2030年の“月面原子力発電”に向けて、NASAが本気出してきた

Image: NASA

でも安定した電力供給を!

人類は月面に拠点を築き、サステナブルな生活を送ることを夢見てきました。いまその実現に向け、NASA2030年までに原子炉を設置すべく、本格的に動き出しています。

月面での電力供給課題

これまでも宇宙空間での太陽光発電には、多くの可能性が託されてきました。月面での基地建造や運営にも、ソーラーパネルを設置して、そこから生み出される電力の存在は欠かせないものとなっています。しかし、太陽光発電のみに頼るわけにはいきません。なんといっても、14日ほど続く月の夜の間、ソーラーパネルには太陽光が降り注がず、電力枯渇してしまいますから。

そこでNASAは、3年前から「Fission Surface Power System」による課題解決に挑んできました。これは、小型の原子炉を月面に設置して、いわば月でも原子力発電所を稼働させようというもの。長い月の夜や影のもとで、電力安定供給できる体制が整えられます。初期段階の構想は、かなり練りあがってきました。

2030年までの本格稼働を明言!

NASAのSean Duffy長官代理は、Fission Surface Power Systemの原子炉稼働2030年までに実現するためのプランを明示。新たなプロジェクトリーダーが選任されるほか、民間企業とのパートナーシップも強化されていきます。当初の構想より原子炉の規模も3倍近く大きくなって、約80世帯へ電力供給可能な100キロワット電力の出力規模を確保する計画へとパワーアップしたんだとか。

トランプ政権下では、NASAへの予算削減がビッグニュースになっています。とはいえ、有人宇宙飛行が絡むプロジェクトに回される予算は、来年度に6億4700万ドル(約950億円)も増額される見込み。月面探査ならびに、その後、新たな月面基地を拠点に有人火星探査へ注ぎこまれていく資金は、成功のために惜しまない方針が掲げられてもいるようです。

実は月面に原子炉を設置する野望は、中国ならびにロシアも掲げています。火星探査を視野に入れた、中国の宇宙開発レースへ臨む意気込みは、いまや米国にとって侮れないレベル。なんとしても2030年までに、初の月面での原子力発電体制を整えて、米国一番乗りを果たさねばならないとの思いが、今回のNASAの発表した新プランに表われています。今後のプロジェクトの進展は注目に値します。

Source: NASA

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