日経グループ2026年の主な事業

日本経済新聞社は2026年12月2日、創刊150周年を迎えます。日経グループの26年の主な事業を紹介します。

電子版を中高生の学びに 活字リテラシー養う

日本経済新聞社は創刊150周年事業の一環として、中学・高校の教育現場で日経電子版を活用してもらう「日経電子版 for Education」への取り組みを強化します。SNSを中心に偽情報や誤情報が氾濫するなか、次世代を担う若者が正確な情報を収集・分析し、主体的に判断する力を養うことで、活字リテラシーの向上に貢献します。

日経は企業の協賛を得て、全国約200校の中学・高校の生徒約16万人に電子版のアカウントを提供しています。各校では最新のニュースを題材にした探究学習や小論文の指導などに活用してきました。協賛企業と連携した特別授業も開催し、金融教育やサイバーセキュリティーなど教科書では得られない実践的な学びの機会を広げています。

2026年度からは日経自身も記者経験者による出張授業などを新たに始めます。現場での取材・執筆経験を生かし、情報の収集や整理の仕方、正確に伝えるための工夫を共有します。生徒たちは社会的な課題に自ら問いを立て、仮説を検証し、記事として発信するまでのプロセスを体験します。

各校の教員が授業での電子版の活用事例を共有し、教育効果を高めるためのコミュニティーを新設します。教材や授業設計のノウハウを交換し、教育現場におけるデジタル活用の可能性を追求していきます。

生成AI(人工知能)を使った新機能「Ask! NIKKEI」の利用も後押しします。同機能は日経電子版の過去記事のみを情報源としているため、不正確な情報源を基に誤った回答を生み出す「ハルシネーション(幻覚)」などAI利用に伴うリスクを抑えられます。授業にAIを取り入れる第一歩として、教育現場でも高い評価を受けています。

情報の力で未来を切り開く若者を育てるため、日経は教育現場とともに歩み続けます。

動画・音声で新しい記事体験

日経電子版はショート動画と音声での記事発信を強化します。読者の関心が高そうなポイントを短い動画で切り出してSNSなどで紹介したり、画面で読まなくても耳で理解できるコンテンツをポッドキャストで提供したりします。活字より動画や音声で情報に触れることが多い方々に、日経の記事を分かりやすく身近に感じてもらう狙いです。

ショート動画は、日経が新たに公式アカウントを開設した動画アプリ「TikTok(ティックトック)」のほか、動画共有サイト「ユーチューブ」、X(旧ツイッター)、インスタグラム、スレッズ、ブルースカイといった様々なSNSに投稿します。

活字の記事は見出しで主な内容を表現しますが、一定の文字数で伝えられる要素には限りがあります。ショート動画では一つの記事で重要なファクトや分析、発言、エピソードを複数の動画で紹介できるため、関心があるポイントに気付きやすく読み逃しを防げるのが特徴です。

音声コンテンツは通勤などの移動時や、作業中でも「ながら聴き」できる便利さがあります。日経電子版では写真やグラフを見なくても耳だけで内容や面白さが伝わる記事を選び、スポティファイやアップルのポッドキャストなどで積極的に発信していきます。

こうした個々の記事の音声展開のほか、定例のポッドキャスト番組も拡充。「日経プライムボイス」などに続き、マーケットやビジネスといった様々な分野で日経記者の専門性を生かしたテーマやパーソナリティーの新番組を企画します。

動画・音声ともに、日経になじみがないSNSやポッドキャスト利用者でも関心を持ってもらいやすいよう伝え方や編集手法を工夫します。水が液体・固体・気体に形を変えるように、記事も活字・動画・音声の多様な表現で届ける「リキッドコンテンツ」の考え方で、それぞれの読者に合った接点を探っていきます。

連載70年「私の履歴書」復刻版

過去に日本経済新聞に掲載した「私の履歴書」の復刻版を1月から順次、日経電子版で公開します。ちょうど70年前の1956年に始まった私の履歴書は現在の御手洗冨士夫氏に至るまで、経営者や政治家、文化人ら900人以上の方が執筆してきました。このうち電子版で公開できているのは約130人にとどまります。創刊150周年を機に電子版への転載許諾を取得し、現在は一部を除いて縮刷版や書籍でしか読めない過去の私の履歴書を復刻します。広く電子版の読者に現代の偉人伝をご覧いただけるようにします。

初回の1月は本田宗一郎氏と江戸川乱歩氏、2月は田中角栄氏と山田耕筰氏、3月は平塚らいてう氏と出光佐三氏を予定しています。4月以降も石橋正二郎氏や堤康次郎氏、五島慶太氏ら著名な筆者の私の履歴書を順次、公開します。

朝刊文化面の「顔」が毎月一人ずつという現在の形式になったのは1987年以降で、それまでの回数はまちまちでした。松下幸之助氏は私の履歴書を二度、執筆した唯一の方です。蘇(よみがえ)るレジェンドの人柄や時代の空気感とあわせてお楽しみください。

復刻版の公開にあわせて、日経電子版「私の履歴書」サイト(https://www.nikkei.com/culture/autobiography/)を9日に刷新します。

新たに復刻したコラムを紹介する「今月の復刻版」や、歴代執筆者を年代ごとに一覧できるコーナーを新設し、それぞれの分野で時代を代表する人物に出会える場をつくります。

執筆者の検索・絞り込み機能を今春以降、順次追加し、関心のある人物を探しやすくするほか、「次へ」ボタンを設け1カ月分の長期連載をスムーズに読み進められるようにします。

「NIKKEI KAI」にAIエージェント機能

日本経済新聞社が提供する生成AIサービス「NIKKEI KAI」は、2025年3月のSaaS版開始以降、進化を続けています。9月にはアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を公開、10月には高度な情報探索を可能にするDeep Research機能を追加しました。

日経・日経BPの豊富なデータに加え業界専門紙やスタートアップ情報、官公庁データなどを取り込み、ビジネスの意思決定を支援する信頼性の高いサービスとして成長しています。

26年には企業内業務を効率化する「AIエージェント」機能を投入します。法人営業に不可欠な提案書作成やターゲットリスト選定などを一貫して実行できる仕組みです。さらに、異なるAIエージェントを接続する標準規格MCPに対応し、顧客企業の社内システムや他社の大規模言語モデル(LLM)との連携も可能にします。

日経が持つ高品質なデータと、顧客企業や外部ベンダーの情報を掛け合わせ、他の生成AIサービスと差別化。信頼性と実用性を兼ね備えたNIKKEI KAIは、企業のデジタル変革を加速させます。

バンコクで経営者フォーラム

日本経済新聞が創刊150周年となる2026年、海外で記念事業を展開します。英文媒体であるNikkei Asiaが掲げるスローガン「アジアの声を世界に伝える」を推し進めるため、バンコクで新しい海外イベントを開催。Nikkei Asiaを多様な言語で多くの読者に届ける新機能も導入します。

日経は「アジアの未来」「世界経営者会議」を中心に国際的なイベントを国内で多数開催してきましたが、26年は海外展開を加速します。7月16日にはバンコクで「Nikkei Asia Forum APAC 2026」を開きます。

世界経済の成長センターとして発展してきた東南アジア諸国連合(ASEAN)を含むアジア太平洋地域(APAC)には、米中対立や「トランプ関税」など難題が影を落としています。新しいイベントでは域内で活動する一線の経営者や有識者らを迎え、ビジネスや経済の持続的成長に向けた諸課題を掘り下げます。投資や貿易環境、人工知能(AI)をはじめとするテクノロジーの活用、人材、そしてエネルギー問題などテーマは多くあります。

バンコクで開くのは、日本やタイの企業にとどまらず、多様な参加者を期待できるためです。タイには電気自動車(EV)などで攻勢をかける中国の自動車メーカーが多く進出しています。サプライチェーンの構築で新たな投資先として注目されているベトナムなどASEAN各国やインド、欧米勢にも参加を呼びかけ、地域的なビジネスフォーラムとして打ち出します。

もう一つの150周年事業として、Nikkei Asiaの多言語対応を進めます。英語以外のアジア言語8カ国語(日本、韓国、タイ、ベトナム、インドネシアなど)の自動翻訳機能を盛り込み、それぞれの言葉でニュースを届けます。多様な言語を話す人材を抱えるグローバル企業を中心に利便性向上につなげます。

インドのベンガルールに新支局

世界最大の人口を抱えるインドのシリコンバレーと呼ばれ、IT(情報技術)系を中心にスタートアップ企業が集積するベンガルールに支局を開設します。政治経済の中心である首都・ニューデリーと、中央銀行があり金融・商業の中心であるムンバイの2支局にベンガルールを加え、力強い経済成長が見込まれるインドでの取材体制を強化します。現地採用の記者を活用し、新しい海外情報の発信にもつなげます。

ベンガルールでは日本企業の進出が盛んになっています。トヨタ自動車をはじめとする製造業に加え、現地のIT人材を活用する目的で研究開発拠点を新設する企業も増えています。南インドでのミクロ取材を強化することで成長著しいインド経済をよりダイナミックに報道できる体制を整えます。

ミレー、ゴッホ傑作が一堂に

オルセー美術館の開館40周年を記念し、同館の人気作品を展示する「オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」展を11月14日から2027年3月28日まで東京都美術館で開催します。

ミレーの「落穂拾い」やゴッホの「ローヌ川の星月夜」、シニャック「アヴィニョン、夕暮れ(教皇宮殿)」やゴーガン「アレアレア」など、時代を超えて美しさを伝え続ける絵画の傑作、彫刻、工芸、写真など約110点を一堂に展示します。

産業構造の変化、大都市の出現、人工照明の普及、中産階級の台頭など欧州の社会が大きく変わった19世紀、芸術家たちは激動の中に生きる人々やその暮らしの様子を捉え作品に留めました。当時の人々が日常の小さな歓びや幸せを慈しむ姿は、目まぐるしく移りゆく21世紀のいまなお私たちに訴えかけています。

源氏物語、受け継がれる王朝絵巻

源氏物語に着想を得て制作された様々な時代の美術作品を紹介する特別展「源氏物語 王朝のかがやき」を10月6日から11月29日まで京都国立博物館で開催します。源氏物語をテーマとした過去最大規模の展覧会です。絵巻や画帖、屏風、工芸品、能装束など国宝や重要文化財を含む約250件を展示。千年以上にわたって人々を魅了してきた文学作品がどのように受け継がれ、美術品に影響を与えたかを探ります。

重要文化財「紫式部日記絵巻断簡」(13世紀、東京国立博物館蔵)は、源氏物語の作者・紫式部が宮中での営みを綴った「紫式部日記」を描いた作品。もとは巻物でしたが、昭和初期に分断され、現在は掛幅装となって分蔵されている鎌倉時代王朝絵巻の代表作です。

また近年、注目を集めているのが「源氏物語絵巻(盛安本)」(京都国立博物館ほか蔵)です。江戸時代前期に制作され、完成していれば200巻を超える大作であったと考えられていますが、全容が不明であることから「幻の源氏物語絵巻」と呼ばれ、現在は国内外に散在する色鮮やかな逸品です。この絵巻を海外からも集めて紹介する貴重な機会となります。2027年1月19日から3月14日まで東京国立博物館に巡回。

ピカソとポール・スミス、遊び心の冒険へ

20世紀を代表する芸術家ピカソの優品を英国出身の著名ファッションデザイナー、ポール・スミスの会場デザインで展示する「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」展を6月10日〜9月21日まで国立新美術館(東京・港)で開きます。

パリ国立ピカソ美術館のコレクションから、青の時代と呼ばれる初期の代表作「男の肖像」や、息子を描いた「アルルカンに扮したパウロ」=写真=など約80点を展覧。伝統的な仕立てと遊び心ある色使いで知られるポール・スミスが、ピカソ作品からインスピレーションを得て考案した会場は2人のアーティストの時を超えた出会いによる楽しい驚きに満ちています。

モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」、ムーティ指揮

巨匠リッカルド・ムーティ指揮でモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」=写真=を4月26日、29日、5月1日の3公演、東京文化会館で開催します。

「ドン・ジョヴァンニ」は稀代のプレイボーイ、ドン・ファンの伝説に基づいて制作されたオペラです。イタリアのトリノ王立歌劇場とパレルモ・マッシモ劇場が共同制作した舞台を運び、東京春祭オーケストラ、東京オペラシンガーズ、マエストロが厳選した歌手をそろえて上演します。

「ドン・ジョヴァンニ」は「ダ・ポンテ三部作」のひとつですが、ムーティは2008年に「コジ・ファン・トゥッテ」、16年に「フィガロの結婚」を日本で指揮しており、今回で三部作の上演が完結します。会場の東京文化会館は改修による長期休館を予定しており改修前の最後の公演です。

大徳寺の開創700年、禅宗文化の名宝

京都の禅宗寺院、大徳寺の開創700年を記念し、同寺に伝わる絵画や仏像、書跡、工芸品など名品を一堂に集める特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」を東京国立博物館で10月14日から12月6日まで開きます。

臨済宗の大本山として知られる大徳寺は厳格な禅の気風を守り伝え、天皇や武将、茶人などからあつい信仰を集めてきました。禅宗文化の歴史を伝える名宝を受け継いでおり、本展では通常非公開の三門楼上の本尊や千利休像、塔頭寺院の宝物などを展示します。

妙心寺展 屛風や襖絵が鮮やかに

臨済宗大本山、妙心寺(京都市)に伝わる書画や仏像、襖絵などの寺宝約130件を展示する「妙心寺 禅の継承」展を大阪市立美術館で2月7日から4月5日まで開きます。同寺の礎を築いた高僧・微妙大師の650年遠諱を記念した企画です。長谷川等伯の「枯木猿猴図」、狩野山楽・山雪が描いた非公開の色鮮やかな襖絵のほか、大型屏風群で江戸時代の法要のしつらえを展示するなど同寺の歴史と禅宗美術、桃山絵画を体感できる展覧会です。

「Beyond SDGs」世代・国境超え共創

2030年を目標年次とするSDGsのその先を展望するプロジェクトを始動します。「Beyond SDGs」と題し、社会課題の解決に取り組む企業、団体、個人をつなぐ共創プラットフォームを創出します。

「SDGs Week EXPO」は、環境総合展「エコプロ」を中核に、地球、社会、人をテーマとするイベント「Beyond SDGs エコプロ」に刷新。ビジネス目的の来場だけでなく毎年1万人を超える小中高生が学びに来るイベントとして、未来志向の価値と共創の場を提供します。今年は東京ビッグサイトで「日経SDGsフォーラム」と同時開催。展示会とシンポジウム・セミナーにより、幅広い社会課題に対して多面的な情報発信を行います。

大学生・Z世代と企業経営者が30年以降の社会課題をテーマに対話する「Beyond SDGs〜次世代共創ダイアログ〜」も開始。未来世代、対話、グローバルを軸に世代・国境を越えた共創を通じ新たな価値観を創出します。

日経BP、「日経トレンディ」電子版

日経BPは今秋、「日経トレンディ」「日経エンタテインメント!」の電子版を新創刊します。

日経トレンディは1987年の創刊以来、ヒット商品、サービスを40年近く追いかけてきました。また、日経エンタテインメント!が取材対象とするエンタメ産業は、数少ない成長分野です。雑誌では主にコンシューマーに向けて情報をお届けしてきましたが、新創刊する電子版ではヒット商品の裏側やエンタメ分野の将来性など、ビジネスパーソン向けの記事を展開。ビジネスに役立つデジタル媒体を目指します。

働く女性のキャリア形成と、企業の女性活躍・多様性推進を応援するウェブ媒体「日経xwoman」は、今春のリニューアルを機に名称を雑誌の「日経ウーマン」と統一。コンテンツを大幅に拡充し、アンケートやランキング調査、女性リーダー育成講座など、女性の活躍とそれを支える企業を全力でサポートします。

QUICK、AIで株価や銘柄分析

QUICKは人工知能(AI)を活用し、主力の金融情報端末を「営業支援プラットフォーム」へと進化させます。証券会社向け端末「Qr1」には、投資家からの質問への回答を自動生成する「ポイント解説」を搭載し、株価分析や銘柄解説も充実させます。さらに相続・事業継承やプライベートアセットなど富裕層向け営業に必要な情報を拡充します。自然言語での対話によって、営業員があらゆる場面で投資家へ的確に対応できるよう支援することが当面の目標です。

従来のデータ販売にとどまらず、AIを駆使して「データに基づく洞察」を提供する会社を目指します。企業が発表している非財務データなど、多岐にわたる膨大な情報を収集・分析できるAI基盤やAIエージェント群を用意。これらを組み合わせて投資家に向き合う営業現場の生産性を引き上げ、海外からの関心も高まる日本の証券市場をさらに活性化していきます。

テレビ東京、人気アニメ新作を世界へ

テレビ東京は独自性のあるコンテンツ・IP(知的財産)を多角展開する「CaaS(コンテンツ・アズ・ア・サービス)」戦略を推進します。世界で人気のアニメシリーズ新作「BLEACH 千年血戦篇」を放送予定で、その他の日本を代表する作品とともに世界中のファンに届けます。

経済動画サービス「テレ東BIZ」は投資やリスキリング、ビジネス課題解決に役立つ実践的なラインナップを拡充。乳幼児向け番組「シナぷしゅ」は米国など海外展開を計画するほか、世界的に急成長するショートドラマでも初の国際共同制作に取り組みます。

サステナビリティでは人や社会の「多幸感」につながるウェルビーイングに重点を置き、3月に新たな特集ウィークを設けます。BSテレビ東京は「NIKKEI NEWS NEXT」などと連動したイベント「経済・投資の目利き塾」を3月に東京で開きます。

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