米国の分断と中間選挙 民主主義を守り抜かねば

社説

毎日新聞 2026/7/29 東京朝刊 838文字
ホワイトハウス記者協会主催の夕食会で演説するトランプ米大統領=ワシントン市内のホテルで2026年7月24日、AP

 11月の米中間選挙まで100日を切った。各州での予備選が大詰めを迎え、選挙戦は熱を帯びている。米国の民主主義が健全に機能するか、重大な選挙である。

 4年ごとの大統領選の中間年に実施され、連邦議会、州知事、州議会など全米規模に及ぶ。政権に対する審判の意味があり、与党が劣勢を強いられるのが通例だ。

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 加えて今回はトランプ大統領の支持率が3~4割台で低迷している。勢いを増す野党・民主党に対し、与党・共和党が危機感を強めるのは当然だろう。

 食品やガソリンなどの価格は高止まりし、泥沼化するイラン戦争は不評を買う。トランプ氏も苦戦を見越しているようだ。

 驚くのは、まっとうな政策論争ではなく、脱法的な手法で対抗する姿勢を隠さないことである。

 出生証明書の提示など投票手続きを厳格化する「米国救済法案」は、民主党支持基盤の移民らを選挙から排除する恐れがある。

 郵便投票の規制を強化する大統領令もまた、利用者が多い民主党支持層を標的としたと言われる。

 テキサスなど共和党が多数を占める州議会で民主党の当選者が少なくなるよう、区割りを変更する強硬策にも打って出た。

 民主主義の土台を揺るがしかねない。「米国救済法案」は議会での審議が停滞し、郵便投票規制は裁判所が差し止めた。権力の均衡が働いている証左だろう。

 万策が尽きたとしてもトランプ氏のことである。敗戦を認めず、「不正選挙」を言い募る恐れがないとは言えない。

 その結果、2020年大統領選後の連邦議会議事堂襲撃事件のような暴動が再び起きたとしても不思議ではない。

 現に米国の世論は両極化の傾向を強めている。

 共和党では、トランプ氏に追随する「米国を再び偉大に(MAGA)」派が大半を占める異様な伸長ぶりを見せる。

 民主党ではトランプ政権への反動から、社会主義を信奉して労働者の権利を主張する急進左派が台頭し、主流派と張り合う。

 社会の分断が一段と深まり、過激な風潮が広がる危険性がある。危機を食い止めるための冷静な論戦が求められる。

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