NY市場サマリー(18日)ドル/ユーロ下落、利回り低下 S&P・ナスダックほぼ変わらず

<為替> ドルが対ユーロで下落した。円については引き続き20日投開票の参議院議員選挙が重しになった。トランプ米政権の関税措置で国内の物価圧力が高まる中、米連邦準備理事会(FRB)の政策の行方が引き続き注目されている。

今週発表された主要な米経済指標では、6月の消費者物価指数(CPI)が前月比0.3%上昇、前年比2.7%上昇。6月の卸売物価指数(PPI)は、前月比横ばい、前年比2.3%上昇だった。

パウエルFRB議長は、トランプ政権の関税政策の結果として夏にインフレが上昇すると予想。ただ、全体的な雇用増加数と失業率は比較的堅調を保っているものの、労働市場が弱体化する兆候はすでに見られている。

FRBの金融政策を巡っては、ウォラー理事が関税による物価押し上げ圧力は持続的ではない可能性が高いとみられる中、FRBは今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を引き下げるべきとの考えを改めて示したほか、シカゴ地区連銀のグールズビー総裁が、米政策金利が今後12カ月で「かなり」低下する可能性があるという見通しを示した。

金利先物市場では、年末までに0.25%ポイントの幅での利下げが2回実施され、最初の利下げは9月になる公算が高いとの見方が織り込まれている。

終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は98.49と、ほぼ横ばい。ただ、週初からは0.65%上昇した。

ユーロ/ドルは0.22%高の1.1621ドル。週初からは0.59%下落。ユーロはこの日の取引で、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がトランプ米政権は貿易交渉で欧州連合(EU)とのいかなる合意においても15─20%の最低関税を課す構えと報じたことを受け、上げ幅を縮小した。
ドル/円は0.1%高の148.75円。週初からは0.93%上昇した。20日投開票の参院選で石破茂首相率いる連立与党が過半数を失うリスクがあることが世論調査で示されている。実際に過半数を失えば政策の不確実性が高まり、米国との関税交渉が複雑化する可能性があるとの懸念が円の重しになっている。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.51%安の11万7680ドル。14日には12万3153ドルと、過去最高値を更新していた。

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが低下した。ウォラー連邦準備理事会(FRB)理事が、労働市場の支援に向けて、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを主張したことが材料視された。

ウォラー理事は「経済は依然として成長しているが、勢いは大幅に鈍化し、(FOMCの)雇用に関する責務へのリスクは高まっている」とし、月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で「政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げるのは理にかなっている」と述べた。

この日発表された米経済指標は強弱まちまち。

米ミシガン大学が発表した7月の消費者信頼感指数(速報値)は市場予想を上回り、1年先の期待インフレ率は4.4%と5カ月ぶり低水準となった。
一方、6月の一戸建て住宅着工件数は11カ月ぶりの水準に落ち込んだ。

指標となる10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低下の4.434%。

30年債利回りは1.4bp低下の5.001%。それでも週間では、3週連続上昇の基調にある。

2年債利回りは3.9bp低下の3.878%。週間では3.7bp低下し、低下幅は6月23日以来の大きさとなった。

2・10年債の利回り格差は、54.9bpと、前日終値の54.4bpから小幅に拡大した。

債券市場では、月末のFOMCでFRBが金利を据え置くとの見方が大勢。ただ、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、ウォラー氏の発言を受けて、7月の利下げ確率は4.7%と、数日前の約3%からわずかに上昇した。また前日は、FRBが9月のFOMCで利下げを再開する確率は五分五分とみられていたが、この日は61%まで上昇した。

米金融・債券市場:

<株式> S&P総合500種(.SPX), opens new tabとナスダック総合(.IXIC), opens new tabがほぼ変わらずで終了した。ただ、トランプ政権が欧州連合(EU)に15─20%の最低関税を課す構えとの報道を受け、両指数は下落する場面もあった。
トランプ米政権は貿易交渉で欧州連合(EU)とのいかなる合意においても、15─20%の最低関税を課すとした。また、合意に達した場合でも、EU製品に対し10%を超える相互関税率を検討しているほか、自動車に対する25%の関税計画も維持する意向という。
エクソンモービル(XOM.N), opens new tabは3.5%安。同業シェブロン(CVX.N), opens new tabが、ヘス買収で争点となっていた南米ガイアナ沖の巨大海底油田を巡るエクソンとの調停で、権益確保を認められたことが材料視された。 もっと見る

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米長期金利の低下を背景に買われ、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比13.00ドル(0.39%)高の1オンス=3358.30ドル。週間では0.17%安だった。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、貿易摩擦の激化懸念や低調な米住宅関連指標を嫌気した売りがやや優勢となり、小反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.20ドル(0.30%)安の1バレル=67.34ドル。週間では1.62%下落した。9月物は0.18ドル安の66.05ドル。

NYMEXエネルギー:

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