イラン、米軍のレーダーを集中攻撃…最終目標はイスラエル(ハンギョレ新聞)
イランが米国およびイスラエルとの戦争の序盤から中東全域の米軍基地を標的とする反撃をおこなっている中、とりわけ米軍の探知・迎撃システムを集中攻撃していることが確認された。 イランは開戦翌日の今月1日から、カタールのアル・ウデイド基地の早期警戒レーダーAN/FPS-132など、中東全域の米軍基地とレーダーが破壊された様子をとらえた写真を公開してきた。特にアル・ウデイド基地のレーダーは、最大5千キロ離れた多数のミサイルを同時に追跡する早期警戒レーダーだ。約11億ドルもする高価な戦略資産であり、中東全域だけでなく、米国本土を標的とする長距離からの脅威に対する早期探知網にも使用されるレーダーだ。 アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ルワイス米軍基地のTHAAD(終末高高度防衛)のレーダーシステム「AN/TPY-2」も攻撃を受けた。このレーダーも1台あたり約5億ドルもする高価な機器だ。CNNによると、今回の被害によって地域のミサイル防衛網に深刻な空白が生じていると評されている。ヨルダンのムワッファク・サルティ空軍基地のTHAADレーダー「AN/TPY-2」も攻撃で破壊された。攻撃されたこの2つのTHAADレーダーは、弾道ミサイルを迎撃する際に要となるセンサーが直接攻撃されたため、現在は機能していないとされている。 クウェートのアリ・フジャン基地のレーダードームが3基、バーレーンの米第5艦隊司令部の衛星通信施設も損傷していることが、衛星写真で確認できる。サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地のレーダー用地も攻撃を受け、煙が立ち上る様子が撮影されている。クウェートのアリ・アル・サレム空軍基地も、攻撃の前後を比べて深刻な被害が出ていることを示す衛星写真が確認されている。 米軍は当初、基地が攻撃されたことのみを認めていたが、最近になって一部のレーダー網に被害が出ていることを認めた。カタール国防省は「深刻な被害」が出ていることを認めている。米ウォール・ストリート・ジャーナルは7日に「イランは米国のミサイル防衛を支えるレーダーを攻撃している」と報じており、ニューヨーク・タイムズも3日に「イランは中東で米軍の通信インフラを攻撃している」と題する記事を報道している。 今回の戦争を管轄する米中央軍は、「戦闘能力は維持されている」としながらも、このレーダーが作戦で使えるのかについては具体的に語っていない。衛星写真を確認すると、レーダードームのイランを向いた面が破損しており、火災を鎮圧したと思われる跡がある。専門家の間では、完全な破壊ではないものの、「重大な損傷による機能まひ」に陥っているとの判断が下されている。 米軍基地とレーダーを狙ったイランの攻撃は、昨年6月の「12日間戦争」よりもはるかに正確であることが確認されている。ワシントン・ポストは、ロシアが位置情報を提供し支援していると報じた。ロシアの支援に加えて、イランは戦前にミサイルとドローンの能力を強化したとされている。 米軍は6日、イランによる弾道ミサイル発射は戦争初日と比べて90%、ドローン攻撃は83%減少していると発表した。米軍の発表どおり、イランのミサイルとドローンによる攻撃は減少しているものの、それらは米軍などの防空網を突破し、アラブ諸国を今も攻撃している。イスラエルに向けて発射されるイランのミサイルやドローンに対処するこれらの早期警戒レーダーをまず弱体化させ、イスラエルへの攻撃を容易にするという目的もある。開戦前から、イランは米軍の防空網を消耗させ、究極的にはイスラエルを狙うと予測されていた。 米中央軍は、相次いで攻撃されているにもかかわらず「米軍は完全な戦闘能力を維持している」として、装備や迎撃システムをさらに投入して地域の防御網を補強していると語った。しかし、湾岸のアラブ諸国からは不満の声があがっている。AP通信とディフェンス・ニュースによると、レーダーに被害が出たことで防衛網の運用に負荷がかかっていることを受け、米国がイスラエル防衛を優先し、アラブ諸国が放置されることを懸念している。 ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)のミサイル防衛プロジェクトの責任者を務めるトーマス・カラコ氏はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、被害を受けたレーダーは「希少な戦略資源」だとして、「複合的かつ統合された空中・ミサイル攻撃の問題がすでに現実のものとなっており、我々は弾道ミサイルだけでなく、空中やミサイルなどの脅威の全領域に対する防衛システムを維持するための防衛、すなわち『防衛網のための防衛』が必要だ」と述べて懸念を示した。 チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ [email protected] )