【速報】ガソリン価格の事前調整を確認 長野県の価格カルテル疑惑で第三者委「組織ぐるみで行われていた」

 県石油商業組合(長野市)が設置した第三者委員会は30日、ガソリン価格のカルテル疑惑に関する調査報告書を石商に提出した。第三者委は、石商加盟のガソリンスタンド(GS)関係者らへのアンケートや聞き取りから、複数の石商支部で店頭表示価格などの事前調整があったと確認。事業者間のカルテルを禁じる独占禁止法3条と、事業者団体が会員事業者間の競争を実質的に制限することを禁じる同法8条にそれぞれ抵触する行為があったとした。石商は同日、報告書をホームページ上で公表した。

 店頭表示価格に関する値上げ幅や値下げ幅、変更時期について、北信支部の支部長を通じて石商本部に連絡があったと確認。「黙認していた」として「組織ぐるみで行われていたものと評価せざるを得ない」とした。

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 第三者委は3月31日に設置。日本弁護士連合会のガイドラインに基づき、石商と利害関係のない県内の弁護士4人で構成する。メンバーは委員長の田下佳代氏(長野市)の他、清水智弥氏(上田市)、安藤雅樹氏(松本市)、中村威彦氏(伊那市)。6月末を報告期限として調べていた。

 疑惑は2月5日の信濃毎日新聞の報道で浮上。長野市内の石商加盟GS間で、店頭表示価格の値上げ幅や値下げ幅などを指示する電話連絡が回っていた疑いが強まった。その後、東信地方や松本地域、上伊那地域などでも価格調整があったとの証言が相次いだ。非加盟の一部の農協にも石商側から電話連絡があることが判明した。

 県は同月6日、阿部守一知事名で石商に県内全域を対象に実態調査するよう依頼。石商は同月28日、県内8支部の支部長らに聞き取った結果、価格調整の「事実確認はできなかった」とする調査結果を県に報告していた。

 一方、公正取引委員会は同月18日、独占禁止法違反(不当な取引制限など)の疑いで石商事務局を立ち入り検査。北信支部を中心に価格調整していた可能性が高いとみて、GS関係者らを聴取するなどして調べている。

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