タイ入国管理局が「ビザラン」対策を強化
タイ入国管理局は2025年11月12日、外国人がビザなし入国制度を悪用してタイに長期滞在するいわゆる“ビザラン”への対策を強化すると発表しました。アヌティン・チャーンウィーラクン首相およびキットラット・パンペート警察庁長官が掲げるサイバー犯罪対策の方針に基づき、11月12日、入国管理局は緊急会議を開催し、4つの重点措置を示しました。
今回の強化は、観光客を装い、サイバー犯罪やマネーロンダリングなどの犯罪行為に関与する目的でタイに出入りする外国人の流入を防止することが目的です。また、被害者として犯罪に巻き込まれる可能性のあるグループにも警戒を強めます。
発表された4つの重点措置
1. ビザなし入国を利用したビザランの厳格取り締まり空港および陸路すべての国境で、ビザなしで頻繁に出入国を繰り返す不自然な渡航者の審査を強化します。理由を説明できないビザランを2回以上繰り返した外国人は入国拒否となり、本来の目的に適したビザ申請を求められます。
2025年初めから、同様の理由で約2,900人が入国拒否されています。
2. 国境地帯の要注意外国人の再入国阻止詐欺組織が多いターク県メーソート周辺など、国境地域の“要注意リスト”に登録された外国人については再入国を認めず、過去に強制送還された者も例外なく入国拒否とします。
3. ビザラン常習者のビザ延長申請の厳格化タイ国内のすべての入国管理事務所で、ビザランを繰り返す外国人のビザ延長申請をより厳しく審査し、必要に応じて延長を不許可、もしくはビザの取り消しを行い、国外退去とします。
4. オーバーステイ外国人の一斉取り締まり滞在期限超過(オーバーステイ)外国人の摘発を全管轄に指示し、取り締まり結果は後日公表されます。
審査速度への影響は限定的と説明
入国管理局は、対策強化によりパスポート審査のスピードに影響が出る可能性を認めつつ、・1人あたりの審査は45秒以内・待ち時間は40分以内・全レーンをフル稼働
と説明しました。
また、タイ人は自動化ゲートを利用でき、20秒以内で通過できるとしています。
入国管理局は、今回の措置が観光業への悪影響を及ぼすことはなく、むしろ「質の高い観光客」を受け入れることで、タイの安全性と経済にとってプラスになると強調しています。