【解説】アサヒグループHD サイバー攻撃でシステム障害 生産・出荷停止 復旧メド立たず
サイバー攻撃の影響を受けシステム障害が発生したと、9月29日に発表したアサヒグループホールディングス。生産や出荷を停止してから4日目となりますが、飲食店にも影響が出始めています。
2日に取材した都内の居酒屋では…。居酒屋 店長「酒屋の在庫がなくなったから、サッポロを持ってきてくれたんだと思う」
届いたのは、別のメーカーのビールでした。アサヒの在庫はあるのでしょうか?
──これはラストアサヒ?居酒屋 店長「ラストアサヒです」アサヒの在庫は、残り1つになっていました。居酒屋 店長「サイバー攻撃受けて、ビール納品できなくなったりするんだと」 ◇
システム障害は続いていて、影響が広がっているようです。小栗泉・日本テレビ特別解説委員が解説します。
アサヒグループは復旧のメドが立っていないことから、国内に約30あるビールなどの工場のほとんどで、生産をストップしています。今月予定されていた飲料や食品など、あわせて12商品の発売を延期すると発表しました。
10月1日、アサヒグループの従業員は物流拠点や生産拠点で手作業による受注対応を行ったということです。さらに、お客様相談室などのコールセンター業務も停止しているということです。
また、ふるさと納税の返礼品に「アサヒビール製品」を選んでいた人に届いたメールには「システム障害が発生し、商品の出荷ができない状況。配送に遅れが生じる可能性がある」と書かれていました。
大手小売りからは「今後の展開を見守りながら、長引くようであれば、他社の商品で補充することも考えなければいけないと思う」、大手コンビニからは「今後のために、品薄の告知は貼れるように準備している」との声も聞かれました。
──原因は究明されたのでしょうか?まだなんです。システム障害の原因や影響については調査中で、アサヒグループは「ランサムウエア」による攻撃の可能性も含め、警察に相談をしているということです。「ランサムウエア」とは、企業のパソコンなどに侵入して機密データを暗号化し、復元する対価として金銭などを要求するもので、サイバーセキュリティーに詳しい立命館大学の上原哲太郎教授も、この可能性が高いと指摘しています。上原教授は「サイバー攻撃を受けた場合は原因を突き止め、再発防止できる状態になるまでシステムは復旧できず、時間がかかる。仮にこれがランサムウエアである場合は、データが暗号化され使用不能にされる。その規模が大きかった場合には、何か月かにわたって業務に影響が出ると思われる」と話しています。アサヒグループは臨時で手作業による受注の対応をしたスーパードライなどの主力商品に関しては、少量ながらも3日以降、順次納品を開始していくとしています。
(10月2日放送『news zero』より)