日本人・若年層の「大腸がん」 患者981人のゲノム解析で原因を発見?早期発見に有効な検査は【ひるおび】

日本人・若年層の「大腸がん」 患者981人のゲノム解析で原因を発見?早期発見に有効な検査は【ひるおび】

日本人が罹患するがんで最も多い「大腸がん」。若い世代でも増加傾向にあることがわかっています。その原因の一つが見えてきました。

日本人に最も多い「大腸がん」

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国立がん研究センターによるがん罹患数を見ると、男女ともに第2位が大腸がんで、総数では1位となっています。また死亡数で見ても、女性は1位。総数でも2位となっていて、女性の年間死亡者数は約2万5000人となっています。

≪がん罹患数≫男性

1位:前立腺 2位:大腸 3位:肺

女性

1位:乳房 2位:大腸 3位:肺

総数

1位:大腸 2位:肺 3位:胃

≪がん死亡数≫男性

1位:肺 2位:大腸 3位:胃

女性1位:大腸 2位:肺 3位:すい臓総数

1位:肺 2位:大腸 3位:すい臓 

日本人の大腸がん 「コリバクチン毒素」が関与?

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5月21日、この「大腸がん」についての研究が発表されました。国立がん研究センターなどのチームが、日本を含む世界11か国で大腸がん患者981人の大腸がんゲノムを分析したところ、日本人患者の約5割に「コリバクチン毒素」による変異が見つかったというものです。

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国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野長 柴田龍弘氏「菌が作り出す毒素が細胞に入り込むと、DNA(遺伝子の本体)に変異を起こす。この変異ががんの原因となることがわかりました。」

大腸に数万種類存在するという腸内細菌。その一部の細菌から分泌されるのが「コリバクチン毒素」です。この毒素が大腸内の染色体に変異を与えることが大腸がんの原因の一つだと考えられています。

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また新たに、この毒素の影響は日本人・若年層に多く見られるということもわかりました。コリバクチン毒素による変異において、

▼日本人は他地域の平均と比べて2.6倍以上▼若年患者(50歳未満)は70歳以上の高齢患者の3.3倍(国内)

という結果が出たといいます。

なぜ日本人が毒素の影響を受けやすいのかについて国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野長 柴田龍弘氏は、「食生活や生活習慣が考えられる」とし「原因を突き止めることで、予防薬や治療薬の開発につなげたい」と話しています。

消化器病専門医はー

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内視鏡専門医・消化器病専門医の、梅舟仰胤院長に話を聞きました。

恵俊彰:コリバクチン毒素というのががんの原因の一つなんですか?

ファミリークリニックひきふね 梅舟仰胤院長:大腸がんの原因は、例えば喫煙だったり飲酒だったり、食生活の欧米化だったり、非常に複合的な要因があるんですけど、原因の一つとして、特に若い日本人の大腸がんにおいてコリバクチン毒素の影響が多くあるんじゃないかということが今回の研究の結果になりますね。

恵俊彰:衝撃なのは(毒素による変異が)50歳未満が70歳以上の3倍ということですが、これはなぜなんですかね?

梅舟仰胤院長:まだわかっていないことが多いんですが、もしここが突き詰められれば、一定数いらっしゃる若くして大腸がんになる方々の予防や治療に大きく結びつく可能性があります。

コメンテーター 山之内すず:こうやって原因が少しずつわかってできる予防が増えていくことで、助かる人が多くなるのかなと思う。若いからと気を抜きがちなところはあるんですけど、生活習慣をきちんと見つめ直さないといけないと思います。

35歳から定期検査を

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大腸がんを発見するには、定期的に検査を受けることが有効です。検査の方法として、主に内視鏡検査と便潜血検査があります。

≪内視鏡検査≫▼検査時間 15分前後▼検査方法 ・検査の4時間前から下剤を飲み腸内を洗浄・肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜を直接観察する▼料金自費で2〜3万円程度症状があれば保険診療で6000〜7000円

※ファミリークリニックひきふねの場合

≪便潜血検査≫血液の有無を検査陽性の場合は大腸や肛門で出血が発生していることを示す▼検査方法2日に分けてスティックで適量の便を採取する▼料金1000〜2000円程度※ファミリークリニックひきふねの場合大腸内のポリープは出血しやすい状態になっています。便が腸内を移動する際にこすれて血液が付着します。

検査キットのスティックで便の表面をまんべんなくこすることで、出血の有無を検査できます。

梅舟医師は、便潜血検査は費用が安く体の負担もないので、35歳以上の方は年に1回のペースで受けてほしいと言います。ただし、便潜血検査は、大腸ポリープや早期の大腸がんの段階だと発見できない場合があります。

早期発見するためには、35歳以上は内視鏡検査を3年に1回受診するのが理想だということです。

梅舟仰胤院長:以前はよく40歳からと言われていたんですけど、若年層の大腸がんも増えてきているので、クリニックでは35歳を過ぎたら便潜血の検査、余力があったら内視鏡検査を受けていただくことを推奨しています。

大腸カメラは、観察してもしポリープがあった場合にはその場ですぐに切除できる。すなわち検査と治療を同時に行えるのが一番のメリットです。

恵俊彰:とったポリープは病理検査などで、良性か悪性かわかるんですか?

梅舟仰胤院長:そうですね。「大腸がん」は、いきなりがんができるわけではなくて、まず大腸ポリープができてくるわけです。そのポリープが年単位の歳月をかけて初めて大腸がんになっていくので、予防・発見が簡単ながんなんです。定期的に検査を受けて、ポリープの段階でその都度設置をしていけば、ほぼ100%に近い形で予防ができます。

江藤愛アナウンサー:便潜血検査はやったことがあるんですけれども、それこそ取り方次第ではうまくいかないこともあると思うので、やっぱり内視鏡検査を頭に入れておきたいなと心から思いました。

(ひるおび 2025年6月2日放送より)

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