さっそくきました 証券口座の乗っ取りに便乗する「資産補償手続きのご案内」メール 手続きに進んでみると

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
筆者のもとに届いたSBI証券をかたる偽のフィッシングメール

証券口座を乗っ取り、不正に株を売買して、多くの人たちに損失を与える一方で、犯罪グループは株価操縦を行い、多額の利益を得ているとみられています。

そうしたなかで、日本証券業協会は5月2日に、被害者に対して大手10社と「一定の補償をする方針を申し合わせた」ことを発表しました。

翌日、【必須対応】資産補償手続きのご案内(SBI証券)のメールがやってくる

証券口座乗っ取り 犯罪グループが仕掛ける次の一手を読み解く 新たな詐欺の罠にはまらないために#エキスパートトピ (多田文明)にて、補償に便乗する手口への注意を呼びかけましたが、日本証券業協会の補償を発表した翌日に「【必須対応】資産補償手続きのご案内(SBI証券)」のタイトルの偽メールが、さっそくやってきました。

発表の翌日に送られてくるところからみても、用意周到に犯罪グループが計画していたことがうかがえます。「【重要】投資詐欺に関する補償と今後の対応について」とあり、「近年、国内外における悪質な投資詐欺事案が急増しており、弊社における対策が一部後手に回ったことにより、お客様にご不便・ご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。今回の事案を真摯に受け止め、被害防止とお客様資産保護のため、以下の通り補償措置を講じるとともに、セキュリティ体制の強化に取り組んでまいります」となっています。

補償内容は現金3万円支給から

補償内容についても記載されています。

「資産残高500万円未満」は「現金3万円支給」で、「500万〜1,000万円」は「現金5万円支給+専任サポート」となっており、「1,000万円以上」は「現金10万円支給+コンシェルジュ対応」としています。

補償申請受付期間も「2025年5月10日(土)」となっており、急がせる内容となっています。

いまだ日本証券業協会が各社と申し合わせた段階なので、証券会社の対応状況の詳細は発表されていませんので、ひっかからないようにしてください。

筆者撮影・修正

「補償申請手続きを行う」をクリックしてみると

このメールの「補償申請手続きを行う」をクリックしてみます。

すると、正規のSBI証券にそっくりなログイン画面のページが出てきました。

ただしURLには、正規の「sbisec.co.jp」が使われていますが、その前に「si***」が入っていますので、しっかりとサイトアドレスをみれば、偽サイトであることがわかります。

ユーザーネームとパスワードを入れるように指示してきますので、適当な数字を入れて進んでみます。

すると、クルクル場面がまわりだします。

筆者撮影・修正

「取引パスワード」を入れるように誘導する

次の画面に進むと、「取引パスワード」を入れるように指示してきました。

ここにも適当な数字を入れて「認証する」の青いボタンを押します。またもやクルクルと回転して、画面が白くなります。

すると「未登録のデバイスです。ログインするために、現在利用しているデバイスを登録してください」とでてきたので、ここでも適当な認証コードを入れてみます。

当然ですが「認証コードの登録が正しくありません」となりました。

おそらく、こちらの情報を入手して、ミラーリングの手法で、ほぼ同時に正規のSBI証券のサイトに入力しているものと思われます。

筆者撮影・修正

今回は、SBI証券をかたるメールでしたが、この後も同じような手口で、他の証券会社になりすましたメールも送られてくるはずです。

詐欺グループは機を見るに敏です。いかに先手を打って注意喚起をするかが、被害を防ぐ上では重要ですので、すぐにお伝えいたしました。

くれぐれも、メールに載るURLや補償手続きのボタンは絶対にクリックせず、検索などを通じて正規の証券会社からのサイトからアクセスするようにしてください。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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