投手・大谷に急展開 前半戦登板なしの可能性…ド軍指揮官に見える栗山監督と同じ"思惑"
ドジャース・大谷翔平投手の次回登板が、オールスター戦(15日=日本時間16日、アトランタ)後になる可能性が出てきた。デーブ・ロバーツ監督は大谷が前半戦中にもう1試合に登板する可能性を示唆していたが、この日の取材では言及せず。指揮官のトーンダウンの背景には何があるのか。
ロバーツ監督は9日(同10日)のブルワーズ戦で右肩炎症で負傷者リスト入りしていたタイラー・グラスノーが復帰すると明言。前半戦最後、11日(同12日)からのジャイアンツ3連戦ではダスティン・メイ、エメット・シーハン、山本由伸が登板すると明らかにした。
シーハンも右肘のトミー・ジョン手術明け。12日(同13日)のジャイアンツ戦はまだ復帰3戦目で、大谷が同戦でオープナーを務める可能性も残るが、この日の指揮官の煙に巻くような対応を見れば……。大谷の前半戦登板を見送る可能性は高そうだ。
では、なぜか。ロバーツ監督の方針転換の背景には、投手・大谷のフル回転を10月のポストシーズンを見据えていること、そして前半戦の残り試合を1番打者として牽引してもらいたいこと。この2点が挙げられる。
まずは投手の起用法について。指揮官は大谷の投手復帰後のイニング数の管理を徹底している。「ABEMA」が7日に公開したインタビュー企画「おはようロバーツ」では先発投手としての復活への道筋を披露。「9月までに5回は投げない」と、じっくり進めていく方針を明らかにしていた。
投手・大谷は順調も…ターゲットは10月のポストシーズン
ここまで4登板で防御率1.50。メジャー自己最速101.7マイル(約163.7キロ)と順調な投球を見せている。先発投手としての活躍を期待する2か月後の9月までを見据えれば、現状はピッチをあげて調整する必要はない。
続いて打者だ。7月の大谷は7試合で26打数5安打の打率.192、1本塁打、2打点。「捉えたと思ってるのがセカンドゴロになったりとか。ちょっとしたズレがある」と打撃の違和感を口にしていた。
MVPトリオのムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンも本調子ではない。マックス・マンシーは左膝の骨挫傷で負傷者リスト入りし、さらにテオスカー・ヘルナンデスやトミー・エドマンも負傷。両選手とも戦線離脱はしていないが、コンディションは決して万全ではない。
チームはナ・リーグ西地区首位を快走しているが、今季2度目の4連敗中と流れは良くない。ブルワーズ、ジャイアンツとも好投手が揃うだけに、1番・大谷には昨季の打撃2冠王として打線を引っ張ってもらいたいところだろう。
投打の圧倒的なパフォーマンスには誰もが魅了される。だが、かつて指揮していた栗山英樹監督は「チームを勝たせるための二刀流」と話し、柔軟な起用法を見せていた。ロバーツ監督の方針転換の背景にも、その言葉があるような気がしてならない。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)