米景気に警戒サイン、個人消費・雇用が減速―モメンタム喪失に現実味

Augusta Saraiva、Georgina Boos

  • 米経済が「足場を固めるのに苦戦している」-ウェルズ・ファーゴ
  • 企業は経済政策や関税の影響を見極めており投資や採用を凍結

先週発表された米経済指標は、企業や消費者が年初から抱いてきた景況感を裏付けた。複数の懸念材料が鮮明になっている。

  1日発表の雇用統計では、これまでの報告に比べて労働市場の実態が大幅に弱いことが明らかになった。米経済活動のおよそ3分の2を占める個人消費(インフレ調整後)は上期に減少。一方で、米金融当局が注視する物価指標は6月に上昇した。

  米銀ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は、米経済が「足場を固めるのに苦戦している」と指摘。「企業と消費者は、相次ぐ経済政策の変更や高止まりするインフレ率、そして依然としてやや景気引き締め的な金融政策に直面している。こうした状況の中、懸念されていたモメンタムの喪失が残念ながら現実になりつつある」と述べた。

  雇用統計は、米連邦公開市場委員会(FOMC)による先週の金利据え置き判断に疑問を投げかける内容だっただけでなく、トランプ米大統領による米労働統計局長の解任やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長への再度の利下げ要求など政治的混乱にも発展した。

  多くの企業がトランプ政権の経済政策、特に関税の影響を見極めようとする中で、投資や採用を凍結している。米国の住宅市場は今春、過去約13年で最も低調な動きとなった。消費者の債務は増え、必需品以外の支出は後回しだ。

  EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「物価上昇が続くなか、企業も消費者も支出や投資がますます難しくなっており、この厳しい状況は今後も続く可能性が高い」と指摘する。

  トランプ政権が主要な貿易相手国と通商合意を成立させたものの、関税措置で輸入品への平均税率は引き上げられることになる。多くのエコノミストは、こうした関税が今後数カ月で物価を押し上げると予測している。

  物価安定・最大限の雇用という二大責務を担う米金融政策当局者は、経済が過度に減速する前に利下げを求める圧力に直面している。

  それでも米経済は過去数年よりは鈍化するが成長を維持すると見込まれている。ブルームバーグ・ニュースの最新調査によると、今年の成長率は1.5%、2026年には1.7%が予測されている。

原題:Wavering US Consumer and Job Market Show Risks to Economy

(抜粋)

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