リニア静岡工区、知事が7月にも着工容認へ 住民説明会終える
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リニア中央新幹線の静岡工区を巡り、JR東海による静岡県内の関係自治体での住民説明会が22日、完了した。地元の理解醸成は鈴木康友知事の着工容認の前提条件で、7月中にも容認する見通し。
環境対策などに関する県とJR東海の一連の協議は今春に完了した。残る法令上の手続きにめどがつけば、今夏にも着工に必要な県条例に基づく協定を両者で締結する。最短2036年と見込まれる品川―名古屋間の開業へ大きく前進する。
住民説明会は静岡市と県中部の大井川流域10市町の住民を対象に、5月26日から計22回実施した。22日の藤枝市での説明会には88人が訪れた。会場ではJR東海による大井川や南アルプスの環境保全措置について、パネルや映像で紹介した。来場者の質問にも同社社員が個別に説明した。
市内に住む会社員の女性(49)は「パネルや動画を使った説明が分かりやすく、水資源への対応などについてよく理解できた」と納得した様子。公務員の男性(64)は「生態系への影響が気になったが、しっかりと調査が行われると知り、安心した。これからの取り組みに期待したい」と話した。
説明会に出席したJR東海の永長隆昭・中央新幹線静岡工事事務所長は、終了後に「22回の説明会を通じて理解を深めてもらえたと実感している。着工許可を得られた場合は、環境保全対策などを着実に進めていく」と述べた。
県とJR東海は大井川の水資源や自然環境の保全、トンネル工事で発生する残土の処理など28項目に関する対話を続けてきた。3月に一連の協議が決着し、鈴木氏は着工を容認するうえで大井川流域自治体の理解促進を重視していた。
23日以降はJR東海が静岡県議会や関係市町の議会に本体工事に伴う環境対策などについて報告する。あわせて同社は関係法令上の手続きを進めることになる。
法的手続きには河川法や盛土規制法などに関する県や静岡市への許可申請がある。多くは申請から1カ月ほどで手続きが終わるとされる。JR東海はすでに県などとの事前調整に入っている。
県は全ての法的手続きで許可に向けた見通しが立った段階で、静岡工区の着工に必要な「自然環境保全協定」を同社と締結する方針だ。最終的な判断は鈴木氏に委ねられる。
同氏は18日の県議会本会議で「県の対応は大きな山場を迎えつつある」と述べ、判断の時期が近いことをうかがわせた。県幹部は「法的手続きは瑕疵(かし)が生じないように慎重に進める」としつつ、「無駄に引き延ばすこともない」と明かす。
正式表明のタイミングは流動的だ。鈴木氏は県議会への説明責任を重視しており、県議会の閉会日である7月7日までに意思表示を行うとの見方がある。協定締結は7月中旬になるとの観測もあり、それをもって容認表明とする選択肢もある。
リニア中央新幹線は14年に品川―名古屋間の工事が始まった。17年に静岡県の川勝平太前知事がトンネル工事で大井川の流量が減るとして静岡工区の着工に反対すると表明し、事態は膠着した。
JR東海は20年に金子慎社長(当時)が川勝氏と面談するなど打開を図ったが、主張は平行線をたどり調整は難航した。24年3月には「最短で27年」としていた品川―名古屋間の開業時期目標を断念した。
その後、川勝氏は県庁入庁式での訓示が差別的との批判を受けて24年5月に辞職。鈴木氏がその後の県知事選で初当選した。鈴木氏は就任直後からJR東海との協議を推進するなど、問題解決に積極的に取り組んできた。
静岡工区は難工事が予想され完了までに10年ほどかかるとされる。鈴木氏の政治決断で年内に本体工事に着手できれば、最短で36年と見込まれる品川―名古屋間の開業実現に近づく。
(飯塚遼、赤堀弘樹)
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