米国、中国へのAI半導体流出阻止で追跡技術の活用検討-高官
- 「より高度な位置情報追跡のため」半導体の物理的な改良などを議論
- ホワイトハウス科学技術政策局のクラツィオス局長が語った
米国はエヌビディア製などの半導体が中国へ流出するのを抑えようと、位置情報で製品を追跡する措置の検討を進めている。米政府高官が5日明らかにした。
米政府は、重要部品の動きを監視するために業界と連携していく方針で、密輸の防止や米国発テクノロジーの優位性維持に向けた広範な計画の一環。
ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のクラツィオス局長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「より高度な位置情報の追跡のためのソフトウエアや半導体の物理的な改良が可能かどうかについて議論している」と語った。
同局長はトランプ政権が7月に公表した人工知能(AI)に関する行動計画の策定にも関与しており、「それは計画の中にはっきりと盛り込まれている」と指摘した。ただ、追跡技術を巡り、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と自ら協議は行っていないという。
中国は長年、自国のテクノロジーセクターに対する米国の規制に反発してきた。特に華為技術(ファーウェイ)やAIスタートアップのDeepSeek(ディープシーク)の台頭を抑えようと、米国が導入した半導体関連の制裁措置に神経をとがらせている。
米政府は最近、エヌビディアのAI半導体「H20」に関する対中輸出規制について、一部解除の意向を表明。中国からレアアース(希土類)磁石の供給を確保する通商合意の一環としている。
これに対し、中国は先週、H20を巡り米国による追跡や安全保障上のリスクの懸念があるとし、エヌビディアの担当者を呼び出した。
米国側は半導体の不正流出阻止に引き続き力を入れている。クラツィオス局長は、「各国がAIの規制について、それぞれの考えで将来の方向性を決めるべきだとわれわれは考えている」と述べ、「イノベーションを最優先する米国のモデルが、最も魅力的だろう」と説明した。
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