米大統領令が裏目に出る可能性も、大手製薬会社が対米投資見直し警告
- スイスのロシュ、1.2万人雇用見込む大型投資「妥当性に疑問」
- 薬価引き下げの大統領令、薬品業界での米地位脅かす-ロシュ
スイスの製薬大手ロシュ・ホールディングは、トランプ米大統領が署名した処方薬価格引き下げを命じる大統領令が実行に移されれば、米投資計画を見直す必要が生じるとの見解を示した。
同社は先月、500億ドル(約7兆3200億円)を米国に投じ1万2000人を超える雇用を創出する計画を明らかにした。この計画を発表したのは、トランプ氏が輸入医薬品に関税をかけると脅した後だった。
トランプ氏は12日の大統領令で、製薬各社に自主的な値下げを求め、応じなければ規制措置を講じる可能性を示した。薬価引き下げ措置を製薬会社は懸念していたが、大統領令は予想よりはるかに手ぬるい内容だった。
関連記事:トランプ氏、薬価下げへ大統領令署名-業界は最悪シナリオ回避 (1)
バーゼルに本社を置くロシュの広報担当者は「大統領令が実行された場合、米国で発表した大型投資の妥当性が問われることになる」との声明を電子メールで発表した。
「世界的な製薬・医療エコシステムの中心としての米国の地位が損なわれ、米国経済の成長を抑制し、雇用の喪失につながりかねない」と警告した。
米国の消費者は世界で最も高い薬価を支払っており、これが医薬品業界のイノベーションを促進し成長の原動力となってきた。米政府は2022年にバイデン前大統領の下で成立した「インフレ抑制法」に基づき、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)で使用される高額医薬品の一部について、メーカーと価格を交渉しており、今後も毎年、対象薬品が追加される予定。
ロシュが米投資を見直す可能性があることについては、スイスの新聞NZZが先に報じていた。
原題:Roche Warns US Investments at Risk From Trump Drug Price Plans(抜粋)