七尾市議会大荒れ パトリア市長提案否決 指定管理者に「ノー」
●非市長派「適切報告ない」 市長「市民を人質、無責任」
七尾市議会定例会12月会議は最終日の18日、大荒れとなった。七尾駅前の複合施設パトリアの指定管理者を引き続き株式会社「創生ななお」にする市長提出議案が賛成少数で否決。茶谷義隆市長と距離を置く市議が反対した。議場では市長に近い市議が賛成討論しているさなかに、議長が暫時休憩を宣言したが、無視して演説を続ける異例の展開に。市長派と非市長派の対立が先鋭化している。
●賛成市議、議長無視し演説続行
否決された議案は、パトリアの来年4月1日から3年間の指定管理者を、市が51%を出資する創生ななおにすることを求める内容。採決では佐藤喜典議長を除く17人のうち、茶谷市長と距離を置く市民クラブ(4人)と灘会(4人)、無会派の公明市議1人の9人が反対した。茶谷市長を支える新政会(4人)、七尾みらい(3人)、無会派1人の8人が賛成した。
山崎智之氏(灘会)が反対討論し、創生ななおについて議会や市民、行政に適切な報告がないと指摘した上で「現経営陣を刷新するしか暴走を止めるすべがない」と強調した。
これに対し、成田達弘氏(七尾みらい)が賛成討論した。創生ななおは能登半島地震の際、自主的に支援物資の集積、配布や炊き出しを行ったとし「駅前のにぎわい創出でも成果を上げている」と訴えた。
続けて固有名詞を出さず「創生ななおを追及し続けてきたある議員」について言及した。パトリアへの出店を巡り、「迷惑行為があった」などとして批判を展開。市民クラブの佐藤議長は論点をまとめて簡潔に発言するよう何度か注意し、「暫時休憩」としたが、傍聴席から「とめるなよ」とヤジが飛び、成田氏は非市長派の市議らの退席後も発言を続けた。
「休憩中」に議会運営委員会が開かれ、対応を協議。再開した本会議では、永崎陽(新政会)、丸山英邦(七尾みらい)の2氏も賛成討論した。
●市長、法的措置を検討
本会議後、茶谷市長は会見し、怒り心頭で「否決は市民生活を人質に取った無責任な政治判断だ」と非難した。賛成討論の内容を念頭に「一部の議員から特定の不透明な要求や運営に対する嫌がらせがあったとの話があった」と語り、損害賠償を含む法的措置を検討する考えを明らかにした。議案を再提出する可能性があることも示した。
パトリアを巡っては、22年12月会議で市は指定管理者を創生ななおで継続する議案を提出したが、現在の社長が専務から昇進する際に報酬が倍増したことに異論が出され、常任委員会が「否決すべき」と決したため、市側が本会議の採決前に議案を撤回。23年1月会議で社長から報酬を減額する申し出があったとして議案を再提出し、可決された経緯がある。
★パトリア 1995年4月に七尾駅前再開発事業として開業。能登最大規模の複合商業施設として、奥能登からも客を集めたが、人口減少や競合店の進出などで売り上げが減少。資金繰りの悪化から、七尾市や地元地権者が出資する運営会社の第三セクター「七尾都市開発」が2019年2月に破産申請を決定。その後、七尾市が取得し、「創生ななお」が指定管理者となっている。現在は1階にドン・キホーテ、2階にニトリ、3階に市健康福祉部が入っている。
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