「ケンタッキー州の仮想通貨王」がビットコインのパスワードを奪うため男性を監禁して2週間以上にわたり拷問する事件が発生
近年は仮想通貨関連のインフルエンサーや投資家が誘拐・拷問され、身代金を要求されるという事件が多発しています。新たにアメリカのニューヨーク・マンハッタンの高級住宅街で、「ケンタッキー州の仮想通貨王」として知られる男がイタリア人男性を監禁し、ビットコインのパスワードを要求して2週間以上にわたって拷問したとして逮捕されました。
Crypto Investor Charged With Kidnapping and Torturing Man for Weeks - The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/05/24/nyregion/crypto-investor-torture-italian-tourist.htmlCrypto investor in New York charged in kidnapping and torture plot | US crime | The Guardian https://www.theguardian.com/us-news/2025/may/24/crypto-investor-tortue-kidnapping-new-york
Italian tourist ‘tortured and dangled from fifth floor for Bitcoin password’
https://www.telegraph.co.uk/us/news/2025/05/25/cryptocurrency-investor-kidnap-torture-bitcoin-password/2025年5月23日、37歳の仮想通貨投資家であるジョン・ウォルツという男が、マンハッタンの高級住宅街・ソーホーにある高級タウンハウスで男性を監禁し、2週間以上にわたって拷問した疑いで逮捕されました。
ウォルツに監禁されていたのは、マイケル・ヴァレンティーノ・テオフラスト・カルトゥラン氏という28歳のイタリア人男性だと報じられています。当局の発表によると、カルトゥラン氏は5月6日にイタリアからニューヨークを訪れ、ウォルツが借りている高級タウンハウスに行った時に誘拐されたとのこと。なお、ウォルツとカルトゥラン氏の関係については不明な点も多いものの、一部では「元ビジネスパートナー」と報道されています。カルトゥラン氏の電子機器やパスポートを奪ったウォルツは、ビットコインのパスワードを教えるように要求しました。カルトゥラン氏が拒否すると、ウォルツともう1人の男はカルトゥラン氏の手首を縛って拘束し、殴打したり、電線で電気ショックを与えたり、銃で殴ったり、銃口を頭に向けたり、「家族を殺す」と脅したりするなどの拷問を3週間にわたって行いました。 拷問の中には「尿をかける」「コカインを吸うように強要する」「ノコギリで足を切る」といったものもあったほか、ある時はカルトゥラン氏を階段の一番上まで運び、端からつり下げて「パスワードを渡さなければ殺す」と脅したそうです。
拷問は5月23日の朝まで続きましたが、カルトゥラン氏は9時30分過ぎになんとか脱走することに成功し、近くの交通警察官に助けを求めることができました。情報筋によると、カルトゥラン氏には動きを追跡するためのAirTagも取り付けられていたとのこと。 カルトゥラン氏が逃げ出した直後に警察官がウォルツの高級タウンハウスに踏み込み、ウォルツは逮捕されました。高級タウンハウスからは、縛られて暴行されているカルトゥラン氏のポラロイド写真に加え、拷問に使用された銃やノコギリなども見つかったと報じられています。カルトゥラン氏は安定した状態で病院に運ばれ、ケガの治療を受けました。 ウォルツは「ケンタッキー州の仮想通貨王」として知られる人物であり、推定で1億ドル(約150億円)もの資産を持っているとみられています。男性を監禁した高級タウンハウスには8部屋ものベッドルームがあり、家賃はなんと3万ドル(約450万円)とのことです。 警察に連行されるウォルツの姿や事件現場となった高級タウンハウスの様子は、以下のニュース動画で確認できます。
'Crypto King of Kentucky' accused of torturing man for password in New York - YouTube
警察官に連行されるウォルツ
警察官に両腕をつかまれたまま、パトカーに乗り込みました。
現場となった高級タウンハウスは物々しい雰囲気に包まれています。
土曜日の朝にマンハッタンの刑事裁判所でウォルツの罪状認否が行われ、検察官は暴行・誘拐・不法監禁・銃所持といった罪でウォルツを起訴しました。罪状認否では、ウォルツと共に拷問に参加したとされる別の男についても言及されたとのこと。ウォルツは保釈なしで拘留されており、パスポートの引き渡しも行われています。
日刊紙のニューヨーク・タイムズは、ウォルツに協力したとされるベアトリス・フォルキというイタリア人の女も逮捕・起訴されたと報じています。しかし、5月24日の時点ではフォルキは屋外を自由に出歩いており、タブロイド紙であるニューヨーク・ポストの記者に「私は逮捕されていません」「すべて弁護士に任せています。今は何もコメントできません」と語りました。
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