柏を苦しめ続けた広島MF中野就斗のセットプレー、「しっかりとケア」をした万全のロングスロー

2得点を演出した広島MF中野就斗

[11.1 ルヴァン杯決勝 柏 1-3 広島 国立]

 セットプレーからの3ゴール。柏レイソルとのルヴァン杯ファイナルは、サンフレッチェ広島が2日間練習に費やした形で決着がついた。決勝点となったチーム2点目は、MF東俊希の華麗な直接FK弾だったが、1点目と3点目はいずれもMF中野就斗が繰り出したロングボールによるものだった。

 まずは前半25分、広島は敵陣右サイドでスローインを獲得。中野のロングスローが相手GKの手前まで到達すると、DF荒木隼人が打点の高いヘディングで合わせ、広島に先制点をもらたす。 「隼人くんは(ロングスローを)1回目に投げた時に競り勝てるなっていう自信があったらしくて、『そのまま投げてこい』っていうことで、そのまま投げた時にいい感じで入ってきてくれて狙い通りでした」  リードを2点に広げた広島は、前半アディショナルタイム2分、1ゴール目と同じような位置でスローインを得ると、中野が投げたボールは大きな弧を描いて柏ゴール前に到達。ニアサイドでDF佐々木翔が頭で中央へとコースを変えると、FWジャーメイン良がボレーシュートを突き刺して、スコアを3-0とした。

ロングスローからDF荒木隼人のヘディングで広島が先制

 大舞台へ仕上げてきた。思うようにロングボールを投げられない状態が続いていたという中野だが、ルヴァン杯決勝には武器を携えて臨んでいた。 「今シーズン始まって投げることはできたんですけど、途中で痛めてしまって、そこからなかなか飛距離が出なかったんですけど、このためにしっかりとケアをした」

 先発のフィールド選手10人のうち、柏で180cmを越えているのは2選手(古賀、垣田)なのに対し、広島は7選手(塩谷、荒木、中野、川辺、東、ジャーメイン、木下)を擁する。ミヒャエル・スキッベ監督は、「身体能力的な、体の大きさだとかそういったところでは、自分たちが上回っている相手に対して、本当に有効になるプレー」とセットプレーの重要性を語る。

 とはいえ、ロングスローを投てきするには、敵陣でスローインを獲得することが必要になる。「本当に強い相手に対して、自分たちは相手陣内でサッカーをすることができました。それ故にセットプレーも拾うことができて、そこから得点することができました」。試合後の記者会見に臨んだスキッベ監督は、第一声でそう試合を振り返る。  広島が積み重ねた準備が、3年ぶりのタイトルを手繰り寄せた。 (取材・文 奥山典幸)●ルヴァン杯2025特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中

関連記事: