「魔法の薬」と呼ぶのは危険。オゼンピック等の“肥満治療薬”を72週間使ってわかった、体重減少率と「避けて通れないリスク」

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「オゼンピック」という言葉が、特定の治療薬を指す枠を超えて語られることが増えているけれど、これはあくまで医師の診断に基づいて処方される医療用の薬剤だ。現在、肥満症の治療にはいくつかの選択肢があり、それぞれの薬剤が体にどのように作用し、どのような結果をもたらすのかを正しく知ることが重要だ。

The New England Journal of Medicine』誌に掲載された最新研究では、セマグルチド(商品名:オゼンピック、ウゴービ)と、チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)の2つの成分が、72週間の継続的な医学的治療において、どの程度の変化をもたらすのかが比較検討された。なお、この研究はゼップバウンドの製造元が資金提供しているが、専門家にとってその結果は予測の範囲内だったという。

もし、医療上の必要性からこれらの薬剤による治療を検討しているなら、最新の医学的知見を把握しておこう。肥満治療の専門医が、この研究から私たちが学ぶべきポイントを解説する。

<専門家の紹介>ミール・アリ氏:メモリアルケア外科的減量センター(オレンジコースト・メディカルセンター)メディカル・ディレクター、医師。

この研究では、2型糖尿病を患っていない肥満患者751人を対象に、医師の管理下でチルゼパチド、またはセマグルチドの最大耐容量を週に1回、計72週間投与する試験が行われた。チルゼパチドはイーライリリー社によって開発され、オゼンピックはノボ ノルディスク社の製品だ。その医学的データは以下の通り。

  • チルゼパチド(ゼップバウンド):平均で体重の約20.2%が減少。
  • セマグルチド(オゼンピック等):平均で体重の13.7%が減少。

また、チルゼパチドを使用したグループの方が、ウエスト周囲径の減少幅も大きいという結果が出ている。「糖尿病を伴わない肥満患者において、72週時点での体重およびウエスト周囲径の減少という点では、チルゼパチドを用いた治療がセマグルチドを用いた治療よりも高い数値を示しました」と研究者たちは報告している。

ミール・アリ氏によれば、この差は薬剤が作用する「受容体」の数の違いに由来するという。「ゼップバウンドは、食欲抑制と消化管の動きに関与する2つのホルモン受容体——GLP-1とGIPの両方に作用します。一方、セマグルチドが作用するのはGLP-1受容体のみです」とアリ氏は解説する。2つの経路から働きかけることで、より強力な作用をもたらすのは医学的に見て理にかなっているのだ。

ここで忘れてはならないのが、これらの薬剤には必ず副作用のリスクが伴うということだ。最も一般的なのは胃腸症状で、多くは軽度から中程度だが、投与量を調整する際などに現れやすい。FDA(アメリカ食品医薬品局)が挙げている主な副作用は以下の通りだ。

  • 吐き気、下痢、嘔吐、便秘
  • 胃の痛みや不快感
  • 注射部位の反応
  • 疲労感、抜け毛、げっぷ
  • 胃食道逆流症(GERD)
  • 発熱や発疹などのアレルギー反応

アリ氏は最後に、非常に重要なアドバイスを送っている。「これらの薬剤は、肥満症、あるいは高血圧などの合併症を伴う肥満に近い状態にある患者のために開発されたものです。数キロの減量を目的とした安易なダイエットのためのものではありません」。

これらはあくまで「治療薬」であり、使用には医師の厳格な診断と継続的なサポートが必要不可欠だ。自分自身の健康を第一に考え、正しい情報に基づいた選択を心がけよう。

※この記事はアメリカ版ウィメンズヘルスの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。

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