中国によるイラン関与への“限界”、リスクを負わない習近平、米中首脳会談への影響は?(Wedge(ウェッジ))

 中国は、5月の米中首脳会談でトランプの好意的対応を期待してイランに停戦を促したがその役割には限界もあると、2026年4月9日付ウォールストリート・ジャーナルで、Lingling Wei中国支局長が分析している。  中国はイラン戦争で珍しく外交的介入を行い、イランに米国との交渉に同意するよう促した。習近平国家主席はトランプ大統領との関係での外交的資本とも云える貴重なものを手に入れた。  トランプは中国がイランを交渉の席に着かせたと言及し、ホワイトハウスは、米中両国の「トップレベル」で停戦計画について協議したと述べた。中国の外交協力の強化は、来月のトランプの北京訪問の舞台を整えるための計算された動きのようだ。  習近平は、地政学的な便宜と引き換えに米国の関税や技術輸出規制の緩和や台湾独立に積極的に反対するよう取引すべく、「中国は台湾海峡とホルムズ海峡で合理的な対応をするので、トランプは中国の最重要の問題に好意的に対応すべきだ」とのメッセージを送ろうとしている。  中国当局によると、王毅外相が北京を仲介者として位置付けるために各国外相と 26回の電話会談を行い、3月31日に停戦とホルムズ海峡の再開を呼び掛ける案をパキスタンに提示し、中国を安全保障パートナーでかつ石油の顧客としているイランに外交上の入り口を提供した。王毅は、習近平の北朝鮮国賓訪問の準備とみられる平壌訪問を行った。  さらに今週、習近平の招待で台湾の野党指導者、鄭麗文が「平和ミッション」として中国を訪問したが、イラン危機の仲介をしながら台湾の野党との対話を促進することで、中国は地域の責任ある安定化勢力としての立場を確立しようとしている。中国にとっては、台湾こそが究極の目標であり、習近平が米中首脳会談を利用して、台湾は本土に再統合すべきとする中国の見解に米国の同意を得ようとしている。

 一方、トランプは、首脳会談を、米国産の農産物、工業製品、エネルギー製品を中国にさらに買わせる重要な機会と見なしている。これは、11月の中間選挙を前に、国内の有権者に対してアピールできる成果となるものだ。  中国の仲介の試みは、自国の経済的生存にも根ざしている。ホルムズの閉鎖は、ほぼ自給自足の電力網を持つ中国の輸出業者に一時的に優位をもたらしたが、長期にわたる戦争は中国製品の世界的な需要を脅かすものとなる。  中国は、また、米国が武力攻撃から経済戦争へと軸足を移した場合にも脆弱になる可能性がある。分析家たちは、トランプがイランに軍事兵器を供給するあらゆる国に対して50%の関税を課すと警告したことで中国は新たな逆風に晒される可能性もある。  かつてイランへの主要な武器供給国の一つであった中国は15年の国連の対イラン武器禁輸措置以降、その供給を停止した。イランは、核開発に不可欠な物資や設備を中国から調達している。  和平提案の背後には「中国ファースト」政策と呼ばれるものがあり、これは象徴的な勝利を優先し、世界の安定のために重大なリスクを負わない慎重な戦略である。この外交は、中国が米国と並ぶ超大国に位置付けながらも、その影響力の限界を示す。 * * *

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