ロシア軍がウクライナを641発の長距離ドローン・ミサイル攻撃、世界遺産の大聖堂が炎上(JSF)

ウクライナ空軍より2026年6月15日迎撃戦闘の集計報告

 2026年6月15日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計681飛来(ドローン671機+ミサイル70発)でした。約2週間ぶりの大規模攻撃となっています。今回のロシア軍の攻撃により千年の歴史を持ちユネスコの世界遺産に登録された建造物であるキーウ・ペチェールシク大修道院の生神女就寝大聖堂(ウスペンスキー大聖堂)が炎上するという暴挙が行われました。

  • 2026年6月15日:合計681飛来(ドローン671機+ミサイル70発)49突破
  • 2026年6月02日:合計729飛来(ドローン656機+ミサイル73発)87突破
  • 2026年5月24日:合計690飛来(ドローン600機+ミサイル90発)67突破
  • 2026年5月18日:合計546飛来(ドローン524機+ミサイル22発)39突破
  • 2026年5月14日:合計731飛来(ドローン675機+ミサイル56発)48突破

※上記は最近の約一カ月間でのミサイル20発以上を含む条件での大規模攻撃のリスト。なおロシア軍の長距離ドローンによる攻撃は毎日実施されている。

2026年6月15日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部

  • ツィルコン極超音速巡航ミサイル×6飛来5撃墜
  • イスカンデルM弾道ミサイル/S-400転用ミサイル×34飛来15撃墜
  • Kh-101/イスカンデルK巡航ミサイル×30飛来30撃墜
  • 自爆無人機と囮無人機×611飛来582排除

合計681飛来632排除、49突破 ※阻止率93%

ウクライナ空軍より2026年6月15日迎撃戦闘の集計報告

攻撃は主にキーウに集中

ППО радар と monitoring による共同作業の可視化地図(2026年6月14日)

攻撃経路の可視化地図の出典 : ППО радарmonitoring

  • 桃色直線:極超音速巡航ミサイル(ツィルコン:地上発射) 
  • 橙色直線:弾道ミサイル(イスカンデルM/S-400:地上発射)
  • 赤色曲線:巡航ミサイル(Kh-101/イスカンデルK:空中発射/地上発射)
  • 黄色曲線:各種ドローン(自爆無人機/囮無人機:地上発射)

※ППО радар と monitoring による共同作業の可視化地図。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスをCC 4.0に設定されてある。

高速ミサイル×40飛来20撃墜、20突破 ※阻止率50%

  • ツィルコン極超音速巡航ミサイル×6飛来5撃墜
  • イスカンデルM弾道ミサイル/S-400転用ミサイル×34飛来15撃墜

 ロシア軍の高速ミサイルが一度に40発も使用されるのは過去2番目です。1番目は13日前の2026年6月2日の41発(記事)で、3番目は22日前の2026年5月24日の36発(記事)となっています。ただし開戦初期の混乱で集計が不正確な時期は除きます。

 今回の阻止率50%は迎撃困難な高速ミサイル相手とすれば善戦していると言える部類です。しかしパトリオット防空システムが配備されている首都キーウはともかく、それ以外のパトリオットが配備されていないハルキウやドニプロに飛来した高速目標は対処できていない可能性が高く、迎撃戦の課題の一つとなっています。高価なパトリオットをあまり前線に近い場所に出し過ぎると狙われてしまうので、迂闊に前に出せないという問題です。

ツィルコン極超音速巡航ミサイルの飛来

  • 2026年6月:14飛来5撃墜(2回) ※6月15日時点
  • 2026年5月:3飛来0撃墜(1回)
  • 2026年4月:飛来無し
  • 2026年3月:4飛来1撃墜(2回)
  • 2026年2月:16飛来10撃墜(4回)
  • 2026年1月:3飛来0撃墜(2回)
  • 2025年合計:2飛来0撃墜(2回)
  • 2024年合計:4飛来1撃墜(4回) ※2月7日初確認

※2026年は6月15日時点でツィルコンが合計40飛来。2025年(2飛来)、2024年(4飛来)と比べると飛来数が急増している。ただし増えたといっても2026年のツィルコン飛来数は月あたり約7発程度であり、戦局に大きく影響する数量ではない。

低速ミサイル×30飛来30撃墜、0突破 ※阻止率100%

  • Kh-101/イスカンデルK巡航ミサイル×30飛来30撃墜

 Kh-101は空中発射巡航ミサイル、イスカンデルKは地上発射巡航ミサイルですが、今回は飛行中に識別の維持が出来ず、最終報告は両者が混ざっています。ウクライナ防空は飛来した巡航ミサイルの全弾撃墜という好成績を達成しています。

各種ドローン×611飛来582排除、29突破 ※阻止率95%

※上記は最近一カ月間でのドローン500機以上が飛来した条件での大規模攻撃のリスト。なおロシア軍の長距離ドローンによる攻撃は毎日実施されている。

※先月の2026年5月はドローン8000機以上が飛来して1日あたりの平均値260機で中央値209機という状況。

突破数の打撃力換算:ミサイル1点、ドローン0.1点で計算

※上記は最近約一カ月間でのミサイル20発以上が飛来した条件での大規模攻撃のリスト。ドローンのみの攻撃では飛来数が多くても打撃量は少ないため。

キーウ・ペチェールシク大修道院の生神女就寝大聖堂が炎上

Внаслідок російського обстрілу, який відбувається зараз, вночі 15 червня, горить дах одного з найбільш святих місць християнського світу - Успенського собору Печерської лаври у Києві.「現在、6月15日の夜に行われているロシア軍の攻撃により、キリスト教世界でも最も神聖な場所の一つである、キーウのペチェールシク大修道院にある生神女就寝大聖堂(ウスペンスキー大聖堂)の屋根が炎上しています。」

Просимо про молитву за врятування святині від знищення.「聖堂が破壊から救済されるよう、祈りを捧げてください。」

Черговий російський злочин проти людяності, проти історії, проти християнства. 「これはまたしても、ロシアによる人類に対する、歴史に対する、キリスト教に対する犯罪です。」

Що ще повинен зробити кремлівський антихрист, аби світ усвідомив, що слід рішуче діяти, аби російський терор проти України і самих принципів миру припинився?「ウクライナに対するロシアのテロ、そして平和の原則そのものに対するテロを終わらせるために断固たる行動を取るべきだと、世界が認識するためには、クレムリンの反キリストは、さらに何をしなければならないのでしょうか?」

Пресвятая Богодице, зупини ірода!

「聖母マリアよ、ヘロデ大王を止めてください!」

出典:Митрополит Епіфаній (エピファニー大主教)

※エピファニー大主教とはウクライナ正教会(2018年設立)の首座主教で、正式名称「キーウと全ウクライナの府主教」。

※ヘロデ大王とはユダヤ王国を統治した支配者で暴君として聖書にも登場。

※大聖堂は1078年に完成し、第二次世界大戦中の1941年11月3日にソ連軍の撤退時に爆破され、2000年に外装のみ再建が完了、内装は今も工事が続いていた。

※大聖堂は2000年から2022年12月31日までは「モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会」によって使用されていた。開戦後にモスクワ総主教庁系は活動が制限され、2023年1月7日以降はウクライナ正教会(2018年設立)が使用している。

キーウ在住の日本人女性の自宅に着弾

※リンク先にロシア軍の攻撃を被弾した集合住宅の写真が5枚。

※ウクライナ国家非常事態庁の報告(出典)では夜が明けた時点でキーウのみで死者4名、負傷者25名。

キーウ上空、パトリオットが敵高速目標を撃墜

キーウ上空、パトリオットが敵高速目標を撃ち漏らし

ペチェールシク大修道院の大聖堂から発見されたシャヘドの残骸

※ウクライナ保安庁は、ロシアがイラン製自爆ドローン「シャヘド」のロシア版である「ゲラン2」でキーウ・ペチェルスク大修道院を攻撃したことを確認した。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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