「うすぐらい」「さむい」「時代遅れ」なだけじゃない…若者が図書館に寄り付かない“リアルな理由”とは《本好きには見えない“残酷な真実”》(文春オンライン)
本好きは紙の本や書店、古本屋、図書館のよさをあたりまえのものだと思っている。 ゆえに、そう感じていない人が敬遠しているポイントに気づけない。 過去12月間図書館を利用していない人々に「なぜ利用しないのか」とインタビューをして原因を探った、英国の文化メディアスポーツ省(DCMS)による調査に『Barriers to library use』(図書館利用の障壁、2024年)がある。 同調査によると、図書館を使っていない人の多くは、図書館を「古く、退屈な場所」ととらえている。とくに18〜24歳の若年層がそうだ。実際には英国の図書館では本の貸し出しに加え、メンタルヘルスをふくめた健康相談、キャリア支援、デジタルスキル学習、子ども向けプログラム、各種イベントなどを提供している。しかし、こうした実態が伝わっていない。 多くの図書館のウェブサイトやソーシャルメディアアカウントは「おもしろみがない」「情報の羅列」で、デザイン的に魅力がないからだ。
また物理的な古さ、建物の老朽化と外観が悪い印象につながっている。図書館を使っていない人たちは図書館の建物を「時代遅れ」「うすぐらい」「さむい」と感じ、利用をためらっていた。また、Wi-Fiの品質や図書館で使えるコンピュータなどにも不満をいだいている。さらに、 ・ 車椅子利用者には書架が高すぎてとどかない、通路が狭く移動しにくい、スタッフのサポートが得られるか不安だといった身体的なカベ ・ 発達障害や社会不安がある人々には、図書館は文字情報や複数の人の存在・挙動が一挙に目に入ってくるため過度に刺激的であったり、あるいは見られているという緊張感や「静かにしなければ」という圧力が不安の種になったりするという、感覚・心理的なカベ も指摘されている。 物理的な通いやすさも問題だ。地方では図書館までの公共交通機関の便がわるく、子どもをはじめ、自ら自動車の運転ができない人たちは気軽に行けないこともよくある。大人でも、開館時間が仕事や育児のスケジュールと合わないこともめずらしくない。 図書館が「行きたい場所」であり、かつ「気軽に行ける手段とコスト」がそろわないかぎり、人は行けないし、行かない。 もちろん、電子書籍や電子図書館サービスも、UI/UXが使いにくかったり、デザインが魅力的でなければ「本は読みたいが、このサービスは使わない」になる。同レポートでは、オンラインサービスは存在自体が知られていない、知られにくいことが課題とされている。 とはいえ移動や建物のインフラをめぐる物理的な制約は、電子なら解消できる。
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「すぐに行けない」「すぐ手に入らない」せいで、本を買いたい気持ちや読書に対する意欲が失せてしまうことはよくある。 どのくらい待てるかは人にもよるし、待っているモノにもよる。しかしだれも積極的に待ちたいとは思っていない。 米国図書館協会(ALA)の2023年のレポート『Gen Z and Millennials: How They Use Public Libraries and Identify Through Media Use』によると、アメリカのZ世代(2022年時点で13〜25歳)やミレニアル世代(同26〜40歳)の 54%が過去12か月以内に図書館(リアル)を利用し、図書館のデジタルコレクション(電子書籍やオーディオブック)の利用は全体の 37%だった。 じつは、より若いZ世代よりも、ミレニアル世代のほうが電子図書館の利用率が高い。 若い世代の利用率が低いのはなぜか? 電子図書館を使っていない人の大多数は「アクセス方法がわからない」と答えていた。
リアルで図書館を使っている人たちにさえ、電子図書館で読める本があることや、どうすれば使えるのかといった情報が行きとどいていない。 興味深いことに、Z世代とミレニアル世代の75%が、貸し出しまでに待てる時間は「1週間以内」と答こたえている。長い待ち時間を理由に利用をやめる割合はミレニアル世代は17%、Z世代は21%。 一般的に電子図書館サービスは紙の本の貸し出し同様に「ひとりが借りているあいだはほかの人は借りられない」契約になっていることが少すくなくない。結果、「デジタルなのになぜ待たなければならないのか」と利用者は不満をいだいている。 逆に言えば、彼らは自分が読みたいものを待つ時間をなくすためには、お金を払う。 インターネット上で連載されているウェブ小説を読むZ世代とミレニアル世代のうちの60%、ニュースレター配信サービス「Substack」を利用する人のうちの79%が「すぐ読みたい」という理由で課金している。 「待てない」若者には、高い頻度で更新され、手軽にアクセスできるデジタル読書サービスが人気だ。これはフランスの全国出版協会(SNE)が発表した調査でも確認できる。