国民民主党はヘタを打ったのか?
ニュースが多い週ですが、まずはエアインディアの墜落の件から。私は全くの素人ですが、ちょっと離陸してスーッと落ちて行った感じからは揚力が足りなかったような気がします。エンジンから火が出たわけでもなく、テロがあった感じもしません。飛行機は離陸時と着陸時が最もテクニックが求められますが、最新の飛行機には様々なコンピューターの支援システムがついてます。ただ、それもパイロットが何をインプットするか次第では凶器にもなります。全く個人的見解ですが、飛行機の問題ではなく、人為的な操縦ミスのような気がしてなりません。
では今週のつぶやきをお送りします。
市場雑感
先週のこの項で夏休みを前に市場は安定しそうと書かせていただきましたが、中東の地政学的リスクが起きたため、少なくとも目先は読みにくくなるかもしれません。判断どころはイスラエルの攻撃が地理的に限定的で一時的なものかどうか次第でしょう。今回のイスラエルの動きは事前からわかっていました。当事者間ではもっと早い段階、たぶん、数か月前からその可能性はつかんでいたはずです。私が原油関連にそれなりに投資資金を突っ込んだと数週間前に記させて頂いたのはOPEC+の動きがどうしても解せなかったからなのです。当時、原油需要の先行きを不安視する見方が多い中、サウジがなぜ増産を目指したか、表向きの理由以外になにかきな臭いものを感じたのです。
さて次に気になる話題が日鉄によるUSスチールの買収です。トランプ大統領が「黄金株」を付保するとした点です。私は日鉄がUSスチールを買収しようとした当初は同買収に賛同していたのですが、徐々に後ろ向き発言に変わっていったのにお気づきの方もいらっしゃると思います。今回の黄金株、一般的に言えば1ドルの優先株を1株、アメリカ政府に発行するのです。備忘価格で重要な経営の判断をアメリカ政府が口出しできるのです。これによりかつて日産がフランス政府から介入されそうになったフロランジュ法と同じような効力が出るのです。私が日鉄の社長なら「トランプさん、You are a deal breaker!」といって合意書をビリっと2つに破って「さいなら」と出ていきます。日鉄は引く勇気を持てるかどうかにかかっています。
最後にボーナス時期になり一部の方は株式投資へ資金を振り向けたいと思う方もいらっしゃるでしょう。今は木を見るより森を見たほうが良い気がします。私の見方はプライム市場よりグロース市場人気がもうしばし続くと見ています。理由は2つ。1つは世界経済が不安定になれば海外売上比率が多く海外投資家の資金に影響されるプライム市場より個人投資家主体のグロース市場に面白みが出ること、もう1つは東証改革が進む中で一部企業が退場予備軍となるなどグロース市場に上場する企業が焦っており、必死の浮上策、上場維持策を取るとみているからです。それが好循環になれば株価が化ける企業も出てくるかもです。
緻密な戦略だったイスラエルとその代償
イスラエルがハマスやヒスボラを徹底的に締め上げてきたのはイランの影響下にある「実行部隊」だとみなしているからです。その前線部隊の弱体化に成功したイスラエルとしては御大イランが核を持たないようにするのが本当の目的であったことは言うまでもありません。一方、アメリカがイランと核開発協議を行ってきていますが、隔たりが大きく全くすり寄る気配がありません。これはイスラエルがアメリカに様々な依頼をした代理交渉的な要素が強いのではないかと思うのです。アメリカとイスラエルはグルと言ってしまえばその通りになります。
よってルビオ国務長官は「アメリカは関係ない」と白々しく述べていますが、イランはそれがウソだというのがわかっており、故に中東にあるアメリカ関連施設も攻撃対象になっているし、アメリカ政府関係者の退避が進むわけです。トランプ氏はイスラエル容認姿勢を見せているため、個人的にはこれは非常に面倒なことになって来たとみています。ネタニヤフ首相は満足するまでやると述べているのでハマスのケースから類推するに相当執拗な攻撃を行う公算は高いと思います。
最悪のシナリオを想定しましょう。イランがアメリカ施設を攻撃した場合、アメリカがイランと直接交戦のリスクが出てくるのです。トランプ氏の政治的手腕がこのところ不発なので全精力を傾けるでしょう。そこで脇が甘くなったところを待っているのがロシアのプーチン氏です。先日「第三次世界大戦は起こりうるのか?」と書かせていただいた時、コメントには「大戦はない」という御意見をたくさん頂いています。ただ、世界は性善説ではないのです。日本の常識は世界には通用しないのです。古い話ですが、戦前、平沼騏一郎首相が「欧州の天地は複雑怪奇」とのべて首相を辞任しましたが、時として狂信的で狂った歯車が暴走することもある点は心構えとして意識した方がよろしい気がします。
国民民主党、別名「玉木雄一郎の会」が前回の選挙からこれほどの凋落を見せたのは何故なのでしょうか?山尾志桜里氏にその原因を求めている解説がそのほとんどですが、私は必ずしもそうだとは思っていません。つまり山尾氏問題はきっかけの一つであり、国民民主党が凋落したというより元のさやに戻ったのだ、ということであります。私は山尾氏の是非についてはコメントしません。それは無意味であり、メディアに散々書かれている批評はそれを読むことで「スッキリする」一部の方へのリップサービスでしかないからです。
玉木雄一郎氏Xより
国民民主の最大の問題は奥行きがない、これに尽きるのです。榛葉賀津也幹事長と漫才コンビを組んでいるようなものでこの2人以外は裏方になっています。成長期にある政党戦略ならばそれもありですが、103万円問題で既に国民の注目度を一気に受けるほどだったのに国民民主が党の能力として十分に評価されたとは思えないのです。とすれば泡沫政党が党首やごく少数の顔で頑張っているように国民民主も議員数こそ多いけれど同様だということです。党としてのチカラがないことを露呈したわけです。
ところでSNS選挙といえば都議選で石丸伸二氏率いる「再生の道」の動向に注目が集まります。候補者は現状42名なので自民と並び一番多くなっています。ところがアテンションエコノミーとも言われるようにインフルエンサーが選挙利用とか踏み台にして自分のSNSに誘導する動きは確かにあり、選挙SNSがやり方次第では猛烈な逆風になる可能性があると思います。玉木氏も石丸氏もSNS中毒であり、20代を中心とした有権者層もまたSNS中毒の中、正しい判断と選択ができるのか、これが私には最大の疑問なのであります。結局、選挙とは人心を買うことであり、それを金銭で買えば違反ですが、その気にさせる魅力はもちろんOKです。ただそれだけでは公平な判断をするのは難しくなるでしょう。「思い込ませる」のがSNSのテクニックなのです。
後記 先日、当地にあるエンタメ系高級日本食レストランに行きました。飲み物や税チップ入れるとおひとり様5万円也。1時間半で25種類の食事をサービスされるのですが、客にメニューを選ぶ自由も食べるスピードも食べる順番もないのです。鮨からかば焼き、ラーメン、抹茶まで点ててくれます。提供されたものをそのまま食す。一度ならいいけれどもういいかな。私はこれを「幕の内弁当型サービス」と称します。何でもちょっとだけ食べたいという日本人の傾向ですね。日本で爆流行の高級ビュッフェも全く同じ感性が原点です。こちらの人はメイン料理という発想があり相容れないものを感じました。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年6月14日の記事より転載させていただきました。