小惑星が地球に衝突して死ぬ確率 vs 交通事故などで死ぬ確率、意外な結果に
どっちで死ぬのがマシなんだろう?
交通事故、一酸化炭素中毒、落雷など、さまざまな事故で死亡する可能性と小惑星が地球に衝突して死亡する可能性について、その確率を計算した新たな研究が発表されました。
今まで起こったことはないけれど?
地球を壊滅させるような小惑星が衝突する確率は低いものの、やはりゼロではありません。
実際、最近になって発見された小惑星「2024 YR4」が2032年に地球に衝突する確率が算出され、その確率が3.1%だということもありました。
その後、科学者たちがその確率をほぼゼロに修正しましたが、それでもこの小惑星は私たち人類がいかにもろい立場であるかを再確認させてくれた出来事となりました。
今回の研究では、研究者たちは平均的な人の生涯において小惑星が地球に衝突する確率と、その衝突によって死亡する確率を計算し、それを他の致命的な事故(交通事故や落雷など)で死亡する確率と比較しました。
Image: Nugent et. al驚きの結果
さて結果ですが、小惑星が地球に衝突して死亡する確率は、狂犬病にかかって死亡する確率よりも高いことが分かりました。この研究結果はarXivに公開されています。
また、小惑星が地球に衝突する確率は、人が落雷に打たれる確率よりも高いものの、落雷に打たれた場合の致死率の方がはるかに高いということも明らかになっています。
もちろん小惑星の衝突確率を計算するのは簡単なことではありません。研究者たちは、まず地球近傍天体(NEO)のデータや、過去の危険性評価、小惑星やその他の宇宙岩(幅140メートル以上)の情報を分析。それから、それらの天体が地球に衝突する頻度を計算し、人が遭遇しうる他の死因と比較しています。
現実感のある比較をするとわかりやすい
ただ、これまでに小惑星の衝突で死亡した人は存在しません。一方で、2024年にはアメリカだけで13人が落雷によって命を落としています。
それでも研究者たちは、このように説明します。
NEO(地球近傍天体)による衝突という惑星規模の出来事を、個人に降りかかる致命的な出来事と比較することによって、専門家も一般人も小惑星衝突の確率をより現実的な枠組みで捉えられるようになります。
たとえば、交通事故や動物に襲われるといった出来事との比較がその助けになります。
NASAもすでに小惑星の衝突のような事態への備えを始めています。2022年には、宇宙船を小惑星に衝突させるテスト「DARTミッション」を行ない、地球に向かってくる危険な宇宙岩をそらすことができるかを検証しました。
この実験は成功し、現在はフォローアップの衛星が同じ小惑星とのランデブーに向けて飛行中で、衝突の影響を間近で調査する予定となっています。