NY市場サマリー(3日)ドル全面高、利回り上昇 株下落
<為替> ドルが円のほか、ユーロ、英ポンド、スイスフランなどの主要通貨に対して大幅に上昇した。中東情勢の緊迫化を背景に世界的にインフレが長期化するとの懸念が高まり、安全資産としてのドルの需要が拡大している。 2月28日にイランに対する軍事攻撃が始まってから4日目になるこの日は、米国とイスラエルがイラン各地の標的を空爆し、これに対しイランが湾岸地域に報復攻撃を行う中、戦闘はイスラエルの隣国レバノンにも拡大。こうした中、米国の資産は相対的に安全資産と見なされており、エネルギー自給率の高さや堅調な経済などを背景にドルの下支えになっている。 チャールズ・シュワブのマクロ調査・戦略責任者、ケビン・ゴードン氏は「今回の中東情勢の緊迫化に起因する打撃は欧州やその他の原油輸入国に偏っているが、市場ではそうしたことが強く意識されている」と指摘。「債券市場は恩恵を受けていないとしても、ドルは依然として安全資産と見なされている」と述べた。 米国はエネルギーの純輸出国であるのに対し、欧州と日本は米国よりもエネルギーコスト上昇の影響を受けやすい。こうした構造が為替相場の動きにも反映され、終盤の取引でユーロ/ドルは0.6%安の1.1616ドル。ユーロは対ドルで一時、昨年11月下旬以来の安値を付けた。 ドル/円は0.2%高の157.61円。ドルは一時、ニューヨーク連銀がレートチェックを実施したと伝わった1月23日以来の高値を付けた。 片山さつき財務相はこの日の閣議後会見で、イラン情勢の緊迫化を受け、金融市場で「大きな変動が生じていると認識している」と言及。足元の市場動向について「市場動向を極めて高い緊張感を持って注視している」と述べた。
インフレ高進への懸念から米連邦準備理事会(FRB)による早期の追加利下げ観測が後退していることもドルの支援要因になっている。市場が見込む6月会合での利下げの可能性は35%程度まで低下。7月会合までの利下げの可能性は、数日前の70%以上から55%に低下した。その後の利下げ観測も低下しており、年末までにあと2回利下げする可能性は56%程度となっている。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが上昇した。イラン戦争が4日目に入り、引き続き原油価格を押し上げインフレ懸念をあおっている。 イランは湾岸地域で報復攻撃を仕掛け、紛争はレバノンにも拡大。世界のエネルギー供給に長期的な混乱が生じるとの懸念が高まっている。 オサイックの首席市場ストラテジスト、フィル・ブランカト氏は「原油価格が長期間高止まりすれば、インフレ圧力が世界経済に悪影響を及ぼし、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを阻む可能性がある。さらに悪いシナリオでは、利上げに踏み切る可能性さえある」と述べた。 米10年国債利回りは一時、2週間半ぶりの高水準となる4.117%まで上昇した。終盤は0.4ベーシスポイント(bp)上昇して4.056%となった。 インフレ懸念の高まりにより、FRBによる利下げ期待は後退した。市場は以前、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を、少なくとも25bpの利下げが行われる最初の会合と見ており、その確率は50%以上と予想していたが、CMEのフェドウオッチによると、その確率は現在39.1%に低下している。 30年債利回りは一時、2月20日以来の高水準となる4.746%まで上昇した。終盤は0.3bp上昇し4.702%となった。 2年債と10年債の利回り格差は一時50.3bpまで縮小した後、終盤は55.4bpとなった。 FRBの金利予想と連動して動きやすい2年債利回りは一時、1月下旬以来の高水準となる3.599%まで上昇した。終盤は1.3bp上昇の3.5%だった。 物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.515%、10年物が2.281%だった。
米金融・債券市場:
<株式> 中東地域の紛争長期化への懸念から主要株価指数が下落。ただ、日中安値からは下げ幅を大きく縮小して取引を終えた。
イラン戦争が4日目を迎え、原油価格の急騰が続く中、投資家はインフレへの影響を警戒している。
ノーザン・トラスト・アセット・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ジョセフ・タニアス氏は「昨日から基本的に大きな変化はないが、投資家は戦争の継続期間やエネルギー価格への影響に懸念を強めている」と述べた。
株価は序盤に2%超下落する場面があったが、その後下げ幅を縮小した。
イランがエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を通過しようとする船舶を攻撃すると警告し、中東の複数の石油・ガス会社が生産を停止したことを受け、世界の海上輸送運賃や原油・天然ガス価格が急上昇している。
投資家の間では、原油価格の上昇がインフレを加速させ、関税による物価上昇ですでに難しくなっている金融政策決定を複雑にするとの懸念が強まっている。
トランプ米大統領は3日、米国際開発金融公社(DFC)に対し、ペルシャ湾を航行する海上貿易に政治リスク保険と金融保証を提供するよう指示したと明らかにした。また、必要なら米海軍がホルムズ海峡を通過する石油タンカーの護衛を開始する可能性もあるとした。
米国株式市場:
<金先物> ドル上昇に伴う割高感とインフレ再燃観測に圧迫され、3営業日ぶりに反落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比187.90ドル(3.54%)安の1オンス=5123.70ドル。
米国・イスラエルとイランの軍事衝突が続く中、この日の外国為替市場では「有事のドル買い」が加速。ユーロなど他の通貨を保有する投資家にとって、ドル建て商品の割高感が強まったため、金は手じまい売りに見舞われた。4月物は午前に前日比で約5.8%下げ、5000ドルの節目割れが迫る場面があった。
NY貴金属:
<米原油先物> 米国・イスラエルとイランの戦闘拡大を背景に3営業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比3.33ドル(4.70%)高の1バレル=74.56ドル。2日連続で、中心限月の清算値ベースとしては2025年6月中旬以来、約8カ月半ぶりの高値を付けた。5月物は2.83ドル高の73.55ドル。
イランのメディアによると、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」は2日、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖したと主張した。米イスラエルが2月28日にイラン攻撃を開始後、無人機(ドローン)攻撃による影響や予防的措置のため、数カ国がエネルギー 生産施設の操業を停止。サウジアラビアが国内最大の精製・生産施設を閉鎖、イスラエルが一部ガス田での操業を停止したほか、カタールは液化天然ガス(LNG)の生産を停止した。イランが湾岸諸国での攻撃を強化する中、供給混乱の長期化への警戒感が一段と強まり、原油買いが先行。相場は朝方に一時78ドルに迫る場面もあった。
ただ、急ピッチで上値を駆け上がった後は、供給混乱長期化への懸念が和らぎ、売りに転じた。米政治専門紙ポリティコが関係者の話として、トランプ政権がホルムズ海峡のタンカーの運航支援において、軍による保護を検討していると報道したことが、利益確定の売りを後押し。加えて、トランプ大統領は自身のSNSで「米国際開発金融公社(DFC)に対し、海上貿易の政治的リスク=特に(ペルシャ)湾岸を通過するエネルギー輸送 =に対して保険や保証を提供するように命じた」と投稿したことも材料視された。
NYMEXエネルギー:
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