暑い夜にぼーっと眺めたい、花火のような銀河
Caldwell 65、ちょうこくしつ座銀河。
地球から1100万光年ほどのところにある渦巻き銀河で、急激な星形成の途中にあり、我々人類が宇宙への理解を深めるために貴重なデータを提供してくれる存在。
チリのアタカマ砂漠にあるパラナル天文台の超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)が、ちょうこくしつ座銀河のとてもカラフルな姿を撮影、VLTを運営するヨーロッパ南天天文台(ESO)が画像を公開しました。
100枚以上の画像を合成
VLTに搭載されている超広視野面分光装置(MUSE:Multi Unit Spectroscopic Explorer)で、ちょうこくしつ座銀河を50時間以上観測。撮影された100枚を超える画像をつなぎ合わせ、6万5000光年にも広がる銀河全体をとらえました。
星、ガス、塵からなる銀河は、いろいろな色の光を放ちます。今回のちょうこくしつ座銀河では、水素、窒素、硫黄、酸素が発する特定の光の波長をキャッチ。全体に見える明るいピンクの光は電離水素によるもので、これは星が形成されているエリアに見られます。画像真ん中、渦巻きの中心にある眩い白い光は、銀河中心にあるブラックホールから流れ出るガスによるものだそう。
銀河の全体像と内部構造を研究
ちょうこくしつ座銀河は、宇宙規模で言えば地球のご近所。星や銀河が形成されていく内部構造を調査する科学者にとっては絶好の観測ターゲット。
ESO研究員のEnrico Congiu氏も、画像公開のプレスリリースにてこう語っています。
銀河は非常に複雑なシステムであり、まだまだ解明や理解が進んでいません。ちょうこくしつ座銀河は、わたしたちにとってちょうどいい存在です。内部構造を読み解き、その詳細を研究できるほどに近くにあり、全体的なシステムを見られるほど大きなサイズなのです。
今回の画像では、必要エリアの内部構造をぐっとズームインしてみることもできれば、引きの画で銀河全体に目を向けることもできる非常に優れた解析データとなります。
そして、暑い夜にビールを飲みつつぼーっとしたい人には、見ているだけで美しい、まるで花火のような、薔薇棘鞭刃のような宇宙画像なのです。
ちょうこくしつ座銀河に関するレポートは、Astronomy & Astrophysicsに公開されています。