ウクライナの兵器メーカーが明かす、ドローン作戦成功の影にあったフェドロフ前国防相の「前代未聞の組織改革」(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN)
改革派として知られるウクライナのミハイロ・フェドロフ国防相の解任は、同氏の革新的な手法を高く評価してきた地元兵器メーカー各社に大きな衝撃を与えた。フェドロフ氏はドローン戦を強力に推し進めただけでなく、軍の抜本的な改革や防衛産業の刷新にも取り組んでいたからだ。彼の更迭について、業界関係者はウクライナの戦争遂行能力に対する潜在的な影響を懸念していると語った。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領が改革派の国防相を突然解任したことは国内に大きな衝撃を与えた。ウクライナが戦場で勢いを増しつつある矢先だっただけに、不安と動揺が広がった。 【全画像をみる】ウクライナの兵器メーカーが明かす、ドローン作戦成功の影にあったフェドロフ前国防相の「前代未聞の組織改革」 ウクライナの防衛産業関係者は、35歳のミハイロ・フェドロフ(Mykhailo Fedorov)氏の就任からわずか半年での更迭について、同国が誇る軍事テクノロジーセクターにとって大きな痛手だと語り、今後深刻な問題が生じかねないとの懸念を示した。 身元を明かさずアントン(Anton)とだけ名乗ることを条件に取材に応じたウクライナの防衛テック企業関係者は、フェドロフ氏について「イノベーションを推進し、先見性のある目標を掲げ、そしてゼレンスキー大統領にとって交渉の切り札となるような、非常に大胆で実践的な作戦を牽引していた」と語った。 アントン氏によると、フェドロフ氏はウクライナの兵器開発や戦術、軍事ドクトリンを抜本的に刷新する取り組みにおいて、受け身ではなく先手を打つ姿勢を貫いていたという。 「彼は今日必要なことに応え、不足している部分を埋めながら、同時に明日も通用する力と優位性を築くことで、我々の勝利を確実なものにしようとしていた」
かつてウクライナのデジタル変革相を務め、戦争に対するシリコンバレー流のアプローチで知られるフェドロフ氏は、2026年1月にゼレンスキー大統領から国防省のトップに任命された。 フェドロフ氏は就任後直ちに、ウクライナ軍の抜本的な改革に着手し、ドローン運用の強化や契約制度の見直しを進めた。また、防衛産業の改革にも取り組み、開発力の強化と、調達プロセスの透明性・効率性の向上を目指した。 ロシアによる侵攻は、ウクライナをロボティクスとドローン技術革新の中心地へと変貌させた。現在、数百社に上る企業が、ドローンから電子戦装備に至るまで、軍向けの新技術の開発を進めており、その多くは将来的な輸出も視野に入れている。 アントン氏によれば、フェドロフ氏の在任中、ウクライナ企業は政府との間で、格段に透明性の高い調達プロセスの恩恵を受けていたという。同氏は、国防省との協力を「プロフェッショナルで、非常に生産的な」対話だったと振り返り、「以前には想像すらできなかったことだ」と語った。 同氏は、フェドロフ氏が防衛産業を変革し、自律化が進む戦場の変化に対応できる体制を築いたと述べた。 2026年1月以降、ウクライナ軍はロシアの石油関連施設に対する長距離ドローン攻撃を大幅に強化するとともに、中距離ドローンを用いてロシア軍の後方兵站に打撃を与えてきた。この2つの作戦は、ウクライナ政府に楽観的な空気をもたらし、戦場におけるロシアの勢いをくじく一方で、自軍の勢いに弾みをつけている。 防衛メーカー各社は、ここ数カ月間のウクライナの勝利を、フェドロフ氏とそのチームが推し進めたドローン重視のアプローチの成果だとみている。 ロボットシステムメーカー、アーク・ロボティクス(Ark Robotics)のCEOは、「迅速な実戦投入、効率化された調達、そして戦場からの継続的なフィードバックを後押しする政策が整っていたからこそ、技術を急速に進歩させることができた」と語った。