中国による爆発実験、全く新しい核兵器開発への動きと米諜報機関 CNN EXCLUSIVE
核兵器の関連施設とみられている中国・ロプノルの建物の衛星画像=昨年12月2日撮影/Airbus
(CNN) 米国の諜報(ちょうほう)機関は、中国が現在新世代の核兵器を開発中であり、近年少なくとも1回の爆発実験を秘密裏に実施したとみている。米国の諜報評価に詳しい多数の情報筋が明らかにした。当該の爆発実験は自国の核兵器を完全に刷新し、世界最高水準の技術へ押し上げる広範な取り組みの一環とみられる。
中国が核兵器を飛躍的に進化させる意図を持つとする米国の評価は、諜報部門の内外で議論を呼んでいると、情報筋は述べた。そこでは核戦略に関する中国政府の考え方に変化があったのかどうかが論点になっているという。核兵器への投資によって、中国はロシアや米国と同等の地位にまで近づきつつあり、両大国が現時点で保有していない技術的能力を手にする可能性がある。
情報筋と米当局者の最近の声明によれば、中国は2020年6月に北西部のロプノルにある施設で秘密裏に核爆発実験を実施した。そうした活動は1996年から自主的に停止しているにもかかわらず、今後の追加実験も計画していたという。2020年の実験は今月になって米国務省当局者が公表したが、実験の目的はこれまで明らかにされていなかった。
20年6月の実験に関する事後検証で収集された証拠から、米当局者はこの実験が中国の次世代核兵器開発を目的としたものと結論づけた。事情に詳しい情報筋が明らかにした。これには追加的な兵器システムの開発に向けた取り組みも含まれる。具体的には単一のミサイルから複数の小型核弾頭を放出する能力だという。
情報筋はさらに、中国が低出力の戦術核兵器(同国がこれまで製造したことがないもの)の開発も進めているようだと指摘。これは自国に比較的近い標的に対して配備される可能性があり、台湾防衛に米国が介入するシナリオへの対応などが想定されているという。
米諜報当局者は以前から、中国が核関連施設を積極的に拡大していると公に報告しており、アナリストらも中国が新技術を追求している可能性を疑っていた。現在、米当局者はこの説を裏付ける強力な証拠があると確信している。根拠の一端は20年の実験に関する知見にある。
中国は1964年から核兵器を保有。核弾頭の生産ペースこそ世界一だが、保有数はロシアや米国に大きく後れを取っている。世界の核兵器の大部分は依然として米ロ両国が占めている。
自国の核計画に関する米諜報機関の評価について問われた在米中国大使館の報道官はCNNに対し、「米国は中国の核政策を歪曲(わいきょく) し、中傷している」と述べた。
「これは核覇権を追求し、自らの核軍縮責任を回避するための政治的操作だ」と、同報道官は指摘。「中国はこうした言説に断固として反対する。米国の中国核実験疑惑には全く根拠がない。自らの核実験再開の口実をでっち上げる米国のいかなる試みにも反対する」と強調した。
米国防総省当局者は、省として「特定の核実験疑惑に関連する諜報評価についてはコメントしない」と述べた。
国防総省は以前、核兵器を拡大・強化する中国の取り組みについて「危機や紛争の前後において、威圧的な目的で核兵器を活用するという新たな選択肢を中国に提供しかねない」と示唆していた。これには「地域における米国の同盟国、提携国に対する軍事的挑発」も含まれる。
国防情報局(DIA)の2024年報告書は中国について、米国を念頭に核戦力の刷新を図っているとも指摘している。
「中国は史上最も急速な核戦力の拡大と野心的な近代化を進めている。これはほぼ間違いなく、米国との長期的な戦略競争を見据えた動きだ。目標は増強された戦略構想の実現にある。構想自体は数十年前から存在しているものの、それが今まさに実現しつつある段階だ」(同報告書)
歴史的に中国は核能力を自衛の手段と位置付け、他国が自国に対して核兵器を使用または使用を威嚇することを抑止するためのものとしてきた。中国は数十年にわたり先制不使用政策を維持してきたが、23年のグローバルガバナンスに関する提案ではこの公約に言及しておらず、中国の姿勢が変化しているとの観測を引き起こしている。
また最近まで、中国の核能力は核保有国のライバルに比べてはるかに遅れていると見なされていた。近代化兵器の設計に必要なデータを収集する核実験の実施回数が、圧倒的に少なかったためだ。
「中国の核兵器開発担当者は、わずか45回の実験で収集した限定的な核兵器データに確信を持てないかもしれない。その大半は大気圏内で行われ、計測機器の質も低かった」。米ミドルベリー国際大学院の教授で兵器の専門家、ジェフリー・ルイス氏はそう指摘する。
米当局者らは、これこそが中国が核爆発実験を再開する主な理由の一つだと考えている。
「彼らはデータベースを持たない新世代の兵器を保有している」と、事情に詳しい情報筋の一人は語った。
複数の情報筋がCNNに明かしたところによると、この近代化推進の一環として、中国は機動性と残存可能性への投資を大幅に増やしている。中国政府は長年米国に対して懸念を抱いていると、これらの情報筋は指摘。こちらから反撃する前に米国が中国側の全戦力を壊滅、もしくは少なくとも事実上無力化してしまうだけの損害をもたらしかねないとの危惧があるという。
米当局者はまた、中国が自国のシステムの信頼性にも不安を覚えており、これが近代化への取り組みの緊急性を高めているとみている。技術投資を加速し、自国の核弾頭で確実に目標を撃ち抜くことを目指しているという。
米国務省当局者が20年6月にロプノルの施設で実施されたとみられる爆発実験の詳細を新たに明らかにしたのを受け、核に対する中国の野心はここ数週間で再び注目を集めている。当局者は結論を裏付けるため正確な日付、場所、関連する地震データを公表した。
国務次官補のクリストファー・ヤー氏は先週、ワシントンのシンクタンク「ハドソン研究所」でのイベントで、20年6月の事象はマグニチュード(M)2.75の「爆発」を計測したと述べた。
「その後追加データを確認したが、爆発以外の何物でもない、単一の爆発である可能性が極めて高い」とヤー氏。データは採掘爆発とも地震とも一致せず、「核爆発実験で予想される現象」だという。同氏は核工学の博士号を持ち、情報分析官や国防当局者を務めてきた。
軍備管理担当国務次官補のトーマス・ディナンノ氏も、今月6日の演説で、中国が20年に秘密裏に核爆発実験を実施したと公然と非難。同国政府がさらなる実験を計画していることを示す情報を米国が入手したと示唆した。それには数百トン級の爆発力を想定した実験の準備も含まれるという。
ディナンノ氏によれば、中国側は核実験を禁止するとした約束に違反しているとの自覚から、こうした実験の事実を隠そうとしているという。
今月初めに秘密の核実験の疑惑について問われた在米中国大使館の報道官は、中国は「核兵器の『先制不使用』政策と自衛に焦点を当てた核戦略を堅持し、核実験モラトリアムを遵守している」と主張した。
約6年前に実施されたとみられる核実験の詳細を、トランプ政権がこのタイミングで公表した点も注目に値する。現在米国は中国に対し、新たな核協定への参加を強く求めているが、関係筋によると中国の習近平(シーチンピン) 国家主席は現時点でこれを拒んでいる。
トランプ氏は米国が自国の核爆発実験を再開する可能性を示唆している。
現職の米当局者らは、トランプ政権が中国を核協定に引き込む決意を固めていると指摘。今回のように中国の現状について把握している情報を米国が一部開示することは、中国側を協議の席に着かせる圧力になり得ると示唆した。
「中国が核兵器の増強にひた走る中、旧来の軍備管理パラダイムは崩壊しつつある」。国家安全保障会議(NSC)の元首席補佐官で、現アトランティック・カウンシル上級研究員のアレックス・グレイ氏はそう述べた。「政権はロシアの戦略兵器だけでなく、はるかに懸念すべき中国の核拡大とも向き合っている。中国政府を取り込む軍備管理の枠組みに向けた交渉ができないのなら、米国は時代遅れで効果の怪しい軍備管理という妙薬にむやみに固執する必要はない。そんなものでは今日や明日の脅威には対処できない」
中国人民解放軍の急速な成長と近代化は、習氏の10年以上にわたる公約の実現でもある。同氏は世界最大規模の軍隊を、世界レベルで通用する軍隊に変革することを目指している。
こうした動きは中国が抱く世界的な野心の反映に他ならず、米国としてはそこで得られる情報から将来の紛争に対する備えを考える必要があると、情報筋の一人は言い添えた。