志賀に謎の巨大ホース 全長150メートル、推定300トン 浚渫パイプ、中国から漂着か

  ●住民騒然「SF映画のよう」

 志賀町西海風無(さいかいかざなし)の海岸に超特大のホースが漂着していることが10日、石川県への取材で分かった。鉄管とゴム管を連結させた構造で、長さは約150メートル、直径2メートル、重さは推定300トン。地元では「SF映画のよう」「真っ黒な大蛇みたい」などと気味悪がる声が続出し、環境省も「漂着ごみでは過去に例を見ない大きさだ」と驚く。昨年末に流れ着き、県の調査で中国製の浚渫(しゅんせつ)パイプと判明したが、元の所有者や漂流した経緯は不明。県は処分に向けて船や重機を用いた大掛かりな解体工事に乗りだす。

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  ●クリスマスに「上陸」

 県によると、志賀町西海風無の県管理海岸に漂着したのは「フローティングホース」と呼ばれる、海底の土砂撤去に用いられるパイプライン。昨年12月17日、富来漁港の沖合でホースが漂流していると町から県に連絡があった。県は海上保安庁などと現地を調査し、油の流出などの被害がないことを確認した上で経過を見守ったが、同25日のパトロール時には既に冬の強い波浪によって岸に打ち上げられていたという。

 ホースは浮きが巻かれた状態で、しま模様があり、ゴム部分が大きく曲がっていた。重さは県内に漂着する年間のごみの量(昨年度590トン)の半分相当と推定される。

 県が調べたところ、本体から英語や数字、社名などの表記が見つかり、中国のゼブング社が製造したことが判明。同社に写真を送付し、出荷先の調査を依頼したものの、所有者に関する情報は得られなかった。

 全国ポンプ・圧送船協会(東京)を通じてフローティングホースを扱う国内企業にも照会したが、手がかりはつかめず、県内の浚渫工事でも漂流につながるような事故報告はなかった。

 県は15日、ホースの撤去作業に着手する。大型の台船で現場まで近づき、クレーンで重機を下ろした後、小さく切断したホースを台船に積み込み、富来漁港まで運ぶ。その後、陸揚げを経てトラックで運搬し、廃棄物処理業者がリサイクルに回すなどして処分する。

 撤去費用は約5千万円を見込む。県は環境省に漂着ごみ処理の補助金で特殊事情を考慮した増額を要請し、例年の配分額に約4千万円を上乗せして1億5670万円とすることが決まった。残額の大半は特別交付税で措置されるため、県の実質負担は4%程度(約200万円)になる見通し。

 冬場になると海が荒れ、ホースが再び漂流する可能性があることから、県は今秋までに作業を終えたい考えだ。生活環境部の担当者は「かなりの大掛かりな作業になるが、速やかに住民の安全安心を確保したい」と話した。

  ●木造船など流れ着く海岸 頻繁に船往来も事故なく

 ホースが漂着した地元では住民からさまざまな声が上がっている。

 西海風無の大正路哲郎区長(73)は「『何じゃこりゃ』って驚いた。真っ黒な大蛇みたいやった」と漂着当時を振り返る。周辺では中国や韓国からとみられるプラスチック容器や木造船などが流れ着くことも少なくないが、これほど大きな物体は見たことがないという。

 漂着現場の周辺は岩ノリを収穫する「のりじま」があるほか、サザエやワカメもよく採れる。県漁協西海支所の漁船なども頻繁に行き来する。

 近くに住む元船員の松本俊一さん(73)は「船の往来が多い場所で事故がなかったのは良かった」と安堵の表情を浮かべた。

 ★フローティングホース 海底泥の浚渫に用いるパイプライン。今回、志賀町に漂着したホースは中国製。鉄管とゴム管を連結させた本体は浮きに包まれ、浮力が確保されていた。環境省や県などは日本海の西側から流れてきた可能性があるとみているが、所有者や漂流に至った経緯は分かっていない。

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