフー株式会社が株式店頭公開 初値は募集価格の2.85倍の200万円
1996年1月にソフトバンクと米Yahooとの合弁で設立し、同年4月から「Yahoo! JAPAN」の提供を開始していたヤフー株式会社が、この年の11月に株式を店頭公開。募集価格の70万円を大きく上回る200万円の初値が付いた。
同社は2019年に持株会社体制に移行してZホールディングス株式会社となり、事業会社は2023年よりLINEヤフー株式会社となった。
今ではごく当たり前のサービスであるインターネット電話(IP電話)の実験を、国内・国外を対象にNTTが開始したというニュース。「今のところは事業化の予定はないが、将来の技術に向けてノウハウを蓄積するため」とのコメントが紹介されている。
この後、INTERNET Watch誌上では、1999年の「CiscoWave+Networkers'99」のレポートで、「VoIP」(Voice Over IP)のキーワードが初めて登場する。
通商産業省(現:経済産業省)が、民間企業等が取り扱う個人情報の適切な保護のための規定「個人情報保護ガイドライン」を改定。国内外での個人情報侵害事例や保護強化の動向のほか、「インターネットなどの開放型ネットワーク利用者の加速的増加など、個人情報保護を巡る状況の変化」も踏まえたものとされる。「個人情報」の定義が明確化され、個人情報の収集に関する措置などが詳細に規定された。
この後、2003年に「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が交付され、2005年に施行される。
▶アプリックスがKDDらと新会社「ビットキャッシュ」を設立 少額決済用のプリペイドカードを販売
インターネットの普及初期は、電子マネーや電子決済、電子商取引といったサービスの立ち上げ期でもあった。ビットキャッシュ設立のニュースは、そういった動向を報じたニュースの1つ。同社は現在でもサービスを続けている。
「インターネット白書1997」では、ECサイトなどの当時の動向として「サイバービジネスの現状」を紹介しており、クレジットカードの利用が少ないこと、暗号化技術が普及していないことから、銀行決済やプリペイドカード方式など、ほかの方式の確立も待たれるとしている。
▶米Netscape社が「Internet Explorer」削除キャンペーン開始
ブラウザー戦争当事者の一方であるNetscapeは、1997年にはウェブブラウザー「Netscape Navigator」にメールクライアントなどの機能を加えた「Netscape Communicator 4」を公開。年末に実施したキャンペーンで、Internet Explorerを削除してNetscape NavigatorをOSのデフォルトブラウザーに設定する方法などを解説した。なお、このキャンペーンは米国で行われたもので、当時のニュースでは、日本語での展開は未定とされている。
▶文部大臣が2003年までにすべての学校をインターネットに接続する方針を表明
当時の町村信孝文部大臣が、2003年までにすべての学校をインターネットに接続する方針を表明した。当時は、1994年より始まった、全国の約100の小中高校でインターネットの活用を試行する「100校プロジェクト」が実施中。
「インターネット白書1997」の「教育とインターネット」のパートでは、当時の教育利用として「ネットワーク会議、ネットワークコンテスト、情報交換といった活動が展開された」とレポートしている。
▶ペットが飼えるメールソフト「PostPetDX」がいよいよ発売
ピンクのテディベア「モモ」がメールを運ぶメールソフト「PostPetDX」が11月に発売され、大ヒットに。現在もSo-net内でポストペットは展開している。