閣僚数と選挙区調整次第で維新は自民に吸収されるおそれ

政治

ようやく自民と維新で連立政権を組むことになりそうだ。両党だけなら衆参両院でいずれも過半数に少し届かないが、群小政党や無所属の協力を得てなんとかということもあろう。しかし、公明・国民・立憲とも話し合いをしていかないと、不安定な政局になるだろう。

自民・高市総裁と維新・吉村代表 両党HPより

まず、自民党としては、維新は衆議院の議席数では公明より多いが、維新を組んでも支持団体などがないため、小選挙区や地方選挙で自民党候補に票を回す力はほとんどないと覚悟すべきだ。

政策的には、維新としては副首都構想への協力と社会保険料の値下げが挙げられている。大阪都構想は自民党府連と公明党が反対しているのが問題だが、それなりに対応することになるだろう。

高市さんは積極財政に舵を切りたがっている。デフレ下での主張をインフレ下でも続けているという姿勢そのものが心配だが、維新は健全財政を実践してきたのだから、ブレーキ役としてある程度機能すれば日本経済にとって良いことだ。

外国人対策では、維新は総量規制のようなことを言っているが、そもそも外国人への嫌悪感などはないため、極端な方向を助長することもないだろう。

政治資金については、維新は団体献金全面禁止を要求してきた。政治資金問題で公明が離脱したあとに、より強硬な維新と連立というのも妙な話だが、どうするつもりか。公明案を丸呑みすれば、将来の公明党の復帰や閣外協力への道も開ける。

中国と維新の関係は悪くないので、高市さん周辺の嫌中派のブレーキとして機能すればよいのだが。

一方、閣僚数や小選挙区についての調整は至難の業だ。なにしろ公明党に比べて、維新は得票率や参議院の議席数は低いが、衆議院での議席数はやや多い。得票率から見れば閣僚数は、公明が4、維新が3。衆議院の議席からいえば、公明が2、維新が3である。

ところが、公明は閣僚数として国土交通相という、それほど重要ポストではない大臣1人で満足していたのは、ポストより政策を重視していたからだが、維新はどうするのか。また、連立なら小選挙区で争うのはおかしいから調整が必要である。公明は得票率からいえば80選挙区くらい要求できたが、11だけで我慢してきた。維新は大阪の19と、それ以外に4選挙区で勝利してきたが、得票率は公明より15%ほど低いのに、この現職だけでも23である。自民党はどうするのか。

私は、維新は政策以上に閣僚数と小選挙区数で、自民党に閣僚5人とか小選挙区50くらいを要求しないと、いずれ自民党に呑み込まれると思う。

維新が自民党と連立を組むなら、将来、自民党に合流するのか、それとも断固として独立を貫徹するのか、腹を決めた方がよい。そうでないと、切り崩されて雲散霧消しかねない。大阪ないし近畿だけの地域政党として、ドイツのCDU/CSU(バイエルンの地域政党)のようになる第三の可能性もある。

しかし、この維新の連立入りで困っているのは大阪の自民党だ。なにしろ大阪府では19の小選挙区で全敗である(4選挙区は公明候補を支援)。原則優先なら候補をまったく立てられない。

いっそ、維新を自民党大阪府連に模様替えして、大阪限定で大阪自民・公明・国民の地域政党などをつくっても面白い。大阪平和党とかどうだろう。シンボルカラーは黄色と黒の縞模様。党首は足立康史か。維新は「自民大阪府連」と改称か。

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