【月面に眠る「ヘリウム3」は地球の1万年分のエネルギーに相当?】中国も採取を狙って月面探査を加速か(スペースチャンネル)

月面に存在するヘリウム3のイメージ©スペースチャンネル(AI)

近年、月面に大量に存在するとされる「ヘリウム3(³He)」が、次世代のクリーンエネルギー資源として世界中の科学者やエネルギー研究者から注目を集めています。地球ではごくわずかしか存在しないこの貴重な物質が、なぜ月に眠っているのでしょうか? そして、それを使って何ができるのでしょうか?

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■ 人類の未来を支える「理想の核融合燃料」

小型低圧アンプル内におけるヘリウム3の放電©Alicepublic

ヘリウム3は、陽子2つと中性子1つからなる安定したヘリウムの同位体で、1939年に分離されました。地球上では極めて希少ですが、太陽風に含まれる³Heが、数十億年にわたり月の表面に吹きつけられ、レゴリス(土壌)に蓄積してきたと考えられています。

このヘリウム3を重水素と核融合させると、中性子をほとんど出さずに、膨大なエネルギーを発生させることができます。原子力発電所で行われている核分裂では、事故時の放射性物質の外部放出、長期的な放射性廃棄物の処理、などの問題がつきまといますが、ヘリウム3を使った核融合なら、核暴走事故のリスクが低く、長期放射性廃棄物も少ないというメリットがあります。

なんと、月に存在する³Heをすべて使えば、人類全体の約1万年分のエネルギーがまかなえるとも試算されています。日本の年間電力消費量を支えるには、わずか数トンの³Heで十分とされています。

■ 月面資源をめぐる各国の動き:中国は先行?

月面基地のイメージ©ESA

特に注目されているのが中国の動きです。

  • 2020年と2024年、中国の「嫦娥計画」によって、月面サンプルの地球帰還に成功。
  • 科学者たちはその土壌から³Heの濃度や抽出方法に関する研究を進めており、エネルギー資源としての実用性を探っています。
  • 中国政府は、2030年までに宇宙飛行士を月へ送り込む計画を発表しており、その目的の一つとして「³He採掘」が含まれていると見られています。

こうした動きから、一部では「³Heを巡る宇宙資源競争」の時代が訪れつつあるとも言われています。

■ 実用化の壁:採掘・輸送・融合技術はまだ発展途上

月面核融合炉のイメージ©スペースチャンネル(AI)

一方で、³He活用の実現には技術的なハードルが数多くあります。

  • 月面の表土には³Heが1.4〜15ppb(10億分の15)という超微量しか含まれておらず、1グラムを得るには150トン以上のレゴリスを処理する必要があります。
  • 月面での採掘、地球への輸送、純度の高い分離技術なども未確立。
  • そもそも、³Heを使った核融合技術自体がまだ研究段階であり、商業炉の運用には至っていません。

それでも、この夢のような燃料の魅力は、各国の宇宙政策やエネルギー戦略を大きく動かしています。

ヘリウム3は、理論上はクリーンで安全なエネルギー革命の鍵となり得る存在です。地球環境への負荷を減らし、化石燃料に依存しない新しい時代を切り拓くことができるかもしれません。ただし、その実現には多くの科学技術と国際的な協力、あるいは資源争奪への懸念など、課題も山積みです。

月に眠るヘリウム3を採掘し、未来のエネルギー源として地球に持ち帰ることは本当に可能だと思いますか?それとも、地球上の技術や再生可能エネルギーの進化に力を注ぐべきでしょうか?ぜひ、コメントお待ちしています。

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