激戦必至のポイント賞争い 明日開幕のジロ・デ・イタリア、各賞ジャージの有力者たち

明日5月9日(金)に開幕する第108回ジロ・デ・イタリア。グローブスにコーイ、ピーダスン、そしてファンアールトと近年稀に見る豪華メンバーが顔を揃えたマリアチクラミーノ(ポイント賞)や、マリアアッズーラ(山岳賞)、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)と3つのジャージを狙う注目選手を紹介する。マリアチクラミーノ ポイント賞2024年大会でマリアチクラミーノも手に入れたジョナサン・ミラン(イタリア) photo:CorVos今大会平坦ステージに分類されるステージは6つだが、集団スプリントの可能性もある丘陵ステージを含めるとスプリントチャンスは8ステージほどになる。特にアルバニアでの開幕初日や、イタリア本土に上陸直後から始まる3日間は平坦ステージが設定されており、白熱の集団スプリントが予想される。平坦ステージでは丘陵や山岳ステージに比べ、より多くのポイントを稼ぐことができる(1位:50pts、2位:35pts、3位:25pts…)。そのためマリアチクラミーノ獲得のためには区間優勝を狙うのはもちろん、各ステージに2箇所設定された中間ポイント(個人タイムトライアルは除く)も重要な要素となる(1位:12pts、2位:8pts、3位:6pts…)。

近年稀に見る豪華メンバーによるスピードバトル

この2年、母国イタリアに紫色ジャージをもたらしたジョナサン・ミラン(イタリア)はツール・ド・フランスに専念するため不出場。しかし、今年のジロには例年以上に豪華なスピード自慢の選手たちが集まった。2年連続でブエルタのポイント賞を獲得するカーデン・グローブス(オーストラリア) photo:CorVos注目されるのは2年連続でブエルタ・ア・エスパーニャのポイント賞に輝くカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)と、若手No.1スプリンターの呼び声高いオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)の直接対決。コーイは3月30日のヘント〜ウェヴェルヘムで鎖骨を骨折し、そこから1ヶ月強という強行出場となるものの、リードアウトはワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が務める。そのファンアールトは、昨年大怪我で出場を逃したジロにようやくの初参戦。平坦ステージではアシストを担うと予想されるためジャージ候補の本命ではないものの、コーイの調子次第ではスプリントエースを担い、また中間スプリントを狙ってくるのであればポイント獲得は容易いだろう。オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVosワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVosマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVosピュアスプリンターのグローブスやコーイより、多くのスプリントチャンスを狙えるのがマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)だ。今年はジロとブエルタ・ア・エスパーニャに専念する元世界王者は、今季パリ〜ニースで区間優勝(&ポイント賞)とヘント〜ウェヴェルヘム優勝と好調。多少の登りならこなせるため、ピーダスンをマリアチクラミーノの最有力候補に挙げる声もある。注目の24歳ベルジャンスプリンター、ミラン・フレティン(コフィディス)は念願のグランツールデビュー。今季は3勝と好調で、その魅力は平坦だけではなく、緩斜面のスプリントでも勝利を収めているところだ。ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス) photo:CorVos他には経験豊富なサム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアール)や2019年以来の勝利目指すフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)、コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)などにも注目。また地元イタリアからはマッテオ・モスケッティ(Q36.5プロサイクリング)の走りに期待したい。

歴代ポイント賞受賞者

2024年:ジョナサン・ミラン(イタリア)2023年:ジョナサン・ミラン(イタリア)2022年:アルノー・デマール(フランス)2021年:ペテル・サガン(スロバキア)2020年:アルノー・デマール(フランス)マリアアッズーラ 山岳賞昨年大会の序盤にマリアアッズーラを纏ったダニエル・マルティネス(コロンビア) photo:RCS Sport昨年はタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)がマリアローザと共に獲得したのが、山岳賞のマリアアッズーラだ。かつては緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更されたジャージは「クライミング」「俊敏さ」「スタミナ」を象徴する。高い登坂力をもつ選手は総合争いに流れ、さらに多くのクライマーたちはアシストとしてエースへの献身を強いられるため、登坂力ランキングがそのまま山岳賞ランキングになることはない。また、今年は山岳/山頂フィニッシュが比較的少ないため、総合系よりも逃げから山岳ポイントを加算する選手に有利となるか。

歴代山岳賞受賞者

2024年:タデイ・ポガチャル(スロベニア)2023年:ティボー・ピノ(フランス)2022年:クーン・ボウマン(オランダ)2021年:ジョフレ・ブシャール(フランス)2020年:ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)マリアビアンカ ヤングライダー賞昨年マリアビアンカを獲得したアントニオ・ティベーリ(イタリア) photo:RCS Sport25歳以下の選手を対象にしたマリアビアンカ(ヤングライダー賞)は、2000年1月1日以降に生まれた選手の中で最も総合タイムが良い選手に与えられる。昨年はポガチャルの登坂アタックに積極果敢に食らいつき、総合5位に入ったアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が輝いた。しかし今大会、そのティベーリを上回る有力候補となるのが、初出場となるフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)だ。19歳で初出場したブエルタで総合3位に入ったアユソがついにジロデビュー。チームメイトもアダム・イェーツ(イギリス)にラファウ・マイカ(ポーランド)と強力メンバーを揃えるため、トラブルがなければ総合上位は堅い。マリアビアンカの最有力に挙がるフアン・アユソ(スペイン) photo:CorVos歴代ヤングライダー賞受賞者2024年:アントニオ・ティベーリ(イタリア)2023年:ジョアン・アルメイダ(ポルトガル)2022年:フアン・ロペス(スペイン)2021年:エガン・ベルナル(コロンビア)2020年:テイオ・ゲイガンハート(イギリス)text:Sotaro.Arakawa

photo:RCS Sport, CorVos


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