SNSでつながる中国版トー横? 「誰か気付いて」若者たちのSOS:朝日新聞
現場から
広州=岩田恵実
「きれはし」の若者たち SNSが照らす中国の周縁
中国広東省広州の繁華街で出会った14歳(左)と17歳の少女。2人とも自傷行為が習慣になっていると話した=2026年7月22日未明、岩田恵実撮影
中国南部・広東省広州の繁華街は、飲食店やバーが軒を連ね、夜も人通りが絶えない。今夏のある夜、若者が集う一角に、たばこの煙をくゆらせるあどけない表情の少女がいた。日本の学生服を思わせる装いの袖からのぞく手首には、無数の傷があった。
「悲しいことが多すぎる」
14歳だという少女はつぶやいた。両親は自分に無関心で、手を握った記憶もない。学校でいじめを受けて、すべてのことから逃げたくなって家を飛び出した。
動画配信で生活費を稼ぐが、多くは家賃に消える。「自分は無能だ」と感じ、将来も思い描けない。いまはネットで知りあった同じような境遇の友人とこの場所で遊び、気を紛らわせている。
【動画】中国版トー横キッズ?「掛壁」をする若者たち=岩田恵実撮影
中国は豊かになった。だが、若者を取り巻く環境は一段と厳しい。
少子化の中でも教育熱は高まるばかりで、多くの子どもが親の期待を受けながら激しい受験競争にさらされる。
一方、経済の低迷もあり若者の就職問題は深刻だ。8月の16~24歳の失業率(学生を除く)は、18.9%になった。
重圧の先に、希望が見えない。人生のレールにうまく乗れなかったり、途中で外れてしまったりした若者たちが、行き場を失っている。
急速に成長する中国のネット社会は、競争から外れて生きる若者たちの姿を映し出しました。彼らは、製造過程で出る「きれはし(辺角料)」になぞらえて語られます。SNSの向こうにいる、彼らの実像を全3回の連載で伝えます。
ネット上では「掛壁(コワピー)」という言葉が広まった。中国メディアによると、定職に就かず日々をやり過ごす生き方を指す。
急速な経済成長の陰で、社会の「きれはし」のように扱われる若者たちはいま、何を思うのか。
私が地雷系の服を着る理由
広州には、若者が掛壁をする…
この記事を書いた人
- 岩田恵実
- 瀋陽支局長
- 専門・関心分野
- 中国、事件、災害