「国宝」吉沢亮が屋上で舞うシーンを回想、李相日の演出は「森七菜ちゃんの顔を見て」
映画「国宝」の大ヒット御礼舞台挨拶が本日6月23日に東京・TOHOシネマズ 新宿で行われ、主演の吉沢亮、監督の李相日が登壇した。
吉田修一の同名小説を映画化した本作は、任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・立花喜久雄の50年に及ぶ一代記を描いた物語。15歳で天涯孤独となった喜久雄を吉沢が演じた。
6月6日の公開から昨日22日までの17日間で観客動員数152万人、興行収入21.4億円を記録している本作。吉沢は「今までにないぐらい知り合いからすごい熱のあるメッセージをいただいています。同い歳の役者が『やっぱり役者ってかっこいい仕事だと改めて思った』って言ってくれて、僕自身もグッときてうれしかったです」と伝える。
イベントでは、SNSで募集した質問に2人が答えるコーナーが用意された。吉沢は「喜久雄と自身の重なる部分は？」という質問に「自分的にはないんですが、お芝居しかない感じは理解できます。お芝居をしているときが一番楽しいし、苦しいし、生きているなと実感するので」と回答。また「ビルの屋上で舞うシーンはほぼアドリブだったと聞いていますが、喜久雄、吉沢さんは何を感じていたのでしょうか？」と問われると、吉沢は「ちょっとした台本みたいなのはあったんですが、それもほぼ関係なくなったんです。長回しで3テイク撮って、使われたのは3テイク目。テイクごとに監督が一言だけ言うんですけど、3テイク目は『とりあえず、森七菜ちゃんの顔を見て』と言われました。実際、やってみたら急に（森に）ばっと言葉を言われて……という感じでしたね」とネタバレを気にしつつ振り返る。
李は「1テイク目も2テイク目も僕の記憶だと彼は振り向いてなかったんです。それで3回目に『森さんのほうを見るように』と言った。森さんには『彼が見てくる。その目に自分が映っていないと思ったら、セリフを言ってくれ』と伝えました。撮影が始まったら、森さんの言葉を、彼はああ受け取って、ああ答えて。見事でした」とたたえた。
さらに「一緒に仕事をして互いの印象に変化はあったか？」と問われると、李は「ないです。ないと言ったら語弊があるけれど、なんかまだあるんでしょ？と常に思わせる感じは変わらないです。そこかなって思うと、別の扉があって、非常に面白い」とコメント。一方の吉沢は「（李は）同じシーンを何十テイクもやったり、すごく怖いらしいとなんとなく聞いていたので、覚悟して現場に入ったんです。でも実際は怖いというより、すごく愛情を感じました。目の前にどデカい壁を建てられるんですけど、お前なら超えられるよねって、絶大な信頼を寄せてくれながら与えてくれる感じがして。困惑はするんですけど、安心感も半端じゃなかったです。そういう意味ではもともと持っていた印象とは違いましたね」と語った。
続いて、原摩利彦 feat. 井口理による主題歌｢Luminance」の話題へ。李は「エンディングに関しては1個だけ、声が降ってくる感じというイメージを伝えたんです。あとは原さんたちの感性にお預けして。初めて、井口さんの声を聴いたときは鳥肌が立ちました」と思い返す。吉沢は「誰がどういう曲を作ってもこの作品には合わないんじゃないかな？って思ったりもしたんですが、美しい歌声と音で、こんなにぴったりなことあるんだな、素晴らしいなと思いました」と言葉に力を込める。
最後に李は「『国宝』というタイトルだからというわけじゃないですが、皆様にとって、宝のような映画になっていくことを望んでおります」と、吉沢は「これからもっともっとたくさんの方にこの作品が広まってくれればうれしいです」と思いを口にし、イベントの幕を引いた。
「国宝」は全国で公開中。
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