2025年6月15日の火星の風景:砕けたばかりの岩?【今日の宇宙画像】

【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:NASA)

比較的最近に砕けたと思われる岩?なにがあった?

アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第227週にあたる2025年6月15日に、マストにある右のMastcam-Zで撮影された1枚です。

※…2025年6月15日はPerseveranceのミッション1536ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。

  • Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
  • NASA - Mars Perseverance Sol 1536: Right Mastcam-Z Camera

今回の画像に写っているのは、ジェゼロ・クレーター(Jezero Crater)に露出した堆積岩を至近距離から捉えたものです。岩肌には多方向に伸びる亀裂や節理が刻まれ、板状に割れている様子がよく分かります。これは、かつて湿った堆積層が乾燥・収縮したり、外力を受けて破砕された痕跡と考えられます。

画面下側に散らばる角ばった破片は、比較的新しく欠けたもので、自然風化だけでなくPerseveranceの車輪が接触した際に砕かれた可能性もあります。

つまり、この画像は「火星の乾いた古代湖底の堆積岩が、最近何かしらの力で砕けた姿を間近に捉えた1枚」ということです。

火星探査車Perseveranceとは

Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。

【▲ 火星探査車Perseveranceに搭載されている観測装置の位置を示した図。Mastcam-ZとSuperCamはどちらもPerseveranceのマスト、通称“ヘッド(頭)”と呼ばれる部分に搭載されている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

Mastcam-Zについて

Mastcam-Zは、Perseveranceのマストに搭載されている2つのカメラシステムで、主に火星の地形や岩石を立体的に撮影することができます。2012年8月に火星に着陸した火星探査車「Curiosity」に搭載されたMastcamから改良が加えられており、Mastcam-Zは最大4倍のズームが可能となっています。

なお、NASAによるとMastcam-Zの「Z」は、Zoomを意味するものだといいます。

【▲ 火星探査車Perseveranceのマスト部分の拡大画像。Mastcam-ZとSuperCamの設置場所がわかる(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

編集/sorae編集部

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